長官会見要旨 (令和4年9月21日)

会見日時等

令和4年9月21日 14時00分~14時44分
於:気象庁会見室


発言要旨

   冒頭私から2点お話をさせていただきます。
   1点目は8月の前線や台風第14号についてです。まず、8月の前線の大雨や台風でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
    8月の前線の雨につきましては、8月1日以降、停滞する前線の近くで複数の線状降水帯が発生するなどして、北日本や北陸地方を中心に広い範囲で大雨となりました。また台風第14号につきましては、大型で非常に強い勢力を維持したまま9月18日に鹿児島市付近に上陸した後、19日朝にかけて九州を縦断し、その後、西日本から東日本の広い範囲を暴風域に巻き込みながら北東に進んで、20日9時に日本の東で温帯低気圧に変わりました。
   こうした大雨や台風につきまして、気象庁や各地の気象台からは防災気象情報を発表して警戒を呼びかけるとともに、自治体へのホットラインや災害対策本部などにJETTと呼ばれる気象台の職員を派遣するなど自治体の防災対応の支援を行いました。特に台風第14号については鹿児島県と宮崎県に特別警報を発表することに加え、18日の記者会見では1日先までの最大危険度の予測をお示しして、災害の危険度の広がり方についてもあわせて警戒を呼びかけたところでございます。
   報道機関の皆様におかれましては、気象庁、気象台からの情報や危機感を的確に、また、今回についてはかつ長時間に渡ってお伝えいただきました。大変ありがとうございました。
   今年の前線による大雨は、北日本や北陸が中心でした。近年の地球温暖化を背景といたしまして、これまで大雨災害が多くなかったような地域でも大雨の頻度や強度が高くなっています。大雨災害は全国どこででも発生するということを念頭に、警戒をお願いしたいと思います。
   それから台風についてですけれども、こちらも地球温暖化によって強い台風が増えることが指摘されています。今年の台風シーズンもまだしばらく続きます。気象庁、気象台の発表する台風情報や最新の防災気象情報などに十分注意をいただいて、早めの対応、万全の対策をとっていただきたいと思います。
   それから2点目は概算要求についてです。8月25日に来年度の概算要求の内容について公表いたしました。今回の要求では、次期静止気象衛星の整備、線状降水帯や台風などの予測精度向上等に向けた取り組みの強化、大規模な地震災害や火山災害に備えた監視体制の確保、これら三つを柱としております。
   この中でも特に大気の三次元観測機能など最新の技術を導入し、線状降水帯の予測精度向上のための切り札とも言える次期静止気象衛星の整備が非常に重要なものだと考えております。これに加えまして線状降水帯の予測精度向上などに向けて、今年度を含めて継続的に行っているアメダスの湿度計や二重偏波の気象レーダーの整備、それから次世代のスーパーコンピューターの整備、さらには気象防災アドバイザーの拡充による地域防災力の向上なども盛り込んでいるところでございます。
   また定員につきましては、昨年度に引き続いて地域防災支援体制の強化を要求していますのとあわせて地震火山業務などに関する要求もしているところでございます。線状降水帯をはじめ自然災害から国民の皆様の生命身体を守るための観測、予測技術の向上、それから市町村などの防災対応を支援するための体制強化、こういったことは喫緊の課題だと考えております。これから予算編成作業の中で政府全体としての検討を進めて参りますけれども、気象庁としては必要な予算と人員の確保に向けて全力で取り組んでまいります。

