温室効果ガス等の観測地点(南鳥島)
気象庁では、南鳥島において、世界気象機関(World Meteorological Organization: WMO)の「全球大気監視」(Global Atmosphere Watch: GAW)計画の一環となる、温室効果ガス等の大気濃度を観測しています。 なお、GAW計画における気象庁の観測については、「温室効果ガス等の観測地点」もご参照ください。
南鳥島気象観測所
南鳥島気象観測所が置かれている東京都小笠原村南鳥島は、東京から南東へ約2,000km離れた日本の最東端の北太平洋上に位置しています(図1)。南鳥島は周囲約5.5km、面積約1.4km2の珊瑚礁から形成された孤立島です。観測所は東側の海岸に近く、卓越風が東よりであるため、大気バックグランド汚染観測にとっては好適な場所にあります。島の居住者は防衛省、海上保安庁(2010年3月末まで)、国土交通省関東地方整備局、気象庁の関係者のみであるため、局地的な汚染源がほとんどなく、今後数十年にわたっても大きな土地利用の変化は予想されないなど、GAW全球観測所の設置条件を満たしています。南鳥島気象観測所での観測種目、使用測器などは表1のとおりです。
図1 南鳥島気象観測所の位置
図2 上空からみた南鳥島の様子
表1 南鳥島気象観測所での観測種目、観測頻度及び使用測器
観測種目 | 観測開始 | 観測頻度 | 使用測器 |
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二酸化炭素 | 1993年3月 | 連続 |
非分散型赤外線分析計 ・HORIBA, Ltd. VIA510R(1993年3月~2009年12月) ・LI-COR Biosciences, Inc. LI-7000(2010年1月~2024年3月) 波長スキャンキャビティリングダウン分析計 ・PICARRO G2301(2024年4月~) |
メタン | 1994年1月 | 連続 |
非分散型赤外線分析計 ・HORIBA, Ltd. GA360-S(1994年1月~2009年12月) 水素炎イオン化検出器(FID)搭載 ガスクロマトグラフ ・Round Science Inc. RCG-1(2010年1月~2024年3月) 波長スキャンキャビティリングダウン分析計 ・PICARRO G2301(2024年4月~) |
一酸化炭素 | 1994年1月 | 連続 |
非分散型赤外線分析計 ・HORIBA, Ltd. GA360-S(1994年1月~2009年12月) 還元性ガス検出器(RGD)搭載 ガスクロマトグラフ ・Round Science Inc. TRA-1(2010年1月~2024年3月) 波長スキャンキャビティリングダウン分析計 ・PICARRO G5310(2024年4月~) |
地上オゾン | 1994年1月 | 連続 |
紫外線吸収式オゾン濃度計 ・EBARA JITSUGYO CO.,LTD. EG-2001F(1994年1月~2006年12月) 紫外線吸収式オゾン濃度計(温度・圧力補正付) ・EBARA JITSUGYO CO.,LTD. EG-2001FTP(2007年1月~2009年12月) ・Thermo Fisher Scientific Inc. 49i(2010年1月~) |
クロロフルオロカーボン類(フロン類) | 2024年4月 | 1回/1時間 |
質量分析計(MS)搭載 ガスクロマトグラフ ・Agilent Technologies Inc. GCMS-5977 |
一酸化二窒素 | 2024年4月 | 連続 |
波長スキャンキャビティリングダウン分析計 ・PICARRO G5310 |
1,1,1-トリクロロエタン | 2024年4月 | 1回/1時間 |
質量分析計(MS)搭載 ガスクロマトグラフ ・Agilent Technologies Inc. GCMS-5977 |
四塩化炭素 | 2024年4月 | 1回/1時間 |
質量分析計(MS)搭載 ガスクロマトグラフ ・Agilent Technologies Inc. GCMS-5977 |
ハイドロフルオロカーボン類(代替フロン) | 2020年4月 | 1回/1時間 |
質量分析計(MS)搭載 ガスクロマトグラフ ・Agilent Technologies Inc. GCMS-5977 |
降水・降下じん化学成分(2020年12月観測終了) | 1996年1月 |
日ごと(降水) 月ごと(降下じん) |
降水・降下じん試料自動採取装置 ・Ogasawara Keiki Seisakusho CO.,LTD. |
エーロゾル光学的厚さ | 1995年1月 | 3回/1日 |
サンフォトメータ ・EKO INSTRUMENTS CO.,LTD. MS-110(1995年1月~2007年3月) |
連続 |
サンフォトメータ ・PMOD/WRC Precision Filter Radiometer(2007年4月~2018年3月) スカイラジオメーター ・PREDE POM-02(2018年4月~) |
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南鳥島の気候
南鳥島の気候は亜熱帯性で、1991~2020年の統計によると年間を通して月平均気温が20℃を超え、年平均気温は25.8℃に達します。2月から6月の降水量が少なく、年降水量は約1050mmです。
図3 南鳥島の月平均気温と月合計降水量
1991~2020年の統計による年間と月ごとの風配図を図4に示します。ほぼ一年を通して太平洋高気圧の南側に位置するため、東北東~東南東の風が卓越し、年平均風速は5.6m/sです。
図4 南鳥島の年間と月ごとの風配図
関連情報
南鳥島気象観測所に関する詳しい解説
- 気象庁 南鳥島気象観測所(気象庁ホームページ)
南鳥島以外の温室効果ガス等の観測地点に関する情報です。
綾里(岩手県大船渡市)
気象庁が温室効果ガス等の観測を行っている大気環境観測所について紹介します。
与那国島(沖縄県八重山郡与那国町)
2024年3月まで温室効果ガス等の観測を行っていた与那国島特別地域気象観測所について紹介します。
昭和基地(南極)
気象庁が温室効果ガスの観測を行っている南極の昭和基地について紹介します。
気象庁が行っている環境気象観測(観測点等の情報)
気象庁の環境気象観測網などの情報が見られます。