長官会見要旨(令和8年9月16日)
会見日時等
令和8年9月16日 14時00分~15時16分
於:気象庁記者会見室
発言要旨
冒頭、私からいくつか述べさせていただきます。
最初に、7月28日に発生した令和8年熊本地震についてです。令和8年熊本地震により亡くなられた方々とそのご家族に対しまして、心よりお悔やみ申し上げます。また、すべての被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
この地震に対しまして、気象庁では、地震直後から防災気象情報の発表を行うとともに、地元自治体へのJETT(気象庁防災対応支援チーム)の派遣、ホットラインによる説明や助言等を行いました。特に地震に関する情報につきましては、地震の活動状況の資料を提供するとともに、余震の状況など、地震活動の見通しについても随時お知らせしてまいりました。これらについて適切に発信できたと考えております。なお、自治体の協力もいただきながら、どのような情報や資料が必要であったのか、どのように伝えれば効果的であったのかということを振り返りまして、必要があれば今後の改善に生かしていきたいと考えております。
次に、令和8年8月千葉豪雨についてです。令和8年8月千葉豪雨により亡くなられた方々とそのご家族に対しまして、心よりお悔やみ申し上げます。また、すべての被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
この豪雨に関しまして、先般、国土交通大臣を通じまして、総理から次の指示をいただきました。一つ目は、毎年のように豪雨の被害をもたらす線状降水帯について、先端AI技術の活用を含む観測・予測の強化に取り組み、予測精度の向上に取り組むことが必要であること。二つ目は、令和8年8月千葉豪雨では、短時間のうちに急激に災害のリスクが高まる状況となり、このような状況下においても、適時適切な防災気象情報の発表に加え、地元の気象台が持つ危機感を前広に県などに伝え、住民への的確な情報発信に努めることです。
一つ目の予測精度の向上については、気象庁として日々取り組んでいるところです。今後も世界最先端の観測能力を持つ次期静止気象衛星の運用開始、先端AI技術やスーパーコンピューターを用いた予測技術の開発を進め、気象予測の高度化にしっかりと取り組んでいくこととしています。
二つ目の、急激に災害のリスクが高まる状況における情報発信のあり方については、内閣府が事務局を務める「令和8年8月千葉豪雨等を踏まえた内水氾濫対策検討会」での議論も踏まえ、必要な対応をとってまいります。加えて、今回のような大雨時についても、気象台が持つ危機感を県や市町村に迅速に伝えることが重要と考えており、首長などへのホットラインや県庁へのできるだけ早めのJETT派遣が十分に行われていたか、千葉県等にもご協力いただきつつ検証を行い、必要な改善策を検討してまいります。
3番目ですが、千葉豪雨の他にも台風第13号、第15号、それから北陸地方、鹿児島県屋久島、東京都伊豆諸島北部、そして愛知県、岐阜県と、8月から9月の初めにかけて、このような豪雨が続きました。状況を振り返りまして、線状降水帯の予測精度に関しましては、当初想定していた精度よりは低い状況となっていますので、先に述べた改善策に取り組みたいと思います。一方で、線状降水帯に関する情報が出た後は、実際には大雨が降っておりまして、直前予測が発表された際に3時間100ミリ以上の雨が降った事例は66事例中60事例で約91パーセントとなっています。線状降水帯に関する情報が発表されましたら、大雨への警戒を忘れずにお願いいたします。また、この線状降水帯の情報だけではなく、警報やキキクルなどの最新の防災気象情報を確認し、危険度の高まりに応じて、早めに防災行動をとっていただきたいと思います。
そして、9月も半ばとなりましたが、今後も引き続き台風や前線の影響を受けやすい季節となります。令和元年東日本台風など、10月に入ってから大きな災害をもたらした台風事例もございます。来週も連休中に台風が日本列島に接近する可能性があります。旅行などに行かれる方もおられるかと思います。アプリなどで、ご自宅に加えお出かけ先の設定も事前に行い、現地の気象台が発表する最新の防災気象情報や自治体からの避難情報等を受け取れるようにご準備等をしていただければと思います。今後はさらに開発等を行い、台風発生前の早めの備えを促す情報、台風発生後の台風の特徴を伝えるきめ細かな情報の提供についても準備を進めていきたいと考えております。
4番目ですが、今年の夏については、西日本を中心に暖かい空気に覆われ、7月下旬から8月にかけては延べ36地点で酷暑日となるなど、高温となりました。これは過去のエルニーニョ現象発生時とは異なって、日本付近で偏西風が平年より北側を流れることが多く、西日本付近では上空から地上まで発達した高気圧に覆われやすかったためです。3か月予報でも11月までの期間、気温は全国的に高いと予想しており、秋の訪れは遅くなる見込みです。引き続き、十分な暑さ対策、熱中症対策をお願いいたします。また、雨の被害が多い中でも、西日本の一部では7月以降の降水量が平年の3割ほどと少雨が続いており、ダムの貯水量が低下しているところがあると聞いております。貯水量の十分な回復まで、まだしばらく時間を要するところもあると考えられますので、水資源の管理に携われている方々におかれましては、気象情報に留意していただければと思います。
5番目ですが、北海道の十勝岳は、9月12日(土)9時30分に噴火警戒レベルをレベル2(火口周辺規制)からレベル3(入山規制)に引き上げました。警戒対象範囲は火口からおおむね3キロです。地元自治体による登山道規制、道路の通行止め、避難指示等に従うようお願いいたします。
最後に、8月28日に公表した令和9年度の概算要求の内容についてです。気象庁では、交通政策審議会気象分科会の提言「2030年の科学技術を見据えた気象業務のあり方」を中長期的な指針として、線状降水帯をはじめとする気象の予測精度向上の取り組みや、地域における気象防災支援業務の強化について、最重要施策として取り組みを進めているところです。また、昨年取りまとめられた近年の技術の進展等を踏まえた同分科会の提言の補強を踏まえ、台風情報の高度化や先端AI技術の活用、大規模地震・大規模噴火対策の推進など、重点的に取り組む5つの施策について、取り組みを加速しているところです。さらに、先ほども申し上げたとおり、千葉豪雨の後、高市総理から、毎年のように豪雨の被害をもたらす線状降水帯について、先端AI技術の活用を含む観測予測を強化し、予測精度の向上に取り組むよう、ご指示もいただいているところです。このため、令和9年度予算の概算要求にあたっては、次期静止気象衛星の整備や気象庁スーパーコンピューターシステムの更新、大規模地震災害、火山災害に備えた監視体制の確保と、これら重要政策の強化推進に必要となる内容を盛り込んでいるところです。今後、予算編成作業において、政府全体としての検討が進められていきますので、気象庁としては必要な予算、組織、定員の確保に向けて全力で取り組んでまいります。
