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トピックス

Ⅰ 地域防災支援の取組

 各地の気象台では、自治体や関係機関と一体となって、地域の気象防災力の向上を図るため、平時や緊急時において、自治体の災害対応を支援する様々な取組を進めています。

トピックスⅠ-1 平時の地域防災支援の取組

(1)あなたの町の予報官

 平成31年(2019年)4月以降、全国の都道府県や市町村の防災業務をより一層支援するため、気象台が管轄する地域を複数の市町村からなる地域に分け、その地域ごとに3名から5名程度の職員を専任チーム「あなたの町の予報官」として担当する体制作りを順次進めています。

「あなたの町の予報官」とは

 この担当チームは、地域の実情をよく理解した「あなたの町の予報官」として、市町村に寄り添って、地域防災計画や避難情報の判断・伝達マニュアルの改定に際して資料提供や助言等に取り組みます。また、教育機関等と連携して、市町村等が実施する地域防災リーダーや一般住民を対象とした防災教育や安全知識の普及啓発にも協力していきます。

 こうした取組を推進することにより、担当者同士の緊密な「顔の見える関係」を構築・強化することができるとともに、チーム制という強みを活かして、市町村や気象台の担当者の一部が交代する際も切れ目なく支援を続けます。


(2)気象防災ワークショップ

 市町村において避難情報の発令判断や各種防災業務を円滑に実施していただくことを支援するため、時々刻々と変化する防災気象情報を踏まえて講じるべき防災対応を判断していくという体験をしていただく「気象防災ワークショップ」を積極的に開催しています。令和3年度(2021年度)は、コロナ禍の状況も踏まえつつ、対面方式やオンライン会議システムを活用する方式を併用し、延べ1,194市町村(令和3年度末時点)の防災担当職員が参加しました。令和4年度(2022年度)も引き続き、防災気象情報の理解促進につなげていただけるよう、このワークショップを各地で開催していきます。

各地で行われる気象防災ワークショップ

 詳細は気象庁ホームページ「気象防災ワークショップ」をご覧ください。

 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jma-ws2/index.html



トピックスⅠ-2 災害時の地域防災支援の取組

 防災気象情報が市町村の防災上の判断に適切に活かされるよう、気象台では気象の見通しの推移に応じて説明会等を開催し、参加者へ警戒を呼びかけます。

 また、災害の発生が予想されるような顕著な現象の場合は、気象台が持つ危機感を気象台長から直接市町村長へ電話で伝え、避難情報に関する助言を行うホットラインを実施します。さらに、気象台からJETT(気象庁防災対応支援チーム)を都道府県や市町村の災害対策本部等へ派遣し、気象の見通し等を解説することにより、災害対応に当たる関係機関の活動を支援しています。

 JETTは、災害対応現場におけるニーズを把握しつつ、気象状況の解説等を通じて自治体の防災対応を支援します。JETTの創設以降、平成30年7月豪雨、令和元年東日本台風(台風第19号)、令和2年7月豪雨等の災害において派遣の実績があり、令和4年3月末までに延べ4,300名を超える職員を全国の都道府県や市町村に派遣しました。

JETT による気象解説


(1)熱海市で発生した土石流災害

 令和3年7月上旬には、梅雨前線に伴う大雨への対応として、静岡県熱海市をはじめ12県2市町に延べ156名をJETTとして派遣したほか、ホットライン、オンライン会議システムを活用した解説等、様々な支援を行いました。

 特に静岡県熱海市に対しては、7月3日から8月31日の60日間で延べ102名を派遣しました。派遣期間中は、消防等のヘリコプターの運航支援のため、上空の気象状況等について情報提供を行うとともに、救助隊員の熱中症予防のための気温や湿度等の情報、二次災害防止のために設定される雨量等の基準に関する助言等を行ったところです。また、7月7日には、災害応急・復旧対応等に資するよう、被災地周辺(熱海市伊豆山地区)に臨時気象観測所を設置しました。

熱海市伊豆山地区における臨時気象観測所の設置


(2)令和3年8月の大雨

 令和3年8月には、台風第9号、第10号及び前線に伴う大雨への対応として26府県8市町村に対し延べ284名を各地の都道府県及び市町村へJETTとして派遣しました。

 現地では、朝夕等に開催される災害対策本部会議等における気象解説や各関係機関から随時に寄せられる気象の見通しに関する問合せへの対応等を行いました。

 また、オンライン会議システム等を活用して全国20の気象台が今後の気象の見通しに関する説明会を開催して情報提供するとともに、気象台の持つ危機感を都道府県や市町村へ伝えるため、全国の気象台から39都府県578市町村に対してホットライン等により連絡を取り合いました。さらに、地方整備局との合同会見を行うなど、関係機関と連携した防災情報の発信も行いました。

令和3 年8 月の大雨における気象台の対応

トピックスⅠ-3 気象防災アドバイザーの拡充

 気象庁では、自治体の防災業務を支援し、地域防災力の強化に貢献していくため、「気象防災アドバイザー」の拡充と自治体への活用促進に取り組んでいます。この気象防災アドバイザーは、地域の気象と防災に精通する者として、国土交通省より委嘱しており(令和4年5月現在、111名)、自治体において平常時の普及啓発や災害発生が見込まれる際の地域の特性を踏まえた気象解説を実施するなど、気象台と連携して市町村等の防災業務をサポートします。

