長官会見要旨(令和7年12月17日)

会見日時等

令和7年12月17日 14時00分~14時40分

於:気象庁記者会見室

発言要旨

 冒頭、私から、5点述べさせていただきます。
 はじめに、12月8日に発生した青森県東方沖を震源とする最大震度6強の地震についてです。まず、この地震で被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 気象庁としましては、引き続き、適時的確な情報提供等を通じ、政府の関係機関とも連携しながら、被災自治体の支援に全力で対応してまいります。
 この地震の対応で特徴的な点が3点ございました。
 一つ目は、みなさまご案内の通り、この地震の発生を受けて、令和4年の運用開始以降初めてとなる、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の発表を行いました。津波避難対策特別強化地域に指定されている市町村を中心に、北海道から千葉県にかけての防災対応をとるべき地域の方々におかれましては、すぐに逃げられる態勢の維持や非常持ち出し品の常時携帯など特別な備えの対応をいただきましてありがとうございました。大きな混乱もなく落ち着いて対応いただけた背景には、報道機関の皆様をはじめ本情報を伝達することにご協力いただいた皆様のこれまでのご尽力によるものと考えております。改めて感謝申し上げます。
 昨日16日に赤間防災担当大臣からも呼びかけがありました通り、既に1週間が経過したことから、後発地震に特に注意すべき期間は終了となりましたが、過去の世界的な事例を見ると、モーメントマグニチュード7.0以上の地震発生から1週間以上経過した後に大規模な地震が発生した事例もあります。大規模地震が発生する可能性がなくなったわけではありませんので、地震や津波に備えることは重要です。引き続き、日頃からの備えをよろしくお願いいたします。
 また、今回の地震においても、根拠のない誤情報、誤った情報の流布が行われたことは皆様ご案内のとおりです。地震や津波の情報については、気象庁の記者会見や、ホームページなどを通じて正確な情報を発信していますので、こうした根拠のない誤情報に振り回されないよう、引き続き、よろしくお願いいたします。
 地震について2点目は、12月12日の参議院予算委員会において、高市総理から、津波警報等の対象地域について、できるだけ市町村名を明確に出すことを検討するようご指示があったところです。
 気象庁では、直ちにできる対応として、報道発表資料に津波警報等の発表対象地域と対応する市町村名を明記し、記者会見の場でも説明することといたしました。更に北海道については、地元の方が理解しやすい振興局の名称も併記し説明するようにします。なお、テレビのテロップなどにおける津波警報等の表示の変更には、関係の皆様においてシステム改修などのご準備も必要かと承知しております。そういう事については、テロップ以外の方法も含めまして、市町村名等での情報発信にご協力いただけましたら幸いでございます。
 地震について3点目は、平成23年東北地方太平洋沖地震を受けて、防災科学技術研究所が東日本の太平洋沖に整備した海底地震津波観測網であるS-net(日本海溝海底地震津波観測網)のデータを緊急地震速報に活用することにより、最も揺れの強かった地域でも、強い揺れを感じる10秒程度前に緊急地震速報を発表することができました。南海トラフ地域でも同様の観測網であるN-net(南海トラフ海底地震津波観測網)の活用を開始していますが、こうした技術向上の成果を、国民の皆様にご提供できたものと考えております。
 2点目は、大雪やこの時期の気象等の注意事項でございます。
 12月に入り、降雪や、最低気温が氷点下になる日も多くなっております。山地で大雪となったり、平地でも積雪となるところがあるなど、寒さや雪等への対策が必要な季節となりました。
 今週後半から来週前半にかけては、冬型の気圧配置が緩んで全国的に平年より気温が高い傾向を予想していますが、1月は冬らしい寒さが戻ってくる見込みです。この時期、帰省や旅行などで移動される方も多くなると思いますが、冬は低気圧が急速に発達するなど、雪や風が急激に強まることがありますので注意が必要です。嵐の前の静けさにだまされないよう、天気予報をよく見ていただき、最新の気象情報や交通機関への影響等を確認いただくようにお願いします。また、乾燥することが多くなる季節となりますので、引き続き、火の取り扱いには十分ご注意いただきますようお願いします。
 3点目は、来年の出水期から予定している防災気象情報の改善についてです。
