長官会見要旨(令和8年1月21日)

会見日時等

令和8年1月21日 14時00分~14時25分

於:気象庁記者会見室

発言要旨

 冒頭私から大きく2点のことについて述べさせていただきたいと思います。
 まず、目先の大雪に対して、注意すべき事項を改めてお伝えさせていただきます。皆さんご案内かもしれませんけども、北極において北極振動というのが、今起こり始めていまして、今の状態は、北極の寒気が中緯度に落ちやすい状態になってきました。そういう影響で、この先、日本付近は強い冬型の気圧配置が続くということになります。今日ぐらいから非常に強い冬型になってきておりますけれども、これがかなり長く続くのですけれども、まず、その第一波は今度の日曜の25日まで続く見込みです。5日以上続きますので積雪の量が増えます。例えば、日々の量が少なくても、雪が続きますので、最終的にかなりの積雪になるというように考えています。
 また、ただ雪が降るだけではなく、日本海に日本海寒帯気団収束帯、JPCZと言っていますけれども、そういうものがぶつかる可能性のある北陸地方から山陰にかけての日本海側、そういうところは警報級の大雪となるとことがありますので、警戒していただきたいと思います。
 26日に1回緩む予想ですが、その後も、19日の発表の資料でもありました通り、北から寒気が舌状に日本の方に張り出していまして、26日にちょっと引きますが、そのあとも、この舌状の寒気がずっと居続けますので、相当長い間、雪が続くということになりますので、積雪地帯の方々は本当に警戒していただきたいと思いますし、準備も進めていただきたいと思います。特に、雪の降る地域に夏タイヤなどで絶対に行かないでいただきたいと思います。不要不急、急ぎの用事がなければ雪の強い地域に絶対行かれないようにということを申し上げたいと思います。そういう意味で19日、国土交通省の関係部局と共同で、大雪に対する国土交通省緊急発表を行いまして、大雪などへの警戒を呼びかけたということでございます。引き続き、大雪や路面の凍結による交通障害に警戒してください。また、除雪作業中の事故や道路上での車の立ち往生などに対する備えもよろしくお願いいたします。
 それから、冬型の気圧配置となる日が多い影響で、東日本、西日本の太平洋側を中心に降水量が少ない状況となっております。当然、火の取り扱いに十分注意していただきたいと思います。今後も降水量が少ない予想となってきておりますので、注意を続けていただきたいと思います。

