黒潮が12年ぶりに大蛇行
報道発表日
平成29年9月29日
概要
黒潮は、8月下旬から、紀伊半島から東海沖で大きく離岸して流れる状態が続いており、12年ぶりに大蛇行しているとみられます。
この状況は、海上保安庁の測量船による観測データからも確認されました。
黒潮の流路の変動は、船舶の運航や漁業に影響があるほか、潮位が上昇することで、沿岸の低地で浸水などの被害が生じる可能性があるため、注意が必要です。
本文
黒潮は、今年8月下旬から、潮岬で離岸し、東海沖で北緯32度より南まで大きく離岸して流れる状態が続いており、平成17年(2005年)8月以来12年ぶりに大蛇行しているとみられます。
海上保安庁の測量船「海洋」が9月27日に観測を行い、得られたデータからも、東経138度線上で、黒潮の蛇行の流軸(※)の南端が、北緯31度57分付近に位置していることが確認できました。
黒潮の大蛇行は、今後少なくとも1か月は続く見込みです。
黒潮大蛇行の判定には、
・潮岬で黒潮が安定して離岸していること
・東海沖(東経136~140度)の流軸(※)の最南下点が北緯32度より南に位置していること
の2つの条件がありますが、今般、これらの基準を満たしたと判断しました。
黒潮の流路が変わると、船舶の経済運航コースや、突然の大波が発生しやすい海域が変わるほか、漁場の位置にも影響を与えます。
また、秋は1年の中でも潮位が高い時期でもあり、東海から関東地方の沿岸では、黒潮流路の変動によって潮位が上昇することで、低地で浸水などの被害が生じる可能性があります。特に、台風や低気圧が接近した場合は、さらに潮位が高くなりますので、より一層の注意が必要です。過去には、1979年の黒潮大蛇行期間中、10月に台風が通過した際、東海地方で顕著な高潮による浸水被害が発生しました。
気象庁と海上保安庁では、今後も黒潮流路の変動を注意深く監視していきます。
※流軸:流れの最も強いところ
問い合わせ先
気象庁 地球環境・海洋部海洋気象情報室
03-3212-8341(内線5166)
海上保安庁海洋情報部環境調査課
03-3595-3609(内線2903)