線状降水帯予測精度向上に向けた技術開発・研究の成果について

報道発表日

令和5年12月19日

概要

 気象庁は、線状降水帯の予測精度向上に向けた技術開発・研究の取組を進めています(令和5年6月7日報道発表)。
 数値予報技術の開発では、スーパーコンピュータ「富岳」を活用し、数値予報モデルの予測精度向上や予測計算の高速化に関する知見を得ました。機構解明研究では、線状降水帯の発生形態の分類や発生しやすい環境、内部構造に関する理解が進展しました。今後も線状降水帯予測精度向上につながる取組を一層推進します。

本文

 気象庁は、令和2年12月に「線状降水帯予測精度向上ワーキンググループ」を発足し、本ワーキンググループでの検討等に基づき、線状降水帯の予測精度向上に向けて、大学や研究機関と連携した機構解明研究、数値予報技術開発を推進しています。これまでに得られた主な成果と今後の取組は以下のとおりです。

●観測・予測の強化
 線状降水帯予測に必要となる水蒸気等の観測を強化するため、アメダスへの湿度観測の追加や二重偏波レーダーへの更新強化を実施し、順次に利活用を進めるとともに、観測能力を強化した次期静止気象衛星「ひまわり」(令和11年度運用開始予定)の整備を進めました。また、水平解像度2kmの数値予報モデル(局地モデル)の予測精度向上に向けた開発を進め、令和5年度末には「線状降水帯予測スーパーコンピュータ」の利用により、予報時間を10時間から18時間に延長する予定です。
 今後は、次期静止気象衛星の整備等を引き続き進めるとともに、令和7年度末の運用開始を目指して局地モデルの高解像度化(水平解像度2kmから1km)等に関する開発を更に進めます。

●スーパーコンピュータ「富岳」を活用した数値予報技術の開発
 線状降水帯の予測精度向上のための数値予報技術の開発を加速化するため、文部科学省・理化学研究所の全面的な協力により、世界トップレベルの性能を有するスーパーコンピュータ「富岳」を活用して数値予報モデルの開発を進めています。

①気象庁で運用する数値予報モデルの高解像度化に向けて、6月8日から10月31日までの期間、開発中の高解像度モデル(水平解像度1km)を用いて日本全域を対象としたリアルタイムシミュレーション実験を行いました。これまでに得られた主な知見は以下の通りです。

②線状降水帯の予測精度向上には観測データの更なる高度利用が重要であることから、大学や研究機関と連携して、「富岳」上に構築したメソ数値解析予測実験システムを用いて、二重偏波レーダーや「ひまわり」の観測データの利用手法高度化に関する共同研究を開始しました(令和5年9月26日報道発表)。

 今後、リアルタイムシミュレーション実験、及び観測データの利用手法高度化に関する共同研究等で得られた知見や成果を数値予報モデルの改善に活かしていきます。

●線状降水帯の機構解明研究
 気象庁では、大学や研究機関と協力して、水蒸気をはじめとする線状降水帯の発生環境や線状降水帯を構成する積乱雲群等の内部構造に着目した観測を実施するとともに、高解像度の数値モデルや高頻度・高密度データを用いて、線状降水帯の発生要因や維持等のメカニズムに着目した事例解析を実施しました。主な成果は以下の通りです。

 メカニズム解明を進めるためには更なる観測と解析が必要となるため、今後も引き続き大学や研究機関と連携した研究を進めます。

 これらの技術開発や研究の概要については、資料全文を参照ください。

問合せ先

総務部 企画課 國井(全般に関すること)
 電話:03-6758-3900(内線2232)
情報基盤部 数値予報課 北村(数値予報技術の開発に関すること)
 電話:03-6758-3900(内線3335)
気象研究所 企画室 藤原(メカニズム解明研究に関すること)
 電話:029-853-8535(内線203)

資料全文

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