南極・昭和基地周辺の自然現象

オーロラ

オーロラの写真

第52次南極地域観測隊員撮影(提供:国立極地研究所)

オーロラは地上100kmより高い所で発生します。形はカーテン状や線状、渦巻状などが見られます。 色は緑のほかに赤や白、ピンクや青色のオーロラも見られることがあります。年により規模や出現頻度が大きく変動するため、 殆ど見ることが出来なかった隊もあります。

ブリザード(静穏時(左)と暴風時(右))

静穏時とブリザードの時の写真

第52次南極地域観測隊員撮影(提供:国立極地研究所)

雪を伴う暴風が吹き荒れると屋外では数m先も見えなくなります。この様な状態をブリザードと呼んでいます。

気象隊員は、生活する基地中心部から約50m離れた気象棟で観測をするため、強風時の建物間の移動は大変危険です。ブリザードで外出禁止となった場合は、天候が回復するまで気象棟で時には数日間過ごし、観測を継続します。昭和基地では年間に平均50日程度ブリザードが発生します。

極域成層圏雲(真珠母雲)

極域成層圏雲の写真

第36次南極地域観測隊員撮影(提供:国立極地研究所)

高緯度地方の冬季に上空が非常に低温(-80℃くらい)になると現れる雲です。日本で見られる雲とは異なり、成層圏の20~30kmという非常に高い場所に存在します。

写真のとおり太陽光を受けて極彩色に輝く雲ですが、この雲がオゾン層の破壊に寄与していることが分かっています。このような雲も観測対象として、現れた高度や方向、時間を日原簿の記事欄に記録しています。

雪の結晶

雪の結晶

第52次南極地域観測隊員撮影(提供:国立極地研究所)

昭和基地では色々な形の雪の結晶が見られます。顕微鏡を使わなくてもコンパクトカメラで撮影できるほどの大きな結晶が降ってくることもあります。 大きな樹枝状の結晶に成長する気象条件は、気温が-15℃ぐらいで湿度が高く、風のない時です。

屋根に付いた霜

屋根に付いた霜

第50次南極地域観測隊員撮影(提供:国立極地研究所)

気温や湿度、風の気象条件がそろい、気象棟の屋根で霜の結晶が大きく成長しました。

雪まりも

くぼ地に集まった雪まりも

第38次南極地域観測隊員撮影(提供:国立極地研究所)

南極大陸のほぼ中央にあるドームふじ基地で撮影された貴重な写真です。ドームふじ基地は昭和基地と比べても格段に寒く、最低気温-79.7℃を記録しています。気温が-70℃前後の低温下で雪面にできる針状の霜が、風で転がってくぼ地に集まり出来ると考えられています。写真では直径が1cm程ですが、大きいものは3cm程度まで成長します。

ハイドロリックジャンプ

ハイドロリックジャンプ

第52次南極地域観測隊員撮影(提供:国立極地研究所)

大陸上で冷やされた空気が斜面を下って徐々に加速していきます。冷やされた空気の塊が海域の暖かい空気の塊にぶつかり、雪煙を舞いあげます。この現象をハイドロリックジャンプと呼びます。

氷上の蜃気楼

蜃気楼

第52次南極地域観測隊員撮影(提供:国立極地研究所)

地表面(海面)の温度が低く空気の密度が大きくなると、光の屈折により蜃気楼が現れます。写真では実際の氷の上に蜃気楼が現れています。

沈まぬ太陽

沈まぬ太陽

第43次南極地域観測隊員撮影(提供:国立極地研究所)

昭和基地付近では、南半球の夏(12月から2月)には1日中太陽が沈まない白夜になります。

転がる太陽

転がる太陽

第43次南極地域観測隊員撮影(提供:国立極地研究所)

白夜の反対である極夜期(太陽の昇らない時期5月末から7月中旬)の前後には、太陽が地平線付近を移動していく様子が見られます。

太陽柱

太陽柱

第30次南極地域観測隊員撮影(提供:国立極地研究所)

日の入りまたは日の出の時に太陽の光が大気中の氷により反射されて、太陽光が柱のように伸びる現象です。同様な現象として昭和基地の施設の光による光柱も見られます。

太陽の暈(かさ)

ハロ(太陽光の屈折)

第45次南極地域観測隊員撮影(提供:国立極地研究所)

小さな氷の結晶(氷晶)に光が当たり、屈折や反射の効果によって出現する様々な光の輪・弧・柱・点のことを暈(かさ)現象と呼んでいます。南極では巻層雲によるもののほか、寒い日にはきらめくダイヤモンドダストによって多彩なものが比較的よく姿を現し、輝き方も顕著です。

四角い太陽

四角い太陽

第45次南極地域観測隊員撮影(提供:国立極地研究所)

日の入りまたは日の出の時に、地平線の太陽とその上に現れた蜃気楼の太陽が重なって太陽が四角く見える現象です。


南極地域は、空気が清浄であり、低温、強風、長い冬期の寡照(日照時間が少ない)と短い夏期の多照という大変厳しい自然環境です。

この様な特殊な環境では、国内で殆ど観測することができない珍しい大気現象を見ることができます。特に、大気中の氷晶等により、太陽や月の光が反射、屈折するために発生する色鮮やかな大気光学現象を見ることができます。