私からは以上です。
質疑応答
Q:まず、防災気象情報についてお伺いします。冒頭でもご発言ありましたけれども、8月から9月にかけてレベル5の特別警報が北陸、千葉、東京都伊豆諸島で発表されました。これまでもお伺いしていることではありますが、この防災気象情報、5月に新たに始まったものですが、こちらが住民の避難行動につながったり、情報が浸透してきたりといった、そういった手応えをお感じになられているかどうかについてと、新たに今回見えた課題などあれば教えていただきたいです。
A:これまでの運用全体を振り返ってみますと、やはり危険度をわかりやすく伝えられるようになったと感じております。ただ、実際どの程度、住民の皆様の避難行動につながったか、またどのように受け止められたかについては、現在たびたび発生している大雨事例に応じて、自治体等に対する個別ヒアリングを進めているほか、これから10月にかけて一般向けおよび自治体向けのアンケート調査も行い、新情報に関する認知度や利用のされ方などを確認・検証していくこととしております。ただ、実感としては、どこかで大雨災害が起こるたびに、今回非常に事例が多いので、他の地域の方も含めて、新しい防災気象情報をよりご理解いただき、より関心を持って活用していただいていると感じております。
課題についてでございますが、これはこれまでに実際、個別のヒアリングで得られたものでございますので、まだまだこれからいろいろ出てくると思いますが、特にレベル2の注意報から、レベル3の警報を経ずに急にレベル4の危険警報の発表となり、対応に戸惑う面が一部見られたという声をいただいております。他にもいろいろ課題があると思いますので、今後実施するアンケートに加え、引き続き顕著な事例が発生した自治体などを対象に、個別のヒアリング等を行い、新情報に対する率直な受け止めのほか、自治体の皆様の防災行動においてどのように役立てられたかを丁寧に聞き取りを行ってまいりたいと考えております。また、周知広報についても継続して取り組んでまいります。
Q:もう一点、線状降水帯の情報についてお伺いいたします。冒頭でもご発言ありましたけれども、特に令和8年8月千葉豪雨と、それから石川県、富山県で発生した豪雨につきましては、この時は線状降水帯の半日前予測や直前予測が発表されない状態のまま、いきなり線状降水帯が発生してしまって、大きな被害に見舞われたということもあるかと思います。この線状降水帯の予測について、住民の方の中には、この発生予測が出ていないということを、一種の安心材料と言いますか、発生しないから大丈夫だなというふうに思ってしまう方もいると思われますが、この点についてのご見解、改めてお聞かせください。
A:そのような方がどれくらいいらっしゃるか、私もまだ把握はしておりませんが、もしそういうふうにされているとしたら、ちょっと注意が必要だなと思います。千葉県や石川県、富山県の豪雨において、半日前予測や直前予測が発表されていない中、線状降水帯の発生がありました。ある意味、見逃しというところでございますが、線状降水帯の情報というのは、雨量だけではなく、その雨雲の形状など、いくつかの条件が重なった時に発表されるものです。逆に言えば、大雨が予想されていても、その条件を満たさなければ情報が発表されないということになっております。したがいまして、線状降水帯の予測情報を発表していない状況でも、気象台から事前に大雨に関する情報を発表して注意・警戒を呼びかけているときには、ぜひそれらを確認していただきたいと思います。危険度を確認する必要になった状況の場合には、キキクルだとか、段階的に発表される警報、危険警報、特別警報と最新の防災気象情報を確認いただき、地元の自治体が発令する避難情報などを入手していただき、避難の判断を的確に行っていただきたいというふうに思います。
Q:冒頭ありましたけれども、千葉豪雨の関係でまずお伺いをします。千葉豪雨の際、事前に線状降水帯の半日前予測ですとか、全般情報なども出ておらず、また予想雨量に関しても、千葉県、例えば昼から昼までの24時間雨量も120ミリとなっていて、ただ実際に発生した雨量は、ご存知のとおり、かなり記録的なものとなっておりました。また、雨雲がこの長時間とどまってからも、特別警報が発表されるまでの間、かなり間が空いたというふうに感じており、その間の情報発信というのもあまりなかったのではないかというふうに感じているんですけれども、気象庁としてその状況についてはどのように受け止めていらっしゃるかお聞かせください。
A:この現象については、先日、気象研究所からも発表があったとおり、関東平野の千葉より西側の下層に冷気が溜まって、東からやってくる暖湿気がそれによってストップされ、スコールラインだったんですが、西側にある冷気にブロックされて前に進めなかったということで、我々としては、単にいつものスコールラインのように移動して雨雲は通り過ぎるというふうに考えていたんですけれども、そうはならなかったということで、そういう下層の非常に限られた冷気の状況だとか、それがどのように東からやってくる暖湿気に関わるのかということは、正直言って、正確には予測できませんでした。これはスケールからしても、なかなか数値予報では予測しにくい状況でしたし、事前に予想することが非常に難しかったということです。ですので、スコールラインが千葉市の上空で止まって、あれだけ降るということは予測できなかった、事前に予測情報も出せなかったというのが実態でございます。
ただ、これは予測ではないんですが、大雨となっている状況においては、実況的に、記録的短時間大雨の情報、それから線状降水帯の直前予測、これはもう2、3時間前ですから、かなり近いので、難しい状況でもそれは出せるかもしれない。発生情報を相次いで発表するとともに、レベル5の特別警報の前には、レベル3の警報、これが非常に間が短かったということはありますが、少なくともレベル4の危険警報と、防災気象情報を発表して、できる限り、急速な変化の中でも警戒を呼びかけられたかなと。それでも受け手からすれば、あまりにも情報が次から次へと発表されて、ついていけなかった部分もあろうかと思います。こういう非常に難しい情報については、観測、それから予測技術を磨いて、例えば今回の事例のきっかけとなった下層の寒気など、これも相当メッシュを細かくしないと数値予報では再現できませんし、観測でも捉えなければいけない。そういうことが可能になるように技術を向上させなければいけないと思います。それから、スコールラインとしてとどまるというところまでは把握できませんでした。海上からくる水蒸気の量なども、どれだけ当たっていたかという部分もあろうかと思います。それは、次の気象衛星で赤外サウンダというセンサーを使えば、相当精度が向上すると思います。それぞれの取り組みで予測が可能となる、もしくは観測が可能となるまで、部分的ですが、そういうのを組み合わせて、中長期的ではありますが、予測精度の向上に努めていきたいというふうに思っております。