   私からは以上です。

質疑応答

Q : 9月14日に行われた経団連との懇談会について、このような意見交換を初めてだったとのことですが、開催に至る経緯や、どのようなやりとりがあったのかを教えてください。また、経済界の声を聞いての長官の受け止めと今後の方向性についてもお聞かせください。
A : 気象庁は9月14日に経団連との懇談会を開かせていただきました。これまでも、気象業務全体のさらなる発展ということのために、産学官の連携の強化に気象庁としては取り組んでいるところでございまして、いろいろな分野の方々のご意見を頂戴してまいりました。近年の激甚化している災害や気候変動は社会経済全体に影響を及ぼすものですので、最近の気象庁の取組や今後の計画などについて広く経済界の皆さんにご意見を伺いたいというふうに考えておりましたところ、経団連の方からもご賛同いただいて、14日に十倉会長や気象に関連する委員会の委員長の方々との懇談会が実現したというところでございます。懇談会では、防災・減災、気候変動、気象データの産業界での活用やDX社会に対応した気象サービスについて私からご説明をして、各テーマに対して幅広く意見交換を行ったというところでございます。特に、線状降水帯や台風の予測精度の向上への期待ですとか、データの利活用促進に対して、大きな期待が寄せられたと考えています。また、気象庁に加えて、気象ビジネス推進コンソーシアムとの連携についてもご提案をいただいたところでございます。私としては、気象業務や気象行政全般の様々な課題について、いろいろご意見を頂戴し、幅広い意見交換ができたということは大変有意義だと考えております。今回の懇談を契機として、気象庁と経団連との間で、先ほど申し上げた防災・減災、気候変動やDXといった個別の分野について、関連する経団連の委員会の方々などとより具体的な意見交換ができるようになることを期待しているところでございます。また、こういうことが実現すれば、今回の懇談会の大きな効果だと言えると思っているところです。

Q : 台風14号に関連してお聞きします。まず、本庁含めて地元気象台等の情報提供や呼びかけが適切なタイミングで適切な内容で行われたかどうか、その辺りの評価はいかがでしょうか。
A : 端的に申しますと、今のところ特に不足なく対応できたというふうに思っております。この台風に関連しては、9月17日に鹿児島県に暴風、高波、高潮の特別警報を発表しました。それから、9月18日から19日に宮崎県の15市町村に大雨特別警報を発表いたしました。また、この台風については当時最強と呼ばれるような勢力で接近あるいは上陸する可能性があったため、早い段階から国土交通省の水管理・国土保全局と合同で記者会見を実施して台風への警戒を呼びかけるとともに河川の増水やダムの事前放流についても言及しました。 それから、台風のそばで線状降水帯が発生する可能性があると予測しましたのでこれについても警戒を呼びかけました。さらには、1日先までの最大の危険度分布、これは台風が進むにつれて警戒すべき範囲がどう広がっていくのかということを端的に示した図ですけれども、こういったものもしっかりお示しし、また皆様にもお伝えいただいたというふうに考えております。地元の気象台でも台風の説明会やJETTの派遣、ホットラインが的確に行われたというふうに考えております。これから、気象台の情報や私達の対応を自治体がどのように活用して対策をしていったのか、自治体と一緒に振り返りをやっていきたいというふうに思っております。

Q : 16日の共同取材、17日の緊急記者会見とかなり危機感の高まりがあったかと思いますけれども、長官自身そのとき振り返ってみて、どういうような所見を持ちだったでしょうか。
A : はい、現場からは、もしこの勢力で上陸や接近をすれば、統計が揃っている1951年以降では最強クラスの台風の接近上陸ということになるので、非常に危険な状態であるということでした。私も確かにその通りだというふうに思いましたし、またそのことをきちんと国民の皆さんや自治体の方々にお伝えすることが極めて重要な局面だというふうに考えていたというところです。

Q : 今年から運用が始まった線状降水帯に関する予測の情報ですけれども、振り返りをするにはまだ早いタイミングかもしれませんが、予測精度等を含めて現時点でどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。
A : 元々、この呼びかけを始めるというお話をさせていただいたときから、発生の可能性があるというふうに発表したからといって必ず発生するものでもないし、発生するという呼びかけができずに発生することも多々あるというお話をさせていただいておりました。実際、大雨の推移を見てみますと、顕著な大雨の情報を発表するような線状降水帯が発生したケースもありましたし、発生しなかったケースもあります。こういったことについて、単純に発生したか、しなかったかということだけで検証をやっていくと、情報の実態というものが捉えきれないという印象を非常に強く持っております。そういったことも含めて、どういった形でこの情報の特性や使い方について皆さんにご理解いただくのがよいのか、鋭意検討しているという状況でございます。

