気象に関する数値予報モデルの種類
気象庁では、予報する目的に応じて幾つかの数値予報モデルを運用しています。下表に記載してあるのは、現在、天気・天候の予報に使用している主な数値予報モデルの概要です。目先数時間〜半日程度先の大雨等の予想には2km格子の局地モデルを、最大3日程度先の大雨や暴風などの災害をもたらす現象の予報には5km格子のメソモデルとメソアンサンブル予報システムを、台風予報や1週間先までの天気予報には約13km格子の全球モデルと約27km格子の全球アンサンブル予報システムを使用しています。全球アンサンブル予報システムは、2週間先までの予報や1か月先までの予報にも使用されています。さらに、1か月を越える予報には、大気海洋結合モデルを用いた季節アンサンブル予報システムを使用しています。
気象に関する数値予報モデルの概要
数値予報システム (略称) |
モデルを用いて発表する予報 | 予報領域と格子間隔 |
予報期間 (メンバー数) |
実行回数 (初期値の時刻) |
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局地モデル (LFM) |
航空気象情報 防災気象情報 降水短時間予報 |
日本周辺 2km |
10時間 |
1日16回 (下記以外の正時) |
18時間 |
1日8回 (00,03,06,09,12,15,18,21UTC) |
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メソモデル (MSM) |
防災気象情報 降水短時間予報 航空気象情報 分布予報 時系列予報 府県天気予報 |
日本周辺 5km |
39時間 |
1日6回 (03,06,09,15,18,21UTC) |
78時間 |
1日2回 (00,12UTC) |
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全球モデル (GSM) |
台風予報 分布予報 時系列予報 府県天気予報 週間天気予報 航空気象情報 |
地球全体 約13km |
5.5日間 |
1日2回 (06,18UTC) |
11日間 |
1日2回 (00,12UTC) |
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メソアンサンブル予報システム (MEPS) |
防災気象情報 航空気象情報 分布予報 時系列予報 府県天気予報 |
日本周辺 5km |
39時間 (21メンバー) |
1日4回 (00,06,12,18UTC) |
全球アンサンブル予報システム (GEPS) |
台風予報 週間天気予報 早期天候情報 2週間気温予報 1か月予報 |
地球全体 18日先まで 約27km 18~34日先まで 約40km |
5.5日間1 (51メンバー) |
1日2回 (06,18UTC) |
11日間 (51メンバー) |
1日2回 (00,12UTC) |
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18日間 (51メンバー) |
1日1回 (12UTC) |
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34日間 (25メンバー) |
週2回 (12UTC 火・水曜日) |
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季節アンサンブル予報システム (季節EPS) |
3か月予報 暖候期予報 寒候期予報 エルニーニョ監視速報 |
地球全体 大気 約55km 海洋 約25km |
7か月 (5メンバー) |
1日1回 (00UTC) |
- GEPSは、00,06,12,18UTC初期値の1日4回実行されるが、06,18UTC初期値時刻の予測は、全般海上予報区(赤道〜北緯60度、東経100〜180度)内に台風が存在する、または同区内で24時間以内に台風になると予想される熱帯低気圧が存在する場合に配信される。
数値予報モデルで予測できる気象現象の規模は格子間隔の大きさに依存しています。格子間隔が約13kmの全球モデルでは、高・低気圧や台風、梅雨前線などの水平規模が100km前後およびそれ以上の現象を予測することができます。格子間隔が5kmのメソモデルになると、局地的な低気圧や集中豪雨をもたらす組織化された積乱雲群など水平規模が数10km以上の現象を予測できるようになります。格子間隔が2kmの局地モデルでは、水平規模が10数km程度の現象までが予測可能となりますが、まだ個々の積乱雲が表現できる程ではありません。
気象庁の数値予報モデルが対象とする気象現象の水平及び時間スケール
参考リンク
もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。