長官会見要旨 (令和4年12月21日)

会見日時等

令和4年12月21日 13時00分~13時38分
於:気象庁会見室


発言要旨

   冒頭私から3点お話をさせていただきます。
   1点目は大雪についてでございます。今月17日から、特に18日から19日にかけて、北日本から西日本の日本海側、特に福島県、山形県、新潟県を中心に大雪となりました。福島県の会津地方や山形県では19日にかけての24時間降雪量が100センチを超えて、これまでの1位の値を超えるところがありました。この大雪につきまして、気象庁では大雪警報や「顕著な大雪に関する気象情報」などの情報発表に加えまして、自治体の大雪対策会議等へJETTを派遣する、あるいは電話によって気象状況の解説をするなどを通じて、大雪による被害の防止軽減に努めたところでございます。
   この冬は、日本海側の降雪量が平年並みか多いという予想になっています。天候の状況に応じて段階的に防災気象情報を発表していきますので、最新の気象情報にご留意いただきますようお願いいたします。直近では明日以降、再び冬型の気圧配置が強まり、これが数日続く見込みでございます。北日本から西日本の日本海側を中心に大雪や大しけとなるおそれがございますので、気象情報に十分ご留意いただきたいと思います。
   2点目は、12月16日に運用を開始いたしました「北海道・三陸沖後発地震注意情報」についてでございます。10月の会見のときにもお話しましたけれども、この情報は、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の想定震源域やその周辺で大きな地震が発生した場合に、その後に続いて巨大地震が発生することがありますので、その後発地震による甚大な被害を少しでも軽減するために注意を促す情報でございます。この情報を受けますと、自治体などが住民に対して、日ごろからの大地震への備えの再確認と迅速な避難体制の準備を呼びかけることとなっております。この情報は非常に高い不確実性を伴うものですけれども、1人でも多くの命を救うために、この情報を発信した際には、自治体や企業、住民などが混乱することなく過不足のない適切な防災行動をとっていただくことが重要です。そのためには、平時から、情報の内容や情報が発信された際にとるべき防災対応を理解していただく必要がございます。このため、後発地震への注意を促す情報そのものだけではなく、想定される巨大地震の概要や平時から実施すべき地震への備えも含めた周知啓発が大変重要だと考えております。気象庁では、既に情報の運用は開始しましたけれども、その後も内閣府等とも連携をしまして、例えばマンガ冊子を作成してそれを配布するとともに、その機会にシンポジウムを開催するといったことや、ホームページでの解説を充実させる、気象台を通じて自治体への普及等を進めるといったことを継続的に進めてまいります。報道機関の皆様にもその周知について、ぜひ引き続きご協力をいただきたいと考えているところです。
   それから3点目ですけれども、桜島の噴火警報の警報文を改善いたしましたので、そのことについてお話します。桜島の噴火警戒レベル5又は4で想定される噴火には2種類ございまして、一つは、大正噴火クラスの大規模噴火によって桜島の島内はもとより広域で影響があるという場合、もう一つは、通常の噴火が活発化して大きな噴石などが一部の居住地域まで達するような場合です。
   今年の7月24日に桜島の噴火警戒レベルを5に引き上げましたけれども、そのときの噴火警報の警報文につきまして、本文中にその対象となる居住地域がどこかということは記載しておりましたけれども、今申し上げた二つのどちらの場合に当たるのかということをわかりやすくしてほしいというご要望がございました。このため桜島の噴火警戒レベル5、4の噴火警報について、桜島火山防災協議会の構成機関からもご意見を伺った上で、噴火警報文の改善を11月22日に行ったところでございます。
   この改善によりまして、桜島で大規模噴火が切迫しているかどうかということが端的にわかるようになり、より一層適切な自治体の防災対応に繋がるものと期待をしております。報道機関の皆様におかれましても、桜島に発表された噴火警戒レベル5、4が今申し上げた二つのどちらに当たるのかということは、警報文を見ればわかりやすく書いてありますので、放送などでそれを踏まえたお知らせ、あるいは解説を行っていただきますよう、ぜひご協力をお願いいたします。
   それから、気象庁では防災情報Twitterで噴火警戒レベルが上がったときにお知らせをしていますけども、今回の警報文の改善を活かして、警戒レベルがいくつに上がったということに加えて、どちらの場合に相当するのかがわかるような形に改善し、今日から実施することとしました。私からは以上です。

