台風による災害の例

台風によって引き起こされる災害には、風害、水害、高潮害、波浪害などがあります。もちろん、これらは単独で発生するだけではなく、複合して発生し大きな被害となることがあります。最近の台風による災害の例をいくつか紹介します。その他の例については、「災害をもたらした台風・大雨・地震・火山噴火等の自然現象のとりまとめ資料」をご覧ください。

風害・高潮害・波浪害 - 平成16年台風第18号

平成16年9月7日午前に長崎県に上陸した台風は、九州北部を縦断した後に加速しながら日本海を北東に進み、暴風域を伴ったまま8日朝には北海道の西海上を北上しました。この台風により、全国的に20 m/s以上の非常に強い風が吹き、北海道では半数を超える気象官署で最大瞬間風速の極値を更新しました。この台風による被害は、西日本、北海道を中心に死者・行方不明者46人、負傷者1,399人、住家の損壊64,993棟、住家の浸水21,086棟に達しました。また、西日本では船舶の乗揚げ事故が相次いで発生しました。

死者の多くは強風によるもので、台風の接近中に屋根に上っていて飛ばされて転落したり、飛んできた瓦が当たったりするなど屋外での作業中に被害に遭う方が続出しました。もっと早く台風に対する備えを完了し、強風時には屋外へ出ないでいれば被害に遭わなかったのにと悔やまれます。

水害 - 平成16年台風第23号

平成16年10月19日に沖縄本島から奄美諸島沿いに進んだ台風は、20日に大型で強い勢力を保ったまま高知県に上陸しました。台風はその後四国地方、近畿地方、東海地方を通過し、21日に関東地方で温帯低気圧に変わりました。

台風と前線の影響による期間降水量は、四国地方と大分県で500 mmを超えたほか、近畿北部、東海地方、甲信地方で300 mmを超え、広い範囲で大雨となりました。このため、兵庫県を流れる円山川、出石川と京都府を流れる由良川が氾濫して家屋の浸水、耕地の冠水が多く発生したほか、京都府、岡山県、香川県、愛媛県など西日本を中心にがけ崩れや土石流が発生しました。また、高知県では高波により堤防が損壊し、倒壊した住宅がありました。これらにより、全国で死者・行方不明者98人、負傷者721人、住家の損壊21,350棟、住家の浸水54,347棟などの甚大な被害となりました。

日本に大きな被害を与えた台風

下の表は、日本に大きな被害を与えた台風の例として、昭和に死者・行方不明者数が1,000人を超えたものと、平成になってから死者・行方不明者数が40人を超えたものを取り上げたものです。この表から、9月に来襲した台風が大きな被害をもたらしていることがわかります。これは、9月は8月に次いで上陸数、接近数が多いうえに、この頃には日本列島付近に秋雨前線があり、台風の東側をまわって前線に流れ込む湿った空気が前線の活動を活発化させて大雨を降らせる場合があることも関係しています。

日本に大きな被害を与えた台風の一覧(昭和に死者・行方不明者数が1,000人を超えたもの)

台風名又は台風番号 死者(人) 行方不明者(人) 負傷者(人) 住家の全壊・流失(棟) 住家の半壊(棟) 住家の一部損壊(棟) 住家の床上浸水(棟) 住家の床下浸水(棟) 耕地の流失・埋没・冠水(ha) 船舶沈没・流失・破損(隻) 上陸・最接近年月日
室戸台風1 2,702 334 14,994 92,740 401,157 不詳 27,594 昭和9年(1934年)9月21日
枕崎台風1 2,473 1,283 2,452 89,839 273,888 128,403 不詳 昭和20年(1945年)9月17日
カスリーン台風1 1,077 853 1,547 9,298 384,743 12,927 不詳 昭和22年(1947年)9月15日
洞爺丸台風(昭和29年台風第15号)2 1,361 400 1,601 8,396 21,771 177,375 17,569 85,964 82,963 5,581 昭和29年(1954年)9月26日
狩野川台風(昭和33年台風第22号)2 888 381 1,138 2,118 2,175 12,450 132,227 389,488 89,236 260 昭和33年(1958年)9月26日
伊勢湾台風(昭和34年台風第15号)2 4,697 401 38,921 40,838 113,052 680,075 157,858 205,753 210,859 7,576 昭和34年(1959年)9月26日
  1. 理科年表による
  2. 消防白書による(ただし、耕地及び船舶の被害は理科年表による)

日本に大きな被害を与えた台風の一覧(平成になってから死者・行方不明者数が40人を超えたもの)

台風名又は台風番号 死者(人) 行方不明者(人) 負傷者(人) 住家の全壊・流失(棟) 住家の半壊(棟) 住家の一部損壊(棟) 住家の床上浸水(棟) 住家の床下浸水(棟) 耕地の流失・埋没・冠水(ha) 船舶沈没・流失・破損(隻) 上陸・最接近年月日
平成2年台風第19号1 40 131 16,541 18,183 41,954 413 平成2年(1990年)9月19日
平成3年台風第19号1 62 1,499 170,447 22,965 362 930 平成3年(1991年)9月27日
平成5年台風第13号2 48 396 336 1,448 不詳 3,770 不詳 7,905 不詳 平成5年(1993年)9月3日
平成16年台風第18号2 43 3 1,399 144 1,506 63,343 1,328 19,758 104 1,592 平成16年(2004年)9月7日
平成16年台風第23号2 95 3 721 907 7,929 12,514 13,341 41,006 12,329 494 平成16年(2004年)10月20日
平成23年台風第12号2 82 16 113 379 3,159 470 5,500 16,594 不詳 不詳 平成23年(2011年)9月3日
平成25年台風第26号2 40 3 130 86 61 947 1,884 4,258 不詳 不詳 平成25年(2013年)10月16日
令和元年東日本台風(第19号)2 107 3 384 3,144 28,836 34,403 7,076 22,796 不詳 不詳 令和元年(2019年)10月12日
  1. 理科年表による
  2. 消防白書による(ただし、耕地及び船舶の被害は理科年表による)