主な火山災害
火山は時として大きな災害を引き起こします。災害の要因となる主な火山現象には、大きな噴石、火砕流、融雪型火山泥流、溶岩流、小さな噴石・火山灰、火山ガス等があります。また、火山噴火により噴出された岩石や火山灰が堆積しているところに大雨が降ると土石流や泥流が発生しやすくなります。
特に、大きな噴石、火砕流、融雪型火山泥流は、噴火に伴って発生し、避難までの時間的猶予がほとんどなく、生命に対する危険性が高いため、防災対策上重要度の高い火山現象として位置付けられており、噴火警報や避難計画を活用した事前の避難が必要です。
大きな噴石
噴石(噴火によって火口から吹き飛ばされる防災上警戒・注意すべき大きさの岩石)のうち、概ね20~30cm以上の、風の影響をほとんど受けずに弾道を描いて飛散するものを呼んでいます。
避難までの時間的猶予がほとんどなく、生命に対する危険性が高いため、噴火警報等を活用した事前の入山規制や避難が必要です。(参考:小さな噴石・火山灰)
火砕流
噴火により放出された破片状の固体物質と火山ガス等が混合状態で、地表に沿って流れる現象です。
火砕流の速度は時速百km以上、温度は数百℃に達することもあり、破壊力が大きく、重要な災害要因となりえるため、噴火警報等を活用した事前の避難が必要です。
融雪型火山泥流
火山活動によって火山を覆う雪や氷が融かされることで発生し、火山噴出物と水が混合して地表を流れる現象です。
流速は時速数十kmに達することがあり、谷筋や沢沿いを遠方まで流下することがあります。積雪期の噴火時等には融雪型火山泥流の発生を確認する前に避難することが必要です。
溶岩流
溶けた岩石が地表を流れ下る現象です。
流下速度は地形や溶岩の温度・組成によりますが、比較的ゆっくり流れるので歩行による避難が可能な場合もあります。
小さな噴石・火山灰
噴石(噴火によって火口から吹き飛ばされる防災上警戒・注意すべき大きさの岩石)のうち、直径数cm程度の、風の影響を受けて遠方まで流されて降るものを小さな噴石と呼んでいます。
特に火口付近では、小さな噴石でも弾道を描いて飛散し、登山者等が死傷することがあります。
噴火によって火口から放出される固形物のうち、比較的細かいもの(直径2mm未満)を火山灰といいます。風によって火口から離れた広い範囲にまで拡散します。火山灰は、農作物、交通機関(特に航空機)、建造物などに影響を与えます。
火山ガス
火山活動により地表に噴出する高温のガスのことを火山ガスといいます。
噴火によって溶岩や破片状の固体物質などの火山噴出物と一体となって噴出するものを含みます。「噴気」ともいいます。水、二酸化硫黄、硫化水素、二酸化炭素などを主成分としています。
火山ガスを吸引すると、二酸化硫黄による気管支などの障害や硫化水素による中毒等を発生する可能性があります。
火山泥流・土石流
火山において火山噴出物と水が混合して地表を流れる現象を火山泥流といいます。火山噴出物が雪や氷河を溶かす、火砕物が水域に流入する、火口湖があふれ出す、火口からの熱水あふれ出し、降雨による火山噴出物の流動、などを原因として発生します。流速は時速数十kmに達することがあります。
水と土砂が混合して流下する現象を土石流といいます。流速は時速数十kmに達することがあります。噴火が終息した後も継続することがあります。
土石流と火山泥流の区別は難しいですが、気象庁では、降雨により火山噴出物が流動することで発生する火山泥流のことをいう場合に土石流を使用しています。
「土砂災害緊急情報」を踏まえ、気象台は、気象情報(予想雨量の情報)を発表します。噴火後に雨が予想されている時は、川の近くや谷の出口に近づかないようにしましょう。
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