質疑応答

Q : 16日から北海道・三陸沖後発地震注意情報の運用が始まりました。この情報について、住民への理解浸透へ向けてどのようなことを考えておられますか。
A : この情報というのは極めて不確実性が高い情報で、それにふさわしい適切な防災行動をきちんととっていただくということが大変重要です。そのためには普及啓発が大変大事だと考えております。冒頭申し上げましたように、マンガ冊子を作るなどの具体的な計画を立てて進めているところでございます。この情報というのは、気象庁が警戒を呼びかける他の防災情報と異なり極めて不確実性が高いということ、取るべき対応がすぐに避難するといったものではなく、1週間程度、日頃の地震への備えを再確認するといった違いがございます。それから、情報の名称もいろいろ検討を重ねた上で決定されたわけですけれども、例えば茨城県とか千葉県などもこの情報の対象であるといったところも説明していかなければなりません。そういったことをきちんと踏まえた上で、地域に応じた周知の仕方を考えていきたいと思っております。
Q : 18日からの大雪により各地で被害が出ているところです。明日以降また寒気が強まると予報されていますが、改めて国民の皆様へ注意喚起などをお願いします。
A : 今おっしゃったように、明日22日から26日頃にかけて再び強い冬型の気圧配置となる予想です。今回は西日本にも前回より強い寒気が流れ込むということ、それから寒気の動きが遅いため北日本から西日本の日本海側を中心に前回よりも長期間にわたって大雪となるおそれがございます。気象庁ではその時々の予想や状況に応じて段階的に防災気象情報を発表してまいりますので、ぜひ最新の情報に留意して対応していただきたいと思います。また前回の寒気のときも九州や中国地方では大雪の注意を促すために地元の気象台と地方整備局などが共同で記者発表を行ったというような例もございます。予防的な規制や運休といったこともございますので、雪の情報に加えて道路や公共交通機関に関する情報にもぜひ留意いただければと思います。

Q : 東北や新潟での大雪に関してなのですけれども、実際に立ち往生、道路の渋滞など社会的な影響の大きな事象が既に起きていますし、亡くなった方も何人か出ています。一方で、事前の呼びかけという点でいうと、今回は特に気象庁本庁での緊急会見はなかったと承知しています。会見を開く基準に達しなかったので開かなかったというところはあるかとは思いますし、雪に関しては特に事前の予測が難しい部分があることもちろん承知はしているのですけども、やっぱり実際に起きたことと事前の呼びかけとの間にギャップを今回感じております。まずはそのことについて長官としての率直な所感を教えてください。
A : 19日までの大雪についてですけれども、全体として大雪になるということについてはきちんと予測ができていたと思いますし、それに応じた情報発表や自治体への支援、関係機関への情報共有ということはしっかりとやって災害の防止軽減には努めてきたというところでございます。一方で、地域ごとに見ていきますと、例えば柏崎のような平野部であっても大雪になって予想よりも多い積雪となったというような例もございます。このことについては、引き続き予測技術の高度化に取り組むことが必要だと考えています。それから、今の技術という中であっても、情報の伝え方や共有の仕方といったことについて気象庁としてできることがあるのかどうか、今回の事象について道路管理者の方々などの協力も得てしっかり振り返りをしていきたいと思います。それから、緊急発表や共同記者会見についてのご指摘ですが、おっしゃるとおり、様々な観点で検討した結果、そのことには至らないという判断をしたわけですけれども、一方で今おっしゃったように、道路での渋滞や立ち往生というようなことがあったわけですから、これらを踏まえて道路管理者の方々と一緒に振り返りをしていきたいと思っています。
Q : あらかじめ大雪が予測できていれば当然会見を開いたと思うのですけども、やはり予測に関しては数値予報などの技術的な難しさがあるのか、あるいは別の部分で何か難しさがあるのか、現状でどういった点に課題を感じていらっしゃいますか。
A : まさにそこが振り返りの一番大きな要点だと思っています。降雪量の予測なのか道路の状況や道路の使用の状況についてのことなのか、全般的に対応を振り返ってみて改善点が見いだせるかどうかということだと思っています。
Q : わかりました。明日以降の大雪に関して、既に新潟などではこれまでも降っている中でまた大雪となるわけですので、住民の方によってはかなり不安を覚えている方もいらっしゃると思います。改めてではありますけれども、そういった方々に何を一番呼びかけたいですか。
A : 大雪にどう対応するかということについては、住民の皆さんの置かれた状況やどういうリスクのあるところなのかということによって違うと思いますけれども、一般的な話になってしまいますが、大雪の大まかな予測というのはそれなりにできていると思いますけれども、今回の事例のように細かく見ていくと予想を上回ったりそうでなかったりということがございます。まず、常に最新の情報をお使いいただくということ、そして状況の変化に応じてこまめに情報をチェックしていただきたいと思います。

