線状降水帯予測精度向上に向けた技術開発・研究の取組について

報道発表日

令和5年6月7日

概要

 気象庁は、線状降水帯の予測精度向上に向けて、気象レーダーやアメダスの更新強化、次期静止気象衛星の整備、気象庁スーパーコンピュータの強化等を進めるとともに、全国の大学や研究機関と連携したメカニズム解明研究、スーパーコンピュータ「富岳」を活用した数値予報技術の開発を進めています。

本文

 気象庁は、令和2年12月に「線状降水帯予測精度向上ワーキンググループ」を発足し、線状降水帯の予測精度向上に向けた技術開発・研究における大学や研究機関との連携を検討してまいりました。本ワーキンググループでの検討等に基づき、令和4年にはメカニズム解明のための集中観測やスーパーコンピュータ「富岳」を活用したリアルタイムシミュレーション実験等を実施し、主な成果を公表しました。気象庁で取り組んでいる観測・予測の強化や、大学・研究機関と連携したメカニズム解明研究、数値予報技術開発に関する、主な進捗状況と今年度の取組は以下のとおりです。

●観測・予測の強化
  線状降水帯予測に必要となる水蒸気等の観測を強化するため、昨年度(令和4年度)はアメダスへの湿度計導入、二重偏波気象レーダーへの更新強化を進めるとともに、令和11年度の運用開始を目指して観測能力を大幅に強化した次期静止気象衛星の整備を開始しました。今年度も引き続きこれらの更新強化・整備を継続します。また、船舶による水蒸気観測やマイクロ波放射計等、これまでに整備が完了した観測のデータの予測や監視への利用を順次進めています。 線状降水帯の予測精度向上のためには、より精緻で細かな解像度の数値予報モデルによる計算が必要になることから、令和5年3月に従来と比べて約2倍の計算能力をもつ「線状降水帯予測スーパーコンピュータ」を導入しました。また、数値予報モデルの改良を行うとともに、アメダス湿度計や船舶による水蒸気観測等のデータの利用を拡充しました。今後は「線状降水帯予測スーパーコンピュータ」を利用することで、今年度末(令和5年度末)には水平解像度2kmの数値予報モデル(局地モデル)の予報時間延長(10時間から18時間)、令和7年度末には高解像度化(水平解像度2kmから1km)を目指し、数値予報モデルの開発を進めます。

●線状降水帯のメカニズム解明研究
 気象庁では、昨年度より、大学や研究機関と連携して線状降水帯のメカニズム解明のための研究を進めています。今年度は、大学や研究機関と協力して、水蒸気をはじめとする線状降水帯の発生環境や線状降水帯を構成する積乱雲群等の内部構造に着目した観測を実施するとともに、高解像度の数値モデルや高頻度・高密度データを用いて、線状降水帯の発生要因や維持等のメカニズムに着目した事例解析を行います。

●スーパーコンピュータ「富岳」を活用した数値予報技術の開発
 線状降水帯の予測精度向上のための数値予報技術の開発を加速化するため、文部科学省・理化学研究所の全面的な協力により、世界トップレベルの性能を有するスーパーコンピュータ「富岳」を活用して数値予報モデル開発を進めています。気象庁で運用する数値予報モデルの高解像度化に向けて、6月8日から10月31日までの期間、開発中の高解像度モデル(水平解像度1km)を用いて日本全域を対象としたリアルタイムシミュレーション実験を行います。また、大学や研究機関と協力して、観測データの更なる利活用のための技術開発を実施します。

 これらの技術開発や研究の概要については、下記の「資料全文」を参照ください。

問合せ先

総務部 企画課 國井(全般に関すること)
 電話:03-6758-3900(内線2232)
情報基盤部 数値予報課 北村(数値予報技術の開発に関すること)
 電話:03-6758-3900(内線3335)
気象研究所 企画室 藤原(メカニズム解明研究に関すること)
 電話:029-853-8535(内線203)

資料全文

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