長官記者会見要旨(平成20年5月15日)

会見日時等

平成20年5月15日(木) 14時00分~14時20分
於:気象庁会見室

発言要旨

14日、名古屋地方気象台及び津地方気象台から発表した「竜巻注意情報」について、気象庁の配信システムの不具合から関係機関への配信ができないという障害が発生しました。まず、このことにつきまして皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。原因はシステムを増強した際に設定変更に不具合があったためです。今後点検を行い、再発防止に努めます。
さらに障害対応として関係機関にはFAXによりバックアップとして送ることになっていましたが、名古屋地方気象台で用紙の裏表を間違えたために情報を伝達することができませんでした。さらに深くお詫び申し上げます。作業手順の徹底を図り、職員訓練を強化して、再発防止に努めます。
 5月2日から3日にかけてミャンマーでサイクロンにより、大きな被害が発生しております。5月12日には中国四川省で大規模な地震により甚大な被害が発生し、多くの犠牲者が出ているようでございます。こころよりお見舞い申し上げます。翻って見ますと、わが国も台風、地震が発生することの多い国であり、当庁といたしましても、引き続き的確に情報発表を行ってまいる所存でございます。
 先月28日、宮古島近海の地震で第1号、また先週8日、茨城県沖の地震で第2号となる緊急地震速報の警報を発表しました。ともに深夜でしたが、テレビやラジオで視聴された方も居られたと思います。緊急地震速報につきましては、予報精度の問題、発表時刻の問題、当初から震度1の誤差を持っていること、震源から近い場合間に合わないということは申し上げていましたが、このことについてより正確にお伝えして利用者に御理解頂くことがさらに必要と考えています。予報精度向上につきましては引き続き努力し、さらに向上に努めて参ります。
 これまでの予報精度の向上を反映して、台風予報の予報円の大きさを小さくすることを予定しています。防災対応の的確な実施ができると期待しています。また予報精度の向上に関連して、この夏に台風に関する特別観測実験(T-PARC2008)を国際的な連携の下に行います。この研究の成果によってさらに精度の向上につながればいいと思います。
 本年7月7日に開催される北海道・洞爺湖サミットでは、地球温暖化対策が中心議題になりますが、これを機に地球温暖化に関する正しい知識の普及を行いたいと思いまして、6月20日に気象記念日のイベントのひとつとして、『今までの気象とこれからの気象−地球温暖化を考えよう』という講演会を開催いたします。



 

主な質疑応答

Q.今年のクールビズの対応は?
A.今年も昨年同様、6月から冷房を控えるとともに、軽装を心がけるようにしてまいります。

Q.緊急地震速報は間に合わないことの方が多いのではないか?
A.震度4以下で予報を発表し、震度5弱以上で警報を発表しますが、茨城県沖の地震については予報は間に合っている地域もあり、必ずしも全て間に合っていないというわけではありませんので震度の予測の誤差プラスマイナス1を折り込んで有効に防災活動に役立てて頂ければと思います。

Q.ミャンマーのサイクロン、中国の地震に対し協力できることは?
A.ミャンマーのサイクロン対応については、当庁の台風センターが担当している北西太平洋域外の話になりますが、高潮予測などの技術協力的な支援は可能だと思います。また、中国の地震については、お気の毒に思いますし、わが国においても直下型など大地震が発生した場合には他人事ではないと考えていますので、緊急時にも業務継続が可能となるよう対応してまいります。

Q.今回のようなヒューマンエラーを起こした場合に処分はあるのか?
A.著しい過失や悪意がある場合は厳正な処分が必要と考えますが、組織として作業を行っているため、結果として起きてしまった過失については処分の対象の切り分けが難しいと思います。まずは、再発防止のための指導、訓練等を徹底してまいります。事故調査の例を見ましても先に処分を振り回すと、隠蔽することにつながる場合もございますので、社会通念を踏まえて対処していきたいと思います。


(以上)