線状降水帯予測精度向上に向けた技術開発・研究の取組について

報道発表日

令和7年6月20日

概要

 線状降水帯予測精度向上ワーキンググループ第10回会合を開催し、改善に向けた取組として、大雨発生確率ガイダンス等の数値予報資料の改良等を引き続き行うとともに、観測・予測の強化や大学・研究機関と連携したメカニズム解明研究を着実に進めることや観測範囲を拡大し新しい観測機器を導入した集中観測等をより一層推進していくこと等を確認しました。

本文

 気象庁は、「線状降水帯予測精度向上ワーキンググループ」での検討等に基づき、線状降水帯の予測精度向上に向けて、大学や研究機関と連携した機構解明研究、数値予報技術開発を推進し、段階的な情報の改善に向けた検討を着実に進めています。
 本日開催された線状降水帯予測精度向上ワーキンググループ第10回会合での以下議論等を踏まえ、今年度も、気象庁で取り組んでいる観測・予測の強化や、大学・研究機関と連携した研究・技術開発等、線状降水帯予測精度向上につながる取組を一層推進します。

●観測・予測の強化
 線状降水帯予測に必要となる水蒸気等の観測を強化するため、以下の取組を進めます。

  • アメダスへの湿度観測の追加(今年度全地点で整備完了予定)
  • 二重偏波レーダーへの更新強化
  • 洋上の水蒸気の観測の強化(日本海において機動的な観測を実施)
  • 観測能力を強化した次期静止気象衛星「ひまわり」(令和11年度運用開始予定)の整備

 予報の強化に向けた取組として、今年度はこれまでに水平解像度5kmの数値予報モデル(メソモデル)及び大雨発生確率ガイダンスの改良を実施しました。引き続き、今年度末に予定している以下の数値予報モデルの高度化及び運用開始に向け、開発を進めます。

  • 数値予報モデル(局地モデル)の高解像度化(水平解像度2kmから1km)
  • 局地アンサンブル予報システムの運用開始(水平解像度2km)

●スーパーコンピュータ「富岳」を活用した数値予報技術の開発
 線状降水帯の予測精度向上のための数値予報技術の開発を加速化するため、文部科学省・理化学研究所の協力により、世界トップレベルの性能を有するスーパーコンピュータ「富岳」を活用して数値予報モデルの開発を進めます。

  • 水平解像度2km、21メンバーの局地アンサンブル予報システムを用いたリアルタイムシミュレーション実験を、本年6月2日から10月にかけて実施
  • 局地モデル高解像度化に向けて、長期間の予報試験を通じたモデル改良を継続
  • 大学・研究機関と協力して、観測データのさらなる高度利用のための技術開発を引き続き実施

●線状降水帯の機構解明研究
 気象庁では、大学・研究機関と連携して線状降水帯のメカニズム解明のための研究を進めています。今年度は5月下旬から10月の期間に大気と海洋の双方をターゲットとする集中観測を実施します。本観測で得られた成果を大学・研究機関と共有して線状降水帯のメカニズム解明等に資する知見の集約を図るなど、機構解明に向けた取組を推進します。

 これらの技術開発や研究の概要については、下記の「資料全文」を参照ください。

問合せ先

全般に関すること
総務部 企画課 橋口
 電話 03-6758-3900(内線2232)

数値予報技術の開発に関すること
情報基盤部 数値予報課 荒波
 電話 03-6758-3900(内線 3335)

機構解明研究に関すること
気象研究所 企画室 小野
 電話 029-853-8536(内線205)

資料全文

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