Q : 北海道・三陸沖後発地震注意情報について、現時点で圧倒的に地元への周知が足りないような気がします。気象庁の公式ツイッターで情報への理解がどのくらい進んでいるのか確かめたところ、巨大地震がほぼ確実に発生するという答えが一番多いといった反応があって、このあたりをどういうふうに現状を受け止めてらっしゃるか、つまり理解や周知が進まないまま、ある程度見切り発車のような形になってしまっていることについて、情報が発表された場合に社会がどういうふうに受け止めるかかなり懸念があると思います。このあたりの見解を聞かせください。
A : おっしゃる通りで、アンケートについてはクイズ形式でやることで興味を持って見ていただこうということでやったわけですけれども、その結果があの形になったということで、私達も周知不足ということについて強く感じたところです。もちろん、先ほど申し上げたような具体的な取り組みを引き続きやっていきますし、今回のことを受けてさらに新たな発想で周知を進めることができないか部内でも今検討しているところでございます。
Q : あくまでも可能性ですけど、この間にも、情報が発表されるような地震が当該エリアで起きる可能性があるわけで、対策が非常に早く求められると思うのですけれども、具体策としてもう一段階何か踏み込むようなお考えはないでしょうか。
A : もう一段何かできることはないかということを今まさに検討しているというところです。

Q : まずは北海道・三陸沖後発地震注意情報について伺います。この情報は住民に事前避難を求めるものではありません。ただ、この情報が出る条件というのは、M7以上の比較的大きな規模の先発地震が起きています。その先発地震によって、もしかしたら大津波警報が出ているかもしれませんし、揺れによって建物や斜面が傷んでいて、そういった危険な場所からは離れてください、津波から避難してください、危険な場所から離れてくださいという呼びかけをしている中で、この後発地震注意情報が出ることがあるかと思います。一般の方にとって難しいのは、避難をするのかしないのかということだと思うのですが、先発地震に対する警戒と後発地震に対する注意を同時に呼びかけているような場合に、国民はこの二つについてどんなバランスで受け止めたらいいでしょうか?
A : 先に発生した地震による津波警報で避難している方、それから危険な場所から遠ざかっている方は、まずはそれを優先してその通りにしていただきたいと思います。問題は、例えば津波警報が解除されて自宅に危険がなければ、その時点でお戻りいただくわけですけれども、その際に次にまた巨大地震の可能性があるということで、いつでも逃げられるようにしていただくということになります。このことをまさにその情報が発表されたときにも丁寧に説明する必要があると思いますし、皆様にもご協力をいただきたいと思います。そして、そのことを初めて情報が発表されたときに知るというのではなくて、事前の周知が大切だと思いますので、これまでのメニューに加えて何ができるか、今考えているというところです。
Q : 続いて大雪についてですが、今回の大雪では顕著な大雪に関する情報が福島県と新潟県に出ていました。この情報は除雪が追いつかないようなペースで短時間で雪が強まっているというアラートを出すものと承知していますけれども、なかなか一般の方に馴染みがないと思われます。その中でまた明日以降も雪が強まる中で、もしこの顕著な大雪に対する関する情報が出た際にどんな呼びかけをされたいと思っていらっしゃいますか。
A : この情報が出るときというのは、もう既に相当な雪が降っていると思いますので、それぞれ皆さん外出を控えられたりということがあると思いますけれども、この情報が出たときというのは除雪が追いつかなくなって今回のような交通障害が懸念されるということですので、本当に不要不急の外出を避けていただくといったことを徹底していただきたいと思います。
Q : この情報は雪国に出るものですけれども、例えば関東地方から高速道路を使って新潟に行くですとか、瀬戸内や太平洋側から山陰や北陸に向かう方もいらっしゃると思いますけれども、こういった情報が出たときに、その移動に関して太平洋側ですとか関東地方に向けてはどんな呼びかけが必要でしょうか?
A : 行く先の気象情報にまずは留意していただきたいというのが一番です。遠いところに出かける場合に、特にドライバーの方にはその地方がどういう気象の状況になるのかということについて気象情報をしっかりチェックしていただきたいということです。その上で、仮にこの情報が出ているということであれば、今申し上げたような大規模な交通障害が懸念されるわけですから、計画を見直せるのであればぜひ見直していただきたいと思います。

