気象災害の防止に向けた協力

世界気象機関(WMO)と気象庁の貢献

世界気象機関(WMO)は、世界の気象事業の調和的発展を目的として、昭和25年(1950年)に世界気象機関条約に基づいて設立され、翌1951年に国連の専門機関の一つとなりました。 我が国は昭和28年(1953年)に加盟し、令和6年(2024年)2月現在、187か国6領域が構成員となっています。

世界気象会議(全構成員が出席する総会)を4年毎に開催し、向こう4年間の予算や事業計画を審議するほか、執行理事会(世界気象会議で選出された37名が出席)において事業計画実施の調整・管理に関する検討を毎年行っています。 また、地域の特性に応じた気象業務の推進を図るため、アジア地区等6つの地区協会が設置され、各地区内で気象業務の推進・調整を行っています。 さらに、2つの専門委員会、研究評議会等の組織が世界気象監視計画(WWW)、世界気候計画(WCP)、大気研究・環境計画(AREP)などの計画の推進のための検討を行っています。

我が国は加盟以来、アジア地区における気象情報サービスの要として中心的な役割を果たしてきており、歴代気象庁長官は執行理事としてWMOの運営に参画しています。 また、気象庁の多くの専門家が、WMO専門委員会や地区協会の活動に貢献しています。

WMO

世界気象機関について

世界気象監視(WWW)計画への参画

世界の国々が効率的な気象業務を行うためには、統一された方法による大気や海洋の観測、データの迅速な交換、高度なデータ処理に基づく気象情報の作成・提供が必要です。 このためWMOは、世界各国が気象業務の遂行のために必要な気象データを的確に入手できるよう、「世界気象監視(WWW)計画」を推進しています。 WWW計画は世界的に標準化された気象観測や、データ処理・データ交換のためのネットワークの構築と運営を目的としています。

気象庁は、アジアにおける中核的な気象機関として、このWWW計画に積極的に参画しています。

WWW計画の基幹的ネットワークと気象庁の貢献

全球監視システム(GOS)

各国の地上気象観測、高層気象観測、船舶、ブイ、航空機、気象衛星などで構成される、地球規模の観測ネットワークです。

気象庁は、地上気象及び高層気象、海洋気象観測船などによる大気や海洋の観測を行っています。 さらに、米国や欧州等とともに、世界気象衛星観測網の構築に協力し、静止気象衛星「ひまわり」により、東アジア・西太平洋域の観測・監視にあたっています。 これらの観測データは、各国の気象業務に広く利用されています。

WMO統合処理・予報システム(WIPPS)

観測データの高度な処理に基づく気象の解析・予報資料の作成や提供を行うネットワークです。

気象庁は、東アジア各国を対象とした気象解析や予報資料の作成・提供を行う「地区特別気象センター」を担当しています。 このうち、特に「アジア太平洋気象防災センター」では、アジア太平洋域の台風を含む熱帯低気圧の動きを監視して、担当地域内の各国・各地域に向けて、解析結果や予報を提供するなど、各国の気象業務を支援しています。

環境緊急対応地区特別気象センターについて

全球通信システム(GTS)

気象観測データや気象解析・予報資料などの国際的な交換を行う、世界的な気象通信ネットワークです。各国の気象機関により運営されています。

気象庁は、「地区センター」の一つとして、アジア各国や環太平洋域内の気象データの国際的な交換に重要な役割を果たしています。