長官会見要旨(令和7年6月13日)
会見日時等
令和7年6月13日 14時00分~14時35分
於:気象庁記者会見室
発言要旨
まず、はじめに、6月2日に、天皇陛下のご臨席を仰ぎ、総理大臣、衆参両院議長、最高裁判所長官、国土交通大臣のご出席のもと、気象業務150周年記念式典を開催いたしました。天皇陛下をはじめ、祝辞をいただいた皆様、当日ご参加いただいた皆様に、改めて感謝申し上げます。式典において、いただきましたお言葉などから、気象業務への期待は非常に大きいと再認識いたしました。式典でも申し上げましたが、気候変動や頻発する自然災害に一層的確に対応できるよう、この150周年を節目に、新たな時代を切り開いてまいりたいと思います。
それでは、私から、3点述べさせていただきます。
一つ目ですが、6月の気象に関する注意喚起でございます。5月16日に九州南部が梅雨入りしたのを皮切りに、西日本から東日本の広い範囲で梅雨入りしました。6月9日には梅雨前線が九州南部に停滞し、鹿児島県指宿で日降水量345.5ミリとなり観測史上1位を更新したほか、鹿児島県で線状降水帯による非常に激しい雨が降るなど、大雨となりました。これから1か月余りの期間は1年のうちでも大雨の危険度が最も高まる時期となります。
毎年のように、この時期から7月にかけて、大規模な大雨が発生し、多くの方が亡くなるような災害となることも多くあります。最新の1か月予報では、前線の位置が例年よりも北に位置しやすい予想となっておりまして、例年大雨災害が起きやすい西日本や東日本に限らず、北日本でも、こうした災害を発生させうる気象状況に注意が必要です。
このことから、皆様にはこの時期は特に、天気予報で必ず大雨の可能性について確認していただくとともに、雨の状況を気象レーダー等でご確認しつつ、気象台から発表される注意報・警報などの防災気象情報にご留意ください。
また、実際に大雨となった際には、注意報や警報等に加えて、土砂災害、浸水害、洪水災害の危険度がどこで高まっているのかを地図上に示したキキクルも活用いただき、自治体から発表される避難の情報に従い、早めの防災行動をとっていただくようお願いいたします。
これから梅雨が本格的になってまいります。平成何年7月豪雨、令和何年7月豪雨という名前もご記憶にあると思いますけれども、それぞれ数十名の方々が亡くなるというような痛ましいことが起こっております。梅雨の期間中このような危険性が高まりますので十分ご注意いただければと思います。
一方、来週は太平洋高気圧が強まりまして、前線が北の方に行く予想になっていることから、太平洋高気圧に覆われる地域も増えてまいります。そうしますと暑さによる熱中症の注意が必要ともなってきます。消防庁の取りまとめによりますと、5月からの熱中症による救急搬送者数が昨年の同じ時期と比べて増えている地域があるなど、全国的に熱中症の搬送者数が増えております。先ほど申し上げた通り、来週は全国的に気温が高くなり、猛暑日となるところもある見込みです。様々な気温に関する情報や、環境省の暑さ指数、また環境省と気象庁が共同で発表している熱中症警戒アラートなどをご活用いただき、皆様が置かれている状況に応じて適切な熱中症の予防対策をとっていただきたいと考えております。
2点目は、「地域における気象防災業務に関する検討会」についてです。
近年、頻発し激甚化する自然災害に対応するため、地域の防災力を向上させることが喫緊の課題となっております。この課題解決のためには、気象台が、自治体をはじめとする地域の様々な主体と連携を深めていくことがますます重要になると考えています。
一昨日の11日に第1回検討会を開催し、JETT、気象庁防災対応支援チームでございますが、この派遣や気象防災アドバイザーの活用など、各地の気象台が実施する、地域の防災力向上を支援する取組を振り返りつつ、地域における様々な主体との連携のあり方についてご議論いただきました。
今後も、気象台の地域における役割をテーマに検討を行い、年内を目途に議論をとりまとめる予定です。
3つ目でございますが、世界気象機関、WMOの執行理事会第79回会合が、来週16日月曜から20日金曜にかけて、スイスのジュネーブで開催されます。私は執行理事として、この期間を通して出席する予定でございます。
