顕著な災害を起こした自然現象の名称について (平成30年7月9日)


顕著な災害を起こした自然現象の名称

 気象庁では、顕著な災害を起こした自然現象について名称を定めることとしています。名称を定めることにより、防災関係機関等による災害発生後の応急・復旧活動の円滑化を図るとともに、当該災害における経験や貴重な教訓を後世に伝承することを期待するものです。
 また、各地域で独自に定められた災害やそれをもたらした自然現象の名称についても、後世への伝承の観点から利用し普及を図ることとしています。


名称を定める基準及び付け方

(1) 気象(台風を除く)

ア 名称を定める基準

 顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害、特異な気象現象による被害など)が発生した場合

イ 名称の付け方

 原則として、「元号年+月+顕著な被害が起きた地域名+現象名」とします。
 ここで「現象名」とは、豪雨、豪雪、暴風、高潮等をいいます。
 なお、地域名については、被害の広がり等に応じてその都度判断します。また、豪雪については、被害が長期間にわたることが多いため、冬期間全体を通した名称とします。

(2) 台風

ア 名称を定める基準

 顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害など)が発生し、かつ後世への伝承の観点から特に名称を定める必要があると認められる場合

イ 名称の付け方

 原則として、「元号年+顕著な被害が起きた地域・河川名+台風」とします。
 ここで「顕著な被害が起きた地域・河川名」とは、後世への伝承の観点に着目して最も適した都道府県名、市町村名、地域名、河川名等をいいます。

(3)地震

ア 名称を定める基準

 (ア)地震の規模が大きい場合
   陸域: M7.0以上(深さ100 km以浅)かつ最大震度5強以上
   海域: M7.5以上(深さ100 km以浅)であり、かつ最大震度5強以上または津波の高さ2 m以上
 (イ)顕著な被害が発生した場合(全壊家屋100棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害など)
 (ウ)群発地震で被害が大きかった場合等

イ 名称の付け方

 原則として、「元号年+地震情報に用いる地域名+地震」とします。
 なお、定めた名称は、一連の地震活動全体を指します。また、アの基準を満たす地震が複数発生した場合には、原則として一連の地震活動が始まった時点の元号年を用います。

(4)火山

ア 名称を定める基準

 顕著な被害が発生した場合(相当の人的被害など)、または長期間にわたる避難生活等の影響があった場合

イ 名称の付け方

 原則として、「元号年+火山名+噴火」とします。

(5)共通事項

 名称を定める際に地域独自の名称がある場合には、それを考慮します。
 名称を文書等で使用する際、必要に応じて元号年に続いて括弧書きで西暦年を併記する、又は元号年を西暦年に置き換えることがあります。


名称を定める時期

 名称を定める基準を満たす場合、できるだけ速やかに名称を定めます。
 ただし、台風の名称は翌年の5月までに定めることを原則とし、災害発生後の応急活動の段階では台風番号を用います。火山噴火など対象となる自然現象やその影響が長期間継続する場合には、顕著な災害・現象等の推移に応じて後日、名称を定めます。


地域独自の名称の普及

 地域毎に、地方公共団体等が顕著な災害やそれをもたらした自然現象について独自の名称を通称として用いることがあります(例:7.13新潟豪雨、紀伊半島大水害等)。
 地方公共団体等がこれら地域独自の名称を定めるにあたっては気象庁は可能な限り協力するとともに、関連する資料等を作成する際には当該地域における後世への伝承の観点から当該名称を利用し、普及を図ります。


参考

 自然現象の名称とは別に、政府が災害の呼称を定めることがあります(例:阪神・淡路大震災、東日本大震災)。
 気象庁が海外向けの資料等を作成する際には、台風番号に代わって台風委員会で定めた名前を使用します。




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