令和2年12月中旬以降の大雪と低温の要因と今後の見通し
報道発表日
令和3年1月15日
概要
令和2年12月中旬以降、日本海側を中心に大雪となり、記録的な大雪となったところもありました。この要因として、高緯度帯の偏西風と中緯度帯の偏西風がともに日本付近で南に蛇行し、寒気が流れこみやすくなったことが考えられます。日本付近での偏西風の蛇行には、西シベリアのブロッキング高気圧や熱帯のラニーニャ現象が影響しているとみられます。
1月19日頃は低気圧が北日本を発達しながら通過するため、北・東日本日本海側を中心に風や雪が強まる見込みです。最新の気象情報に留意してください。
本文
2020年(令和2年)12月中旬から2021年(令和3年)1月上旬にかけての北日本から西日本の日本海側を中心とした大雪と全国的な低温について、観測記録や関連する大気の流れの特徴を、本報告では以下のとおりとりまとめるとともに、今後の見通しについても述べています。
観測データからみた天候の状況
令和2年12月中旬以降、大陸からの寒気が日本付近に流入し、冬型の気圧配置が強まりやすい状態が続きました。このため、北日本から西日本の日本海側を中心にしばしば大雪となり、東北地方や北陸地方を中心に19地点で72時間降雪量が昨冬までの記録を更新しました。東北地方以南の日本海側を中心にすでに冬の最深積雪の平年値を超えたところが多く、北陸地方の平野部などでは2倍を超えたところがありました。また、1月上旬の平均気温は北日本で36年ぶり、西日本で35年ぶりの低温となりました。大雪と低温をもたらした大気の流れの特徴
この大雪と低温の要因として、高緯度帯の偏西風(寒帯前線ジェット気流)と中緯度帯の偏西風(亜熱帯ジェット気流)がともに日本付近で南に蛇行し、日本付近に寒気が流れ込みやすくなったことが考えられます。寒帯前線ジェット気流の蛇行とともに、北極域に存在していた極渦が分裂して日本の北まで南下し、日本の上空には極渦およびその周辺の強い寒気が流入しました。この一連の寒気は、12月14日からの約1か月間の平均で、北日本の上空約3,000メートルにおいて1958年以降で2番目に低い気温となるなど、北日本を中心にかなり強いものでした。寒帯前線ジェット気流の日本付近での南への蛇行には、西シベリア上空にブロッキング高気圧が形成されたことやヨーロッパ方面からのジェット気流の強化が影響しているとみられます。
亜熱帯ジェット気流の日本付近での南への蛇行には、ラニーニャ現象の発生に伴い、インドネシア付近の積雲対流活動が平年より活発であったことが影響しているとみられます。
図 2020年12月中旬以降の大雪と低温をもたらした大気の流れに関する模式図
今後の天候の見通し
1月20日頃にかけて日本海側では低気圧や寒気の影響で雪や雨が降りやすい見込みです。1月19日頃は低気圧が北日本を発達しながら通過するため、北・東日本日本海側を中心に風や雪が強まる見込みです。その後は1月下旬中頃にかけて日本付近への寒気の南下が弱くなり、東日本以西で気温が平年よりかなり高くなる見込みです。現時点での積雪がすでに平年の冬の最深積雪を上回っている地方も多いことから、最新の気象情報に留意してください。本報告において大規模な大気の流れの特徴を分析するにあたり、異常気象分析検討会委員の協力を頂きました。
問い合わせ先
大気海洋部 観測整備計画課 村井(観測データの特徴に関すること)
電話 03-6578-3900(内線4277) FAX 03-3434-9035
大気海洋部 気候情報課 中三川、石崎(大気の流れの特徴に関すること)
電話03-6578-3900(内線4547、4548) FAX 03-3434-9123
資料全文
関連リンク
- 異常気象分析検討会
- 強い冬型の気圧配置による大雪 令和2年(2020年)12月14日~12月21日 (速報)
- 発達した低気圧及び強い冬型の気圧配置に伴う大雪・暴風 令和3年(2021年)1月7日~1月11日 (速報)