Q:今、予測精度の向上の部分もお話しいただきましたが、今回、大雨で雲が止まりだしてから、実際に出るまでの間ですとか、また、いくつか情報を出していたとはいえ、その地方自治体への情報の提供の仕方、これについては、どのように振り返って考えていらっしゃるんでしょうか。
A:今回、自治体に対してホットラインで状況をお伝えしていましたが、総理からも前広な情報提供と言われていますが、やはりまずホットラインのやり方ですね。電話で伝えるという方法ですが、あれだけ多くの市町村に関わる現象、それもあれだけ多くの市町村で一気に状況が悪化するという中、一つ一つの市町村に電話で伝えるということが果たしていいのかどうか、そういうホットラインの方法なども考えなければいけないと思います。それから、千葉県の知事が会見でおっしゃっていましたが、急に状況は変わったというふうにおっしゃっています。そういう意味で、我々の役割というのは、もちろん災害が起こった後も災害対策本部会議に情報をお伝えしますが、事前の防災として、特別警報になりそうなのかどうか、今日の状況がどうなのか、もちろんそういう状況にならないかもしれないけれども、そういう危険性を、やはり事前に県に赴いて、県の危機管理者と話を密にして、危機感を共有する、そういうことはやはりしなければいけないなというふうに思います。今回、県庁に、事前に、早めに参集することができませんでしたが、千葉県だけでなく、全国的にも、災害対策本部会議が立ち上がってから会議に行って情報を伝えればいいんじゃないかと思っている部分が我々にもあるかもしれない。そうではなく、もっと前広に行って、いろいろ危機感を伝えなければいけないんだと。そういうところをしっかり強化していきたいし、そういうことができないところについては、改善策も検討しなければならないなというふうに思っております。
Q:わかりました。先ほどもお話の中で、今後、ひまわりの新しい衛星の打ち上げをもって予測精度を上げていく、また情報の発信の強化をしていくということだと思うんですけれども、やはり中長期的であって、例えば今月、来月、同じような状況が起きた時に、どのようにしていくのか。また、一般の方に呼びかけたい部分などあるのであれば教えてください。
A:まさに我々が一番強力なインパクトがあるのは、気象衛星なりスパコン、特にAIを活用できるスパコンを入れることだと思うんですが、おそらくそういう話を聞くと、じゃあこれから5年ぐらい何も変わらないのかなというふうに思われてしまうかと思います。そうではなくて、短期的にいろいろできることもあるかと思います。例えば、今年は局地モデルを1キロメッシュで導入しました。それから、2キロメッシュのアンサンブルも活用して導入したので、私はもっと線状降水帯予測がよくなると思いました。ただ、例えばこの前、伊豆諸島で雨が降った時のように、もうちょっと前線が北に来ると思ったんですが、細かい現象ではなく、もうちょっと大きい場を間違えると、太平洋沿岸で線状降水帯が多く出ると思ったんだけれども、南の方だけでした。このように全体の場も間違えたら、総観場の情報も直す必要がありますが、もう一つは、局地モデルとかアンサンブルモデルとか、予報官が線状降水帯の予測をするときに、いろんな材料があるわけです。去年もそうだったんですが、それまで活用はしていたけれど、これはあまり効かないなというパラメーターは使わないようにして、より効き目のありそうなパラメーターを使うというような、この取捨選択を、予報官が線状降水帯の情報を出すときの参考情報を何にすべきかというのをいつも振り返りながらやっています。今年から取り入れた局地モデルについても、いろんな癖が多分わかってきたかと思います。そういう意味でも、まず予報現場においても、いろいろと検討していくと思いますが、どのような情報を活用すればいいのか、今年入れた新しい情報について癖のようなものも分析して、どう活用するのかというところを工夫する、そういうことがやはり一年ごとのスケールでの改善につながっていくかというふうに思っております。それから、これはすぐにですが、今、全国的にレーダーサイトを、二重偏波という形式のより雨の観測精度を上げるレーダーに切り替えています。これは直前予測、それから実況情報に貢献してくると思いますので、そういうところの活用も、課題があればいろいろ直しつつ導入していくことによって、少しずつ精度が上がってくるものだというふうに思っているところです。そういう意味でも短期的な対応もしっかり行っていきたいというふうに思っています。
Q:先ほど、千葉豪雨の際の自治体に対しての情報発信については質問がありましたが、住民に対する情報発信について、気象庁が4年前に廃止をしました大雨特別警報の緊急速報メールを中心にお伺いできればと思います。当時も各社から反対意見も相次ぎまして、気象庁でも記者レクや会見が5時間に及んで、国交省の本省からも一時撤回するように指示が出たというような問題になります。先週から始まった千葉豪雨を受けた内閣府の検討会では、大雨特別警報の発表だったり、避難情報の発令などが、車などで移動中の人たちに十分に伝わらなかった恐れがあるというふうに明確に論点に据えられています。その上で、プッシュ通知の充実について検討するべきだというふうに整理もされています。こういった大雨特別警報の発表が、住民に直ちに伝わらなかったのが、気象庁が4年前に特別警報の緊急速報メールの廃止をしたことが要因だというような専門家の指摘もある中で、さらに被災した自治体の中には再開を求める声も出ています。その上で、気象庁の見解をお伺いします。
A:大きい話から小さい話までしたいと思いますが、まず概論として、気象庁が発表する気象の特別警報については、法令上、通知を受けた市町村が地域住民に周知するということになっています。このため、各市町村においては、登録制メールやLINE、防災行政無線、いろんな手法で特別警報の発表を住民の皆様に速やかに伝える努力をされているというふうに承知しております。千葉豪雨について、住民に必要な情報が届かなかったのではないかとのご指摘については、市町村と協力して検証して、内閣府が事務局を務めている検討会、「令和8年8月千葉豪雨等を踏まえた内水氾濫対策検討会」での議論も踏まえて必要な対応を取ることとしています。この検討会では、総務省消防庁がいろんなアンケートをとって、現場でどのような情報が活用され、それがどうだったのかという非常に詳しいアンケートをとっておりますので、そういう分析も踏まえて、何が一番良いのかということを考えていきたいと思っております。