Q : 東南海沖にある地震観測システムの障害について伺います。16日からシステムの障害で緊急地震速報が最大13秒程度遅れるという発表がありましたけれども、同じような状況が8月にもあったかと思います。このシステム障害は、南海トラフ地震を監視するという点でも、緊急地震速報が遅れるというのは国民にとって不安が残るといいますか、結構大きな問題と思います。機械ですので当然故障や障害が起きるというのはわかるのですが、4ヶ月間という短期間で2回障害が生じていることや、緊急地震速報に影響をきたしている現状の受け止め、現時点でわかっている原因や復旧の見通しを教えてください。
A : 東南海ケーブル式常時海底地震観測システムは、南海トラフに関連する地震をできるだけ精度よく捉えるということ、緊急地震速報をできるだけ早く発表できるようにすること、津波の情報をより早くより正確に出せるようにする役割を担っているものです。そのシステムが障害になっているということですので、一刻も早く復旧をさせたいと考えています。障害の原因などについてということですけれども、これは実はたまたま別なメンテナンスの作業をしているときに発生したものでしたので、現地に滞在していた保守業者が素早く原因の調査をしてくださっているところです。ただ、現時点では原因の特定には至っておりません。全ての観測点に対して電力の供給が途絶えているという状況で、電源系統の障害である可能性が高いわけですけれども、停電によって観測点の情報が全く把握できない状態になっているということもあって、調査に時間を要しています。現時点で復旧の見込みをお示しすることはできませんけれども、この保守業者の調査結果を待って復旧等の対応について急ぎ検討していきたいと考えております。

Q : 12月26日に地震と津波以外の緊急速報メールが終了する件について伺います。先ほどから質問にあるとおり、大雪が全国的に降り続くだろう、26日ごろまで続くと言われている中、大雪に関する特別警報の配信も終了してしまうわけですけれども、大雪と重なる中で一つ情報が途絶えるというか、なくなってしまうということについて長官はどのようにお考えでしょうか。
A : 雪の特別警報という可能性ということだと思いますけれども、緊急速報メールによる特別警報の配信終了については、気象庁は、防災気象情報全体の伝達ということについて、できる限り早めに地域を絞って伝達することが重要との考えに立っています。その観点で、緊急速報メールで伝えている情報というのは、その対象となるような市町村が記載されていないなど十分ではない点があるということで終了するというものであります。これは対象が雪かどうかということに関わらずこのような考えであります。むしろ私達としては、例えば雨についてはキキクル(危険度分布)のプッシュ型で対応していこうということでもありますし、気象庁による緊急速報メール以外に特別警報をはじめとする防災気象情報をプッシュ型で得られるような民間のサービスもありますし、気象庁が民間の協力を得てやっているというものもございます。そういったもので十分皆さんのところには特別警報を含めて防災気象情報がきちんと届くようになっていると考えているところです。

Q : ありがとうございます。26日までは少し時間がありますけれども、大雪が想定されるような地域に対して改めてメール終了について周知するような取り組みをやられるようなお考えはありますでしょうか。住民の方によっては特別警報でメールが来ると思っていたら、来なかったという方もいらっしゃるかもしれませんので、そのあたりはいかがでしょうか。
A : 緊急速報メールが終了するということよりも、むしろこういう形で情報を得てくださいということを周知していくことになるだろうと思います。26日までといいますか、この雪に備えてということでは、今必ずしも具体的に計画を持っていたわけではありませんけれども、少し考えてみたいと思います。