 2番目は、今日は、本年最初の定例会見ということになりますので、今年の重点事項、それから実施したいと考えていることについて、お話させていただきたいと思います。
 12月の定例会見でも申し上げた通り、昨年は重要な業務について、例えば検討会を開くとか、法律を改正するとか、準備を行うということで業務を進める上での、基(もと)を築いた年でありました。それに対して、今年は、それらを実施していく年になります。具体的にいくつか述べさせていただきます。
 まずは、5月下旬からの運用を予定しております新たな防災気象情報でございます。皆さんご存知の通り、河川の氾濫については特別警報が導入されます。また、避難に関わるレベル4に相当する情報では、危険警報というものも導入されます。前回の会見でも申しました通り、気象庁としましても、引き続き、皆さんに知っていただくための色々な取り組みを進めますけれども、報道機関を始めとする関係の皆様にも、ぜひぜひご協力いただきたいと思います。国民の皆様が、5月の段階まで情報体系が変わるんだということを知っていただくとともに、その中身についても十分な理解を持っていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それから線状降水帯への取り組みでございますけども、特に、今年は5月下旬から直前の予測を運用開始します。これまで2~3時間前予測と呼んでいたかもしれませんけども、「線状降水帯直前予測」というように統一して呼んでいきたいと思います。これに伴いまして、大雨のおそれのある大まかな領域を「線状降水帯予測マップ」つまり、今後3時間以内に線状降水帯の大雨のおそれがあるという領域を示したマップとなりますが、これを定期的に更新して面的情報として提供します。このマップは常時提供しますけれども、加えて、線状降水帯による大雨の可能性が高まった場合には、その旨を「線状降水帯直前予測」としてお知らせするようにいたします。この情報が発表された場合、防災気象情報や自治体の避難情報等を踏まえまして、動けるうちの早めの対応をとっていただきたいと考えております。
 次は、地域における気象防災業務、地域防災支援の改善ですけれども、昨日この検討会の矢守座長から報告書をいただきました。詳細は昨日発表した通りでございますけれども、ポイントは3点でございます。
 今まで我々の地域防災支援というのは、市町村、つまり避難指示を出す、市町村長に対して、積極的に色々な連絡を取るということを中心にやってまいりましたけれども、やはり昔からカウンターパートである都道府県、これがやはり重要だということです。特に、最近の災害を振り返りましても、熊本地震でも、それから能登半島地震でも、広島の土砂災害でも、やはり県に災害対策本部が置かれて、また、政府の現地災害対策本部もそこに置かれて、また、いろんなインフラ系の会社等もそこに人員を貼り付けるということで、まさにこうした場が重要なわけですね。そこに確実に継続的にちゃんと支援をできるということが重要であるということです。今まで支援した市町村にとっても、やはり都道府県の災害対策本部で情報が集まって共有されますので、そういう意味でも、都道府県に継続的かつ確実に支援できるということはまず確立しなさいということをいただきました。
 2つ目は、一部の管区の気象台では行っておりましたけれども、民間主体であっても、非常に公共性が高い、つまり何か災害があった場合に、公的な役割をしなさいと災害対策基本法でも定められている指定公共機関など、そういうところをしっかりと支援しなさいと、堂々と気象台の仕事として支援しなさいということです。各地の気象台の職員も、民間主体が対象だと躊躇したところあった部分は事実であるのですけれども、これからは堂々と支援しましょうということでございます。
 3つ目は、地方整備局ですとか、厚生局ですとか、その地方の国の出先機関とともに働いて交流・協力を進めるようにということをいただきました。この3つの対象をその役割と意味を考えながら、しっかりと支援していきましょうということを提言いただきました。また、実際こうした取り組みを進めるにあたっては、気象防災アドバイザーや民間気象事業者と、もっと協力してやりなさいということもございました。今までも協力していますが、足りないというご指摘もいただいたところです。我々は、この提言を受けまして、しっかり進めていきたいと考えております。
 いずれにしましても、昨日この報告書をいただきましたので、これはあくまでも提言でありますから、気象庁として何ができるのか、これを基にどういうことをすれば、その提言の内容が実現できるのかということをしっかり検討しまして、まさに実施、実行に移していきたいと思います。今年中にすぐできることもあるでしょうし、また数年かけてやらなければいけないこともあるでしょうけれども、この提言を基に、この提言を根拠に、物事を進めていきたいと思います。
 それから地震・津波に関する経験からの改善ということでございますけども、まさに今年は熊本地震から10年、それから東日本大震災から15年という節目の年になります。私もこれまでのキャリアの中で、地震火山部に行って、1か月後に熊本地震が起こりまして、本当に大変でしたけども、まさに色々なことを教えていただいた地震でございました。
 これらの災害の経験をもとに、地震発生後の注意喚起の呼びかけの改善を行ったことですとか、観測施設のバッテリー運用時間の長時間化など、国民の皆様の安心・安全のための取り組みを進めてまいりました。このような大災害から10年、15年の機会に改めてこれまでの対応について振り返りを行い、改善すべき点があれば改善していきたいと考えております。
 加えて、昨年12月には初めての北海道・三陸沖後発地震注意情報の発表がございました。また、一昨年には南海トラフ地震臨時情報の発表がありましたが、こうした巨大地震災害に関する情報発信についても、今回経験したことで、次の改善の基(もと)が揃ったと思っております。今後実施される内閣府による自治体等へのアンケート調査や、対応振り返る中で出てきた課題に対して、内閣府とよく連携しながら改善を図りまして、より的確な情報の運用や普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
 その他、津波警報等の対象地域の伝え方や、大規模噴火時の広域に降り積もる火山灰への対策など、個別の課題についても情報改善の実現に向け、引き続き準備を進めてまいります。
 このようにですね、昨年までに作りましたこの基礎を基(もと)にしまして、それを実行に移していく年にしたいと考えております。
 また、今申し上げたことの基盤には、線状降水帯を始めとした予測技術向上のための、まさに技術開発が大変重要でございます。予測モデルの改善やその利用の高度化については、引き続き重要課題として実施してまいりますし、まさにAI技術ですね、AI技術の利活用などの新たな取り組みについても積極的に取り組んでいきたいと考えています。
 昨年の150周年の式典でも申しましたけれど、まさにこれから新たな時代を作っていくという強い決心で、今年1年のスタートを切りたいと考えております。
 私から以上でございます。

質疑応答

Q:今長官からのお話もありましたけれど、今年は熊本地震から10年、東日本大震災から15年という節目の年、そして、今年正月早々鳥取、島根で大きな地震もありました。改めて長官の方から国民に対してですね、地震そして津波に対しての呼びかけ等ありましたらお願いします。