もう一つ、緊急速報メールについてなんですけれども、4年前にやめたということで、実はやめるという判断をしたのは、私が企画課長の時です。それには理由がございまして、まず基本的なお話をさせていただくと、緊急速報メールというのは、気象庁のシステムではなくて、携帯電話会社のシステムなんですよね。なので、当庁でそれを整備したりいじったりということはできないというところであって、当庁が発信するということもできないです。放送局さんもそうですけれど、気象庁がいろいろな機関に警報等をお渡しする場合には、電文という電報のような決まったフォーマットでお渡しするということしかできません。例えば放送局さんがテロップに流すような信号も作れませんし、携帯会社さんがアンテナから発信する情報も我々には作れないということです。ただ、実際、4年前までは何をやっていたかというと、ここは、私は適切ではなかったと思っているんですが、平成25年に特別警報を始めた時に、メールが流れないことに一度はなっていたんですが、やはり普及啓発のために、携帯会社さんの特別な許可をいただいて、携帯のアンテナから発信する信号を作る機能を有する機械を携帯会社さんからノウハウを聞いて作り上げたんですよね、気象庁の技術者で。ただ、その時は特別警報というのは県単位で発信していました。その設定で作ったんですが、その後、特別警報をどんどん細かく出すようになり、当然気象庁は専門家ではないので、直すこともできずに、最後の方は全然特別警報と関係ない地域を含めて発信したりしていて、自治体の皆さんからも苦情も来ていました。やめてほしいということも含め、かつ私自身、当時、責任者として判断したのは、もう直すこともできない、技術を持っていない、それは管理上やはり不適切だし、大雨特別警報というのは間違えて提供したらいけないものだから、もうこの装置自体を運用管理することはやめましょうということで、予算も要求するのはやめましょうということにしました。「予算がないからやらなかったんじゃないか」という報道もあるんですが、それは間違いで、そもそも要求もしませんでした。自治体さんのアンケートも取った上で確認したんですが、やめてほしいというのもあったし、それからもう一つ、実態として、LINEや、報道局さんの中でもアプリを提供されている方、防災アプリを提供されている方も、地点も細かく設定でき、何を受信するかも設定でき、音も設定できということで、もう今、アプリの方が現実的に皆さんに情報伝達するには適切だと思います。車などの場合も、地図アプリ、道路案内するようなものと重ね合わせるような製品も出てきたりして、我々が緊急速報メールであやふやに情報を出すよりは、そういう民間がきめ細かく作るアプリ、そういうものを逆にバックからご支援申し上げるということの方が適切だと思って、今そういう選択をしているところです。
Q:ご丁寧にありがとうございます。千葉豪雨の被災自治体の中では、やはり気象庁が、予測が非常に難しい中で、急激に状況が悪化をしていると。7時半に大雨特別警報の最初のものが出された後に、直ちに緊急安全確保を出したいんだけど、やはり予測できていない分、間に合わないと。だからこそ、最初に市町村単位に絞った上で、気象庁からまず一報の大雨特別警報を、住民に直ちに知らせてほしいというような意見も出てきています。内閣府のアンケートにも、そういった予測が困難な中で、気象庁からというところも出ているというふうに承知はしていますが、その点についてはいかがでしょうか。
A:そこはいろいろアンケートの結果も見させていただいて、判断したいと思うんですが、一般論になってしまうんですが、防災というのは、非常に多くの関係者が協働しているもので、非常に複雑で連携の仕方も難しいんですが、そういう場合というのは、やはり法令に基づいて、それぞれの役割分担をしっかり果たすというところを組み合わせてやるのが多分一番確実だと思います。プラスしてやったほうがいいかなというのをやると、分担が見えなくなってしまい、逆に混乱するということも、私は何回か経験しております。以前、鹿児島でも噴火速報、噴火警報の発信などでも、そういう話がありました。あれはやはり鹿児島市さんとちゃんと話し合いをして、住民に避難情報と組み合わせてお伝えする役割ですよねと、その役割分担を、誰が見ても、その時の担当者じゃなくても、次の担当者も誰でも間違いなく、自分がやるべきことを確認してやるということは、やはり確実な防災対応のある意味コツかなと私は思っております。そういう意味で、やはり今回の話も、住民にお伝えいただくのは自治体さんで、自治体さんがそれでいろいろ困っていることがあるのであれば、それをご支援申し上げる。例えば、ある自治体さんが今回打ち間違いをしたという事例があったと聞いております。同じ発端ではないですが、鹿児島市さんにも、我々が出す情報のうちテキスト文のここを読んで、彼らが打ち込むべき情報を作成するようなシステムづくりをお手伝いしたこともあります。そういうことをやることによって、自治体さんが緊急速報メールを使うときのいろんなご支援にもなろうかと、そういう役割分担をしっかりした上で、やるべきことを考えていくということが私は適切だと思っておりますので、その方針でやっていきたいとは思っています。
Q:線状降水帯の直前予測についてお伺いします。冒頭でもお話ありましたが、運用開始前、適中率50パーセント程度と想定されていましたけれども、8月30日時点の今年度実績では、適中率が約30パーセントという結果でした。想定よりも低いことへの受け止めですとか、長官のお考えをお聞かせください。
A:まず、素直に残念だと思います。今回は、先ほども申し上げたとおり、活用する数値シミュレーションモデルも、グリッドを細かくしたり、新たにアンサンブルの情報も活用したり、いろんな情報をプラスして、今年度は精度が上がるだろうと期待はしておりました。ただ、そこが上がっていないのは事実でございますので、今も雨が続いていますが、今年のいろんな事例を分析して、何がいけなかったのかはしっかりと捉えて、来年度に直せるものは直そうと思っています。精度そのものは中長期的と先ほどから申し上げていますが、やはり今年度から新たに入れた情報もありますから、それはしっかりと評価しなければいけないなと思っております。それから、いくら細かいモデルでも、先ほども申し上げましたが、もっと大きいスケールの現象を間違えて予測すると、何にもならない。例えば今回も、伊豆諸島で特別警報出ましたが、もうちょっと海岸に近いところに出て、多くの線状降水帯が出ると思っていたんですが、そもそも前線が南に行ってしまっていたら、もう全部空振りになりますから。そういう意味でも、その手前の総観場という、数百キロから数千キロレベルの低気圧とか高気圧の位置のようなものをちゃんと予測できるように、そちらも見直さなければいけないなと思っております。線状降水帯だけを見るのではなく、いろんな部品もチェックして、例えば数値シミュレーションの中で雲を作るスキームとか、そういう計算する部分があるんですよね、そういうものも今のままでいいのか。多分、線状降水帯にとって良くない現象が出ているのは台風でも悪さしているかもしれませんので、台風のようなものもしっかり検証して、結局使っている物理式は同じですから、いろんな面でチェックして、数値シミュレーションの改善も急いでやっていかなければいけないなと思います。
Q:もう一点お願いします。線状降水帯が発生しますと甚大な大雨被害が起こりますけれども、8月30日の福井県の場合ですと、線状降水帯の発生情報を出されなかった一方で、大雨特別警報は発表されておりました。線状降水帯が発生していなくても甚大な大雨被害が起こり得るということだと思うんですけれども、この点についても改めて注意の呼びかけをお願いできますでしょうか。
