日本を含む北西太平洋域の二酸化炭素濃度の状況 ~過去最高を更新、海上や上空でも400ppm超え~
報道発表日
平成26年5月26日
概要
大気中の二酸化炭素濃度は増加を続けており、2013年の年平均値、2014年4月の月平均値ともに、過去最高を更新しました。 また、2014年冬季に日本南方海上で、2014年4月には日本の南東上空6km付近で、それぞれ初めて400ppmを超えました。
本文
気象庁は、日本を含む北西太平洋域の陸上、海上、上空に立体的に温室効果ガス観測網を展開し、大気及び海水中の精密な二酸化炭素濃度の観測を行っています(図1)。
【陸上(大気中)】 国内3つの観測地点 綾里(岩手県大船渡市)、南鳥島(東京都小笠原村)、与那国島(沖縄県八重山郡与那国町)における二酸化炭素濃度の月平均値は、綾里で2012年に400ppmを超えたことを皮切りに、2013年以降は国内3地点で毎年400ppmを超えるようになりました。2013年の年平均値、2014年4月の月平均値ともに、過去最高を更新しました(表1、図2-1、2-2、2-3)。
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【海上】 2隻の海洋気象観測船(凌風丸・啓風丸)による洋上大気及び表面海水中の観測の結果、日本南方海上でも2014年冬季の洋上大気中の二酸化炭素濃度の平均値が、400.6ppmとなり、1984年以降初めて400ppmを超えました。一方、表面海水中の二酸化炭素濃度についても、大気中と同様のスピードで増加し続けており、この海域では海洋が大気から二酸化炭素を吸収して蓄積していることを示唆しています(図3)。
【上空】 日本の南東(神奈川県綾瀬市-南鳥島間)では航空機による上空6km付近の大気の観測の結果、2014年4月における飛行経路上の二酸化炭素濃度の平均値が402.7ppmとなり、2011年2月の観測開始以降初めて400ppmを超えました(図4)。
注1) 今回発表するデータは速報値です。
注2) 測定の単位ppm(100万分の1)は、質量比ではなく体積比です。
注3) IPCC第5次評価報告書によると、2100年までに世界平均の二酸化炭素濃度が538ppmになるシナリオで、世界の平均気温が1.1℃~2.6℃上昇するという結果が示されています。
注4) 大気中の二酸化炭素濃度の月ごとの変化をみると、長期的に増加しながらも、春に濃度が最も高くなり、その後急激に濃度が下がる季節変化を繰り返しています。これは、春から夏になると植物の光合成による二酸化炭素の吸収量が、植物等の呼吸・分解や人間活動に伴う二酸化炭素の排出量を上回るためです。
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問い合わせ先
気象庁 地球環境・海洋部 環境気象管理官付
03-3212-8341(内線4112)
気象庁 地球環境・海洋部 海洋気象課
同上 (内線5133)
資料全文
関連資料
- 温室効果ガス等の観測地点
- 世界気象機関(WMO)全球大気監視(GAW)計画 温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)
- 二酸化炭素濃度の長期変化傾向(北西太平洋)
- 表面海水中のpHの長期変化傾向(北西太平洋)
- 航空機による上空の温室効果ガス観測