Q : 発生の有無はさておき、情報を出した後に結果的に災害をもたらすような大雨になっていたかという点でのこの情報の意味ですね。それから、今年から始まった新しい情報ですけれども、どういうふうに社会に受け止められて活用されたか、現時点でどういうふうに思われるでしょうか。
A : おっしゃる通りで、この情報を出したときには、線状降水帯そのものは発生していなくても、大災害をもたらす恐れのあるような大雨になっていることが多いです。そういった意味で、発生しなかったから空振りだというご理解をいただくのではなく、若干手前味噌になりますけれども、そういった情報であるということをご理解いただいた上でお使いいただきたいというのが私の気持ちでございます。国民や住民の皆さんや自治体において対応がうまくとられているかどうかについては、これからの振り返りでしっかりと見ていきたいと思っております。

Q : 二つの質問の内一つは台風14号についてです。恐れられていたのに比べると被害も比較的少なくて、先程おっしゃったように情報が浸透していたのかとは思うのですが、一方で、強度の予測の点では、思ったよりもすごく発達したし、上陸した後は思った以上に早く弱まったということです。予報がうまくできたかたという点から見ると厳しいものがあったという気がするのですが、ここから見える課題と今後改善していくとしたらどんなことが考えられるかということを伺えればと思います。
A : はい。もとより台風の強度の予測というのはかなり難しい技術だと認識をしています。今回の台風について、私達の持っている技術の中でどのような実力の発揮の仕方だったのかについてはまだ検証が進んでおりませんので、どのような課題がありそれをどう解決していくのかということについて具体に申し上げられません。いずれにしても、台風の強度の予測というのは、防災対応にも影響を与えますので、優先して取り組むべき課題の一つだと認識をしており、これから、今回の台風についての検証をしっかりやっていくというステージです。
Q : 先ほどの予算の説明の中にあった次世代の衛星とかが実現すると改善に繋がっていくと思っていいですか。
A : そのように思います。特に、次期気象衛星につきましては、三次元の縦横高さ方向に水蒸気などの観測ができる画期的なセンサーの搭載を計画しております。これが実現すれば、先ほど申し上げました線状降水帯のみならず、台風の予報にも大きなインパクトがあるというふうに期待をしています。
Q : ありがとうございます。もう一つは経団連との懇談に関連してですが、最近産業界では、エネルギー問題でいろいろと難しいことがある中で、なかなか気候対策ばかりとも言ってはいられないようです。そのような中で先程の台風の話のときにもありましたけど、大変な現象が起きると必ず温暖化も背景にあるということです。何でもかんでも温暖化と言われても困る、というような意見も一部にあるのですが、実際にそのようなことが経団連との懇談で長官に対して言われたのかどうかはわかりませんけども、このような考え方に対して何かご意見があれば伺えますでしょうか。
A : このような考え方というのは、何でも地球温暖化が原因だということに...。
Q : 結び付けないで欲しいと。今はそれどころじゃない部分もあるのだというような反応に対してお考えがあれば伺えますでしょうか。
A : はい。地球温暖化というのは長い時間スケールで見ているものですので、例えば個別の台風や大雨について、これが地球温暖化のために生じたのだという言い方はおそらく正しくないのだろうと思います。ただ、例えば台風による雨の量や強さについて、地球温暖化が影響していたという可能性は十分あるわけで、今は地球温暖化が、例えば台風の発達や雨量にどの程度貢献していたのかということを科学的に推計するような研究が盛んに行われておりますので、このような研究の成果を使って、なるべく科学的に正しい知見を周知していきたいというふうに思います。
Q : わかりました。先程のような苦情というか意見というのは、経団連との懇談の場で実際何か話はありましたでしょうか。
A : 何でも地球温暖化というような話は出てなかったと記憶しております。
Q : ありがとうございます。