A:線状降水帯の予測というのは、たとえ大雨が予測されていても、その雨雲の形だとか、条件が合わないと発表されません。一定の条件の時のみ発表されます。逆に言うと、大雨が予測されても、その条件を満たさなければ出ない情報ですから、それだけで危険度を判断するというのはやめていただきたいと。もちろん出れば大雨の可能性は高まりますが、出ない時も大雨になることはありますので、使い方はご注意いただきたいと思います。基本的には、警報、その前に警報級の可能性という情報がありますが、注意報、警報を見ていただき、それがレベル4の危険警報になり、レベル5の特別警報になるというところをまずしっかり見ていただきたいと思います。それから、そもそもそういう警報から危険警報を経てというような状況の前には、解説情報として全般の情報が出ます。それは天気予報でもいろいろキャスターが呼びかけますので、そういう可能性がある時にはキキクルを見たりとか、毎日見るのは大変だと思うんですが、そういう情報が出た時には見ていただくということでやっていただきたい。それがまず基本です。線状降水帯に関する情報も、もちろん大雨にとっては必要ですが、それだけには頼らないでいただきたいと思います。
Q:冒頭、来週も台風が日本列島に近づく恐れがあるといったお話をしてくださったかと思います。早めの準備をというふうにおっしゃってくださったと思いますが、改めまして、シルバーウィークということで、移動が多い時期ですね。秋雨前線が停滞する中で、台風が近づくということで、改めて現段階での予想と、進路によってはどんなリスクがありそうか、注意、警戒の呼びかけをもう少しいただけますでしょうか。
A:今現在の予測ですと、非常に予報円が広くて、西日本から東日本、広い範囲で北上してくる可能性になってきておりますけれども、いずれにしても、連休中に台風が日本列島に近づく、北上してまいります。ご存知のとおり、今、前線が日本付近にございますので、台風本体が来る前から、大雨になる可能性があります。それから今、日本の南の太平洋沿岸近くに前線がございますが、台風、それから気圧の谷が西から来るに従って、前線も今の位置ではなく、もしかしたら北上するかもしれません。そういう時には、まだ台風が遠いであろう東北地方とか、そういうところでも大雨になる可能性があるかもしれません。まだまだ先でございますから、細かいところは近づいてから見ていただきたいと思いますけれども、必ずしも東日本、西日本の太平洋側だけではなくて、北日本も含めて、いろいろと警戒していただきたいと思います。まだ予報に幅がございますので、今日、明日、明後日というふうに、新しい情報に注意していただければと思います。それから近づく前も、当然、波は、遠くに台風がいる時でも高まる可能性がありますので、連休中でございますが、海付近では非常に気をつけていただきたいし、それから山の天気はこういう時は非常に変わりやすいし、危険ですので、十分に気をつけていただきたい。下が晴れでも上は雨だったりとか、風は相当強かったりとかしますので、山に行かれる方も十分ご注意いただきたい、行楽には十分ご注意いただきたいと思います。
Q:大雨の関係で、先ほどからも出ていると思うんですけれども、8月から9月にかけてレベル5の特別警報が相次いだということで、これだけ各地で特別警報が相次ぐというのもなかなかないような気もするんですけれども、そのレベル5の特別警報級の大雨が相次いでいること自体への受け止めをお聞かせください。
A:そもそも特別警報とは、以前は同じ場所という条件で50年に一度とかということを言っておりましたが、毎週というか毎日のように出て、我々もどうしたんだろうと思いました。前線がずっと日本付近にあって、夏の高気圧もやや北よりになって、東から直接暖湿気が入ったりして、非常に雨が降りやすい状況、似たような状況がずっと続いたというのが一つあろうかと思います。もちろんそれぞれの大雨でパターンは違います。北陸については、梅雨の末期のように日本海側から暖湿気が入ってきて、その前線上に突き刺さるように、西から線状降水帯が入ってくるような状況がありまして、連続して富山、石川、福井というふうに起こったと思います。それから千葉は、高気圧が少し軸が北になったことで、東から暖湿気が入ってくるような形になった。その手前では台風が茨城県に上陸して西に進むような形になりました。ちょっと特異な形が、1週間、2週間レベルで、そこまでいかないかもしれませんが、数日レベルで変わらなかったということが、特別警報が連続して出た理由じゃないかというふうに思います。
ちょっと話が外れるかもしれませんが、この前、季節予報だとか気候に関する情報の検討会の提言が出ましたが、いろんな新しい取り組みがあるんですが、一つ言えることは、例えば季節予報であれば、今まで2週間で言っていたことを1か月で、週間予報は毎日天気予報をやっていたけれど、それを2週間に延ばすとか、細かく、予報期間を長くという方向でした。私はそれだけではなくて、例えば、非常に湿った空気は日本の南にあるだとか、前線が日本付近にずっと停滞しているだとか、そういう長いスケールの現象が来週、再来週どうなるのか、いつまで続くのか、いつ終わるのかという、少し大きいスケールの現象を、長い現象を予測するなり、今こういう状況にありますということを伝えることが大事だと思っています。今回の例も、同じようなパターンが、特別警報が出そうな大雨が降りそうな、例えば暖湿気が南にあって、前線があり、その前線を刺激するような状況が一度できたら、それが続くということも一つの大事な情報だと思いますので、そういう情報も今後、検討会の提言をもとに充実させていければなと。ちょっと話がずれましたが、そういうふうに思っています。
Q:ありがとうございます。特異な形が1週間、2週間レベルで変わらなかったというお話もあったと思うんですけど、これは今年ならではで、今年の特徴的なところなのか、それとも地球温暖化などもあって、今後も考えられることなのか、その辺はいかがですか。
A:私は、今年は去年と違って夏らしい気圧配置じゃなかったと思いますね。それはやはり一つエルニーニョ現象が関係していると思います。ただし、西日本の方は、チベット高気圧の影響でずっと高気圧のもとにあったから暑くなりましたが、東日本は全然違いました。高気圧も太平洋高気圧と言えるのかどうかわからない、オホーツク高気圧と太平洋高気圧の合いの子のような場所にあったりして、やはりいつもと違うパターンになったというのが、偏西風が北に寄ったということで、多分エルニーニョが関係しているのかなと。温暖化がこのレベルの話に関係したかどうか、私はちょっと疑問だなと思います。ただ、もともと全体的に平均気温が高いというのは温暖化の影響かなとは思っています。特異なパターンになったのは、ちょっとエルニーニョじゃないかなと思いますね。
