地震・津波・火山を知る
2. 地震
この章では、地震の発生メカニズムから、地震波の特徴、断層などについて解説します。
2.1. 地震の発生
○この地下の岩盤のずれを「断層」といい、局所的な1点だけではなく面的な広がりを持っています。
○この断層の面的な広がりが大きくなるほど、地震の規模も大きくなります。
○断層には「正断層」「逆断層」「横ずれ断層」という基本的な3つのタイプがあり、上下方向や水平方向への岩盤のずれ方によって分類されます。
地震とは、地下の岩盤が周囲から押される、もしくは引っ張られることによって、ある面を境として岩盤が急激にずれる現象のことをいいます。例えば、硬い物に何らかの力がかかり、それに耐えられなくなると、ひびが入ります。地下でも同じように、プレートの運動に伴って岩盤に強い力が加わり、その力に岩盤が耐えられなくなったときに地震が発生する(岩盤がずれる)のです。この岩盤の急激なずれによる揺れ(地震波)が周囲に伝わり、やがて地表に達すると地表が「揺れ」ます。
岩盤に強い力が加わらない地域では、地震がほとんど発生しませんが、日本周辺のように、プレート境界付近では絶えず大きな力が働いているため、特に地震が多く発生する地域となります。(1.3.参照)
地震発生の際に、地球内部の岩石の破壊が開始した地点を「震源」、破壊された領域全体を震源域といい、震源の真上にあたる地表の地点を「震央」といいます。

震源、震央、震源域の関係の模式図
地震調査研究推進本部「地震がわかる!」より引用
地震は、ある面を境として岩盤が急激にずれる現象であり、このずれを「断層」といいます。地震による岩盤のずれによって、周辺の地層が断ち切られるためにこのように呼ばれています。断層は面的な広がりを持っていて、断層面ともいいます。このずれは、大きなものでは100kmを超えるようなものまであります。既存の断層を動かしたり、新たに断層をつくったりする動きを、断層運動と呼びます。
地震のメカニズムと断層運動の関係を見てみましょう。地震は、この断層運動により発生します。岩盤に大きな力が働くと、その力によって岩盤は変形し、ひずみが蓄えられていきます。ひずみの大きさがある一定以上になって岩盤が耐えることのできる限界に達すると断層運動が起こります。このとき、岩盤に蓄積されていたひずみのエネルギーは、岩盤がずれ動く急激な断層運動によって地震波として放出され、それが大地を揺らすことで私たちは地震を感じることになります。

断層運動
地震調査研究推進本部「地震がわかる!」より引用
赤色の矢印が力の加わる向き、水色の矢印が断層運動の時系列を表しています。
3で断層運動が始まり、地震が発生します。
地震が発生したとき、震源が×マークで表されているのをよく見かけます。地震はこの×マークの地点がピンポイントで破壊された現象と誤解していませんか?
地震は「震源(×マーク)」だけで発生しているのではありません。岩盤の「ずれ」は面的な広がりを持った断層であり、これは地震の規模が大きいほど、断層の長さはより長く、断層の面積はより大きくなります。さらに、広がりを持った断層は一瞬でできるのではなく、震源の場所から動き始めて全てが動き終わるまでには時間がかかります。一瞬でずれるようにイメージしてしまっていた方も多いかもしれませんが、実際は地震の規模に応じて数秒、長いものでは数分程度かけて断層は動きます。
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は、M9.0の巨大地震でした。解析の結果、この地震の震源域は長さ約450km、幅約150kmにも及ぶ広大な範囲だったことがわかっています。時間としては約3分程度かけてずれ動いたことが知られており、この間ずっと揺れが生じていたことになります。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の震央(★)と地表へ投影した震源域(ピンク色の領域)
ずれの大きさによって等値線(内側ほどずれの量が大きい)を引いています。
断層運動は「正断層」「逆断層」「横ずれ断層」の3つの基本的なタイプに分けることができます。岩盤に加わる力の方向によって断層の動き方が変わり、断層面に沿って岩盤が上下方向にずれるのが「正断層」あるいは「逆断層」で、水平方向にずれるのが「横ずれ断層」です。「正断層」と「逆断層」は縦方向に岩盤のずれが生じるため、縦ずれ断層とも呼ばれます。また「横ずれ断層」を細分すると、岩盤のずれ方によって左横ずれ断層と右横ずれ断層の2つがあります。
正断層は、岩盤に水平方向に伸張(引っ張り)の力が働いているときにできます。このため、離れ合うプレート境界(1.3.参照)付近でよく見られます。岩盤が引っ張られて離れる破壊が起こるため、引き離された断層面の傾斜を挟んで上側の岩盤(境目の左手側)が重力によって滑り落ちて沈降し、断層の傾斜の下側にある岩盤(境目の右手側)は相対的に高くなります。

