南極観測について


基本観測棟
基本観測棟(第61次南極地域観測隊員撮影 提供:国立極地研究所)

日本の南極地域観測事業は、国際地球観測年(IGY)を契機として1957年(昭和32年)に始まり、 気象庁は第1次隊から毎年職員を派遣(昭和基地を閉鎖した一時期を除く)し、昭和基地を中心とする定常気象観測を継続して実施しています。 当初は地上気象観測のみを行い、その後、徐々に観測要素を増やし、現在では5人の越冬隊員を毎年派遣して、 通年で地上気象観測、高層気象観測、オゾン観測及び日射放射観測を実施しています。 これらの観測は、世界気象機関(WMO)の国際観測網の一翼を担って実施されており、 得られた観測データはすぐに各国の気象機関に送られ、日々の気象予報に利用されています。 また、南極地域の厳しい気候下でより良い観測を行うための隊員の工夫や努力により、60年以上に及ぶ観測データが蓄積され、 そのデータは地球温暖化やオゾンホール等の地球環境問題の解明と予測の基礎データとして利用されています。

南極昭和基地のデータについて

南極昭和基地の月ごとの気象状況や過去のアーカイブデータがご覧になれます。

昭和基地で行っている観測

現在、昭和基地では以下の観測を行っています。
文字をクリックするとその観測要素の説明へ移動します。

地上気象観測

昭和基地の百葉箱と風向風速計と視程計
第59次南極地域観測隊員撮影

気温や湿度の観測に対する日射の影響を防ぐため、断熱材を入れた二重の円筒に温度計と湿度計を入れて常に風を通しています。 この筒のことを通風筒と呼びます。南極の雪は粒が非常に小さく、 そのまま外に設置すると通風筒の内部に雪が入り込んで詰まってしまうため百葉箱の中に通風筒を設置しています。
また、風向風速計を地上高約10mの測風塔に設置し、昭和基地の風を観測しています。

上の写真の観測装置による観測の他に、気圧、雲、大気現象等、国内で実施している地上気象観測とほぼ同種の観測を実施しています。
ただし、昭和基地では殆ど雨が降らず、また強風が多く雪の捕捉も難しいため降水量の観測は実施していません。

過去の地上気象観測データ

このページのトップへ


高層気象観測

飛揚している様子 強風時に飛揚している様子
弱風時の放球の様子
(第52次南極地域観測隊員撮影)
強風時の放球の様子
(第49次南極地域観測隊員撮影)

左の写真は弱風時、右の写真は強風時に飛揚している様子です。強風時には安全を確保するため複数名で作業を行います。
高層気象観測では、ゴム気球に観測装置(ラジオゾンデ)を吊るして飛揚し、 各種センサやGPS信号を受信して得られる位置情報により、 地上から高度約30kmまでの大気の状態(気圧、気温、湿度、風向・風速等)を観測しています。
高層気象観測は世界同時に1日2回観測を行います。昭和基地では現地時間で3時と15時(日本国内では9時と21時)に観測しています。

過去の高層気象観測データ

このページのトップへ


オゾン観測

地上オゾン濃度を観測している様子
地上オゾン観測装置(第52次南極地域観測隊員撮影)

地表付近のオゾン濃度を連続的に観測しています。 昭和基地の観測では年に数回程度、海水起源の臭化マグネシウム等の臭素化合物によりオゾン濃度が急減することがあります。

オゾンゾンデ観測直前
オゾンゾンデ(第52次南極地域観測隊員撮影)

ゴム気球に吊した観測装置(オゾンゾンデ)により上空のオゾン量を直接測定し、詳細なオゾンの鉛直分布を観測しています。 ほぼ1週間に1回程度飛揚していますが、南極上空にオゾンホールが現れる8月から11月にかけては飛揚回数を増やし監視を強めています。

オゾン全量を観測している様子
ドブソン分光光度計によるオゾン全量観測(第61次南極地域観測隊員撮影)

ドブソン分光光度計という観測装置を使用して地表付近から大気の上端までのオゾンの量(オゾン全量)を観測しています。 通常は太陽光を用いて観測していますが、太陽が出ない極夜時期は満月頃の月光を用いて観測します。

昭和基地では、上記のように様々な観測装置を設置してオゾン観測を実施しています。
1980年代初めに、春季(日本の秋季)の昭和基地上空のオゾン全量がそれまでと比較して著しく少なくなっていることが、 気象庁等の観測により発見されました。これは後日オゾンホールと呼ばれるようになった現象を観測したものです。

オゾン層の観測データはこちら
(地球環境・気候 オゾン層のデータ集へのリンク)


地上オゾン観測のデータはこちら
(大気・海洋環境観測年報(データ集)へのリンク)

このページのトップへ


日射放射観測

基本観測棟屋上の日射放射観測測器群
基本観測棟屋上の日射放射観測測器群(第61次南極地域観測隊員撮影)

昭和基地は高緯度に位置し年を通して太陽高度が低い時間帯があり、周囲の地形等の影響を受けやすいため、 太陽光を利用する観測装置を基本観測棟の屋上に設置しています。
昭和基地では、直達日射量、散乱日射量、全天日射量、下向き赤外放射量、波長別の紫外域日射量、 エーロゾル(大気中の塵や海塩粒子等)による大気混濁度(エーロゾル光学的厚さ)を観測しているほか、日照時間も観測しています。

エーロゾル観測装置(PFR)と散乱日射観測装置
大気混濁度観測装置(第52次南極地域観測隊員撮影)

エーロゾル(大気中の塵や海塩粒子等)による大気混濁度(エーロゾル光学的厚さ)を観測しています。
写真はメンテナンスをしているところです。

上向き日射放射観測装置
第51次南極地域観測隊員撮影

地上に到達した太陽放射のうち地表面で反射されて地球の外へ向かう放射量(反射放射量)と地表面から放射され地球の外へ向かう赤外放射(上向き赤外放射)を観測しています。
写真はメンテナンスをしているところです。

紫外線の観測データはこちら
(地球環境・気候 紫外線のデータ集へのリンク)

日射放射観測のデータはこちら
(大気・海洋環境観測年報(データ集)へのリンク))




関連情報

Adobe Reader

このサイトには、Adobe社Adobe Readerが必要なページがあります。
お持ちでない方は左のアイコンよりダウンロードをお願いいたします。

このページのトップへ