Q:気象庁と国交省が共同発表されている氾濫特別警報についてお尋ねします。先日、名古屋の大雨の時に、庄内川に氾濫特別警報が出たんですけれども、このケースでは、庄内川の支流である矢田川の一箇所の氾濫発生水位超過をもって、氾濫特別警報が出ました。ただ、支流だけではなくて、本流の上流から下流まで非常に広い範囲に対して、このレベル5が出た印象があったんですけれども、そのあたりの受け止め、ご見解をお願いいたします。
A:(気象リスク対策課)指定河川洪水予報の対象河川でありまして、その対象河川であったので、そこの広い範囲でレベル5の氾濫特別警報が発表されました。
Q:確かにその油断させないとか、広く呼びかけるということは大事だと思うんですけれども、あまりに広い範囲に出てしまうと、例えば関係する市町村というのも、名古屋の矢田川で氾濫したことに対して、本流の一番上流の岐阜県の土岐市とか多治見市まで関係市町村に含まれてしまったわけです。そうすると、例えば今後、検討として、支流と本流の洪水予報区間を分けて発表するとか、関係市町村を絞り込んで氾濫特別警報を出すというような、検討課題にはなりますでしょうか。
A:この流域でどこまでの市町村にするかとか、区間の指定というのは、今までも検討されてきたと思いますが、それは必要に応じて国交省と考えていくことになろうかと思います。
A:(気象リスク対策課)ただ今、説明があったとおり、今のシステムではこのような発表形態になりますが、今後、指定河川洪水予報の発表に関して問題があれば、また検討していくことになろうかと思います。
Q:氾濫特別警報についてお伺いします。氾濫特別警報は、氾濫発生水位に達してから発表までに時間がかかることが相次いでいると思います。和歌山県の古座川の時は、水位に達してから一時間程度かかりましたし、今回も40分程度かかりました。これはどのようなことで遅くなっているのか、そして今後これは改善されていくのか、こちらについてお願いします。
A:私もいくつか話を聞いていますが、実態としては、そんなに大きくない河川で急激に水位が上がってきて、レベル4の情報の発表作業中にレベル5になってしまって、どっちをどうしようかという、そういう混乱の中で、かつそれが気象台と河川の事務所と相談しながらということで、初めてだったということもあり、手間取ったという話は聞いております。これは、おっしゃるとおり、振り返っていろいろ反省しなければいけない点があるでしょうし、すぐにシステムは改修できないでしょうけれども、スピードを鑑みてやらなければいけないとは思っております。他にも、ある事例を聞きましたが、レベル3を出そうと思ったところ、レベル4に達したと。そのうちもうレベル5に達しそうだと。じゃあ次にレベル5を出すのか、レベル4を出すのがいいのかというのがあります。レベル5を出すとなると、また時間がかかって、レベル3の期間が長くなりすぎてしまう。であれば、レベル5の準備もあるけどレベル4を出してからレベル5を出すという方がいいじゃないかとか、いろいろ振り返ってみて、その時はバタバタしていて、判断がベストじゃないかもしれませんが、やはり急に水位が上がってくる、特に指定河川なんだけれども比較的小さいところというのは、変化が激しいですから、そういうところをいかに迅速に、かつ順番も的確に出すのがいいのかというのは、5月に始まったばかりの仕組みですので、しっかりと河川管理者と気象台が一緒に考えながら、振り返らなければいけないなと思っております。
Q:ありがとうございます。もう1問、氾濫に関して、先ほどの質問とも関連するんですけれども、現時点では氾濫特別警報は河川予報単位での発表で、今後、受け持ち区間単位など、発生場所がわかりやすく改善されていくおつもり、現時点でのご検討というのはあるんでしょうか。
A:(気象リスク対策課)今のところ、そういう予定はありません。今後、問題があれば考えていくことになろうかと思います。
A:そういう意味で、防災気象情報が新しくなり、単に整理されただけの要素の部分もありますが、氾濫のところの特別警報というのは、全く新しくできたところですので、今年度、実際に出ましたから、そういう事例を見ながら、初めての年ですから、当然いろいろと検討していくことにはなろうかと思います。
Q:すいません、最後にもう1問、直前予測について、先ほどからいろいろとご説明いただいているかと思うんですけれども、想定と比べますと、適中率が想定に及ばなくて、その代わり捕捉率が上がっているとか、そういうことであれば納得がいくんですけれども、適中率も捕捉率も両方及ばないというような、かなり厳しい状況になっていると思うんですが、それについてはどういうふうにお考えなのか、そして改善の見込みというのがあるのか、これ改めてお願いします。
A:今ここに9月9日時点のものが手元にあるんですが、まず半日前については、適中率が13パーセント、捕捉率は52パーセント。これは一応目標をクリアしていて、直前予測はもっと近いからよくなるだろうと思ったのですが、適中率が33パーセントで、想定は50パーセント、捕捉率は69パーセント、想定は80パーセントだからマイナス11パーセント。これを及第点とするかどうかというのはありますが、どういうふうに外れたか、これからチェックをしていきたいと思います。また言い訳と言われるかもしれませんが、3時間降水量に関しましては、91パーセントということですので、これだけを逆に大雨の事前の情報と見てほしくないというのは、先ほどから申し上げていますが、これが出たらどこかで大雨になりますので、そこはそういうふうに使っていただける。線状降水帯が出た方が、絶対的に雨量が上がりますから、この危険度を知らせる情報にもしたいですが、そこはもうちょっと努力が必要だと思っていますし、努力を続けていきます。
Q:線状降水帯について、繰り返しになってしまいますが、半日前予測はインフラの点検や交通の準備などで重要になると思います。その半日前予測でも、適中率が今おっしゃったように10%台しかありません。また重要なのが、3時間降水量100mmが直前だと9割ですが、半日前だと約半分しかありません。これは結構まずいのではないかと思うのですが、ここについてお考えがあればお願いします。
A:一つ一つの事例をもう少し見なければならないと思いますが、今回、同じようなパターンといいますか、前線にまたがっていろいろなところで出るだろうというものを、前線の位置を間違えたために、たくさんの事例を見逃したりしております。そもそも総観場的に間違えた場合には、線状になるか以前に降っている場所が全然変わってしまいますから、多分、総観場の予測がまずかったのではないかと思っています。そこはどれくらい外れてどうだったのかというのは、これから振り返ろうと思いますが、大雨になる場所はだいたい当たっていたけれども、その列に並ぶような滞留のパターンにならなかっただけなのか、そもそも総観場をずらして、そこでいくら何をやっても当たらない状況になったのかという、そこをいろいろ分類しながらでないと、多分、直すべきところも変わってくると思いますので、もう少しお時間をいただいて、しっかりと分析させていただければと思います。いずれにしろ課題だと思っております。半日前で3時間100mmが50%を切っているというのは、課題だと思っています。
Q:9月9日時点で半日前の予測精度を確認させてください。