Q : 少し前の話になるのですけれども、火山噴火予知連絡会(以下、「噴火予知連」という。)のあり方検討会で報告書が出されたかと思います。その中で地震研究推進本部のような連携体というのを今後模索していかなければいけないのではないかという意見もあったかと思いますが、それについての長官の受け止めやご見解があればお伺いできますでしょうか。
A:  噴火予知連の仕事のやり方を変えていく上で、特に研究調査に関連した部分についても一つの検討会を作って、そこと火山の活動を評価するグループとしっかり連携をして進めていきましょうという考えが示されました。そして、その研究については、噴火予知連として必要な研究を進めるということだけではなくて、広く様々な観点からの火山の研究と連携をしていくべきという結論が出されたというところでございます。火山の研究につきましては、今でも様々な形で連携はされていると思いますけれども、それをより円滑に連携していくためのご提案をいただいたというふうに認識しております。
Q: 報告の中では地震調査研究推進本部という具体的な組織名を挙げて、そういったものを今後考えていかなければならないのではないかという意見もありました。噴火予知連は気象庁の諮問機関という立場もありますので、気象庁として音頭をとるなり、先頭に立って進めていくという考えがあるのかお伺いします。
A : はい、まさに関係する様々な機関とこれから相談をしていきたいというふうに思っております。
Q : わかりました。ありがとうございます。

Q : 今の関連でお伺いします。噴火予知連のあり方についての作業部会がまとめた最終報告書では、平時の火山活動評価に関しては気象庁が主体的に担う形になったかと思いますけれども、この背景の一つに2014年の御嶽山噴火以降、火山業務に従事する職員の増員や体制の拡充が挙げられています。火山監視の体制が強化されましたが、これから気象庁主体の運用に向けて考えられる課題などがもしあればお聞かせください。
A : あり方検討作業部会やその後の噴火予知連でもって、気象庁の体制が強化されたこと、人の面でも観測体制の面でも強化されたことなどから、想定される範囲内の噴火や火山活動の推移については気象庁が主体となって監視や評価ができるとされましたが、もう噴火予知連とは関係がないということではなくて、噴火予知連の三つの検討会の一つにはそこをサポートするための検討会ができておりますので、そこからのご支援をいただきながら気象庁が主体となってやっていくという形でございます。今作っている噴火警戒レベルの基準であるとかそういったものをきちんと運用していくということがメインの仕事になるかと思いますけれども、この基準あるいは評価の仕方などについても、まだまだ科学的な知見を取り入れて改善をしていく余地は非常に大きいと考えています。そういったところを、三つのうちの残りの二つの検討会でまとめられる知見をしっかり導入しながら、少しでも良いものにしていくということが大きな課題ではなかろうかと思います。

Q : 御嶽山噴火災害を巡る損害賠償訴訟についてお伺いします。長野地裁の松本支部判決で、噴火警戒レベルを上げなかった気象庁の判断の違法性の指摘がありました。7月の会見でも質問が出ましたが、判決を受けて気象庁として検証や火山監視体制の見直しをするお考えについて、その後いかがでしょうか。
A : 判決については引き続き精査中ということではありますけれども、気象庁の火山監視業務を改善していくという観点では、専門家等の検討が御嶽山の噴火の後なされて、2015年3月にまとめられております。そこでは、火山周辺に観測機器を設置するとか、あるいは火山監視警報センターを作って監視評価体制を強化していく、それから、新しい情報として噴火速報や「臨時」と明示した火山状況に関する解説情報の提供、あるいは周知普及の活動の強化についてまとめられたということで、それに沿って変更や改善を行ってきたというところでございます。引き続き関係機関と連携しながらこういった取り組みを推進して、先ほど申し上げたことも含めて火山活動の監視や評価の技術を向上させるということ、そして情報を的確にお伝えしていくということについて取り組んでまいりたいと考えております。

