「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第28報)
報道発表日
平成23年3月25日
本文
1.本震の震源過程及び余震活動等の状況
○本震(M9.0)の震源過程について (別紙1~2参照)
国外の地震波形(遠地実体波)を用いた震源過程解析により、本震の規模、断層の大きさ、断層のすべり量、主たる破壊の継続時間等を推定しました。
規模: Mw9.0 (Mwはモーメントマグニチュード)
断層の大きさ: 長さ約450km、幅約200km
断層のすべり量: 最大20~30m程度
主たる破壊の継続時間: 3分程度(大きな破壊は3回)
地震の規模は、CMT解析による規模と同じです。国内の強震波形(近地強震波形)を用いて気象研究所が解析した結果は、断層の長さ約450km、幅約150kmで、遠地実体波による解析結果と同程度の量となっています。
断層の破壊は、宮城県沖から始まり、岩手県沖の方向、福島県・茨城県沖の方向に伝播しました。大きな断層すべりは海溝側(震源断層の浅い側)で発生しています。
○余震活動等について (別紙3参照)
余震は、岩手県沖から茨城県沖にかけて、震源域に対応する長さ約500km、幅約200kmの範囲に密集して発生しているほか、震源域に近い海溝軸の東側、福島県及び茨城県の陸域の浅い場所も含め広い範囲で発生しています。
これまでに発生した余震は、M7.0以上は3回(7.7、7.5、7.4)、M6.0以上は59回、M5.0以上は352回です。また、最大震度4以上を観測した余震は、73回です。
余震は、次第に少なくなってきていますが、未だ活発な状況です。余震が発生している領域(余震域)のなかの活動状況を見ると、岩手県及び宮城県沖の領域に比べ、福島県及び茨城県沖の領域の方が活動は活発です。
本震発生の2日前(3月9日)に、本震の震源の近くで、M7.3の地震が発生しています。その後、本震が発生するまでの間の地震は、M6.0以上は8回、M5.0以上は25回です。
(注:余震及び地震の回数は後日の調査で変更になることがあります)
○発震機構について (別紙4参照)
CMT解析により求めた発震機構を見ると、本震の震源断層の領域では、本震のメカニズムと類似の逆断層タイプのものが比較的多く見られますが、正断層タイプのものも少なくありません。海溝軸の外側、陸域或いはその近くの余震は、正断層タイプのものです。
これら正断層タイプの余震は、海溝軸の外側のものを除くと、本震発生前には見られていなかったタイプのもので、今回の巨大な本震が発生したことによるものと考えられます。
本震発生前の地震のメカニズムは、本震のメカニズムと同じ低角逆断層です。
○余震域以外の地震活動 (別紙5参照)
本震の発生以降の地震活動を全国的に見ると、今回の地震以降、M6.0以上は3回、M5.0以上は8回発生しています。また、小さな地震が一時的に増加した地域も認められます。定常的に活動の高い地域を除き、これらの活動は既に低下あるいは低下傾向にあり、現在、特に地震活動が活発化した状況は見られていません。また、火山地域においても、噴火の兆候となる火山性微動や低周波地震は特段観測されていません。
2.余震の見通し等
○余震の見通しについて (参考1~3参照)
余震は、やや活発な時期とやや少ない時期を繰り返しながら次第に少なくなってきていますが、未だ活発な状況です。
余震は、広い範囲で発生しているため、同じ規模の余震であっても、発生する場所により各地での震度は異なります。
今後も、震源地に近いところで最大震度5弱以上となる地震が発生する可能性があります。場合によっては、震度6弱~6強となる余震が発生する可能性もありますので警戒して下さい。
○ 防災上の留意事項
揺れの強かった地域では、土砂災害や家屋の倒壊などの危険性が高まっていますので、余震による強い揺れに引き続き警戒してください。
復旧活動など屋外で行動する場合は、余震の揺れによって二次災害のおそれがありますので、十分に安全を確認して行動するよう心がけてください。
また、大きな余震が発生すると津波が発生する可能性があります。海岸で強い揺れを感じた場合、また、揺れを感じなくても津波警報や津波注意報が発表された場合には、直ちに海岸から離れ高台等の安全な場所に避難してください。
図表等を含めた資料全文につきましては、下記の「資料全文」をご参照下さい。
問い合わせ先
気象庁地震予知情報課
電話:03-3211-4583