A:改めて9月9日時点で申しますと、半日前については適中率が13%、89回中12回です。それから捕捉率が52%、23回中12回、予測ありのうち3時間降水量が100mm以上の雨は49%で、これは89回中44回です。直前が適中率が33%、66回中22回、捕捉率が69%で32回中22回、3時間降水量100mmに対するものは91%で66回中60回という形になっています。
Q:ありがとうございます。冒頭、AIも活用してこういう予測を改善していくというお話がありましたが、今、AIを本格的に気象予測に入れることは2030年あたりを視野にやっていらっしゃると思います。AIの使い方もいろいろとあると思うので、例えばAIナウキャストなど、いろいろな民間も取組みを始めていますが、できるところからどんどん取り入れていこうというお考えはあるのでしょうか。
A:AIの使い方はいろいろあると思います。もう出来合いのものを持ってきて、こういう問題を解いてちょうだいというようにやるのもありますし、一から中身も作って対応するというのもあります。今、そういうAIの使い方についてのあるべき姿を、交通政策審議会の気象分科会で専門の先生にいろいろ聞いております。まだ会合がありますので結論は出ておりませんが、これまでのご意見ですと、例えば予測モデルのようなものはやはり自前でいろいろと変えていかなければならないので、自前で中身も分かってやっていかなければならず、自分の努力でということになります。けれども、AIの技術の進展はすごいスピードで進んでいますから、持ってきてすぐ使えるような業務、中身が分からなくてもとりあえず活用して、それで非常に業務が改善されるようなものであれば使うということもあります。監視したパターンを読み込むとか判断するとか、これは今、私が勝手に思いついたのですが、数値予測、天気予報、シミュレーション以外にもいろいろ活用できると思います。すぐ持ってきて使える部分、自前で本当は作り上げなければ将来問題が生じる部分、いろいろ分析しながら、早く入れるものは2030年を待たずに活用していきたいと思います。実際、台風の予測については、もちろんいろいろな国の予測モデルを見ていますが、ご存知の通りECMWFはAIを使っていますし、そういうものをもちろん見ております。参考にするという意味では、実質上そこでAIの威力というのは一部活用させていただいています。それは他人が計算したものを、出来合いのものを持ってきているということで、活用しているといえるかどうか分かりませんが、そのような似たようなものを、我々が導入する事前のやり方としては一つありなのかなと思います。いろいろな段階でいろいろな業務に順次入れていきたいと思っています。
Q:さすがに線状降水帯までは無理でしょうけれども、局地現象にも使えるところはナウキャストというのもあり得るということでしょうか。
A:ナウキャストはどちらかというとパターン分析のようなところがありますから、馴染みはかなりあろうかと思います。ただ、まだ具体的には計画はありませんが、順次入れられるところは入れていきたいと思います。
Q:海外ですごく進んでいて、例えば日本の細かいデータを使えば彼らのモデルも良くなるようなケースもあるかと思うのですが、そのデータの提供ということでは、気象データは世界共通、みんなで使いましょうというのが基本ではあるものの、日本の細かいデータはある程度制限していった方がいいのかというような議論が、先ほどの分科会でも出ています。この辺はどのようにお考えでしょうか。
A:実は会議は5回くらいやろうと思っておりまして、最初の分科会の前半は、気象庁がどのようにAIを導入していけばいいか、もしくは導入の時にどういうことに注意しなければならないかを議論しています。今まさにおっしゃった、世間がAIを活用するにあたって、気象庁はいろいろデータを持っていますが、AI社会の中でデータを持っている気象庁としてどういう振る舞いをしなければならないかというのは、後半でいろいろ議論をされてくると思います。世界をリードしている巨大なコンピューター会社などもあります。そういう環境の中で、我々がどのようにしていけばいいのかというのは、後半でいろいろと検討していきたいと思います。
Q:長官としてはやはりオープンにということでしょうか。
A:もともと気象データをオープンにすべきですが、日々のレーダーデータや観測データなど、みんなが活用していて我々も世界からもらっているようなものは、総合的にシェアするというのがあるべき姿だと思っています。また、研究が進むためにも、使っていただくためにデータを使いやすく置いておくことは重要で、我々も相当使いやすくしていますが、まだまだ使いにくいというご意見もありますので、そこは改善していかなければならないと思います。ただ、何でもかんでも提供するのがいいのかどうかというのは、後半の専門家のご意見も聞きたいと思っています。
Q:今月27日に、御嶽山の山麓の王滝村で開催される追悼式についてお伺いいたします。今回、野村長官がその追悼式に参列される予定と伺っております。気象庁の長官としての追悼式への参列は、発災翌年の2015年以来、11年ぶりになるかと思いますが、今回、長官として参列することになった経緯や、参列を決めた理由、その意義については、どのようなことを長官として感じておられるのか、お考えを聞かせてください。
A:今年1月まで、一部のご遺族もしくは行方不明の方のご家族との間では、裁判で原告と被告という関係になってしまっておりましたので、先方のお気持ちも鑑みまして、裁判が終了するまでは追悼式に出ておりませんでしたが、今年は特別な年で、それが終わったということです。10年間近く、そういう場には遠慮申し上げていたのが終わった年だと思いますので、特別だと思っております。ですので、意見交換会もやりましたし、それから慰霊登山にもうちの職員が何人か参加しました。そして、今度の追悼式に私も出ようと思っております。今年は特別な年だという考えのもとに参加しようと思っております。山びこの会に所属されている方々とは、先日、意見交換会も行いましたが、おそらくそこに入っていない方々もいらっしゃると思います。もちろん、その方々が全員来られるかどうか分かりませんが、27日にはお会いできるかもしれません。そういう方にも、もし差し支えなければお声をかけたいと思っています。
Q:長官もご説明されたと思うのですが、今年は特別な年ということで、慰霊碑の訪問、意見交換、慰霊登山への職員派遣という経緯があると思うのですが、これは今年限りの話であるということなのか、今後、山びこの会と気象庁としてどのように向き合っていきたいと考えているのか、どういう形で気象庁の職務に生かしたいと考えているのか、来年以降の追悼式やそれへの参加、遺族との意見交換のあり方について、この点についてはどのようにお考えかお聞かせください。
A:来年度以降は未定ですけれども、関係者の皆様といろいろと相談しながら決めていきたいと考えております。また、参考にということですが、例えば他の関係者の方々は、これまで10年近くずっと追悼式にも出席しておられて、だんだん少しずつ減ってこられると思いますので、そういう状況なども参考にしながら、今、我々としてどのように対応すればいいかを考えていきたいと思っております。
