高潮と台風の進路

台風に吹き込む風は反時計回りで、ふつうは進行方向に対して右側で強くなっています。

そのため、南に開いた湾の場合は台風が西側を北上した場合には南風が吹き続け高潮が起こります。さらに強風によって発生した高い波も沖から押し寄せますので、高潮に高波が加わって海面は一層高くなります。

実際、過去50年間に潮位偏差が1 m以上となった高潮はほとんどが東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海、有明海の遠浅で南に開いた湾で発生しています。

台風の気圧や風の強さからどのくらいの潮位偏差となるかを予測することは可能です。推算潮位や満潮の時刻も計算されていますので、計算から求まる潮位偏差予測値と推算潮位を合算して被害が発生する可能性が判断できます。その結果は情報や高潮注意報、警報として発表します。また、実際の観測値は「潮位観測情報」でご覧いただけます。

平成7年台風第12号は関東地方に接近して、八丈島で932 hPaと非常に低い中心気圧を観測し、各地で風速30 m/sを超える猛烈な風が吹きましたが、首都圏直撃は免れ、関東地方では銚子で潮位偏差77 cmを観測したにとどまりました。もし台風が関東地方を直撃していた場合、東京で2.1 m、千葉市で3.3 mという伊勢湾台風クラスの潮位偏差が発生していたというシミュレーション計算の結果もあります。

海岸に近い所では高潮による浸水に備えて避難場所と避難経路をもう一度確認しておいてください。