一酸化炭素観測に関する較正
気象庁では一酸化炭素・一酸化二窒素標準ガス較正装置(図1)を整備して、2段階に分けた一酸化炭素標準ガスの管理を行っています(図2)。
標準ガス
一次標準ガス
気象庁の一酸化炭素濃度観測の基準となる1段目の一次標準ガスは複数のボンベで構成されており、濃度範囲は約55~680ppbです。これらの一次標準ガスは、時間経過とともにみられるボンベ内でのガス濃度の変化(以下、これを濃度ドリフトと表します)の少ないアルミニウム製の48リットルボンベに空気ベースで一酸化炭素を充填したものであり、米国海洋大気庁地球システム調査研究所(NOAA/ESRL)が維持する世界気象機関(WMO)の標準ガス(Novelliet al., 1994)を用いて、正確な濃度が決定されています。この濃度基準はWMO COスケールと呼ばれ、これにより国際的にトレーサビリティが確保されています。
観測用標準ガス
観測所で使用される2段目の観測用標準ガスは複数のボンベで構成されており、一酸化炭素・一酸化二窒素標準ガス較正装置により一次標準ガスを使って濃度が決定されたのち、観測所へ送られます。濃度ドリフトの確認のため、観測所での使用が終了したのちに気象庁へ戻されて、再度一次標準ガスで濃度の確認が行われます(「大気一酸化炭素・大気一酸化二窒素の観測」参照)。
較正装置
一酸化炭素・一酸化二窒素標準ガス較正装置には、波長スキャンキャビティリングダウン方式の分析計(Picarro製G5310)を用いています。
図1 一酸化炭素・一酸化二窒素標準ガス較正装置
図2 気象庁の一酸化炭素標準ガスの較正体系
参考文献
Novelli, P. C., K. A. Masarie, P. M. Lang, B. D. Hall, R. C. Myers, and J. W. Elkins, 2003: Reanalysis of tropospheric CO trends: Effects of the 1997-1998 wildfires. J. Geophys. Res., 108(D15), 4464, doi:10.1029/2002JD003031.
関連情報
- 一酸化炭素の診断情報とデータ集
- 大気一酸化炭素・大気一酸化二窒素の観測
- 温室効果ガス等の観測に関わる較正
- 他の温室効果ガス等の較正(二酸化炭素 メタン 一酸化二窒素 地上オゾン)