Q:改めて、新たな防災気象情報のこれまでの運用に関しての受け止め、評価をお聞きしたいのですが、長官、先ほど、レベル2からレベル3を経ずに4になるようなケースについて、対応に戸惑う声が耳に入っているような発言がございましたが、これは主に土砂災害ではないかと思うのですが、もともとレベル3をスキップするケースが相当数あるというシミュレーションは運用開始前からありました。実際、この数の多さは想定内なのか、あるいは思ったより多いのか、どのようにお感じになっているでしょうか。
A:千葉豪雨にしても、和歌山の洪水の特別警報の時もそうですが、急激に変化する場合、予測が追いついていないことがほとんどだと思います。例えば土砂に関して非常にやり方を変えたのは、以前のやり方だとそれはそれで問題があるので、それをクリアするためにこうしました。ただ、防災情報でよくあるのですが、状況がちゃんと予測できるという前提でシステムができてしまっている部分があろうかと思います。予測が前もってできていれば、その何時間前、何時間前にそれぞれのレベルを設定しましょうというやり方なのですが、いきなり実況で大雨がきた場合には、仕組み上は無理なのです。ただ、その場合、ベストな方法があるのかどうか、ちょっと私も今分かりません。今年始めた情報ですので、出水期が終わったら、その辺の問題は部内でもどうすればいいのか考えたいと思います。すぐ来年変えたらまた混乱しますし、一部いじるとまた別の問題も出てきたりしますので、出水期が終わったらゆっくりと考えたいと思います。問題だとは思っています。
Q:その関連で、レベル3警報が自治体にとっては高齢者等避難を出すにあたっての大変目安になる重要な情報なので、良し悪しは置いておいて、それを出す判断をするいとまがないような状況が続くことに対して、非常に苦慮しているような声も相当聞こえてきていますが、このあたりも踏まえて、避難情報に直結する部分はある程度弾力的な運用も考えなければいけない場面もあるのかなと思いますが、そのあたりは何かお考えあるでしょうか。
A:正直言って、すべては予測精度の問題から出ているのかなと思います。今の予測精度のまま、少しでも可能性があるならば少し前もってレベル3を出そうとすると、多分すごい回数になってしまうこともあります。やはりもう少し確度を持った上でとなると、3と4と5の間が非常に短くなってしまうというところがあります。特にこれから温暖化も進んで、積乱雲系の雨が増えてくると、以前のような乱層雲系の雨に比べたら急激にというのは増えてくると思いますが、そうすると予測も難しく、変化も激しくなります。今、ベストなソリューションはありませんが、基準の決め方はいくつか工夫がありますから、そこを微修正でどれだけのことができるかは検討してみたいと思いますが、多分もう予測精度を上げるしかないのかなとは思っています。
Q:冒頭のところで熊本のお話を述べられたかと思うのですが、その熊本でも今年から始まった酷暑日が記録されていまして、36地点で酷暑日になったというお話をされていたかと思います。西日本を中心に暑くて、秋の訪れももう少し遅れるのではないかというお話をされていたかと思うのですが、その酷暑日に関して、制定の時に、顕著な高温への警戒を効果的に呼びかけていきたい、その指標の一つとして使いたいというお話をされていたかと思います。この酷暑日の運用が国民の熱中症予防であったり、防災活動にどのように影響を与えたか、どのように評価しているかという点についてお聞きできますでしょうか。
A:急には思いつかないのですが、やはり酷暑日が増えているということは、注意しなければならない状況が増えているということになろうかと思います。大丈夫だと言って活動をやってしまうといった、そういう対応というのは減ってくるのかなと思います。ご案内の通り、高校野球もいろいろな試合のやり方を変えましたし、おそらく学校でのいろいろな活動のやり方も、監督する先生方は熱中症のことを相当気にしていると思います。それから、建設現場での現場監督の方の注意も相当だと思います。私も住んでいるところの近くの工事現場で掲示板を見ましたが、暑さ指数を表すような掲示もされていました。やはり酷暑日という名前をつけて、酷暑日が出たと明示的にお知らせすることは、警戒を高めるということには寄与してくると思っております。これからも、まだ今は東日本はどちらかというと日照が少ないのであまり暑くないという印象がありますが、今後、例えば旅行で西へ行く方は連休中も気をつけていただきたいですし、こちらも晴れれば相当暑くなりますし、そもそも今、関東の人はあまり暑さに慣れていないと思うので、急に晴れたら非常に熱中症にかかりやすいと思いますので、そういう意味でも気をつけていただきたいと思います。
Q:レベル5の氾濫特別警報について伺うのですが、国土交通省としては、レベル5の情報が重大だということで緊急速報メール配信を市町村と協力して実施しているのですね。同じレベル5の情報でも、大雨特別警報、土砂災害特別警報は配信されず、レベル5の氾濫特別警報は配信されるというところで差が出てしまっているのですが、これは国土交通省の方に歩調を合わせるというお考えはありますでしょうか。
A:(防災企画室)ご指摘の通り、氾濫の情報につきましては国土交通省から緊急速報メールで発表されているという状況でございまして、4年前に廃止する時も国土交通省と調整をいたしまして、我々は廃止する、国土交通省は続けるという結論に至ったということでもございますので、我々としてはその当時の判断を今も引き続き続けているという状況でございます。
Q:先日の名古屋の大雨の時にも、庄内川の支流があふれた時には地元では緊急速報メールが流れていて、ただあれだけ名古屋で浸水被害が出ているのに、仮に大雨特別警報が出ていた場合には流れないというところで差が出てしまうというのが現状だと思うのですが、そのあたりもまた内閣府の検討会を踏まえてということになりますでしょうか。
A:いろいろ検討会でいろいろなご意見が出ると思いますが、先ほど申し上げた通り、基本的に気象庁が緊急速報メールで我々の情報を流すというのは非常に難しいですし、無理がありますし、基本的にはできないというのが、やるべきかどうか以前に、できないというのが答えだと思います。それは、仕組みというのは、まさに携帯会社のいろいろな、どちらかというと放送局さんのシステムを、これは便利だなと思って気象庁がそれを借りてきていじって、そこに直接やるという話と似たような話で、一時期はできるけれども、そちらの会社の技術者の人と比べて我々は知識がないので、多分対応がそのうちできなくなると思うのです。そういう意味でも管理上もやはり好ましくない。実態上も民間のソフトの方が非常にきめ細かくなっていますから、それを広めるという方が私は適切だと考えておりますが、検討会で専門の先生がそこは何と言うか、関心を持って聞いていきたいと思います。
(以上)




