季節予報に関するQ&A
予報表現について
- 期間を平均しない予報はできませんか?
- 天気予報や週間天気予報のように、県ごとやさらに細分した区域ごとに予報できませんか?
県単位の予報は科学的には可能ですが、県ごとに異なる予報を発表することはできません。
季節予報で北海道地方や東北地方といった地方ごとに予報している理由は、季節予報が対象とする期間が天気予報や週間天気予報に比べて長く、予想される大気現象の不確実さが大きくなるためです。対象地域を広くすることで、予想される天候の傾向が捉えられるようになります。また、季節予報で対象としているのは1か月間や3か月間の平均的な天候の特徴なので、これを県単位に予報しても、隣接した県ごとに確率表現が大きく異なることはなく、たとえ隣接した県で天候が違ったとしても、その天候を予報することは技術的に困難です。
ただし、例えば東北地方では、予報する期間や天候の状況によって日本海側と太平洋側で予想される天候が大きく異なる場合があります。そのような場合には、日本海側と太平洋側に分けて確率を発表しています。
また、気象庁は1か月予報における地点別の28日間平均気温について、「平均気温が平年より○○℃高い確率」といった任意の確率を見ることができる確率予測資料も提供していますので、ご利用ください。
- 今の季節予報では、気温、降水量、日照時間、降雪量の確率を予報していますが、晴れや雨といった天候を予報することはできませんか?
- なぜ全般季節予報と地方季節予報の2種類があるのですか?
3つの階級について
- 暖冬や冷夏はどのように決められているのですか?
季節予報は3つの階級(「低い(少ない)」「平年並」「高い(多い)」)に分けて各階級の出現確率を予報していますが、この階級は予報だけではなく、天候の特徴を記述する場合にも用いられます。
冬(12月~2月)の平均気温が平年値の作成に用いる30年間の中で高い方の10年の範囲に入れば「暖冬」となり、夏(6月~8月)の平均気温が平年値の作成に用いる30年間の中で低い方の10年の範囲に入れば「冷夏」となります。
- 3つの階級ではなく、「平均気温が平年より1.0℃以上高くなる」というような具体的な数値を用いた予報はできませんか?
- 2階級(「低い」と「高い」)のみの方が分かりやすいのですが、どうして3つの階級に分けるのですか?
- 平年値や平年並の範囲がどれくらいの値なのかが分かりません。
左の図にあるように、最新の季節予報のページの参考資料から地点別の平年値および地域ごとの平年並の範囲の値を見ることができます。
また、過去の地域平均気象データ検索ページでは、最新の季節予報の期間以外の期間の平年並の範囲を表示することも可能です。
- 「平年並」の範囲について、具体的な値を知りたいのですが。
季節予報で用いている地域平均の「平年並」の範囲は、具体的な値ではなく、平年値との違い(差や比)を用いて表します。
気温の場合を例に挙げると、「平年並」の範囲は「15.5℃以上16.7℃未満」とはせずに、「平年差がマイナス0.5℃以上プラス0.7℃未満」のように表します。
降水量や日照時間は、地域平均の平年差(℃)に替えて平年比(%)を用いますが、考え方は同じです。
確率表現について
- 確率を使わない予報はできませんか?
季節予報では主に確率を使って予報を発表します。その理由は予測に不確実性を伴うためです。今後、予報技術の改善によって予報精度が向上しても、確率を使わない予報は困難です。
気象現象や天候の予測には、必ず誤差が伴います。また、大気の振る舞いには、カオス性といって将来を断定的に予測することはできない、という性質があります。明日や明後日の天気予報では誤差はそれほど大きくはなく、「明日は雨となるでしょう。」などという断定的な予報表現を用いてもそれほど問題にはなりません。しかし、予報期間が1か月を超える季節予報では、カオス性の影響が大きくなって予測が不確実なものとなります。そこで、この不確実性を評価するために、アンサンブル予報という手法を用いて確率を使った予報を発表しています。
また、もっとも出現する可能性の高い階級を断定的に予報することも可能ですが、その場合、10:20:70という確率値も、30:30:40という確率値も同じ「高い」という予報になってしまい、予報の精度や不確実性を表現できない予報になってしまいます。このことからも、確率表現を用いた方が情報量が多くなり、利用しやすくなると考えられます。
- 降水確率予報のように1つの数字で予報することはできませんか?
- 平均気温の予報で、20:40:40という確率値と30:30:40という確率値はどちらが気温が高くなる可能性が大きいですか?
高くなる確率はどちらも40%で同じですが、低くなる確率に注目すると20:40:40の方が気温が低くなる可能性が小さいです。
20:40:40という数字を見ると、平年並となる確率と高くなる確率が40%で同じであるのに対し、30:30:40という数字を見ると、高くなる確率が最も大きいため、30:30:40の方が気温が高くなる可能性が大きいのではないか、と誤解しがちですが、実はそうではありません。20:40:40という予報では、平年より低くなる確率が20%であり、一方で、30:30:40という予報では、30%であるため、30:30:40の方が平年より低くなる可能性が大きいです。このため、「高い」となる確率の値は同じですが、20:40:40という予報の方が気温が「平年並」もしくは「高い」となる可能性が大きいということになります。
- 3か月予報で月ごとの平均気温が3か月とも20:40:40なのに3か月平均気温が20:30:50となっている予報を見たことがあるのですが、なぜ3か月平均すると確率が変わってしまうのですか?
実際に平成25年6月25日発表の3か月予報では、北・東日本で7月、8月、9月の月別平均気温がすべて20:40:40であるにもかかわらず、7月~9月の3か月平均気温は20:30:50と発表しています。
この理由を一言でいうと、3か月間の平均気温の平年並の幅が1か月の平年並の幅より狭いためです。より極端な例を示すために、1日平均気温と月平均気温を比較します。1日平均気温はその日の天候や気圧配置などに大きく左右されるため、年によって大きく異なります。そのため、平年より5℃も高い日や5℃も低い日があります。一方で、月平均気温では1か月の間に5℃も高い日や5℃も低い日があっても、平均されることで相殺されてしまいます。このようなものを30年間分集めると、日平均気温の方がばらつきが大きくなり、月平均気温は平年値付近に集まります。したがって、平年並の幅も、日平均気温の方が広くなり、月平均気温の方が狭くなります。このように、一般的に期間を長く平均した方がばらつきが小さくなって平年並の幅も狭くなります。ここでは1日平均気温と月平均気温を例に挙げましたが、1か月平均気温と3か月平均気温でも同様のことが言えます。
このような状況を模式的に表したのが左の図になります。たとえば「1か月平均気温が+1℃と予想される月が3か月連続すると予想される」とします。すると、月平均気温は「平年並」の範囲に入りますが、3か月平均気温では「高い」の範囲に入ります。このように、平均すると階級の幅が狭くなるため、「平年並」から「高い」に変わったり、高い確率が大きくなったりすることがあります。
季節予報資料の利用について
- 季節予報で用いている資料を利用したいのですが。
参考
2週間気温予報と早期天候情報に関するQ&Aもご覧ください。