洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)


 洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)は、大雨による中小河川(水位周知河川及びその他河川)の洪水災害発生の危険度の高まりを5段階に色分けして地図上に示したものです。危険度の判定には3時間先までの流域雨量指数の予測値を用いており、中小河川の特徴である急激な増水による危険度の高まりを事前に確認することができます。また、大河川で洪水のおそれがあるときに発表される指定河川洪水予報についても表示しており、中小河川の洪水危険度とあわせて確認することができます。


 (関連する情報)
洪水警報の危険度分布

「流域雨量指数」を用いた洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)

 気象庁では、河川の上流域に降った雨により、どれだけ下流の対象地点の洪水災害リスクが高まるかを把握するための指標として「流域雨量指数」を用いています。流域雨量指数そのものは、値が大きいほど洪水災害リスクが高まることを示す相対的な指標であり、重大な洪水災害のおそれがあるかどうか等を判断するには、これだけでは十分ではありません。
 そこで、過去の洪水災害発生時の流域雨量指数の値をもとに基準を設定し、この基準と比較することで、災害リスクの高まりを把握します。過去の災害実績をもとに統計的に基準値を設定することで、流域雨量指数そのものの計算には考慮されていない要素(貯留施設等の影響)も、基準値には一定程度反映させることができます。
 洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)は、流域雨量指数の値が基準に達したかどうか、基準に達する予想かどうかで色分けして地図上に示したものです。

図2

洪水警報の対象災害及び基準

 洪水警報は、河川の増水に起因する災害を対象としており、これには河川の水位が上昇し堤防を越えたり破堤するなどして堤防から水があふれる「外水氾濫」と、河川の水位が高くなることで周辺の支川や下水道から水があふれる「湛水型の内水氾濫」(本川から支川への逆流によるものや、人為的な水門閉鎖によるものも含みます)とがあります。
 「外水氾濫」に対しては、当該河川の流域雨量指数による基準(流域雨量指数基準)を設定します。過去約30年間の洪水災害発生時の流域雨量指数の値を調査し、「流域雨量指数がこの数値を超えると重大な洪水災害がいつ発生してもおかしくない」という値を洪水警報の基準として設定しています。過去に重大な洪水災害の発生が確認されていない河川については、流域雨量指数の過去データを統計的に処理して、30年に一度超えるかどうかという値(30年確率値)を洪水警報の基準として設定しています。また「洪水警報の基準を大きく超過した基準」については、50年に一度超えるかどうかという値(50年確率値)を設定することを基本としています。
 なお、洪水警報の基準は、1km四方の格子毎に設定しています。全国の格子の中には、流域雨量指数を計算している河川(約20,000河川が対象)が通っていない格子もありますが、そのような格子においてもタンクモデルによる流出量の算出及び地形に沿った流下計算を簡易的に行っており、この値を用いて基準値を設定しています。
 「湛水型の内水氾濫」に対しては、当該河川の増水の状況を示す流域雨量指数に加えて、周辺の地表面を流れる雨水の状況を示す表面雨量指数も用いて基準(複合基準)を設定します。流域雨量指数基準と同様に、過去の災害発生時の流域雨量指数及び表面雨量指数の値をくまなく調査した上で基準を設定していますが、調査期間内に湛水型の内水氾濫による重大な災害発生が確認されていない河川では複合基準を設定していません。
 これらの基準値は、最新の洪水災害発生履歴データを用いて定期的に見直しを図り、より適切な洪水警報・注意報の発表や洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)の提供ができるよう努めています。