 先月もお話しました「気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案」につきまして、12月5日に成立となりました。そこで定められた洪水の特別警報や高潮の共同予報の創設も含めて、「防災気象情報に関する検討会」で示された方針に沿った新たな防災気象情報の形、即ち、河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮の警報等を5段階の警戒レベルに合わせて運用していくことなどについて、昨日(16日)、金子国土交通大臣から正式に公表いたしました。
 運用開始は令和8年5月下旬頃を見込んでおり、気象庁としましても引き続き準備に取り組んでまいりますが、今後は国民のみなさまへしっかりと周知していくことが大変重要となっております。
 このため、リーフレットなどの広報コンテンツを作成・配布するほか、講演会等の開催、ホームページやSNSを通じた情報発信など、様々な広報活動を展開することを予定しています。
 是非、国民の皆様におかれましても、洪水の特別警報の新設や警戒レベル4相当の危険警報の新設など、防災気象情報に大きな変更があることを知っていただきたいと思います。また、より社会への浸透を図り、国民のみなさまにご理解いただくためには報道機関をはじめとする関係のみなさまとの連携も必要不可欠と考えております。この新たな防災気象情報が正しく活用され避難などの防災行動に適切につなげられるよう、引き続き、ご理解とご協力をよろしくお願いします。
 4点目は、令和7年度補正予算についてです。
 12月16日に成立した令和7年度の補正予算には、「線状降水帯・台風等の予測精度向上等に向けた取組の強化」と「大規模地震災害・火山災害に備えた監視体制の確保」の2つを柱とした予算を計上しております。
 線状降水帯・台風等による大雨災害が近年頻発している現状を踏まえ、線状降水帯に関する情報はこれまでも改善を進めてきましたが、引き続き予測精度を向上させ、段階的に情報改善に取り組んでまいります。
 このために、線状降水帯や台風等の予測精度を飛躍的に向上させる次期静止気象衛星の整備を着実に進めます。さらに、二重偏波気象レーダーの整備などに加え、自治体の防災活動を直接支援する気象防災アドバイザーの活用の促進等に必要な経費を計上しております。また、今年9月に静岡県で発生した突風被害を踏まえ、AIやドローンを活用した突風調査手法の調査に係る経費についても計上しております。
 また、切迫する南海トラフ地震等の大規模地震や火山災害の防止・軽減に資するためには、地震や火山の観測体制を維持・強化することが重要です。このため、地震観測施設の整備、津波観測装置の更新、火山監視・観測用機器の整備などに必要な経費を計上しております。
 今回補正予算にて計上した予算については、こうした喫緊の課題を解決するためのものであり、激甚化・頻発化する自然災害から国民の生命・財産を守るために、今後速やかな執行に努めてまいります。
 最後に、本日の会見が今年最後の会見となりますので、この1年についての所感を述べたいと思います。
 まず、今年の夏は、群馬県伊勢崎市で国内最高気温となる41.8℃を観測したほか、夏の平均気温としては、一昨年・昨年に続いて3年連続で統計開始以降の記録を更新する高温となりました。9月に開催された異常気象分析検討会において、この夏の気温は地球温暖化の影響がなければほぼ起こりえないような高温であるとの見解が示され、まさに過去の気候と異なる気候に変わりつつあることを実感した夏でした。今後も地球温暖化による長期的な気温上昇が続くと考えられることから、変わりゆく気候に対し社会として適応していくため、気候変動に関する情報や、異常気象に備えるための気象情報がますます重要になってくると認識しております。気象庁としましては、科学的に信頼できる情報を適確に国民の皆様にお伝えして、気候変動への適応を支援していきたいと思います。
 次に、今年も前線や台風による大雨による被害が発生いたしました。8月は前線による九州地方を中心とした大雨、9月の初めには台風第15号による大雨等、10月には台風第22号、第23号が相次いで伊豆諸島などに接近し、各地で大きな被害が発生いたしました。こうした大きな被害を伴う大雨については、やはり線状降水帯の発生によるものが多くなっています。
 令和7年の線状降水帯半日前予測の成績についてですが、11月14日時点で、都道府県ごとの集計で適中率が約14%と当初の想定よりも低くなりました。一方で、捕捉率は71%と当初の想定よりも大きく上回りました。
 来年の出水期には、今後3時間以内に線状降水帯の発生する可能性が高まったことをお知らせする線状降水帯直前予測の運用も開始する予定です。引き続き、線状降水帯の予測精度向上については、最重要課題として取り組んでまいります。