逆断層は、岩盤に水平方向に圧縮(押し合い)の力が働いているときにできます。このため、近づき合うプレート境界付近でよく見られます。岩盤が押し合って狭まり、圧縮されるような破壊が起こるため、断層面を挟んで上側の岩盤(境目の左手側)がずり上がって隆起し、断層面の下側の岩盤(境目の右手側)は相対的に低くなります。ただし、正断層も逆断層も片側の岩盤だけが動いてもう一方の岩盤が上下に全く動かないというわけではなく、様々な条件により実際に隆起したり沈降したりすることもあります。

横ずれ断層は、岩盤の水平方向に圧縮の力とこれに直交する伸張の力が働いているときにできます。このため、すれ違うプレート境界付近でよく見られます。大地に垂直な断層面を境に、それぞれの岩盤が水平に逆方向へずれ動きます。向かい側の岩盤が左右どちらへずれたかによって、左横ずれ断層、右横ずれ断層と分類します。どちらも、分かれた岩盤どうしが圧縮の力が働く方向にすれ違うため、伸張の力が働く方向に拡がります。

ただし、実際に地震が発生する際の断層運動では、地下の岩盤に働く力の向きは単純ではありません。縦ずれ断層と横ずれ断層の運動が合わさって斜め方向にずれる場合が多く見られます。このような場合は、より大きなずれの量が見られた方の断層のタイプで分類されます。
「発震機構」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。発震機構とは、地震発生時の地下の断層がどのようになっていて(断層の伸びている向きや傾き)、どのように動いたのかを示すものです。震源が地下深くにある地震では、断層の伸びる方向や傾きはどのようであるか、断層の動きはどのようであったのかということは、地表からは観察できない場合がほとんどです。しかし、直接見ることができない地下の断層であっても、その地震のP波による揺れの始まりがどうだったのかということについての地域分布や、その後の地震活動の分布などから、どのような断層なのかを知ることができます。
地震の発震機構を求める場合によく使われる方法が、地震波のP波の初動(地面の最初の動き)を使う方法です。地震波のうち、P波は地下の岩盤の伸び縮みによって伝わる波です。断層運動では断層を境にして大地が動きます。このとき、その動く先の方向の岩盤は押されるため岩盤が縮む領域ができます。このため、この領域から出たP波が地表面に伝わったときには、揺れ始めに地面が縮む、つまり上向きに動く“押し”の波となります。一方、断層の動きの反対方向では岩盤は引っ張られるため岩盤が伸びる領域ができます。この領域から出たP波が地表面に伝わったときには、揺れ始めに地面が伸びる、つまり下向きに動く“引き”の波となります。したがって、断層が伸びる平面とこれに直交する平面によって4つに分けられた地域(区域)で、それぞれの位置関係で“押し”または“引き”のいずれかが決まります。

断層運動によって、岩盤が伸び縮みする領域が4つに分かれる様子

地表で観測されるP波の初動極性を震源球上にプロット
図の例では、敦賀が押し(UP)、網代が引き(DOWN)を示しています。
左は震源球の下半分を真上から見た形の図。

(左図)2000年10月6日鳥取県西部地震のP波の初動極性分布
(右図)P波の初動極性分布から推定した発震機構
(黒丸は上向き(押し波)、白丸は下向き(引き波)に地面が動いた)
発震機構について、こちらのページで詳しく説明しています。
外部リンク
- 地震調査研究推進本部(文部科学省)




