指定河川洪水予報

指定河川洪水予報とは

 河川の増水や氾濫などに対する水防活動の判断や住民の避難行動の参考となるように、気象庁は国土交通省または都道府県の機関と共同して、あらかじめ指定した河川について、区間を決めて水位または流量を示した洪水の予報を行っています。これを「指定河川洪水予報」と呼んでいます。

 指定河川洪水予報の標題には、氾濫注意情報、氾濫警戒情報、氾濫危険情報、氾濫発生情報の4つがあり、河川名を付して「○○川氾濫注意情報」「△△川氾濫警戒情報」のように発表します。

 指定河川洪水予報は関係行政機関、都道府県や市町村へ伝達され水防活動等に利用されるほか、市町村や報道機関を通じて地域住民の方々へ伝えられます。気象庁ホームページや各関係機関・自治体のホームページからも閲覧することができます。

 なお、これとは別に、指定河川洪水予報の発表対象ではない河川(水位周知河川、その他河川)も対象として気象庁が発表している洪水警報・注意報及び洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)があります。「気象警報・注意報」及び「洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)」のページもご参照ください。

指定河川洪水予報の対象河川

 指定河川洪水予報の対象となる河川は、大きく2種類に分けられます。

国土交通省と共同で行う指定河川洪水予報

 2つ以上の都府県にわたる河川または流域面積の大きい河川で、洪水によって重大な損害が生ずるおそれのあるものについて、国土交通大臣が指定します。国土交通大臣が管理する全国109の水系すべてで指定河川洪水予報が実施されています。

都道府県と共同で行う指定河川洪水予報

 上記以外の河川で、洪水によって相当の被害が発生するおそれのあるものについて、気象庁と協議して都道府県知事が指定します。都道府県と共同で行う指定河川洪水予報は、平成13年7月の水防法および気象業務法の改正を受け、平成14年5月から始まりました。

指定河川洪水予報の標題

 指定河川洪水予報は、河川名と以下の表の危険度のレベルに応じた情報名とを組み合わせて発表します。

 指定河川洪水予報の発表基準と発表された場合にとるべき対応は、以下の表のとおりです。

洪水予報の発表イメージ

 令和2年3月にとりまとめられた河川・気象情報の改善に関する検証報告書に基づき、国土交通省と共同で指定河川洪水予報を実施する河川においては、大雨特別警報の解除後の氾濫への警戒を促すため、大雨特別警報を警報等に切り替える際、切り替え以降に河川氾濫の危険性が高くなると予測した場合等に臨時の指定河川洪水予報を発表します。この情報は、府県気象情報のページに掲載します。

※ 氾濫水の予報 平成17年7月の水防法および気象業務法の改正により、従来の洪水のおそれがあるときに発表する水位・流量の予報に加え、河川が氾濫した後においては浸水する区域及びその水深の予報を行うことになりました。平成31年3月現在では、利根川及び阿武隈川の一部の区間において、氾濫水の予報を実施しています。

指定河川洪水予報と警戒レベルとの関係

 指定河川洪水予報について、それぞれの情報を用いてとるべき行動は以下のとおりです。

情報 とるべき行動 警戒レベル
氾濫発生情報
 地元の自治体が警戒レベル5緊急安全確保を発令する判断材料となる情報です。災害がすでに発生していることを示す警戒レベル5に相当します。
災害がすでに発生している状況となっています。命の危険が迫っているため直ちに身の安全を確保してください。
警戒レベル5相当
氾濫危険情報
 地元の自治体が警戒レベル4避難指示を発令する目安となる情報です。危険な場所からの避難が必要とされる警戒レベル4に相当します。
 災害が想定されている区域等では、自治体からの避難指示の発令に留意するとともに、避難指示が発令されていなくても自ら避難の判断をしてください。
警戒レベル4相当
氾濫警戒情報
 地元の自治体が警戒レベル3高齢者等避難を発令する目安となる情報です。高齢者等は危険な場所からの避難が必要とされる警戒レベル3に相当します。
 災害が想定されている区域等では、自治体からの高齢者等避難の発令に留意するとともに、高齢者等以外の方も避難の準備をしたり自ら避難の判断をしたりしてください。
警戒レベル3相当
氾濫注意情報
 避難行動の確認が必要とされる警戒レベル2に相当します。
ハザードマップ等により、災害が想定されている区域や避難先、避難経路を確認してください。
警戒レベル2相当

※ 警戒レベルについては内閣府ホームページをご覧ください。

指定河川洪水予報が発表されたら

 指定河川洪水予報が発表された場合には、市町村からの避難指示(警戒レベル4)等に留意し、上記の表のような行動を取ってください。 また、事前に、地元自治体等が公表している「浸水想定区域図・洪水ハザードマップ」などをあらかじめ確認し、お住まいの地域において災害が想定されている区域や避難先、避難経路を把握しておくことも重要です。

 参考:国土交通省ハザードマップポータルサイト URL:https://disaportal.gsi.go.jp/

 なお、大雨になってからや、浸水してからの避難は大変危険です。早めに避難することを心がけましょう。万が一浸水してしまった場合には、頑丈な建物の2階以上や高いところへ避難した方が安全な場合もあります。あらかじめハザードマップを確認し、避難の方法を確認しておきましょう。

 参考:災害時の避難に関する専門調査会 URL:http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chousakai/saigaijihinan/index.html

ハザードマップの例

(0)あらかじめハザードマップで確認(葛飾区中川・綾瀬川洪水ハザードマップより)

防災グッズ

(1)まずは避難

土嚢を積む

(2)土嚢積みなどの対策も有効です

2階への避難

(3)頑丈な建物の2階以上へ避難することが有効な場合もあります

指定河川洪水予報の入手方法

 指定河川洪水予報は、一般の気象警報等と同様に、気象台から都道府県を通じて市町村へ伝達されます。一部の自治体では、メールによる配信サービスが行われています。

 また、報道機関等の協力を得て住民のみなさんへもお伝えします。

 気象庁ホームページでも「防災気象情報」の「指定河川洪水予報」で公開しています。(URL:https://www.jma.go.jp/bosai/flood/

テレビを見る家族

指定河川洪水予報の発表例

 指定河川洪水予報の発表例は、以下のとおりです。

洪水予報文の例

(参考)河川の水位について

 洪水等が発生した際、地域住民のより的確で安全な避難実施のためには、河川の危険の状況等の防災情報が、迅速に伝達されるだけでなく、住民や市町村の防災担当者、報道機関に正確に理解され、的確な判断や安全な行動につながる情報の内容や表現であることが極めて重要です。

 このため、国土交通省及び気象庁では、「洪水等に関する防災用語改善検討会」の提言「洪水等に関する防災情報体系のあり方について」(平成18年6月)に基づき、水位の危険度レベルを設定するとともに、区切りとなる水位の名称は、危険度レベルを認識できるよう改善しました。

水位危険度レベル 水位の名称等 (参考)旧名称
レベル5 氾濫の発生 氾濫の発生
レベル4 氾濫危険水位 危険水位
レベル3 避難判断水位 特別警戒水位
レベル2 氾濫注意水位 警戒水位
レベル1 水防団待機水位 通報水位・指定水位

 なお、この改善にあわせて、水位周知河川における水位到達情報も、指定河川洪水予報と同じ名称を用いて発表することとし、受け手が河川の種類にかかわらず統一的な対応をとることができるようにしました。

 参考:水位の情報は、以下のホームページから入手することができます。

     川の防災情報 URL:http://www.river.go.jp