Q : 先日の経団連との懇談会について追加でお伺いします。今回の場で長官が、今後気象データを最大限活用できるように仕組み作りをしていきたいとおっしゃっていました。今後気象庁として、こう動いていくべきだとか、仕組み作りをどうしていくかというところについて、長官のお考えを伺えればと思います。
A : はい。これから、DXの推進やSociety 5.0の実現といったことのためには、私達が持っているものに限らず世の中にある気象のデータをより有効に使っていただくことが、私達の大事な仕事だと思っています。一つには、データへのアクセスを容易にするということがありまして、例えばクラウド上にデータを置いてみんなで共有するような仕組みを作るといったようなことが考えられると思います。それから、気象のデータを有効にお使いいただくという意味では、気象の特性や性質をよく分かってお使いいただくことが有効な利用に繋がりますので、そのような知見をうまく皆さんで持てるようにしていくことも大事なことだと思っています。

Q : 台風14号では、鹿児島県と宮崎県に特別警報を発出し、最大限の警戒を呼びかけられました。これがどのような防災行動に繋がったのか、現時点での評価、受け止めについて教えていただけないでしょうか?
A : はい、こうした情報を受けて、特に自治体をはじめとする関係機関がどう対応したのかということについては、これから振り返りをしたいと思っておりまして、今の段階ではなかなかコメントがしづらいところでございます。
Q : 調査というのは、いつ頃を目途に終えられて公表するでしょうか。
A : 相手方の自治体の皆さんは今まさに災害対応中でございますので、そういったところが落ち着いてからということになろうかと思います。例年ですと大体年内ぐらいに情報が集まってきて、というようなスケジュール感でやることが多いです。それから、これまでですと、例えば防災気象情報の伝え方とかの改善に生かすために、そういったものを取りまとめて公表といいますか、その有識者の皆さんにも共有してということをやってきていますが、今回どうするかということについては、必ずしも決まったものがあるわけではございません。
Q : ありがとうございます。

Q : 7月に発生したKDDIの通信障害に関連して、7月の会見では契約に基づいて対応を検討というようなお話がありましたけれども、その後料金の減額といった進展はありましたでしょうか。
A : はい。KDDIの通信障害については、当庁との契約によってどうするか、契約に沿って考えますというお話をさせていただいておりました。今回、その通信の維持ができないという債務不履行が発生したというところですので、契約書に沿って、正常のサービスを受けられる前提としている回線の使用料から約80万円を減額するということとなっております。損害賠償については、8月に報道発表させていただいた通り一部のデータが欠損しているわけですけれども、これらは大変大事なデータであることには違いがないのですが、当庁ではそのデータについて対価を求めて提供しているということではありませんので、その金銭的な価値を算出することができません。このため、データの損失ということについては損害賠償を求めないということとしたところです。
Q : 再発防止策を講じるようKDDI側に求められたと思いますが、それに対する先方答えや、あるいは気象庁として、前にも質問しましたけれども、バックアップ含めたその他の対処方法をお考えになる余地がないかどうか改めて確認させてください。
A : 現時点では、今後こういうことが起こったときに別な通信手段でデータを収集するというバックアップについては考えておりません。KDDIから何か具体的な方策があったかどうかについては、何か補足ができるようであればお願いします。
A : 大気海洋部業務課でございます。再発防止については7月に要請させていただきましたが、具体的にこうするといった回答はまだいただいておりません。

Q : もう一つ質問します。来週予定されている安倍元総理の国葬に関連してなんですけれども、気象庁としての対応、例えば弔旗の掲揚とか職員の黙とうとかいったことはお考えでしょうか。
A : 調べた上で後ほどご回答申し上げます。