 なお、線状降水帯の半日前予測の情報を発表した場合には、その約6割で、3時間降水量100ミリを超える、被害が生じるような相当量の大雨になっています。このため、この半日前予測の情報を見聞きした場合には、引き続き、大雨災害への心構えを一段高めていただくことが大切と考えています。
 このほか、9月の台風第15号については、静岡県で国内最大クラスの突風が発生し、甚大な被害が発生しました。
 気象庁では、被害の発生後、速やかに現地に入り突風の調査を行いましたが、被害が多くかつ範囲が広大であり、迅速な突風の強さの推定が難しい状況がありました。
 この点については、先ほど申し上げました令和7年度補正予算において、より迅速かつ効率的に突風の強さの推定等を行うために、AIやドローンの活用などの調査を行い、必要な体制の検討に着手する計画です。
 気象の関連では、昨年度の冬は太平洋側を中心に少雨となり、特に2月から3月にかけては岩手県大船渡市をはじめ、各地で大規模な林野火災が発生しました。
 本日報道発表をさせていただいておりますが、気象庁では、消防庁と林野庁が開催した有識者検討会での議論も踏まえ、記録的な少雨時においては、その状況を住民に周知するとともに、火の取り扱いへの注意を呼びかける取り組みを令和8年1月より新たに実施することとなりました。
 具体的には、過去に発生した大規模な林野火災の状況と同程度の少雨の状況となっていることを気象情報で周知することや、火の取扱いへの注意喚起に関する消防庁・林野庁との合同記者会見を行うことにより、林野火災発生の低減に寄与していく考えです。
 このような状況が確認されましたら今後情報提供を行ってまいりますので、報道機関の皆様におかれましても、注意喚起へのご協力をお願いいたします。
 地震火山関連では、6月21日からトカラ列島近海において地震活動が活発となり、7月3日には悪石島において最大震度6弱を観測する地震が発生いたしました。地震の回数は12月3日までに震度1以上の地震が2,397回発生しています。この回数は、通常日本国内で1年間に発生する震度1以上の地震回数とほぼ同じであることを考えますと、地元の皆様は大変ご心配をされたことと思います。
 この一連の地震活動について、気象庁では十島村の対策本部へJETT(気象庁防災対策支援チーム)を派遣し、地震活動の状況や気象の見通しなどを解説するとともに、7月からはポータルサイトを気象庁ホームページ上に開設し、きめ細かな情報を提供してまいりました。
 トカラ列島近海の地震活動は低下してきており、また規模が大きな地震の回数も減少しておりますが、現状程度の地震活動、つまり、震度1以上の地震が1日数回発生する状況は当分続く可能性がありますので、引き続き地震活動の状況に注意をお願いいたします。
 また、7月30日には、カムチャツカ半島東方沖を震源とするマグニチュード8.8の地震が発生し、岩手県久慈港で141cmの津波を観測するなど、日本の広い範囲で津波を観測しました。
 今回の大規模地震に起因して、日本では長時間に渡って津波が観測されました。気象庁では、会見において長時間津波が継続する根拠をお示しするとともに、各地の津波の状況を監視し、おおむね適切な情報発信ができたと考えております。ただ、津波が長時間継続する中で、また暑い時間帯もあったなかで、タイミングも含めて、もっときめ細かな説明ができたのではないかとのご意見もうかがっており、今後さらなる情報発信の充実に努めてまいります。
 また、この夏は、特定の日にちや場所を示して、大地震が起こる、といったデマ情報がSNS等で拡散されました。
 これまでの会見の場において、地震予知は現在の科学技術において非常に困難であり、そういった情報に振り回されないよう申し上げておりました。デマ情報への対応につきましては、気象庁としては一定の役割を果たせたと考えております。
 現在、地震や火山に関する基本的な知識を学習することができるコンテンツの公開を順次進めているところです。デマを見抜くには科学的なものの見方が有効です。今後もしっかりと普及啓発に努めてまいりたいと考えています。
 最後に、本年は気象業務を開始してから150年の節目の年でありました。6月2日には、天皇陛下のご臨席を仰ぎ、記念式典も開催させていただきました。
 この節目に、150年の我々の先輩方や関係者の偉大な歩みを振り返るとともに、時代や社会のニーズに併せて、変えていかなければならない部分に気づくきっかけともなりました。式典においても新たな時代を切り開くと申し上げましたとおり、次の50年、100年に引き継いでいくために、しっかりと現下の課題を解決してまいりたいと思います。
 私からは以上です。

