台風に伴う高潮

1.潮汐の仕組み

 海面は月や太陽の引力によりほぼ1日に1~2回の割合で周期的に満潮と干潮を繰り返しており、この海面の高さ(潮位)を「天文潮位」といいます。天文潮位は前もって計算しておくことができ、全国各地の天文潮位を潮位表として公開しています。

2.台風による高潮のメカニズム

 しかし、台風に伴う風が沖から海岸に向かって吹くと、海水は海岸に吹き寄せられて「吹き寄せ効果」と呼ばれる海岸付近の海面の上昇が起こります。この場合、吹き寄せによる海面上昇は風速の2乗に比例し、風速が2倍になれば海面上昇は4倍になります。特にV字形の湾の場合は奥ほど狭まる地形が海面上昇を助長させるように働き、湾の奥ほど海面が高くなります。

 また、台風が接近して気圧が低くなると海面が持ち上がります。これを「吸い上げ効果」といい、外洋では気圧が1hPa低いと海面は約1cm上昇します。例えばそれまで1000hPaだったところへ中心気圧が950hPaの台風が来れば、台風の中心付近では海面は約50cm高くなり、そのまわりでも気圧に応じて海面は高くなります。

 このようにして起こる海面の上昇を高潮と呼び、天文潮位との差を潮位偏差と呼びます(実際の潮位=天文潮位+潮位偏差)。最新の潮位については、「潮位観測情報」をご覧ください。


3.事例紹介(平成30年台風第21号)

 下の図は平成30年(2018年)9月に四国や近畿地方を中心に暴風や高潮等による被害をもたらした台風第21号が、兵庫県神戸市に上陸し、近畿地方を縦断したときの大阪の潮位の変化を示したものです。

平成30年9月4日の大阪の潮位(3分平均値)

  平成30年9月4日の大阪の潮位(3分平均値)

 大阪府では、4日昼前頃から猛烈な風となり、台風の接近に伴って潮位が急上昇しました。瞬間値で天文潮位(図の橙線)よりも277cm高い潮位(図の青線)を観測し、過去の最高潮位を超える値となりました。

 一般に、大潮(新月または満月の頃で、満潮時の天文潮位は最も高くなり、逆に干潮時の天文潮位は最も低くなる)の満潮時に台風の接近による高潮が重なれば、それに伴って被害が起こる可能性も高くなりますので、特に注意が必要です。ただし、高潮の被害は満潮時以外にも発生しています。台風の接近が満潮時と重ならないからといって安心はできません。

 また、小潮(上弦または下弦の月の頃で、満潮と干潮の潮位差が小さい)であっても潮位偏差が大きければ高潮被害の発生が考えられますので、油断はできません。実際に、平成30年台風第21号が大阪府などに顕著な高潮をもたらした時期は小潮でしたが、関西国際空港が浸水する等、大きな被害が発生しました。

 9月頃は海水温が高くなるなどの影響で、1年を通じて最も平均潮位が高くなる時期であることも台風に伴う高潮災害を考える上で見逃してはいけません。

 なお、潮位は東京湾平均海面を基準面として表します。この基準面は海抜0mとも言い、山の高さなどを表す標高の基準にもなっています。


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