7年9か月続いた黒潮大蛇行が終息する兆し

報道発表日

令和7年5月9日

概要

2017年8月から続いていた紀伊半島から東海沖の黒潮大蛇行*1は、5月8日現在みられなくなり、この状態が持続して大蛇行が終息する兆しがあります。黒潮の流路は、船舶の運航や、魚種・漁場の位置、沿岸の海洋環境等にも影響を与えますので、留意してください。

本文

黒潮は、2017年8月以降、紀伊半島から東海沖で大きく離岸して流れる大蛇行*1の状態となり(平成29年9月29日報道発表「黒潮が12年ぶりに大蛇行」)、その継続期間は2025年4月中旬までで、およそ7年9か月と過去最長となっていました(表1)。

その後、黒潮の一部が東海沖で切離し潮岬沖をおおむね東に流れ、5月8日現在、大蛇行はみられなくなりました(図1)。今後、この状態が持続して黒潮大蛇行が終息する兆しがあります。

黒潮の流路は、船舶の運航や、魚種・漁場の位置、沿岸の海洋環境等に影響を与えますので、留意してください。

気象庁は、今後も黒潮流路の変動を注意深く監視していきます。また、気象庁ホームページの「海洋の健康診断表」にて、海水温及び海流の最新の状況を毎日更新しているほか、1か月先までの見通しを約10日ごとに発表していますので、あわせてご利用ください。

表1:1965年以降の黒潮大蛇行の発生期間(長いほうから)

期間 継続月数
① 2017年8月~ 7年9か月(2025年4月時点)
② 1975年8月~1980年3月 4年8か月
③ 1981年11月~1984年5月 2年7か月
④ 1986年12月~1988年7月 1年8か月
⑤ 2004年7月~2005年8月 1年2か月
⑥ 1989年12月~1990年12月 1年1か月


黒潮の流路図

図1:左図は5月8日、右図は黒潮が蛇行している3月28日の深さ50mの海流分布図(単位:ノット)(1ノット=約0.5 m/s)
海流の速さは、図の右にあるスケールで色分けし、赤色は強い流れを示しています。流速 0.2 ノット以上の流れを矢印で描画し、矢印の向きは海流の向きを示しています。この図は、海洋モデルの結果と観測データを総合的に解析した結果を示しています。太線はそれぞれの時点の黒潮流路を示しています。海洋気象観測船による最新の観測結果については、黒潮の大蛇行関連ポータルサイトからも確認できます。

*1 黒潮大蛇行:黒潮が潮岬で離岸した状態で安定し、かつ東海沖で北緯32度より南に位置している状態

問合せ先

気象庁大気海洋部環境・海洋気象課海洋気象情報室 杉本・高槻・戸川

電話:03-6758-3900(内線4745・4744・4785)

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参考資料

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