図3
図4

洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)で表示される危険度

 洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)では、流域雨量指数等の3時間先までの予測値が「注意報基準未満の場合」、「注意報基準以上となる場合」、「警報基準以上となる場合」、「警報基準を大きく超過した基準以上となる場合」及び、実況値が「警報基準を大きく超過した基準以上となった場合」の5段階で色分けして、中小河川の洪水災害発生の危険度を河川の流路に沿って表示しています。
 中小河川において、流域雨量指数基準と複合基準の双方を持つ場合は、両者による判定のうち、より危険度の高いほうに色分けして表示しています。
 また、洪水予報河川においては、湛水型内水氾濫の危険度を河川の流路に沿ってハッチで表示しています。このハッチ表示が出現したときには、当該河川の外水氾濫のおそれではなく、当該河川の増水による湛水型の内水氾濫のおそれがある状況を示しています。洪水予報河川の外水氾濫の危険度については、あわせて表示している指定河川洪水予報の発表状況を確認してください。
 なお、現時点では、湛水型の内水氾濫のうち、雨の全く降っていない場合に発生するものまでは考慮されていません。雨がやんで「湛水型内水氾濫の危険度」の表示が消えた場合であっても、氾濫危険情報等が発表されている場合には、周辺の支川や下水道の氾濫にも引き続き警戒してください。

図5

 なお、流域雨量指数を計算している河川が通っていない格子も含む、全ての格子における危険度は、メッシュ形式の洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)で確認することができます。これは流路ではなく1km四方の格子毎に危険度を表示したもので、ひとつの格子に複数の河川が流れている場合は、それぞれの河川の危険度のうち、より高いほうの危険度を表示しています。


洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)における河川名等の一覧表

 洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)における河川名及び洪水に関する警報・注意報発表基準一覧表で用いら入れている河川番号の一覧表は、以下のリンクからCSV形式のファイルとしてダウンロードすることが可能です。河川名が特定できない河川番号については、河川名を空欄としています。



洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)の利活用

 洪水に関する重要な情報には、河川の分類に応じて次のようなものがあります。

洪水に関する情報
河川のスケール
河川の分類 洪水予報河川 水位周知河川 その他河川
洪水に関する
重要な情報



 市町村が発令する洪水についての避難情報の発令基準は「避難情報に関するガイドライン」(令和3年5月、内閣府)において具体的に例示されています。平成28年台風第10号の水害等を踏まえて、「水位周知河川」及び「その他河川」において水位が急上昇する前の早い段階から高齢者等避難等の発令を可能とするために、水位の実況値に加え、その後の水位上昇の見込みに関する情報として「流域雨量指数の予測値」等も用いる判断基準が示されました。

 一般に、山間部等を流れる中小河川(水位周知河川、その他河川)は流域面積が狭く、勾配が急であるため、流れが速くなりやすく、大雨が降ると急激な増水を伴うという特徴があります。
 山間部等の流れの速い中小河川などで水流によって川岸が削られるなどして家屋が押し流されるおそれがある場合、あるいは、中小河川の氾濫が発生したときの浸水の深さが深く、最上階の床の高さまで浸水するおそれがある場合などには、洪水で命に危険が及ぶおそれがあります。
 こうした場合に対処するため、次のように、自治体の避難情報や河川の水位情報とともに「洪水キキクル」(洪水警報の危険度分布)も用いて、実際に河川の水位が上昇するより前の早い段階から早めの避難を心がけることが大切です。