 また、今後の一層の人材確保や会員間での情報交換を行うこと等を目的とした「気象防災アドバイザー推進ネットワーク」を同年1月17日に設立し、気象防災アドバイザーの普及促進に取り組んでいるところです。

 以下に、実際に活動されている4名の気象防災アドバイザーの近況を紹介します。

気象防災アドバイザーのリーフレット

コラム

■大阪府豊中市における気象防災アドバイザーとしての活動について

上田 博康

とよなか防災アドバイザー(気象防災アドバイザー)

上田 博康

 大阪府豊中市では、地域における防災対策の実践活動を促進し市民の防災力の向上を図るため、防災対策に関する講義又は助言を行う者を市内の地域に派遣する「とよなか防災アドバイザー」制度を令和2年度に立ち上げました。令和4年1月現在でアドバイザーは4名おり、私はその一人です。私は電力会社勤務の経験を活かして、空模様だけでなく水の振る舞いにも注目した解説を得意とします。

 活動開始から1年半、私は小学校区での防災講演や、防災訓練運営の支援の機会がありました。土砂災害や洪水のリスクは場所によって大きく異なります。リスクの高い場所にどのようなコミュニティが形成されて、どのような課題を抱えているのかは、市役所各部局や住民のお話を数多く聞かないと見えてきません。今後も、機会があれば現地を歩き回り、皆様に「気づき」を提供することで、災害時の避難に役立てていただければと考えています。

豊中市での防災講演での説明資料の一例

コラム

■石川県金沢市における気象防災アドバイザーとしての活動について

山下 光信

金沢市(気象防災アドバイザー)

山下 光信

 私は気象防災アドバイザーとして、大雨・暴風等により災害発生のおそれが高いもしくは避難情報等を発令する場合や、地震発生後の復旧活動において、気象の見通し等を解説・指導するよう金沢市長より任を受けて活動しています。最近では、市が大雨や大雪に備える為の危機管理関係の会議や職員防災訓練で気象状況を説明した他、必要に応じて市長等に直接気象状況を解説しました。また、治水対策を推進するための会議に出席を求められ、線状降水帯や防災気象情報の利活用について説明しました。

 説明や解説に当たっては、地元気象台から支援を頂いており、今後も地域の気象防災の専門家として気象台と連携して金沢市の防災業務を支援したいと思っています。また、自主防災組織から「防災気象情報と住民避難について」等の講演依頼もあり、住民自らが命を守るための行動がとれるよう地域の防災士とも連携を深めていきたいと考えています。

金沢市災害対策本部室の様子

コラム

■新潟県三条市における気象防災アドバイザーとしての活動について

内藤 雅孝

新潟県三条市行政課防災対策室(気象防災アドバイザー)

内藤 雅孝

 令和元年、先任者の長峰氏から直接指名があり、三条市の防災気象アドバイザー(三条市では以前から「防災気象アドバイザー」の名称を使用)に就任してから3年目となりました。この業務も私で3人目、各先輩が時あるごとに、職員気象研修会を開催しておったようで、私には実際の気象予報の解説業務、出前講座の講師を主としてとの要請。手始めは、市内の名称(町名、道路名、橋の名称、主要河川)は当然ながら、小河川の名等々も。それに飽き足らず、市史、産業、地形、地質、2つあるダムとその運用等も調べ、土地勘は市の職員並みとなることを目指しました。電話はお国なまりで。現在はほぼ毎日、3時間ごとの土壌雨量指数(12メッシュ)、ダムの貯水位、流入量、放水量。主要河川の水位(5か所)、小河川の水位(7か所)のデータ(年間分の資料あり)を添えて、1時間ごとの雨量予想(平地と山沿いの2か所)を毎朝提出しています。大雨注意報等が発表されれば、夕方にも同様の報告書を提出します。この報告書を見れば、三条市の気象災害監視用データは全て確認できるようにしています。本来このようなデータは、パソコン上で自動的に情報を収集して関係者で共有すべきなのですが、それは今後の課題。その他天気図の解析も毎日欠かさずやっています。

三条市役所での様子

コラム

■群馬県前橋市における気象防災アドバイザーとしての活動について

萩原 隆嗣

群馬県前橋市総務部防災危機管理課

萩原 隆嗣

 現在、総務部防災危機管理課に勤務しており、常に天気予報及び週間天気予報を確認し、雨・雪等の予想があれば前橋地方気象台に連絡し、その内容を防災危機管理課職員に共有しています。台風や低気圧等による大雨や大雪が予想され、気象台による説明会が開催される場合、それに出席するとともに、気象台職員から直接情報を得て、状況によっては市役所防災会議の場で説明を行います。住民に対しては、年度初めの各地域自治会向け説明会で気象庁の防災気象情報の変更点等について説明を行うほか、自治会主催の防災訓練等において、該当する地域の防災ハザードマップ及び避難所概要の説明や気象庁ホームページの「キキクル」の利用方法について説明し、早めの避難の大切さを伝えています。また、小・中学校での防災教育や早期避難に関する住民向けワークショップ等においても、他の職員と共に講師として参加し、気象防災の普及に努めています。

前橋市ワークショップの様子
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