Q : 年内最後の定例会見だと思いますので、今年も1月から火山とか地震津波、気象も含めて本当にいろいろあったと思いますけど、この1年間を総括して今の所感というのを教えていただければと思います。
A : 毎年のように大きな災害が発生している中、今年も8月の大雨、それから9月には台風第14号、第15号がありました。こういうことによって全国的に被害が発生いたしました。また、このときだけではありませんけれども、線状降水帯も度々発生しました。地震については、3月に福島県沖で最大震度6強を観測する地震が発生しました。このときには宮城県、福島県を中心に大きな被害が出たところです。火山については、桜島で噴火警戒レベルを5に上げたというようなこともありましたし、1月にはトンガ付近のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の噴火があって、それによって国内で最大1.3mの津波を観測したということがありました。こういったことについて、気象庁としては、今ある技術を使ってできる限り正確かつ適切な防災気象情報の提供に努めたところですし、各気象台ではJETTといって自治体に職員を派遣して解説したり、ホットラインで解説をするといった形で自治体の防災対応を積極的に支援してきたところです。 
 一方で、線状降水帯の大雨の可能性、これを半日前から予測するということを今年から始めたわけですけれども、この予測精度については想定どおりいえば想定どおりだったのですが、例えば13回中3回の適中であるなど、まだまだ技術開発の余地が残っているということであります。また、台風第15号では予想を大きく上回るような雨量になったりもしています。気象の予測技術の向上というのは非常に大事だということを再認識しています。また、フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山のときの潮位の変化は、メカニズムのわからない現象によって全国で潮位の変化を観測したということで、これについては大学等の有識者の力も得て現象の解明を進め、こうした現象についての情報発表のあり方を改善することができたところです。ざっと1年間ということでいきますと、まさに自然現象の複雑さといいますか、奥深さといいますか、そういったものを再認識した年だったと思います。
 こういったことを背景として、自然現象を的確に捉えて予測していくということの重要性というのを再認識しましたので、私達としてもしっかりそこに取り組んでいきますし、大学等の研究機関の方々ともしっかり連携をしていきたいと思います。また、せっかくそういう技術で出てきた監視や予測の情報というものは、皆さんにお使いいただいて初めて役に立ちますので、そこについても引き続き工夫をしていきたいと思っています。

Q : 今の発言の中であったフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の噴火の後、情報発信を改善されたということについてお伺いします。この間のインドネシアの火山噴火のときにも津波について注意をする情報が出たと思いますけれども、改善されてこの1年やってみて、これまでのところどうだったのかということと、インドネシアのときは潮位の変化は確認されなかったわけですけれども、今後どのように改善したいといったお考えはございますか。
A : これは必ずしも潮位変化が起こるわけではないので注意深く監視するということと、フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の噴火があったときに、その途中経過も含めて皆さんに丁寧に状況をお伝えするということが大事だということを有識者の先生方とも一緒に検討した結果として、そういうことを進めていこうということになっています。今回も噴火を覚知した後に潮位の変化の可能性があるということで情報を発表し、最終的にその心配がなくなったというところまでフォローしたというところです。結果的に潮位変化がなかったじゃないかということなのかもしれませんけれども、今の時点で潮位の変化が現れるか現れないかということを予測するのは難しいということも有識者の方々とも検討した結果としてそういうことになっていますので、今できることとしては最善というふうには考えているところです。
Q : 話題は変わりますが、先日、長官も出席されていた火山噴火予知連絡会の定例会議があったと思うのですけれども、火山噴火予知連絡会が来年度から体制を変えていくという今まさに詰めの作業をされていると思います。そのことについて長官の所感と、変えたことによるメリットのようなものを享受していきたいといったお考えはありますでしょうか。
A : 火山噴火予知連絡会は、長く今の体制でやってきたわけですけども、その間に大学の置かれている状況も変化してきましたし、気象庁も火山の観測体制や評価体制がかなり強化されてきたということを踏まえて、日頃の火山の監視評価については気象庁が主体で、だけれども火山噴火予知連絡会の知見も入れながら実施をしていく。一方で、大規模な噴火や普段とは異なるような変化があるというようなときには、火山噴火予知連絡会全体でサポートできるような形にしていこうということで、今新しい体制の設計をしているところです。状況が変化してきたことに対してきちんと体制を変化させて、それに合った体制にしていくことで、大学の先生方と気象庁の業務とのより適切な関係に結びついていくと思いますし、そうできるように細かいところまで今詰めているというところです。私達の火山の評価の力は確かに上がっていると思いますし、私達が主体でできるところはもちろんあると思いますけれども、火山の知見、火山噴火の予測というものはまだまだ発展途上ですので、有識者、火山噴火予知連絡会の先生方の研究がどんどん促進されて、その成果を私達の業務に取り入れられるようにしていかなければいけないと思っております。その観点で新しい組織をきちんと運営していきたいと思っています。

(以上)

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