WMOは気象業務に関する国際的な調整を行う国連の専門機関という位置づけでございます。今回の会議では、2027年に開催予定のWMO総会に向けて、次期4年間の予算や事業計画等の重要議題の審議が行われる予定です。
私としては、欧米等の主要国の気象局長官と協力しつつ、このようなWMOの運営方針や政策課題に関する重要な議論をリードしてまいりたいと考えています。
3つ申し上げましたが、最後にひとつお願いがございます。
今年の7月に日本で大地震が起こるという予言が報道等で見られるところです。先月の会見時にもお話いたしましたが、現在の科学的知見では、日時と場所、大きさを特定した地震予知は不可能です。そのような予知の情報はデマと考えられますので、そのような情報で心配される必要は一切ございません。一方、日本ではいつ、どこでも地震が起こる可能性がありますことから、これを機に、日頃の地震の備えの確認をお願いいたします。
私からは以上です。
質疑応答
Q:幹事社から2点質問させていただきます。1点目は先ほど冒頭でもお話されました、気象業務150周年を迎えられて、先日式典が開催されました。改めて、長官にこの150周年を迎えてのご所見と、今後の気象庁が果たすべき役割や展望、また、諸課題について、ご所見をお伺いいたします。
A:この度、天皇陛下のお言葉をはじめ、皆様から祝辞を頂戴し、気象業務に対する期待と、果たすべき役割の重要性を強く認識したところでございます。今回こうした期待の言葉を頂戴できたことは、これまでの業務の歴史の中で、常に最新の技術を取り入れて、精度の高い信頼ある情報の提供に努めてきたからこそと考えております。これからも技術を磨き、より正確で信頼を得られる情報提供に取り組んでまいります。また、気象庁が発表する情報は、国民の皆様や社会が防災行動を判断するための重要な情報となっております。国民の命を守り、社会を支える活動を行う全ての方々に情報が届き、内容が伝わり、適切に利用していただけるよう、関係機関との連携を一層広げるとともに深化させていきたいと考えております。
Q:もう1点は梅雨入りの関係ですが、今年はその九州南部が全国で一番早く梅雨入りしました。九州南部としてはかなり早く、この九州南部が全国で最初に梅雨入りしたのは1951年からの統計史上初めてとのことでお伺いしています。今年の梅雨入りの状況とあとその地球温暖化ないしは気候変動といった長期的な傾向との関連性についてと、これからの梅雨の中の時期における天候の見通し、ないしは、この時期の注意点などを改めてお伺いいたします。
A:今年は九州南部で平年よりかなり早く、5月16日頃に梅雨入りしたとみられると発表いたしました。これは上空の偏西風が平年のこの時期よりも北を流れ、太平洋高気圧の張り出しが一時的に強まって、梅雨前線が平年より北に位置していたためでございます。沖縄や奄美地方は高気圧に覆われていたため、九州南部が先に梅雨入りとなりました。また、その後、梅雨前線が一旦南下するタイミングで、5月19日に奄美地方、22日に沖縄地方の梅雨入りについて発表しております。平年の梅雨入りに先立つ時期に、この南アジアから東南アジア域の対流活動が一時的に強まりまして、それにより、偏西風が北へ偏って流れることや、太平洋高気圧の張り出しが強まることは、この季節に時々見られる自然変動でありまして、異常な現象とは考えておりません。このため、今年の状況に地球温暖化の影響があったとも考えておりません。それから今後の見通しと留意点でございますけれども、5月20日発表の3ヶ月予報では、梅雨の時期の天候について太平洋高気圧の張り出しが強まったり、湿った空気が流れ込みやすくなる影響で、梅雨前線の活動が活発になる時期がある見込みです。国民の皆様には、日頃から各地の気象台が発表する天気予報などにご留意いただいて、大雨の心構えを高めていただきますようお願いします。また、上空の偏西風が平年より北に偏っております。これによって日本付近が高気圧に覆われることがございますので、高温になりやすい見通しもお伝えしているところです。先ほど申し上げた通り、来週そのような状況になって非常に気温が高くなります。そういう意味で、熱中症に対する心構えも忘れずに、最新の気象情報をこまめに確認していただくようお願いいたします。
