予測手法と予測に伴う誤差

季節予報では、数値予報モデルを用いて将来の天候を予測しています。

数値予報モデルとは、大気等の変動を表す流体力学や熱力学の方程式から、スーパーコンピュータを用いて数値計算することで、将来の天候の状態を予測する手法です。 下に示す数値予報の概念図のように、現実の大気で起こっている、大気の流れや日射、水蒸気の凝結や降水など、様々な現象を考慮して将来の状態を予測しています。

数値予報モデルの概念図

このように、数値予報モデルを用いて予測しているという点では明日・明後日の天気予報と同じですが、長期間の予測を行う季節予報では初期値に含まれるわずかな誤差が大きくなってしまい、不確定さが増して予測不可能な状態になってしまう場合があります。そのため、複数の予報を行ってその結果を統計的に処理するアンサンブル予報という手法を用いて不確定さを考慮しています。アンサンブル予報は、1か月予報、3か月予報、暖候期予報、寒候期予報の4つの季節予報すべてで用いられています。

ただ、4つの予報すべてを同じ数値予報モデルを用いて予測しているわけではありません。季節予報では、1か月(1か月予報)や、数か月(3か月予報、暖・寒候期予報)先の天候を予測します。 大気の状態は海洋の影響を受けながら変化していますが、海洋は大気に比べて熱容量が大きく変動の時間スケールが長い(変動がゆっくりとしている)という特徴があります。このため、時間スケールが長い3か月予報と暖・寒候期予報には格子の間隔は広いものの大気と海洋の状態が相互に影響しながら変化していく状況を予測する「大気海洋結合モデル」を用いて予測を行っています。 一方、1か月予報では、変動の時間スケールが長い海洋の状態は、当初期間は固定した状態で、10日を超える期間については前述の「大気海洋結合モデル」で計算した値を取り込んで、格子の間隔を狭くして性能を高くした「大気モデル」を用いて予測をしています。