危険度を色分けした時系列(平成29年度出水期より)

 気象庁では、気象警報・注意報の内容について、どの程度の危険度の現象がどのくらい先の時間帯に予想されるかを分かりやすく伝えられるよう、危険度を色分けして表示しています(平成29年度出水期より)。

 具体的には、警報級、注意報級の現象が予想される時間帯をそれぞれ赤、黄色で表示するなど、危険度とその切迫度が一目で分かる色分け表示を行い、雨量、風速、潮位などの予想値も時間帯ごとに明示しています(平成29年度出水期より)。また、警報に切り替える可能性が高い注意報についても、通常の注意報と視覚的に区別できる表示にしています。これにより、気象警報・注意報で発表する危険度や切迫度が視覚的に分かり、自らの地域に迫る危険の詳細を素早く把握できます。

時系列で危険度を色分けした分かりやすい表示(気象警報・注意報発表時)

 上図は、平成28年台風第10号が接近している際に、岩手県岩泉町に発表された気象警報を例として示したものです。

 「発表中の警報・注意報等の種別」に示す気象警報・注意報の種類は、注意報を発表中であれば黄色、警報を発表中であれば赤色、警報に切り替える可能性が高い注意報を発表中であれば黄色の背景に赤い斜線を付して表示されます。

 例えば、洪水については、朝(6~9時)から注意報級、昼過ぎ(12~15時)から警報級の危険度が予想されていることを表しています。上図の時点では洪水注意報が発表されていますが、これから洪水警報が発表される見込みであるということを示しています。この洪水注意報のように、警報に切り替える可能性が高い注意報は、黄色の背景に赤い斜線を付した表示となっていて、通常の注意報とひと目で区別できます。なお、灰色の斜線を付した時間帯(21時~6時)は、予測の確度が十分ではなく、危険度を表示していません。この時間帯の危険度は、今後発表する警報・注意報で更新していきます。

危険度を色分けした時系列の洪水の拡大図

 また、風については、昼前(9~12時)から風速15メートル、昼過ぎ(12~15時)から風速20メートルが予想されていることを表しています。暴風の中を避難場所に移動しようと屋外に出ても、かえって命に危険が及びます。こうしたことを踏まえて、暴風が吹き始めるよりも前の安全に避難できるうちに避難行動を完了しておくといった判断にもつなげることができます。

危険度を色分けした時系列の暴風の拡大図

 また、危険度や雨量などの予想値は、最大で概ね24時間先まで表示しますが、24時間を超えて警報級または注意報級の危険度が継続することが予想されるときには、24時間後以降も危険度の高まりの見通しをもつことができるよう“以後も警報級”または“以後も注意報級”と表示します。なお、この危険度を色分けした時系列は、気象警報・注意報の発表時に更新され、発表していない警報や注意報の種類は表示されません。

 気象警報・注意報は、市町村単位で発表しており、過去の災害発生時の値に基づき、あらかじめ定めた発表基準(風速や潮位など)に到達する現象(警報級、注意報級の現象)が予想されるときに発表しています。

 警報級の現象は、ひとたび発生すると命に危険が及ぶおそれがあります。警報は、重大な災害が発生するような警報級の現象が概ね3~6時間先に予想されるときに発表することとしています。また、警報級の現象が概ね6時間以上先に予想されているときには、警報の発表に先立って、警報に切り替える可能性が高い注意報を発表することとしています。例えば、翌日明け方に警報級の現象が予想される場合には、夕方の時点で「明け方までに○○警報に切り替える可能性が高い」のように発表しています。 なお、気象警報・注意報発表から実際に現象が発生するまでの猶予時間(リードタイム)は、気象警報・注意報が防災関係機関や住民に伝わり安全確保行動がとられるまでにかかる時間を考慮して設けていますが、現象の予想が難しい場合には、リードタイムを確保できない場合もあります。