長官会見要旨(令和8年5月20日)
会見日時等
令和8年5月20日 14時00分~14時20分
於:気象庁記者会見室
発言要旨
冒頭、私からいくつか述べさせていただきます。まず、新たな防災気象情報でございます。
すでにお知らせしております通り、今月29日から新たな防災気象情報の運用を開始する予定でございます。この新たな防災気象情報では、大雨等の気象状況と住民の皆様が取るべき避難行動とを結びつけやすくするため、5段階の警戒レベルに合わせて統一的な名称で警報を発表することが大きな特徴となっております。例えば、大雨の情報ですと、避難行動が必要な段階では「レベル4大雨危険警報」、すでに大雨による災害が発生または切迫しており、緊急的な安全確保行動が必要な段階では「レベル5大雨特別警報」というように、情報の名称そのものにレベルの数字を付して発表いたします。運用開始まで残り1週間となっております。この新たな情報が国民の皆様の避難行動はもちろんのこと、自治体など防災関係機関の様々な防災活動に、効果的に活用されるよう、引き続き周知広報にもしっかりと取り組んでまいりたいと思います。報道機関の皆様におかれましても、周知広報へのご協力をよろしくお願いいたします。なお、運用開始を29日0時から確実に行うために、前日28日の日中からシステムの切り替えを行ってまいります。たくさんの情報の切り替えが行われますけれども、切り替わった段階から、新たな情報で発表させていただきますので、ご留意いただければと思います。
また、これに合わせまして、線状降水帯に関しての直前予測、これも始めたいと思っております。線状降水帯が発生する可能性が高まっていることを、発生の2時間から3時間前を目標にお知らせするものでございます。この情報については、「線状降水帯直前予測」というテキストの情報を発表するとともに、「線状降水帯予測マップ」というものも同時に発表いたします。我々の情報では、例えば、雷とか突風に関しましても、情報そのものと、またマップの上でどうなっているかという面的情報、これを合わせて発表しておりますけれども、この直前予測も同じような形態で始めさせていただきたいと思っております。
次に、梅雨の大雨のおそれについてでございます。今月3日に奄美地方、4日には沖縄が梅雨入りいたしました。これから本格的な出水期を迎えます。例年7月頃にかけて梅雨の時期となりまして、特に梅雨末期につきましては、甚大な災害をもたらすような豪雨がこれまでも多く発生しているところでございます。人が亡くなるような災害が毎年起こっております。ぜひ情報を仕入れて、適切な避難等を行っていただきまして、住民の皆様にご自分の命を守っていただきたいと思っております。今回の防災気象情報の改善により、取るべき行動がわかりやすくなっておりますので、例えばレベル4危険警報、それから、高齢者等におかれましては、レベル3の警報でございますけれども、それが出ましたら、山の斜面の近くや川のそばの危険な場所にいらっしゃる場合には、自治体から発令される避難情報等を聞いて、しっかりと避難行動を取っていただきたいと思っているところでございます。
梅雨の情報は皆様の関心も高く、またお問い合わせも多いので、ホームページの「よくお寄せいただくご質問」の欄に「梅雨について」の解説のページを4月末に追加しております。皆様ご関心の梅雨の時期等もですね、今、予報関係者、いろいろ検討しているところでございます。速報値ではございますけれども、梅雨入りしたらその数値も表に入れさせていただきますので、ホームページの情報をご活用いただければと思います。
これから湿気の多い梅雨の季節を迎えるわけではありますけれども、4月には岩手県で大規模な林野火災が発生いたしました。先日も、中国地方ですかね、火災が発生しております。人為的な原因等もあるのでしょうけれども、我々としては、気象の情報も適宜提供していきたいと思っております。そこで、ホームページに「林野火災予防ポータルサイト」というものを設けております。このポータルサイトには、乾燥注意報や強風注意報の発表状況を含む気象状況、それから昨年度、森林火災との関係が深いというふうに見られました降水量の平年比のマップですね、昨年もその火災が起こったところ、地図上でも平年比が非常に少ない茶色い地域になっておりましたけれども、この図も毎日更新しております。先日、中国地方の山火事、もちろん人為的な部分も関係しておりますけれども、降水量前20日間の合計の平年比では中国地方は若干雨が少なめになっていると、こういうことが毎日分かるようになっておりますので、ご活用いただければというふうに思っているところでございます。
