海上分布予報

海上分布予報とは

 海上分布予報は海上警報や海上予報を補足する分布図形式の海上予報です。
 海上警報や海上予報と同じ海域について「風、波、視程(霧)、着氷、天気」の気象要素を格子単位(緯度・経度とも0.5度の格子)の分布予想図にしたものです。気象要素は以下のように階級で表し、24時間先までの予報を掲載しています。色別で表示しているため、海上の風、波、視程(霧)、着氷、天気の分布および分布の推移がひと目でわかります。

気象
要素
説明
6時間ごとの海上の格子内の最大風速を、風向および風速の階級で表します。風速は船舶で使われるノット(kt)で表し、「65ノット以上」、「50ノット~25ノットまでを5ノット刻み」、「25ノット未満」にそれぞれ区切った階級で表します。
6時間ごとの海上の格子内の波の高さを予報します。波の高さによって、「9.0メートル以上」、「6.0メートル以上」、「4.0メートル以上」、「2.5メートル以上」、「1.25メートル以上」、「1.25メートル未満」の階級で表します。
視程(霧) 6時間ごとの海上の格子内の霧による視程障害を考慮した「水平方向の見通し距離」の階級で表します。水平の見通し距離は船舶で使われる海里(およびkm)で表し、「0.3海里(0.5km)以下」、「0.5海里(1.0km)以下」、「0.5海里(1.0km)より上」の階級で表します。
着氷 6時間ごとの海上の格子内の船体への着氷の程度を階級で表します。予想される着氷の程度は「強」、「並」、「弱」、「なし」の階級で表現します。
天気 6時間ごとの海上の格子内の天気を予報します。”晴れ”、”くもり”、”雨”、”雪”の4種類で表します。

 海上分布予報は海上警報と同様に観測時刻(3時、9時、15時、21時)の気象解析に基づき、3時間後の毎日6時頃、12 時頃、18 時頃、24 時頃に発表します。

海上分布予報の利用方法

 気象庁では船舶の航行に危険となる現象が24時間以内に発生すると予想される場合に海上警報を発表し、更に先の天候の見通しについては海上予報を発表しています。船舶の安全な運航のため、危険な現象の予想や天候の見通しは必ず海上警報海上予報をご確認ください。海上分布予報海上警報海上予報と合わせて利用していただくことにより具体的な現象の分布や変化の推移を把握することができます。
 海上分布予報を表示すると、はじめに表示される範囲は日本近海全体です。多くの場合、全体的な現象の推移を確認するにはこの海域範囲が適しています。また、左のバーを上下すること、または「+」「-」ボタンを押すことにより拡大・縮小して見ることができます。風向の予想が知りたい場合などは、拡大すると確認が容易となります。

【海上分布予報の発表例 1(風の例)】

6時間後 12時間後
風向・風速分布FT6 風向・風速分布FT12
18時間後 24時間後
風向・風速分布FT18 風向・風速分布FT24

この例では、太平洋と日本海と両方に風の強い領域が予想されており、どちらも次第に北東に移動していく予想となっていることが把握できます。

【海上分布予報の発表例 2(視程(霧)の例)】

6時間後 12時間後
霧分布FT6 霧分布FT12
18時間後 24時間後
霧分布FT18 霧分布FT24

この例では日本海で視程の悪い領域が広がっていくとともに、北海道の東の海上でも視程の悪い状況が継続する予想となっていることがわかります。

【拡大表示の例】

三陸沖を拡大 日本海を拡大
拡大表示その1 拡大表示その2

海上分布予報の利用上の留意点

 海上分布予報の利用にあたっては、次の点に留意が必要です。

  • 気象状況の変化に応じて、海上警報は随時発表しますが、一方で海上分布予報は決まった時刻に発表します。最新の海上警報の内容と海上分布予報が異なる場合は、海上警報の内容がより新しい予報を示しています。
    また、図中の海域の境界をまたぐ格子の気象要素については、隣接する海域の海上警報海上予報を表しているケースがありますので、隣接する両海域に発表されている海上警報海上予報も合わせてご確認ください。
  • 海上分布予報は海上の現象の分布を詳細に予想するものですが、予想精度には時間的および空間的誤差を含みます。危険な気象現象が予想されている場合は、時間的および空間的に余裕を持った船舶の運行にご留意ください。

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