質疑応答

Q:来年から運用開始される新しい防災気象情報についてですが、この災害が切迫しているときに新しい情報が出るということで混乱を招く可能性もあるかと思います。運用開始までどのような発信をしていくのかということと、その発信を受ける国民それぞれがどんなふうに受け止めて欲しいかどう備えて欲しいかお考えをお願いします。

A:新たな防災気象情報が正しく活用され住民の避難行動に繋がるために、今後しっかりと周知啓発していくことが大切だと考えております。法改正の前から災害時に情報を伝える報道機関や避難情報を発令する市町村等に対しまして、昨年度から説明会を開催し、ご理解をいただきながら、丁寧に準備を進めているところでございます。今般、昨日報道発表させていただきました通り、法改正を踏まえて、新たな防災気象情報の体系を整えることができました。これを契機として、具体的な内容も含めまして、本格的に広報活動を展開していく計画でございます。具体的には、避難を始め、防災行動をとっていただく住民や事業者等の皆様に対して、リーフレットなどの広報コンテンツを作成、配布する他、講演会などの開催ホームページやSNSを通じた情報発信など、順次精力的に進めてまいります。また、政府広報や自治体の広報などを通しての普及もお願いしてまいります。国民の皆様の中には、このような改善についてまだご存知でない方が多くいらっしゃると思っております。まずは情報が大きく変わるということを知っていただいた上で、その中身をさらに詳しく理解いただくための取り組みを行ってまいりたいと思っております。その中で今回の改善で目標としている「シンプルでわかりやすい防災気象情報」について皆様に“確かにわかりやすい”とご納得いただけるよう、しっかりと説明を行ってまいりたいと思います。報道機関の皆様も引き続きのご協力をお願いいたします。気象庁といたしましては、新たな防災気象情報について、関係省庁などの機関と協力して、情報伝達に関わる自治体関係者や情報を利用いただく全ての国民の皆様に的確に情報を受けとめていただき、情報を行動に繋げていただきたいと考えているところでございます。

Q:先ほど、この1年の所感ということで振り返られましたけれども、今年1年を振り返って漢字1字で表すとするならばどうですか。その1字にかけた思いをお伺いできればと思います。

A:質問が出るかなと思って考えてきました。私が考えたのは、最初は猛暑の「暑」にしようかなと思ったのですけど、それではなくて、基本の「基」を選ばせていただきました。といいますのは、今年は、防災気象情報につきましても、提言が出たのは昨年ですけども、法改正などの準備をしっかりと行って、それを基に来年度、まさに運用を開始するということになっています。それから台風についても検討会でいろいろ議論いたしました。これも今回提言いただいた内容を基に、今後運用に向けて作業を行っていくということです。それから地域防災支援の検討会もやっておりますけれども、予定では次回が最終回ということになって、計画では、1月ぐらいに最終的な提言書が出ると見込んでおります。そういう議論も今年やらせていただいて、あくまでも提言でございますのでそれを基にいろいろ今後実行していくわけですが、やっぱりそういう基のいろんなアイデアをいただいたそういう年だったと思います。基となるアイデアをいただいて、来年はそれを実行に移していくっていう、そういうものがいっぱいあったかなと思いました。
また150周年ということもありますが、先ほども申し上げました通り、これまで150年いろいろ培っていただいた先輩方の蓄積した、そういう基を意識しながら、次に新しい時代を作っていくということを振り返るきっかけにもなったということで、やはり今年やってきたことっていうのはそういう「基本のキ」に関係することが多かったなと考えています。それから先ほど申し上げた通り、デマに関することについても、そういうデマを見抜くためには、基本的な知識、科学的に観察して調べて、それで論理的な手法を用いて、結論を出すということが大切で、何か夢で見たとかそういうことではなく、基本に戻ってデマを見抜く、そういう意味で大事だなということも含めて、この漢字と思いました。

