北海道・三陸沖後発地震注意情報について
日本海溝・千島海溝周辺の大規模な地震の発生は予測できるのですか?
日本海溝及び千島海溝沿いの領域では、マグニチュード7~9の大小さまざまな規模の地震や、津波地震(人に感じられる揺れが小さくても、発生する津波の規模が大きくなるような地震)など、多種多様な地震が発生しています。また、地震の発生時期や場所・規模を確度高く予測することは困難であると考えられています。
一方で、全世界で発生した大規模地震の事例から、大規模地震の発生後、隣接する領域で同規模の地震が発生する可能性が相対的に高くなることが知られています。日本海溝・千島海溝沿いの領域で発生した大規模地震、例えば2011年に発生した東北地方太平洋沖地震の事例では、2011年3月9日にマグニチュード7.3の地震が発生した後、3月11日にマグニチュード9.0の巨大地震が続けて発生しています。そのため、今後日本海溝・千島海溝沿いの領域で大規模地震が発生した場合、続けて大規模な地震が発生する可能性が平常時に比べて相対的に高まっているとの評価が可能と考えられています。
日本海溝・千島海溝沿いの領域で後発地震への注意を促す情報が発表されていない状況で、突発的に大規模地震が発生することもあります。また、地震発生の可能性が相対的に高まったと評価した場合でも大規模地震が発生しないこともあります。いずれにしても、過去の最大の津波によると考えられる津波堆積物の資料から、最大クラスの津波の間隔は約3~4百年であることがわかっており、17世紀の津波からの経過時間を考えると、最大クラスの津波の発生が切迫している状況にあると考えられています。
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日本海溝・千島海溝周辺で規模の大きな地震の発生可能性が高まった場合、何らかの情報は発表されるのですか?
日本海溝・千島海溝沿いの領域で規模の大きな地震が発生すると、その地震の影響を受けて新たな大規模地震が発生する可能性が相対的に高まると考えられています。このため、北海道の根室沖から東北地方の三陸沖の巨大地震の想定震源域及び想定震源域に影響を与える外側のエリアでモーメントマグニチュード7.0以上の地震が発生した場合に、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表します。
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日本海溝・千島海溝周辺の大規模な地震が発生する前には、必ず「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表されるのですか?
大規模地震の多くは突発的に発生することから、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表していなくても、大規模な地震が発生することがあります。地震は突発的に発生することが多いことに留意し、日頃からの地震への備えをお願いします。
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」は大規模地震を予知する情報なのですか?
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」は、大規模地震が発生する可能性が平常時と比べて相対的に高くなっていることをお知らせする情報であり、地震の規模や発生場所、発生時刻を高い確度で予測(予知)する情報ではありません。情報が発表された場合でも、必ず大規模地震が発生するとは限りませんし、逆に情報の発表がないままに突発的に大規模地震が発生することもあります。
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の解除にあたる情報は発表されるのですか?
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の発表に伴い防災対応を実施する期間は、大規模地震発生の可能性は時間とともに低下することと社会的な受忍の限度を考慮して、政府の計画であらかじめ決められているため、気象庁から防災対応を解除する旨の情報を出すことはありません。一方で、いつ地震が発生してもおかしくないことに留意が必要です。
後発地震とは何ですか? いわゆる余震とは何が違うのですか?
先に発生した地震を「先発地震」、これ以降に引き続いて発生する地震を「後発地震」と呼びます。余震も後発地震に含まれますが、余震という言葉には、先発地震より規模が小さい地震というイメージが一般的にあります。これに対して後発地震は、先発地震より規模が大きい地震も明示的に含んだ概念であり、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」で注意を促すのは大規模な後発地震となります。
なお、気象庁は、平成28年8月19日に地震調査研究推進本部地震調査委員会から公表された「大地震後の地震活動の見通しに関する情報のあり方」に基づき、防災上の呼びかけ等においては、さらに規模の大きな地震への注意を怠ることのないよう、「余震」ではなく「地震」という言葉を使用します。
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