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確率予報の利用方法(コストロスモデル)

天候の影響を大きく受ける農業や製造業では、発表された確率値の大きさによって対応を変えることで、被害を最小限に抑えることができます。 以下に、コストロスモデルを用いた確率予報の利用方法の一例を挙げます。以下の例については、次の点に注意してください。

  1. ここで示した例は、コストロスモデルを用いた確率予報の利用方法について理解していただくことを目的に作成したものであり、内容および使われている数値は架空のものです。
  2. 確率を利用することの有意性は、多数の例に適用した結果として得られるものであり、個々の事例では最適な結果がいつも得られるわけではありません。

コストロスモデル

コストロスモデルとは、損失を防ぐために対策を施した場合にかかる費用(コスト)と、何も対策を施さなかった場合に出る損失(ロス)をあらかじめ把握しておくことで、確率値に応じて最適な対応をとることができる、というものです。高温や少雨などの天候の影響による損失と、損失を防ぐために必要な費用をあらかじめ把握しておけば、発表された季節予報の確率値から、最適な対応を判断することができます。 しかし、このような利用をするためには、低温時や高温時にどれくらいの損害が発生するかを利用者側であらかじめ把握しておく必要があります。

ここでは、「「低い」となる確率50%、「平年並」となる確率30%、「高い」となる確率20%」という予報が出たときのA社、B社、C社の対応を具体例で考えてみます。

確率表現に基づく対策の例

3社はそれぞれ

A社:低温によって野菜が出荷できなくなると100万円の損害が発生するが、40万円かけてビニールシートをかぶせることでその損害をゼロにすることができる

B社:低温によって野菜が出荷できなくなると100万円の損害が発生するが、その損害をゼロにするためには60万円かかる

C社:高温によっておでんが売れなくなると100万円の損害が発生するが、30万円かけることでその損害をゼロにすることができる

という状況にあるとします。

A社は、何も対策を施さない場合にはこのような予報10回のうち5回で損害が発生していまい、合計で500万円の損失となります。しかしこのような予報10回すべてにおいて40万円かかる対策を施すと、400万円かけて損失をゼロにすることができます。つまり、損失よりも費用の方が安いため、対策を施すべきであると考えられます。

一方でB社は、このような予報が出た場合に何も対策を施さないと、A社と同様に500万円の損失が発生します。ただ、A社よりも対策に費用が多くかかるB社は、予報10回すべてで対策を施すと600万円かかってしまい、費用が損失よりも余分にかかります。つまり、損失よりも費用の方が高いため、対策を施すべきではないと考えられます。

C社は低温になっても損失は発生せず、高温の時のみ損失が出ます。何も対策を施さない場合にはこのような予報10回のうち2回で損害が発生してしまい、合計で200万円の損失となります。一方で予報10回すべてで対策を施すと300万円かかってしまい、損失よりも費用の方が高いため、対策を施すべきではないと考えられます。

より一般的に考えると、100(万円)の損失を軽減するために必要な費用(万円)が季節予報の確率(%)を下回る場合には、対策を施すべきである、と言えます。これが、季節予報におけるコストロスモデルの考え方です。しかし、コストロスモデルを用いる場合には以下の点に注意することも必要です。

  1. 季節予報には誤差が伴い、発表された確率の精度は完璧ではないので、低い確率50%という予報が10回出ても、必ずしもそのうち5回が低くなるとは限りません。
  2. 一般的に予報の数が増えるほど出現確率は発表確率に近づくと考えられるため、1回や2回の予報で判断するには適していません。
  3. 低温や高温となった場合にどの程度の損失が発生するのか、各利用者が把握しておく必要があります。
  4. 「低い」という範囲が固定の幅ではないため、階級区分値を考える必要があります。

また、気象庁はより高度に気象情報を利用していただけるように気候リスクに関するページも公開しています。

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