Q:林野火災についてちょっと伺いたいのですが、今は対象外となっているけれども既に岩手県などでは、林野火災や畜舎の火災とかも相次いでるかと思います。それで農家さんや住民らに長官から何か注意喚起したいことなどあればお願いします。

A:来月から林野火災に関する新しいスキームが始まるということで、要するに30年に一度程度の非常に極端な少雨の状況になりましたら、林野庁や消防庁などと連携しながら呼びかけを行い、我々からも少雨の情報を出すということになっています。そういう情報が出ましたら、火災の可能性、林野火災それからその周りの家も焼けてしまう危険があるということになりますから、その付近にいる方々には、火災について十分注意する、火の元について注意していただくということになろうかと思います。また実際にはじまるのは1月から5月という期間でございますけども、それ以外のときにも、少雨となりましたら、元々気象庁は10年に一度程度の少雨のときに少雨に関する気象情報というのを出して、おそらく今現在九州北部に出ているかと思いますけども、そういう情報にも、これまで以上に注意していただいて、火災への注意というものを喚起していただきたいと思います。元々農家の方々にとって、水は非常に大事な要素と思いますので、積算の降水量などは気にされていると思いますので、一般の方々よりは見ていただいているとは思いますけども、1月から始まる新しいスキームについてもご理解いただいて、活用していただければと思います。

Q:冒頭にお話があった北海道・三陸沖後発地震注意情報に関してなのですけれども、内閣府防災と取り組んでいらっしゃるかと思うのですが、冷静に社会が受け止めたという評価がある一方で、あまりなんというか響かなかったというか、社会の方にあまり届かなかったのではじゃないかというような指摘もあります。この辺りについて長官のお考えがあれば教えてください。

A:一つは、似たスキームである南海トラフに関しては、去年の8月に出ておりまして、そういう情報に対して、特にあのときは巨大地震注意でしたので、今回と似ている形だったと思うのですけれども、そういうときにどうするべきかということはあのときしっかり振り返りもできました。ですので、国民の皆様全体として、後発地震注意情報のような地震に関して呼びかける情報に慣れてきていらっしゃったのかなということは感じました。それから冷静に対応されたということについて、今ご質問にありました通り、やはり気象庁の地方組織もそうですし、自治体の皆様も、それからマスコミの皆様も、この後発地震注意情報についてかなりPRしていただいたかと思います。もちろんアンケートをとってその認知率が低いというご指摘はありましたけれども、ただ、実際それは住民の皆様おしなべて調査すればそういう結果になったかと思うのですけど、実際防災対応に関わる方々はかなりご存知だったのではないかなという気がいたします。特に東京よりも、東北とか北海道のマスコミの皆さんはかなり詳しかったのではないかなと思っています。それで、混乱なくいろいろとお伝えいただきましたし、併せてこの情報で何をしなければいけないかということもしっかりフォローしていただいたということで、私自身、非常に感謝しておりますし、このスキームの運用がうまくいったのではないかなと思います。ただ、やはり今回、特に北海道・三陸沖の方は初めてでしたので、例えば、我々の発表のタイミングだとか、いろいろと振り返ってみなければいけない部分や反省点もあろうかと思います。大きなミスはなかったと思うのですけども、せっかく今回情報発表がありましたので、そこはしっかり振り返って改善するところはしていきたいと思います。逆に皆様からも、いろいろアイデアがあれば、気づいたことあればおっしゃっていただきたいなと思っております。

