気象ドップラーレーダーによる観測

気象ドップラーレーダーでは、降水の位置や強さの他に、風に流される降水粒子から反射される電波のドップラー効果を用いて、レーダーに近づく風の成分と遠ざかる風の成分を測定することができます。これをドップラー速度と呼びます。

次の図は、顕著な渦が存在するときのドップラー速度のパターンです。青色の濃いところが近づく速度が速いところで、赤色の濃いところが遠ざかる速度が速いところとなります。顕著な渦が存在する場合には、青色の濃い領域と赤色の濃い領域がレーダーから見て左右に並んで見えます。

顕著な渦が存在するときのドップラー速度パターン

竜巻は直径が数十メートルから数百メートルしかなく、気象ドップラーレーダーで観測されるドップラー速度の解像度では検出できません。しかし、竜巻をもたらす発達した積乱雲の中には直径数キロメートルの大きさを持つ低気圧性の回転(メソサイクロン)が存在し、この大きさの渦は気象ドップラーレーダーで検出することができます。観測されたドップラー速度に上の図のようなパターンが検出できた場合には、メソサイクロンが存在すると推定することができます。

竜巻発生確度ナウキャストでは、「現在、竜巻が発生している、または今すぐにでも発生しそう」という状況を予測しますので、気象ドップラーレーダー観測によるメソサイクロンの検出は、有効な予測手段の一つとなります。