Q:地方気象台の移転の件をちょっとお尋ねしたいのですが、先日一部報道で、千葉、埼玉、滋賀、山口の4つの地方気象台が県庁所在地にないということで、それを今後、県庁所在地に移転を検討しているという報道が出たのですが、長官の現時点でこの4つの地方気象台についてこの点を検討されるお考えはあるのでしょうか。
A:報道は承知しておりますけれども、今気象台の移転について現時点で検討しているという事実はございません。
Q:先ほどご言及があった検討会、地方におけるという、こういうことも議論されるのかなと思ったのですが、そういう予定も特にないのでしょうか。
A:この検討会では気象台の役割、いろんな支援対象の機関との関係、そういうものを通じて、気象台の役割を確認していく、ご意見をいただくという検討会ですので、移転について議論するということはないです。
Q:先ほどの150周年の式典で、石破首相とか額賀衆議院議長が、AIの気象予測ということをわざわざ口に出しておっしゃったのと、陛下が線状降水帯とおっしゃったのは印象的だったのですが、AIについては、2030年に向けての提言の追補の中でも、もっと活用していきましょうというようなことが書かれていますし、気象研でもある程度研究を始めているので、少し動き出したかなという感じがするのですけども、今年度あたりからそれが加速して、例えば、独自のAI予測モデルを作るという方向にいずれ進む可能性があるのかということと、それはどちらかというとグローバルなモデルとか規模の大きいモデルになると思うのですけど、それと一方で線状降水帯のような局所現象にもAIの活用ということが今後あり得るのかどうか、その2点についてお考えを伺えればと思います。
A:AIについては非常に重要な技術と考えております。2030年に向けての業務の柱、交通政策審議会気象分科会で、3月にも出させていただきましたけども、そこで出てきた5つの柱の1つともなっております。そういう意味で将来導入しうる非常に重要な技術と捉えております。ですので、今まさに情報収集を行っている最中でございます。まだ具体的に何か開発ができたとかいうような段階には残念ながらなっておりませんけれども、そういう方向に進むべく今準備を進めております。まずはこれまでいただいた人員と予算で、AIの開発等をどうしていくかということを議論しつつ、今後、どれぐらいの開発体制が必要であるかということも見定めつつ、体制を固めていきたいと考えております。適用の対象ですけれども、まだこういう段階でございますので、グローバルなところに生かしていくのか、小さいところに生かしていくのか、そこはまだまだ定まっていないところだと思います。世界的には、ECMWF、ヨーロッパ中期予報センターが試験的に全球のモデルを動かしているということは承知しております。ただ、どこかが走らせているものをそのまま導入するというのは、中身がわかっていないといけませんから、やるのであればしっかりと中身を自分たちで作っていく、そういうつもりでおりますけども、どういうふうに進めていくかは、これから一生懸命考えていきたいと思っておりますので、進んでいく方向だとは今のところ考えております。
Q:進んでいく方向というのは独自のAI予測モデルも含めて、開発の方向へ進んでいくということでしょうか。
A:もちろんそれが今の数値シミュレーションモデルと比べて効率的なのか精度が上がるのか、その辺は確かめていく必要があると思いますけれども、少なくとも比較していく必要性というのはあろうかと思っております。
Q:独自のものと、ということですね。作りつつ比較もしてということですね。
A:まだ作ると決まったわけではございませんけども、作るかどうかを確かめる検討というのは必要だというふうに考えております。
Q:2点あるのですが、先ほど来、お話がある梅雨入りの関係だったのですが、九州南部が最初に梅雨入りしただけではなくて、沖縄の梅雨明けが早かったりですね、あと梅雨ではないんですけど台風の1号の発生が遅れたり、この季節の進行が平年とはちょっと違うかなという印象を受けるのですけれども、こう言った変化も含めて、気候変動の影響はなくて、ほとんど自然変動の範囲内というようなお考えでしょうか。
