土砂災害に関する防災気象情報の活用

土砂災害に関する防災気象情報を活用した避難行動について

 土砂災害によって命に危険が及ぶ(避難行動が必要となる)タイミングとエリアの考え方については、「避難情報に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」)において具体的に示されています。以下では、このガイドラインに基づき、土砂災害に関する気象警報等が発表された際にとるべき行動の例について解説します。

 土砂災害は、建物に壊滅的な被害をもたらし一瞬のうちに尊い人命を奪ってしまう恐ろしい災害です。まず、自治体のハザードマップなどで、土砂災害警戒区域等をご確認ください。土砂災害警戒区域等にお住まいの方は、土砂災害から命を守るための避難行動が必要です。

 土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)において「災害切迫」(黒)が出現すると、命に危険が及ぶ土砂災害が切迫しているか、すでに発生している可能性が高い状況となるため、土砂災害警戒区域等の居住者等は、可能な限り早めの避難行動を心がけ、遅くとも「危険」(紫)が出現した段階で土砂災害警戒区域等の外へ速やかに避難することが重要です。雨が降り出したら、大雨注意報、大雨警報(土砂災害)及び土砂災害警戒情報土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)を自主避難の判断に活用いただき、自治体から避難指示等が発令されたときには速やかに避難行動をとってください。

土砂災害に対してとるべき避難行動

 特に、次の点にご留意ください。(上図の内容の一部が含まれます。)

  • 夕方に発表中の大雨注意報に、夜間~翌日早朝までに大雨警報発表の可能性が高いと記載されている場合には、土砂災害警戒区域等にお住まいの方は避難の準備をお願いします。(この避難準備の段階で、土砂災害警戒区域等にお住まいで避難行動に支援を必要とする方は、命を守るための避難をご検討ください。)

  • 大雨警報(土砂災害)が発表されたら、高齢者等の方は避難の開始(高齢者等以外の方も避難の準備)をご検討ください。特に、土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)において「警戒」(赤)が出現した領域の土砂災害警戒区域等にお住まいの高齢者等の方は、避難を開始して(高齢者等以外の方も、いつでも避難を開始できるように準備をして)いただくことが重要です。

  • その後、土砂キキクルにおいて「危険」(紫)が出現した場合には、命に危険を及ぼす土砂災害がいつ発生してもおかしくない危険な状況となっており、まもなく土砂災害警戒情報が発表されますので、土砂災害警戒区域等の外の安全な場所へ避難するよう心がけてください。

  • さらに、土砂災害警戒情報等が発表された場合には、改めて避難の検討をお願いします。自治体から警戒レベル4避難指示等が発令された場合には、速やかに必要な避難行動をとってください。その状況でさらに土砂キキクルにおいて「災害切迫」(黒)が出現した場合、命に危険が及ぶ土砂災害が切迫しているか、すでに発生している可能性が高い状況となりますので、土砂災害警戒区域等にお住まいの方は、この段階を待ってから避難を開始しようとするのではなく、この段階までには避難を完了しておくよう心がけてください。

大雨警報(土砂災害)の危険度分布と土砂災害警戒区域等を活用した避難行動

  • さらに、大雨特別警報(土砂災害)が発表された場合には、これまでに経験したことのないような異常な大雨となり、何らかの災害がすでに発生している可能性が極めて高い状況となります。大雨特別警報の発表を待つことなく、大雨警報(土砂災害)や土砂災害警戒情報及び土砂キキクルなどを活用して早めの避難を心がけてください。

  • 周囲の状況や雨の降り方にも注意し、自治体から警戒レベル4避難指示等が発令されていなくても、土砂災害の前兆現象(湧き水・地下水の濁り、渓流の水量の変化等)に気付いたときなど、少しでも危険を感じたら躊躇することなく自主避難をお願いします。

  • 台風等の接近によって暴風警報(又は暴風特別警報)が発表されたときには、土砂災害警戒区域等にお住まいの方は、暴風で屋外を移動できなくなる前に早めの立退き避難をご検討ください。なお、暴風警報(及び暴風特別警報)は、暴風となる数時間前に、警報級の時間帯(暴風の吹き始める時間帯)を明示して発表しています。

  • 避難しようとしたときに、大雨や暴風のために屋外を移動することがかえって命に危険を及ぼす状況となっているなど、どうしても立退き避難ができない場合には、少しでも命が助かる可能性の高い行動として、頑丈な建物の2階以上の、崖や沢からなるべく離れた部屋で待避してください。

 土砂災害警戒情報および土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)については、解説ページもご参照ください。

土砂災害からの避難行動が必要となるタイミングとエリアについて(内閣府のガイドライン)

 土砂災害によって命に危険が及び避難行動が必要となるタイミング(判断基準)とエリア(対象区域)の考え方については、「避難情報に関するガイドライン」(内閣府)において次のように例示されています。

土砂災害からの避難のタイミングとエリア(内閣府ガイドライン)

 土砂災害によって命に危険が及ぶ範囲(立退き避難が必要となる区域)については、表の中で「対象区域の考え方」として示されています。表の中で「警戒レベル4避難指示」の判断基準として示されている状況を自主避難の参考にしていただき、避難行動に支援を必要とする方は「警戒レベル3高齢者等避難」の判断基準として示されている状況を参考に早期避難をお願いします。なお、「警戒レベル5緊急安全確保」の判断材料として示されている状況は、すでに安全な避難ができず命が危険な状況と考えていただき、この状況を待ってから避難を開始しようとするのではなく、警戒レベル4までには危険な場所からの避難を完了しておく意識で行動いただくことが大変重要です。