地震・津波・火山を知る
1. 地球と大地の動き
この章では、地震や火山を理解するための基礎となる、地球の構造やプレートテクトニクスについて解説します。
1.1. 地球の構造
○硬い、柔らかいという物理的な特徴でみると、地球の表面には硬い板のような「プレート」が存在しています。
○地震や火山活動は、概ね地表からの深さ約700kmよりも浅い領域で起こっており、そのほとんどは、深さ約100kmよりも浅いところで発生しています。
地球の内部は、構成する物質によってその中心から、「核」(内核、外核)、「マントル」(下部マントル、上部マントル)、「地殻」という層構造になっていると考えられています。
「地殻」は最も外側にある深さ5~60kmの層で、主に「花崗(かこう)岩」や「玄武岩」などの岩石から構成されています。
地殻は、大きく分けて、陸地の大部分を構成している大陸地殻と海洋底を構成している海洋地殻があります。大陸地殻は30~60kmの厚さがあり、主に花崗岩でできています。海洋地殻は5~10kmほどの厚さを持ち、主に玄武岩からできています。
地殻の下、深さ約2,900kmまでの層が「マントル」で、主に「かんらん岩」などの地殻と異なる物質からできていると考えられています。
マントルの下の「核」は、鉄やニッケルなどの金属物質で構成され、内側の半径約1,300km程度の内核は固体、その外側の外核は液体であるとされています。

地球内部の模式図
地殻、マントルといった分類は、構成する物質の化学的な区分によります。一方、硬い のか柔らかいのかといった物理的な見方をすると、上部マントルのうち地殻に近いところの一部は、それより深いマントルに比べて硬くなっています。この部分と地殻を合わせて「プレート」と呼び、あたかも硬い板のように振る舞うことが知られています。
上部マントルとさらにその下の下部マントルの境界は、地表からの深さ約700kmにあたります。地震や火山活動は「プレート」の運動と密接に関係があると考えられていますが、それらが発生しているのは上部マントルよりも浅い領域(深さ約700kmよりも浅い)と言われています。さらに、そうした地震や火山活動のほとんどは、深さ約100kmよりも浅いところで発生しているのです。地球の半径は約6,370kmですから、私たちの生活に影響を与える地震や火山活動が生じているのは、地球全体で見るととても浅いところの現象であるといえます。

日本とその周辺の地震の空間分布
(上)震央分布図(2013年~2022年、深さ0~800km、M≧3.0)
(中)上図全体の断面図(東西投影)
(下)上図矩形領域内の断面図(A−B投影、深さ0~200km、水平方向・深さ方向とも6倍に拡大)
地球内部の構造や物質の組成はどのようにして知ることができるのでしょうか。その答えは、地球の内部を伝わる地震波(地震のときに岩盤がずれ動くことによって、周囲に伝わっていく波)を解析することによって求められます。
地球の内部を伝わる地震波には、P波(Primary wave)とS波(Secondary wave)があります。P波は固体、液体、気体中のいずれも伝わって進むことができます。しかし、S波は液体や気体中を伝わることができず、固体中しか伝わりません。また、地震波も光と同様に、異なる物質の境界で反射したり屈折したりしながら伝わっていきます。
例えば、深さ約2,900kmよりも深いところにある外核では、S波が全く伝わらないことが分かっており、これにより外核は液体で構成されていると考えられています。このように、地震波の伝わり方の特徴から、地球内部の構造やそれぞれの境目の深さを調べることができるのです。
外部リンク
- 地震調査研究推進本部(文部科学省)
- スミソニアン自然史博物館