Q:もう一点関連してなのですけれども、弊社でも取材していると東北の皆さんですね、3.11を経験しているのであれより大きいものはこないんじゃないか、というふうに思っている方も結構いらっしゃるみたいなんですね。ただ、日本海溝、千島海溝の最大級レベルですと、それを超えるようなところもあるかと思うんですが、南トラと比べると、やっぱり知名度がまだ低いというか被害の実相があまり伝わってないようなところもあるのかなと思うんですが、気象庁として今後取り組めることとしてはどんなことが考えられるでしょうか。

A:想定されているマグニチュードは8以上でございますので、まさにあの3.11の2日前にもM7クラスの地震があったということが、まさにこのスキームを始めたきっかけでございますので、おそらくその程度の地震が来る可能性も否定できないということは、東北の方はわかってらっしゃるのではないかと思いますけども、引き続き、しっかりと普及啓発を行っていきたいと思います。報道においても、やはり南海トラフの方が社会に対する経済的な損失とかが大きいといわれて、取り上げられることが多いですけれども、被害想定では亡くなる方の数においては、北海道・三陸沖の方も非常に大きい数字が出ていますので、そこは皆様方にも普及啓発のご協力をお願いしたいと思います。まだまだ足りない部分あるかと思いますので、今後もしっかりとやっていきたいと思います。

Q:今のお話で後発地震注意情報に関して、反省するべきこととして、情報発表のタイミングというのに触れられましたけれども、それは具体的にどのタイミングというか、どんな情報のことを指しておっしゃったのか教えてください。

A:今回のように後発地震注意情報の対象となるような地震が起こった場合で、今回夜中だったものですから、基本的には夜中地震が起こった場合には、大体2時間程度で報道発表しているところです。それと、この後発地震注意情報というものは地震発生から2時間を目安にして発表するとしている部分で、重なってしまうということがあります。そういう場合にどうすればよかったのかという点があります。今回は記者会見を確か2時間40分後ぐらいにやったのではないかと思いますけども、今回は臨機応変に対応いたしましたけども、同じようなことが起こったらどうすればよりよかったかとか、少し工夫もできるかもしれません。大元のこの仕組み自体は内閣府が管理しているので、内閣府とも相談しながら、内閣府のほうでも何かアンケートをとって振り返るというようなことも聞いておりますので、一緒に協力して振り返りたいと思っております。

Q:わかりました。今おっしゃったことの確認ですけれども、つまり先発地震の会見のタイミングと、注意情報を発表する会見の時間帯が重なっていたと今回は。

A:夜中の2時だったと思いますが、先発の地震は23時15分で地震が起こってから2時間後の1時15分に先発の地震の会見を始めて、後発地震注意情報は2時に発表して同時に、会見を行ったところです。

Q:あともう一点、津波の予報区の関係で伺いたいのですけれども、先日の12日の参院予算委員会、私も拝見しまして、通告のない質問として、まず話が出てきて、それに対して首相がその場で改善改めさせるというようなふうに応じまして、かなり急に動いた話かなというふうに感じたんですけれども、そもそも長官として、今の発表の仕方、予報区の名称ですとか、ホームページなどでの表示なども含めて情報発信の仕方として何か不十分だというふうに感じているのかどうかというのを教えてください。

A:議員の先生が北海道の方で、北海道の太平洋側の東部とか西部とか言われてもどこだかわからないということで、逆に本州にいる我々から見ると割とわかりやすいのではないかと思っていたのですけれど、今回気づいたのは、北海道の方々は、例えば、胆振と言った方が場所がわかるということで、我々は胆振というと読みも書くことも難しいですし、北海道胆振東部地震のときも我々命名しましたけど、報道などでは皆さん北海道地震といわれていたと思うのです。でも、そういう胆振とか、渡島とか、さすがに日高は皆さんがわかると思うのですけれども、現地でよく使っている言葉の方がわかりやすいという認識のギャップというものがあったのかなと思います。そういう意味で今回は総理から市町村名を明示したらとのご指示でしたので、市町村名も明記しますとともに、振興局名、今言ったように胆振とか日高とか、そういう名前も有効と考えています。明示的にもっと地元の皆さんに、聞く機会があればよかったなと思いますが、やり方が悪いというよりは、その地名に対する認識の違いっていうのがあったなと私は思っています。