それから暑い日がだんだん出てきております。今月に入って猛暑日となる日が出てきておりまして、本当に全国的に暑い日がたびたび発生しております。この先も1ヶ月予報によりますと、特に北日本や東日本を中心に、全国的に気温が高くなると予想されております。日々、暑さ指数や熱中症警戒アラートをご覧いただいて、十分に対策をとっていただきたいと思います。学校などでは、いろんなクラブ活動、責任を持たれている先生方、それから、工事現場の監督の皆様、この暑さ指数、それから熱中症警戒アラートを十分に活用して、また最近では建設現場で暑さ指数そのものを測っているというような取り組みを聞いております。そういうような形で、ぜひ、暑さに対して、警戒を図っていただきたいと思っております。
それから3番目はですね、先月20日に発表しました北海道・三陸沖後発地震注意情報についてでございます。4月20日16時52分に発生した三陸沖の地震に伴いまして、気象庁では同日19時30分に北海道・三陸沖後発地震注意情報を発表したところでございます。今回も、色々な呼びかけを内閣府と共同して適切に行うことができたというふうに考えております。ただ、この情報、不確実性が高い情報であることや、それを踏まえて取るべき防災対応を含め、情報の意義や活用方法について、住民の皆様に平時からより一層普及啓発していくことも必要というふうに考えております。いろいろなアンケート結果も報道等で我々も参考にさせていただいておりますけれども、やはり住民の皆様の、特に防災行動をどう取るかというところにつきまして、まだ課題があると思っておりますので、引き続き内閣府等と連携しまして、マンガ冊子の配布、多言語リーフレットの活用、SNSによる情報発信、それから、英語版を含むホームページの解説に加えまして、本年3月末に公開した巨大地震に関するショート動画集も活用いただきまして、気象台を通じて自治体等とも連携しながら全力で普及啓発の取り組みに努めてまいりたいと思っております。
最後に、気象庁からの刊行物「気象業務はいま」についてでございます。 6月1日は気象記念日でございまして、明治8年、1875年の6月1日に気象庁の前身となる東京気象台で観測を開始したことを記念するものでございます。今年は151回目の記念日となります。気象庁では毎年この記念日に合わせまして、「気象業務はいま」を発行しております。今年の「気象業務はいま2026」では、昨年行いました気象業務150周年記念式典、それから昨年成立した気象業務法及び水防法の一部を改正する法律、今月末から運用開始する新たな防災気象情報、そして、地域防災支援の取り組みをはじめとして、線状降水帯や台風、気候変動、地震、火山などのさまざまな分野における気象庁の最新の取り組みを紹介しておりますので、皆様にもぜひご覧いただければと思っております。
私からは以上です。
質疑応答
Q:冒頭言及がありました、北海道・三陸沖後発地震注意情報についてお伺いします。初めての発表だった昨年12月の経験が今回どのように生かされたのでしょうか。先ほど長官からも課題として認識されているとありましたが、情報が住民の行動変容に結びついてないのではないかというような調査もある中で、気象庁としてそのような課題をどのように認識しているのでしょうか。また今回浮き彫りになった新たな課題があるのでしょうか。お伺いできたらと思います。
A:今回もですね、一通りは大きな問題なく対応できたと思っておりますけれども、特に今回、前回と比較して工夫させていただいたのは、報道発表等において、三陸沖を含む千島海溝・日本海溝周辺の地震活動の推移、それから今回の地震活動の活動域の周辺で発生した留意すべき過去事例の活動経過等を新たに示すとともに、地元気象台で速やかにポータルサイトを立ち上げるなど、より早い段階から最新の地震活動状況や留意事項、それから地震調査委員会の評価結果などを積極的に情報発信してまいりました。ご指摘の通り、情報が住民の行動変容に結びついていないとの調査結果があることは認識しております。気象庁といたしましては、この情報の意義についてよりご理解いただけるよう、内閣府とも連携して、一層の普及啓発に努めてまいります。今回の課題について、現時点で明確となったものは特段ないと認識しておりますけれども、今後の対応については、内閣府と協働して、さらなる改善に向けて、引き続き検討、対応してまいりたいと思っているところでございます。