  • 自治体から避難指示等が発令された場合河川管理者から氾濫危険情報等が発表された場合には、洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)に関わらず、速やかに避難行動をとってください。
  • 「洪水キキクル」(洪水警報の危険度分布)では、自分がいる場所に命の危険を及ぼす可能性のある河川の危険度を確認するようにしてください。その際には、危険度の高まった紫色や赤色の表示は上流から下流へ移動してくる傾向がありますので、上流地点の危険度も含めて確認するようにしてください。
    • 黄色(注意報級)の危険度が出現した場合は、避難行動の確認が必要とされる警戒レベル2に相当します。ハザードマップ等により、災害が想定されている区域や避難先、避難経路を確認してください。また、今後の洪水警報の発表や周囲の状況、雨の降り方に注意し、河川の水位情報を確認し、洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)で発表される危険度をこまめに入手するように努めてください。
    • 赤色(警報級)の危険度が出現した場合には、まもなく重大な洪水災害が発生する可能性があり、一定の水位を超えていれば自治体から警戒レベル3高齢者等避難が発令されうる状況を示しています。高齢者等は危険な場所からの避難が必要とされる警戒レベル3に相当します。自治体の避難情報を確認し、警戒レベル3高齢者等避難が発令されている場合には、高齢者等は速やかに避難を開始してください。また、高齢者等避難が発令されていない場合であっても、河川の水位情報を確認し、一定の水位を超えている場合には、前述の状況を踏まえ、避難の準備をして早めの避難を心がけてください。(住宅の地下室からは速やかに退避してください。)
    • さらに、うす紫色の危険度が出現した場合には、重大な洪水災害が発生する可能性が赤色(警報級)よりもさらに高まり、まもなく重大な洪水災害が発生する可能性が高く、当該河川の水位が一定の水位を超えていれば自治体から警戒レベル4避難指示が発令されうる非常に危険な状況を示しています。危険な場所からの避難が必要とされる警戒レベル4に相当します。自治体の避難情報を確認し、警戒レベル4避難指示が発令されている場合には、速やかに避難を開始してください。また、避難指示が発令されていない場合であっても、河川の水位情報を確認し、一定の水位を超えている場合には、前述の状況を踏まえ、速やかに避難を開始することが重要です。
    • その後、濃い紫色の危険度が出現した場合、流域雨量指数の実況値が過去の重大な洪水災害発生時に匹敵する値にすでに到達したことを示します。すでに重大な洪水災害が発生している可能性が高い極めて危険な状況です。
    • 河川堤防が損壊したり、河床が土砂で埋まるなど、河川構造物が損傷を受けた地域では、通常よりも洪水による被害が起きやすくなっています。そのような地域では、自治体の発令する避難情報に十分留意するとともに、「洪水キキクル」(洪水警報の危険度分布)で黄色(注意報級)の危険度が出現した場合であっても、赤色(警報級)やその上の危険度が出現した場合と同様の対応をとってください。
  • また、洪水予報河川の外水氾濫については、洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)ではなく、河川管理者と気象台が共同で発表している指定河川洪水予報等を踏まえて避難情報が発令されますので、それらに留意し、適切な避難行動を心がけてください。

洪水で命に危険が及ぶおそれがあり立退き避難が必要な事象
洪水警報の危険度分布の色に応じた住民等の行動の例

洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)の利用上の留意点

  • 河川の上流域等、建物がなく定住者がいないため河川の氾濫による家屋の浸水害が発生しない領域では、洪水警報の判断基準は設定しておりませんので、洪水警報は発表しません。ただし、上流域に降った大雨は時間をかけて下流に影響する傾向がありますので、上流域で大雨となっている状況を確認できるよう、色分けして表示しています。このような場所で活動をする場合は、洪水キキクルや「雨雲の動き」等で最新の状況を確認するとともに、危険な場所から離れることが重要です。

洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)の事例

洪水警報の危険度分布(平成28年8月30日の岩泉町の状況)
洪水警報の危険度分布(平成29年7月5日の日田市の状況)
参照:【リーフレット】洪水警報の危険度分布の活用 ~中小河川の洪水災害から命を守るために~
洪水警報の危険度分布(平成29年7月5日の朝倉市赤谷川・乙石川の状況)
洪水警報の危険度分布(平成29年7月5日の朝倉市赤谷川・乙石川の状況)

洪水警報の危険度分布(平成29年7月5日の朝倉市の状況)
高解像度版アニメーション【GIF形式:3.7MB】

洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)を解説する動画やリーフレット等

「洪水キキクル」(洪水警報の危険度分布)を避難開始の判断に役立てていただくためのポイント等を、動画やリーフレットにまとめました。
【政府インターネットテレビ】洪水警報の危険度分布
リンク先:内閣府政府広報室「政府インターネットテレビ」
【事例集】洪水警報の危険度分布の活用について[PDF形式: 5.32MB]
リンク先:消防庁ホームページ
【リーフレット】洪水警報の危険度分布の活用 ~中小河川の洪水災害から命を守るために~
【政府インターネットテレビ】大雨や台風から命を守る 進化した気象警報&危険度分布
リンク先:内閣府政府広報室「政府インターネットテレビ」
中小河川の氾濫と危険度分布(平成30年7月6日広島県広島市の洪水)
リンク先:YouTubeチャンネル「気象庁/知識・解説」

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