気圧配置 気圧・高気圧・低気圧に関する用語
気圧に関する用語
分類 | 用語 | 区分 | 説明 |
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気圧 | 大気の圧力。通常、ある地点の気圧はその点を中心とする単位面積上でその上の空気柱の総重量が相当する。 | ||
備考 | 単位はhPa(ヘクトパスカル)を使用する。 | ||
等圧線 | 天気図上で、気圧の等しいところを結んだ線。 | ||
用例 | 等圧線の間隔。1000hPaの等圧線。 | ||
気圧の傾き | 単位長さあたりの気圧の差。天気図上では等圧線の混みぐあいのこと。気圧の傾きが大きいところほど、天気図上では等圧線が混んでいる。 | ||
用例 | 気圧の傾きが大きい(小さい)。気圧の傾きが緩む(急になる)。 | ||
× | 気圧傾度 | → | 等圧線の間隔。気圧の傾き。 |
高気圧に関する用語
分類 | 用語 | 区分 | 説明 |
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高気圧 | 高さ(気圧)の同じ面で、周囲よりも気圧(高度)が高く、閉じた等圧線(等高度線)で囲まれたところ。 | ||
用例 |
a) シベリア高気圧。太平洋高気圧。 b) 優勢な高気圧。大きな高気圧。 |
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気圧の尾根 | 低圧部と低圧部の間の気圧が高い部分の稜線。 | ||
備考 | 「気圧の峰」は用いない。 | ||
△ | リッジ | 気圧の尾根。主に高層天気図において用いる。 | |
移動性高気圧 | 温帯低気圧と交互に東に移動していく高気圧。春、秋に多く現れる。 | ||
シベリア高気圧 | 寒候期にシベリアやモンゴル方面に現れる優勢な高気圧。 | ||
チベット高気圧 | 春から夏にかけて、アジアからアフリカの対流圏上層に現れる高気圧。特に、100hPa(およそ高度15~16km)天気図で明瞭。 | ||
大陸の高気圧 | 主として寒候期に大陸に存在する高気圧。シベリア高気圧もこれに含まれる。 | ||
オホーツク海高気圧 | オホーツク海や千島付近で勢力を強める下層に寒気を伴った停滞性の高気圧。梅雨期に現れることが多い。 | ||
備考 | 出現時には北日本~東日本の太平洋側を中心に低温・寡照の天候をもたらすことが多い。 | ||
△ | 亜熱帯高気圧 | 緯度20~30°を中心に存在する高気圧。太平洋高気圧はその一部である。 | |
太平洋高気圧 | 夏期を中心に強まる高気圧で、その中心はハワイ諸島の北の東太平洋にある。 | ||
用例 | 日本付近は太平洋高気圧に覆われている。 | ||
△ | 小笠原高気圧 | 太平洋高気圧の一部で、小笠原諸島から南鳥島方面に中心を持つ。 | |
備考 | 小笠原高気圧を、特に強調する必要がある場合に用いるが、通常は太平洋高気圧とする。 | ||
帯状高気圧 | 東西方向に長く帯状に広がっている高気圧。春、秋に多く現れ晴天が続く。 | ||
高圧部 | 高さ(気圧)の同じ面で、周囲よりも気圧(高度)が高いが閉じた等圧線(等高度線)が描けないところ。 | ||
用例 | 広い高圧部。高圧部に入る。 | ||
× | 高圧帯 | → | 帯状高気圧。高圧部。 |
低気圧に関する用語
分類 | 用語 | 区分 | 説明 |
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低気圧 | 高さ(気圧)の同じ面で、周囲よりも気圧(高度)が低く、閉じた等圧線(等高度線)で囲まれたところ。 | ||
用例 |
a) 温帯低気圧。熱帯低気圧。 b) 日本海低気圧。東シナ海低気圧。 |
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備考 | 低気圧は、その発生域や立体構造から温帯低気圧と熱帯低気圧などに分けられるが、単に「低気圧」と言った場合には基本的に温帯低気圧のことをいう。 | ||
気圧の谷 | 高圧部と高圧部の間の気圧の低いところ。 | ||
用例 |
a) 日本付近は気圧の谷に入っている。 b) 気圧の谷は××日に通過する。 |
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△ | トラフ | 気圧の谷。主に高層天気図において用いる。 | |
温帯低気圧 | 中緯度や高緯度に発生する水平スケール数千km程度の低気圧で、前線を伴うことが多い。 | ||
備考 | 通常は単に「低気圧」とするが、台風が温帯低気圧に変わったときなど、その変化を強調する場合に用いる。 | ||
地形性の低気圧 | 日射や地形の影響によって発生する低気圧。 | ||
△ | 熱的低気圧 | 主として日中の加熱により発生する低気圧。 | |
→ | 「地形性の低気圧」として用いる。 | ||
△ | 副低気圧 | 地形の影響などにより、本来の低気圧から離れたところに発生する低気圧で、勢力がこれに移ることがある。 | |
→ | 「別の低気圧」として用いる。 | ||
低圧部 | 高さ(気圧)の同じ面で、周囲よりも気圧(高度)が低く循環が弱くて、中心が特定できないところ。 | ||
東シナ海低気圧 | 東シナ海に発生する低気圧で、日本の南岸を発達しながら東~北東に進むことが多い。太平洋側に大雪などをもたらすことがある。 | ||
△ | 台湾低気圧 | 台湾付近に発生し、発達しながら北東に進む低気圧。 | |
→ | 特に強調する必要がある場合の他は「東シナ海低気圧」として用いる。 | ||
アリューシャン低気圧 | アリューシャン列島を中心にオホーツク海からアラスカ沿岸まで、北太平洋北部を東西に広く覆う停滞性の低気圧。 | ||
備考 | シベリア高気圧とともに日本付近の西高東低の冬型の気圧配置を構成するもう一つの要素である。 | ||
二つ玉低気圧 | 日本列島を南北に挟んで通過する2個の低気圧。 | ||
日本海低気圧 | 日本海を主として東~北東に進む低気圧。発達して「春一番」などをもたらすことがある。 | ||
南岸低気圧 | 日本の南海上を主として東~北東に進む低気圧。 | ||
× | 台風並みに発達した低気圧 |
備考 |
台風は最大風速がおよそ17m/s(34ノット、風力8)以上であるため、“台風並みに”を低気圧に用いても発達程度を適切に表現することはできない。 |
→ | 「発達した低気圧」として用いる。必要に応じ、「猛烈な風」「非常に強い風」を伴う発達した低気圧などとする。 | ||
× | 爆弾低気圧 | 中心気圧が24時間で24hPa×sin(φ)/sin(60°)以上低下する温帯低気圧(φは緯度)。例えば北緯40°なら17.8hPa/24hが基準となる。(気象科学事典等による) | |
→ | 「急速に発達する低気圧」などと言い換える。 | ||
× | 超低気圧 | → | 「非常に強い風を伴う低気圧」「猛烈な風を伴う低気圧」などと言い換える。 |
× | 超台風(スーパー台風) | 気象庁では定義していない。 | |
→ | 台風の強さ等の定義に従って猛烈な台風などを用いる。 |