令和8年1月下旬から2月上旬の大雪と昨夏後半以降の少雨の特徴およびその要因について
~ 異常気象分析検討会による分析結果の公表 ~

報道発表日

令和8年3月3日

概要

 今冬は、気温の高い時期も何度か現れ、全国的に暖冬だったが、強い寒気の影響で大雪となった時期があった。また、昨年夏後半以降、東・西日本太平洋側を中心に少雨の状態が続いた。これらの天候の特徴と要因は以下のとおり。

  • 1月下旬から2月上旬、日本海側の一部では記録的な大雪
    • 特徴① 東北北部では降雪が2週間続き、青森市では40年ぶりの積雪深
    •   ② 北陸~山陰の所々で、短時間に記録的な降雪を観測
    • 要因Ⅰ 負の北極振動という現象に伴い、日本付近への強い寒気の南下が持続
    •   Ⅱ 東北北部の大雪には、青森県沖の日本海の海水温が高かったことも寄与
    •   Ⅲ 短時間の記録的な降雪は、JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)によりもたらされた
    • 温暖化の影響 1月下旬の降雪量は、新潟県以北で約7%増加し、西日本で約7%減少したと評価
  • 昨夏の後半以降、九州~東日本太平洋側の広範囲で顕著な少雨が継続
    • 特徴① 8~2月の降水量が平年の50~60%前後と、長期間にわたり少雨が継続
    •   ② 11~1月の降水量は平年の30~40%前後と、一部地域では記録的な少雨に
    • 要因Ⅰ 日本の南海上から水蒸気が流れ込みにくい状況が持続
    •   Ⅱ 本州の南岸を通過する低気圧が少なかった
    • 見通し 2月の終わりから低気圧の影響を受けやすくなってきている。向こう1か月の降水量は、ほぼ平年並の見込み

本文

令和8年1月下旬の大雪をもたらした大規模な大気の流れの模式図

図1 令和8年1月下旬の大雪をもたらした大規模な大気の流れの模式図

  • 1月下旬から2月上旬の大雪の要因について(図1参照)
    • 大気上層を流れる偏西風のひとつ(寒帯前線ジェット気流1)が日本付近で南に蛇行したことに伴い、日本付近は強い冬型の気圧配置となって持続的に強い寒気が南下したことにより、日本海側の一部では記録的な大雪となった。
    • この偏西風が日本付近で南に蛇行した背景には、北極振動2と呼ばれる現象が影響しており、今回は、北極周辺で高気圧が発達する負の北極振動の状態が一時的に強まり、強い寒気が北極周辺から中緯度へ流れ込んだ。
    • 太平洋熱帯域の海洋の状況がラニーニャ現象に近かったことにより、フィリピンの東海上では積乱雲の発生が多い状態が続いていた。1月中旬になると、地球を東向きにゆっくりと一周している積乱雲の発生を多くする現象3が太平洋西部に到達し、フィリピンの東海上で積乱雲の発生がさらに多くなった。これによって生じた偏西風の大きな蛇行が北東へ伝わったことにより、アラスカ付近で動きの遅い優勢な高気圧4が発達した。
    • このアラスカ付近での高気圧の発達を契機に、対流圏と成層圏との相互作用も関与した結果、高緯度全体で偏西風の蛇行が大きい状態となって、高気圧が発達し、負の北極振動へとつながった。
    • 東北地方北部の大雪には、青森県沖の日本海の海水温が高かったことも影響した。また、北陸地方から山陰地方にかけての所々で観測された短期間の記録的な降雪は、JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)によってもたらされた。
    • 地球温暖化の影響を評価するイベント・アトリビューションの手法を用い、文部科学省気候変動予測先端研究プログラムの合同研究チームが、1月下旬の日本海側の大雪について速報的に評価を行った5。その結果、地球温暖化による気温や海面水温の上昇に伴って、日本海側の降雪量は、北海道から新潟県にかけて約7%増加し、西日本では約7%減少していることがわかった。
1 北極上空の寒気の南の縁を吹く強い西風。
2 気圧の平年差の符号が、北極域と中緯度帯で逆になり、周期的に変化することを北極振動と呼んでいる。北極域が高気圧、中緯度帯が低気圧の場合を負の北極振動と呼び、日本など中緯度に寒波をもたらす。
3 熱帯域の積乱雲の発生が多い領域が、30~60日の周期で時間とともに東進する現象で、赤道季節内振動と呼ばれている。
4 ブロッキング高気圧と呼ばれ、偏西風の大きな蛇行に伴って現れる。大気の流れをブロックすることにより、1~数週間にわたり、平年から大きく偏った天候をもたらすことがある。
5 文部科学省と気象研究所がこの内容の詳細に関する報道発表を同時に行っている。


四国付近の降水量の推移

図2 四国付近の降水量の推移(気象庁第3次長期再解析による(33.75°N, 132.5~135°E)を領域平均した15日移動平均値)

昨夏後半以降の記録的な少雨をもたらした大気の流れの模式図

図3 昨夏後半以降の記録的な少雨をもたらした大気の流れの模式図

  • 昨夏の後半以降、九州~東日本太平洋側で、記録的な少雨が継続した要因について(図2,図3参照)
    • 8月中旬から10月中旬までは、平年より強まった亜熱帯高気圧の勢力下に入ることが多く、低気圧や台風の影響が小さかった。
    • 秋雨前線の影響は、例年よりかなり遅い10月下旬に現れ、影響した期間も短かった。
    • 11月以降は、移動性高気圧に覆われる日や冬型の気圧配置となる日が多く、低気圧の影響をほとんど受けなかった。
    • これらの背景には、太平洋熱帯域の海洋の状況がラニーニャ現象に近かったことにより、フィリピン付近で積乱雲の発生が多い状態が続いたことが考えられる。この地域で積乱雲の発生が多いときの日本付近の大気の流れに与える影響は暖候期と寒候期で異なっており、暖候期は日本付近で亜熱帯高気圧を強めて晴れる日が多くなる一方、寒候期は日本のはるか南海上と東海上で低気圧を強めることにより、日本付近では北寄りの風が強く、南からの湿った気流が入りにくくなる。

    問合せ先

    (天候の特徴・要因に関すること)

    気象庁大気海洋部気候情報課 及川、藤川  電話:03-6758-3900(内線4548、4541)

    (観測データに関すること)

    気象庁大気海洋部観測整備計画課 辻  電話:03-6758-3900(内線4278)

    資料本紙

  • 令和8年1月下旬から2月上旬の大雪と昨夏後半以降の少雨の特徴およびその要因について[PDF形式:1042KB]

    関連リンク

    異常気象分析検討会について(資料掲載場所)
    日本の天候