洪水に関する防災気象情報の活用
洪水に関する防災気象情報を活用した避難行動について
洪水によって命に危険が及ぶ(避難行動が必要となる)タイミングとエリアの考え方については、「避難情報に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」)において具体的に示されています。以下では、このガイドラインに基づき、洪水に関する気象警報等が発表された際にとるべき行動の例について解説します。
洪水で命に危険が及ぶ範囲は、洪水ハザードマップの浸水想定区域が基本となります。ただし、想定される浸水の深さ及びお住まいの建物の階数に応じて、建物からの立退き避難が必要か、建物の2階以上への垂直避難でよいか、命を守るためにとるべき避難行動が異なります。堤防の近くで氾濫水によって家屋の流失が想定される場所、最上階の床の高さまで浸水すると想定される場所、半地下構造の建物に氾濫水が流入する場所、あるいは、ゼロメートル地帯などで長期間浸水が継続すると想定される場所などでは、屋内で待避していても命に危険が及びますので、立退き避難が必要です。また、洪水ハザードマップがない地域であっても、山間部の幅の狭い谷底平野等の川の流れの速いところで、氾濫流や河岸侵食により家屋の流失が想定される場合には命に危険が及びますので、立退き避難が必要です。
洪水予報河川
洪水予報河川については、浸水想定区域内の立退き避難を必要とする場所にお住まいの方は、氾濫危険情報や氾濫警戒情報を踏まえた適切な避難を心がけてください。また、自治体から警戒レベル4避難指示等が発令されたときには速やかに必要な避難行動をとってください。洪水予報河川に関する情報発表の流れは以下の図のとおりです。
※ 氾濫水の予報
平成17年7月の水防法および気象業務法の改正により、従来の洪水のおそれがあるときに発表する水位・流量の予報に加え、河川が氾濫した後においては浸水する区域及びその水深の予報を行うことになりました。平成29年3月現在では、利根川及び阿武隈川の一部の区間において、氾濫水の予報を実施しています。
ただし、台風等の接近によって暴風警報(又は暴風特別警報)が発表されたときには、洪水浸水想定区域にお住まいで立退き避難を必要とする方は、暴風で屋外を移動できなくなる前に早めの立退き避難をご検討ください。なお、暴風警報(及び暴風特別警報)は、暴風となる数時間前に、暴風の吹き始める時間帯などを明示して発表しています。
指定河川洪水予報については、解説ページもご参照ください。
洪水予報河川以外の河川(水位周知河川・その他河川)
洪水予報河川以外の河川(水位周知河川・その他河川)については、流域面積が狭いために雨水が短時間で河川に集まりやすく、勾配が急であるなどのために流れが速くなりやすく、大雨が降ると水位が急激に上昇することを考慮した対応が必要です。洪水浸水想定区域内の立退き避難を必要とする場所にお住まいの方は、実際に水位が上昇するより数時間前の早い段階から、河川の水位情報に加えて、洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)も参照して命を守るための早めの避難を心がけてください。
特に、当該河川(上流地点も含みます。)において、洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)で「危険」(紫)の危険度が出現した場合には、引き続き水位が上昇し、重大な災害が発生する可能性が高いと予測されています。この場合、水位情報・カメラ画像・水防団報告等の現地情報も踏まえて、自治体から警戒レベル4避難指示が発令されうる危険な状況となっています。その後、「災害切迫」(黒)が出現した場合は、重大な災害が切迫しているか、すでに発生している可能性が高い危険な状況となるため、それより前の段階、遅くとも「危険」(紫)の危険度が出現した段階で(氾濫注意水位が設定されている河川では、さらに氾濫注意水位を参考とする一定の水位を越えた時点で)、速やかに避難を開始することが重要です。特に、山間部の幅の狭い谷底平野等の川の流れの速いところで、氾濫流や河岸侵食により家屋が流されるおそれがある場所にお住まいの場合には、この段階で避難行動をとることが大変重要です。
また、自治体から警戒レベル4避難指示等が発令された場合や河川管理者から氾濫危険情報等が発表された場合には、洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)にかかわらず、速やかに避難行動をとってください。
洪水からの避難行動が必要となるタイミングとエリアについて(内閣府のガイドライン)
洪水によって命に危険が及び避難行動が必要となるタイミング(判断基準)とエリア(対象区域)の考え方については、「避難情報に関するガイドライン」(内閣府)において次のように例示されています。
【洪水予報河川の場合】
【水位周知河川の場合】
【その他河川の場合】
洪水によって命に危険が及ぶ範囲(立退き避難が必要となる区域)については、表の中で「対象区域の考え方」として示されています。表の中で「警戒レベル4避難指示」の判断基準として示されている状況を自主避難の参考にしていただき、避難行動に支援を必要とする方は「警戒レベル3高齢者等避難」の判断基準として示されている状況を参考に早期避難をお願いします。なお、「警戒レベル5緊急安全確保」の判断材料として示されている状況は、すでに安全な避難ができず命が危険な状況と考えていただき、この状況を待ってから避難を開始しようとするのではなく、警戒レベル4までには危険な場所からの避難を完了しておく意識で行動いただくことが大変重要です。
なお、表の中で「○○」とされている箇所については、河川や自治体によって値が異なります。