A:まず、正月から地震もございましたけれども、日本では、いつどこでも大地震が起こる可能性があります。また、政府の地震本部の発表でもございます通り、地震が起こる確率というのも非常に高い数字が示されておりますので、まさに今何も起こってない状況を非常に貴重な時間だと思いますので、いろいろな対策、例えば、兵庫県南部地震から皆さん学んだのは、倒れやすい物の中で寝ないということでありますとか、それから東日本大震災からは、津波の情報を受け取ってどう逃げればいいか、車を使うか使わないかでいろいろ議論ございますけれども、実際そうなったらどうなるのかということを、今から想定して、しっかり準備をしていただきたいと思います。いろんな備えについても、理想論に沿って何かいろいろ揃えようとしても、結局何もしないということになってしまいますので、自分のできる範囲で、例えば水を3日間分揃えるとか、私の場合ですと、風呂の湯は次使うまで捨てないとか、いろんなことを少しずつ少しずつできることを積み重ねて、準備していただきたいと思います。
 また、自分の町でどこに避難すればいいのか、危ない場所はどこなのか、いっぺんに全部やるんじゃなくて、一つ一つこの次はこういうのやってみようかなとか、積み重ねながら、地震への対応力を高めていただきたいと思います。また、我々自身も、この東日本大震災を受けまして、津波警報の改善を行いました。例えば、マグニチュード8を超える巨大地震が発生した直後に、地震の規模が正確には推定ができない段階でどうするか、まさに予想の高さは「巨大」として発表するなどの見直しを行って、平成25年の3月から運用を開始しました。また、熊本地震を受けましては、皆様ご記憶があると思いますが、大きな規模の地震が起こった後の呼びかけの文言も工夫した経緯もありますし、余震という言葉については、熊本地震は1回目より2回目の方が規模が大きかったので、ある程度の期間は余震という言葉を使わないなどの取り組みをしました。
 ただ、そういう取り組みを行ってきましたけれども、10年、15年経ちましたから、これでいいのかという観点での見直しの要否も含めて、いろいろ考えることも必要だと思います。今年はそういう検討の年にもしたいなと思っておりますので、また、皆様方にいろいろご意見を伺う場合もあるかと思いますけれど、よろしくお願いしたいと思います。

Q:先ほど太平洋側で雨が少ないというところで、昨日の3ヶ月予報でもありましたが、かなり乾燥状態が続いてて、このままいくと30年に一度の記録的な少雨ということも見えてきてるというところだと思うのですけど、この辺り気象庁として危機感、どう思っておられるのか改めて伺わせてください。

A:まだ今日の段階で基準に達してるかどうか、案外ギリギリのとこまで来ていると思うのですけれども、非常に太平洋側は乾燥していて、火災の起こりやすい状況だという危機感を持っております。基準に達した場合、今年から運用している消防庁、林野庁と連携した発表等をしっかりと行って、今こういう状態だということを訴えていきたいと思います。その前からいろいろ各地で火事が起こってますので、いろんなところ火の取り扱いかなり注意されてるとは思いますけれども、気象の側からは、まさに森林火災などに関係が深い少雨の状況ということについて、事実関係としてしっかりと発表したいと考えております。

Q:先ほど長官、熊本地震から10年、東日本大震災から15年ということで、これまでの対応を振り返り、改善すべき点は改善していきたいという、次の改善の基が揃ったというお話をされましたけれども、何かこれ具体的にですね、この改善策というものを例えば年内に何か具体的なプロダクトとしてお出しになるのか。その時期も含めて何か見通しがありましたらお聞かせください。

A:取り組もうと言い始めたところではありますが、あまり長く時間をかけるということでもありませんけれども、例えば、後発地震関係の方はですね、内閣府と一緒に連携して進めてまいりますが、何らかの結果が出るのではないかと考えています。
 それから熊本地震で始めた地震の後の呼びかけの文言についても、これもずっと同じようにやってきましたけれども、このままでいいかどうか部内でもいろいろ検討してですね、必要なければ続けていきますけれども、必要があれば変えていこうと思います。1年以上かけても多分意味がないと思いますので、もし変えるのであれば、やっていきたいなと思います。もしくは年内に決めて、少し経ってから変えるということもあるかもしれませんけれど、検討を1年以上やろうというつもりはないですね。

Q:冒頭にあった寒気の件なんですけれども、23日衆院が解散して選挙期間中になるかと思います。25日までが一度目のピークでその後もさらに続くというお話でしたので、選挙期間中の影響とかですね、あるいは活動する際の注意点なんかもしあれば教えてください。

A:選挙活動を全部わかっておりませんけれども、雪の降る地域においては、外を車で走るということは非常に難しい状況だと思います。もちろん、夏タイヤで走る人は多分絶対いないと思いますけれども、それでもスタッドレスでもなかなか大変な状況だと思います。ですので、無理をなさらず、本当に雪の状態を確かめて、走行していただきたいと思います。道路に関しましては、例えば自治体ですとか、道路管理者それから高速道路会社とかですね、いろんなところから情報が出されます。注意の呼びかけも出されますので、そういうところをしっかりと聞いていただいて、従っていただきたいと考えております。

(以上)