A:温暖化そのものというよりは、おそらく海洋上のですね、対流活動等々の影響が発端で、偏西風の流れが変わったり、そういうことが連動して、例えばフィリピン付近で海水温が低いと対流活動が抑えられていつもより台風の発達が遅れるとか、そういうことがあろうかと思いますけども、赤道上の海水温の温度分布等が発端でいろんな現象が繋がっている起こっている可能性はあります。そういう意味で、温暖化というよりは、自然変動の変化によってこういうことが起こっているのだろうというふうに思います。偏西風が北に偏れば当然前線が北に現れますので、前線の南側は太平洋高気圧になりますので、なかなか沖縄付近では梅雨入りが難しい、晴れ間が続く状況だったと思います。いろいろと繋がっていますので、そういう意味で赤道付近の対流活動というのはやはり非常に重要なファクターでございますので、引き続きしっかり見ていきたいと思います。
Q:あと例年梅雨の末期に大雨、線状降水帯とその梅雨前線が刺激し合って大雨になるということが多いかと思うのですけれども、今年はですね、もう既にそういう状態も局所的に発生しているかと思います。先ほどのお話で今年は北よりに前線が位置しやすいので北日本も注意というエリア的な注意喚起をいただきましたが、あの時期的なものも含めて心構えとしてどのような心構えにしておけばよろしいでしょうか。
A:前線の南北への振動はなかなか難しいものもありますけれども、今どちらかというと、本州に梅雨前線が横たわっている状態で非常に活発な状態です。九州での雨の降り方を見ても、非常に梅雨の中でも活発な状況が見られたかと思います。これから来週にかけては今度太平洋高気圧が強まって前線が北に行きます。元々が北寄りだったのでそれがまた北に行きますけれども、そういう意味では、いつもの年より北日本は梅雨前線に接する時間が増えるのではないかと思います。例年ですと、やはり梅雨というのは、九州、四国、中国地方、近畿、東海、そういうところが非常に被害が多いですけれども、今年は北日本それから北陸ですね、そういうところも梅雨前線に十分注意していただきたいというふうに思っております。また、北に行ってもそのままということは考えておりませんで、また戻りがあると思いますので、その頃は6月末から7月にかけての最も危険な時期になりますから、そのときは全国的にしっかりとこの大雨に対して注意・警戒していただきたいというふうに思っております。
Q:1点すいません。17日でですね、顕著な大雨に関する情報の運用開始から4年になるのですけども、いわゆる線状降水帯予測ということだと思いますけども、それに関してですね、先日ドロップゾンデによる航空機による観測を、気象研が試験的にやるという発表もありましたけども、その大気下層における観測の重要性についてですね、改めて長官のお考えを教えてください。
A:線状降水帯で最も重要なのは、何度も申し上げている通り、下層の水蒸気の流れとか量ですね。それをしっかり捉えるということだと思います。もちろん、どこで収束するかという空気の流れ、それから上空に寒気が入ってくるかどうかという、その上空の大気の流れも大事ですけれども、やはり下層もしくは水蒸気の立体的な分布ですね。それをしっかり捉えるということが大事だと考えております。今年は特にですね、昨年北陸地方、それから東北地方で線状降水帯が出ましたので、今年は上空の水蒸気を測るGNSS観測、船の上での観測ですが、これは日本海にも展開しようというふうに考えております。もちろんいつも通り九州の西方・南方も観測しますけれども、天気の状況を見ながら、前線が北に行くようであれば、日本海にも展開しようというふうに考えております。それから雨雲の状態を非常に正確に測るという意味では気象レーダーの技術も大事でございますけれども、近年我々が導入している気象レーダーは二重偏波という仕組みを使っております。この縦と横の偏波の違いを使って、雨量の観測も正確に測ることができるというものです。今どこで線状降水帯がどれぐらいの強度で出ているかということを把握するため、そういう展開もしっかりやっております。とにかくまずファクトをつかむということが大事なのはどの世界でも同じだとは思うのですけれども、特に線状降水帯の場合はなかなか予測が難しいものですので、そこをしっかり捉えていく、そういう観測測器の展開というのを強化しているところでございます。