Q:梅雨の備えについて冒頭で発言いただきましたが、先ほど地震もありまして、そこでも呼びかけがあったと思うのですけれど、改めて、梅雨の最中でのこうした強い揺れへの備えの部分について、何か注意点などあれば教えてください。
A:梅雨に入っている奄美周辺で地震がありました。震源の海域からすると、沖縄本島近海での地震というふうになりますけれども、今回の地震、揺れの強かった地域では落石や崖崩れなどの危険がありますので、今後の地震や、それから雨に十分注意していただきたいと思っております。今後1週間程度、特に今後2、3日の間は、同じような最大震度5強程度の地震に注意していただきたいというふうに思っております。今回の地震、今後1週間警戒していただきたいと思いますけれども、地震一般の話をさせていただきますと、地震がよく起こっているところで、次に大きな地震が起こるとは限らなくて、今までの、例えば熊本地震とかですね、色々な地震を振り返ってみても、あまりこう注目されてなかったところにドーンとくるということでございまして、いつどこでも日本、特に日本列島というのは、プレートがぶつかり合う力が加わった地盤の上にできた島でございますので、いつでも力が加わっていて、どこでも裂ける可能性がありますので、特に浅い地震、プレート間の海溝型の地震が少ないような地域であっても、大きな被害をもたらしたりしますので、どの地域におかれましても、大きな地震が起こった時に最大限命を守れるように、例えば、寝る場所のそばにあんまりタンスなどを置かないとか、それから地震起こった後の飲料水などを準備するとか、自分のところにいつでも来るという感覚で対応していただければと思っております。
Q:新たな防災気象情報の関連でお伺いします。これまで気象庁の方でも説明会などで周知を図ってきたところだと思います。運用の開始をまもなくに控える中で、現時点での国民への浸透の度合いは、一定程度浸透してきたというご認識なのか、それとも思ったように進んではいないのか、現状、長官のご認識をお伺いさせてください。
A:実際アンケートを取っておりませんので、なかなか定量的なことは分からないのですけれども、最近、特に今月になってから、テレビ等でも非常に熱心に取り上げていただいておりますので、一度はこういう変更があるということを耳にされた方は多いんじゃないかというふうには推測しております。ただ、変更の内容が非常に多いので、すべてを正確にご理解いただけているかどうかというのは、なかなかわからない部分もございます。引き続き、一生懸命普及啓発していくということなんですけれども、今後ですね、これは起こってほしくないですけれども、被害をもたらすような現象があった時に情報が出ますけれども、そういう時に非常に集中的にお知らせしていくことも重要かなと思っております。南海トラフの情報も、それから北海道・三陸沖の情報も、実際起こってから皆さん関心が高まって、説明もよく聞いていただけるという状況だったと思いますので、今後、梅雨時、現象と合わせてしっかりとご説明申し上げるというところが大事かなというふうに思っております。
Q:今の質問の関連で、新たな防災気象情報について、変更の内容が多いというお話もありましたけれども、その中でも特に住民の方に知ってほしいところとか、重要なポイントがあれば教えてください。
A:やはり住民の方に一番行動を起こしていただきたい部分というのは、レベル4の情報です。もちろん、高齢者の方とかはレベル3から対応していただきたいですけれど、多くの方はレベル4の段階で、特に自分がその対象となる地域におられた場合には、「まさか自分は大丈夫だろう」というような考えにならずに、行動をとっていただきたいと思います。レベルだけではわからない場合もあるかもしれませんので、今回、危険警報という名前を付けさせていただきました。ですので、レベル4、もしくは危険警報という名前の情報が自分の地域に出たら、しっかりと避難していただきたいと思います。皆さんもご案内の通り、特別警報が出るような非常に大変な状況で移動して、移動中に亡くなる方がこれまでたくさんいらっしゃいました。レベル5の段階に移動すると非常に危険でございます。水というのは巻き込まれたら人の命を奪うような恐ろしい現象でございますので、絶対にレベル5までならないうちに動いていただきたいというふうに思っております。そういう意味で、レベル4というレベルの番号、そして危険警報という名称、これだけでもしっかり覚えていただきたいなというふうに思っているところです。
(以上)