Q:例えばですね、今警報とか注意報が出ると、気象庁のホームページだと、地図上で色分けがされて、どこに出てるかということは視覚的にわかると思いますし、テレビでもそういうような伝えられ方がしてると思うんですけれども、そもそも自分が住んでるところがどこで名称も含めて、どこなのかというのは知っておくべきじゃないかというような考え方もあるのではないかと思うんですけどその点はいかがでしょうか。

A:それはもちろん正論なのですけれども、わかりやすいに越したことはないということです。まさに逃げなきゃいけないのは地元の方なのですから、だから地元の方がわかるベストな方法っていうのはやっぱり探すべきかなとは思っています。それから、テレビの地図がやっぱり小さくて範囲がわかりづらいのかなとも思います。それからもう一つですね、これは金子国交大臣がおっしゃっていたのですが、ラジオでもわかるようにしなきゃいけないんじゃないかということです。ラジオで考えますと、市町村全部をいうのはむずかしいかもしれませんが、こういう場合は振興局の名前を使うのも有効なのではないかと思っているところです。

Q:あともう一点ですね、昨日発表されたその市町村名を、会見の資料などで併記するというのは応急的な対応だというふうに思うんですけれども、今後は名称自体を変えるのかどうかということに関しては今どういうふうに考えていらっしゃるのか教えてください。

A:少なくとも、まだこれについては庁内でいろいろ議論を進めていかなきゃいけないので結論は出ていませんけれども、私の考えでは、やっぱり今の北海道沿岸の津波予報区名はわかりにくいということは明示的に言われたわけですし、いろいろ北海道出身の方に聞いても、確かにわかりにくいと、振興局の方がずっとわかりやすいということでした。さっき言ったこの認識の違いがよくわかりましたので、いろいろ検討していかなければいけないと思います。今回の一つの反省は、地元の自治体の首長さんと毎年気象台長が会って、出水期前に電話番号の交換をしていて、それにも関わらず要望は出てこなかったのですけれど、もっともっとこう聞き出すということが足りなかったかなと思いますので、今一度、地元の気象台から自治体の皆さんにさまざまに聞いて、ちゃんと実際はどうなんだということを調べた上で、変えた方がいいという結論であれば、変えていかなければいけないかなと考えています。そのときには報道機関のみなさまには、大変申し訳ないですけれども、システムの改修もお願いしなければいけませんので、やはり伝える報道機関であるとか、それから自治体のシステムがちゃんと全部変わらないと変えられませんから、実際に変えるべきということになったら、ご協力をお願いしていくということになると考えています。まだ結論は出てませんけれども、まずは聞くということかと考えています。

Q:ちょっと今のところ関連しますけれどもお話があったように、市町村を全部読み上げると、相当時間も使ったりと放送の中もそうですし会見もそうですけれども、この辺り実際の運用として、長官どのように伝えていくのが良いと考えてらっしゃるかちょっと改めてお伺いします。

A:今そのことの答えは持ち合わせておりませんが、これからということです。実はこの津波予報区だけではなくて、同様の話は、将来その水位周知の河川などの洪水予報なども関わってくると思っています。今回は特別警報を出すのは指定河川なのでまだ数は少ないですから対応しきれますけど、国土交通省において水周知河川もどんどん指定河川にして、しっかり高度化していくという方向ですので、河川が増えていったときにどうなのかということも今後同様の問題があると考えています。ですから、こういったところは、報道機関の皆様とまさにご相談をさせていただくことだと思います。資料としては市町村単位で出しますけれども、例えば北海道の場合は、振興局の名前で読み上げるとか、北海道以外で県内に複数の予報区がある場合などは、どういう言い方がいいのか、もしかしたら地元の方が馴染んでいる呼び方があるのかも知れませんので、そういうところもしっかり聞き取って、どういう形がいいのか、まさに今はさっきも申し上げた通り、コミュニケーションの足りなさが今回の認識の違いになりましたので、しっかりと地元の方のお話、コミュニケーションとりながら考えていきたいと思っております。

(以上)