Q:関連して、航空機による観測というのは以前から求める声というのはあると思います。台風とか線状降水帯っていうところだと思いますけども、今のところ観測船2隻というのが、主に洋上の観測体制だと思うのですが、航空機による観測、線状降水帯予測に関しては予算が近年飛躍的に増加しているという状況があると思いますけれども、そういうことも検討されるということはあるのでしょうか。
A:おっしゃる通り、洋上の観測は非常に地点も少ないので、そこをどう増やしていくかということが大事だと思っております。予算が増えてきたといっても限られた予算の中でどういう作戦をとっていくのが一番効率的か検討した結果ですね、今度打ち上げる静止気象衛星に立体的に水蒸気を測るセンサー、それをつけるということが、一番効果が大きいのではないかという判断に至りまして、3年後に打ち上げ、4年後に観測開始しますけれども、サウンダというのは、立体的に物を捉えるというものですけれど、これをつけるという選択をしたところでございます。他にも有用な方法あるかもしれませんけれど、やっぱり選択と集中というのはある程度必要と思います。この赤外サウンダのデータをどのように数値シミュレーションに入れることがいいのかという準備も並行してやっているところでございます。
Q:今日東京都議選が告示されて本格的な選挙戦が始まる一方で、来週にかけて猛暑が予想されています。もし注意喚起などあれば教えてください。
A:選挙に限らずいろんな活動されている方がいらっしゃると思います。工事現場の方々もいらっしゃれば、学校、それから農作業をされる方々もそうですが、本格的な夏というのは8月というイメージあるかもしれませんけど、太陽高度が一番高くなるのはこの夏至の前後で、晴れたら日差しは8月より強いです。そういう意味で普通は日本の場合は梅雨の雲に隠れて、そういうのがなかなか感じられない部分がありますけれども、今年は一時期晴れる時期が固まることになります。今みたいに少しその雲が多い時期から急に暑くなると体も慣れてなくて、被害が非常に大きくなる可能性がありますので、熱中症を軽く考えずに、しっかりと対策をとっていただきたいと思います。自分は大丈夫だって信じ込んでいる方多いのですけれども、自分は大丈夫というのは全く根拠がないので、しっかり対策をとって、私が言うのもなんですが、水分をしっかり取る、それから作業中は熱中症対策のいろんな工夫をしていただきつつ、また労働関係では熱中症に関する対策を取らなければいけないという規則もできたと伺っております。そういうものにもしっかり従っていただいて、作業している方に命の危険が及ばないような取り組みということも、そういう会社の方々にはお願いしたいなというふうに思っております。
Q:冒頭発言された中で一番最後に触れられた、7月に大地震が起きる云々の話、デマというふうにバッサリ切り捨てられましたけれども、気象庁として、やっぱり現状ちょっと看過できないというお気持ちの表れかと思いますけども、そのあたりの認識をもう一度聞かせてください。
A:本当に根拠のない情報で振り回されている方々がいるということ自体、本当に残念に思いますし、我々もはっきりと物を伝えていかなければいけないというふうに考えております。話を絡めるのは変かもしれませんが、気象業務150周年、我々も明治の時代から近代科学に基づいてしっかりといろんな活動をしてきましたけれども、この150年たっても、科学的に考えておかしな考え方を受け入れてしまう状況は非常に残念だと思います。先月も申し上げましたけれども、見えないことに対する不安感があるかと思います。その気持ちはわからないではありません。ですので、そういう方々に対して、はっきりと科学的な観点で信じないでくださいということを訴えるのが非常に重要だと思って、今月もお話させていただいたというところでございます。
Q:今のお話は発信元だけではなくて、とらえている現在の社会の状況みたいなものが好ましくないと、そういうことですよね。
A:社会の状況というのは私がコメントする立場ではないと思いますけれども、この近代科学の時代になっても、科学的な観点から外れた情報を基に判断が行われることがたくさんある状況というのは非常に残念ですし、ただ、それは人間の心理としてまたあるのかもしれません。それは専門の先生がご判断されるかもしれませんけども、そういう傾向があるのであれば、そうならないように、しっかりと訴えていかなければいけないなというふうに思います。
(以上)