Q : 今回の台風14号も含め、気象庁が行っている緊急会見での表現について少しお尋ねします。今回の台風では最大クラスという表現を使ったり、直近の災害の事例、大阪湾で連絡橋に船が衝突した事例を用いて危機感を伝えていたような印象を受けます。一方でこれまで2019年の台風のときには、例えば、狩野川台風というふうに過去の台風を使って呼びかけたり、会見者の課長が「台風が接近したら世界が変わる」といったような感情に訴える表現を使ったり、気象庁では様々工夫をされてきたと思うのですけれども、一方でいつも「自分の命、大切な人の命を守る」といった表現を使っていると、受け止め方として危機感が薄れてしまうのではないのかという警戒感も個人的に持っています。そういう危機感を持ってもらう表現について直感、私見で構わないのですけれども、危機感を持ってもらうにはどういう表現が望ましいのかお考えを伺えればと思います。
A : まず、過去事例については、令和元年の東日本台風のときに狩野川台風を例示したということに関連して、そういった例示というのが分かりやすく良いことも多いので、それは使っていくということにしています。一方で、その受け止めが地域によって、例えば狩野川台風であれば、そのときに被害を受けたかどうかによって大きく異なるということもありますので、地域によってそれが適切なのかどうかきちんと考えてやっていくことにしています。それから「自分の命」については、もう数年前から定番の表現として使っているものです。自分の命というだけではなくて、むしろ大切な人、おじいちゃんおばあちゃんであったりお孫さんであったりとか、そういった事例を専門家の方々からもいろいろ伺ってこういった表現を使っています。おっしゃる通り、メディアの方々に上手に使われて危機感を高められる効果があると非常に良いので、大事な情報をお伝えする際の大事な要素だと思っておりますが、私が今、こういうものと、こういうものが良いということについて、なかなかお話できることがございません。申し訳ありません。
Q : 異常な気象で災害に及ぶようなときに、「数十年に一度の」とか「過去最多」ですとかそういった危機感を我々も報道している一方で、過去最多とか最大とか、数十年に一度という表現に日本国民が慣れきってしまっているような状況もあって、警戒感伝える表現というのもなかなか難しいと思うのですけれども、そこら辺をどう模索していくべきか、すいません、抽象的で。
A : はい。数十年に一度の表現もいろいろ誤解されますし、その数十年に一度の雨量が気候変動とともに変わっていくというようなご指摘もありますし、非常に難しいところだと思います。確かに、言葉に慣れてしまうと危機感が薄れてしまうとかいろいろなことがあるので、日々考え続けなければいけないことだと思います。まさにそういったところというのは、ここにお集まりのメディアの皆さんのご意見もぜひ頂戴したいところでございまして、いろいろなところで懇談や勉強会のような機会がございますので、ご意見を頂戴して、なるべく過不足なく伝えられる良い表現を使っていきたいと思います。

Q : 先ほど線状降水帯の予測情報の関係で、当たり外れだけで見ていると、その実態を捉えられないというご発言もありました。ただ、現状として例えば今年8月上旬では情報が出ない中で線状降水帯が発生したというケースもいくつかあったと思うのですけれども、予測の情報が出ないと安心情報になりかねないということは運用開始当初から指摘されていたと思います。そういう実情があることについて、どのように受け止めていらっしゃいますか。
A : 線状降水帯が発生する可能性の呼びかけをしたからといって、必ず線状降水帯が発生するわけではありませんが、災害を起こすような大雨にはなる、線状ではないけれども大雨にはなる、というようなことが多いですので、前回空振りだったからとか、空振りが多い情報だからということで油断することなく、ぜひ危機感を高めていただきたいと思います。といいますのも、線状降水帯がもし発生しますと、本当に急激に大雨災害の危険度が上がっていきますので、そういうことが起こりうるという心構えで、避難の準備、あるいはキキクルをこまめにチェックする、避難経路をしっかり確認する、それから自治体においては避難所を開設する準備をするといった、一段危機感を高めることに情報をお使いいただきたいと思います。一方で、この情報がなくても線状降水帯が発生することがありますし、線状降水帯が発生しなくても災害を起こすような大雨になることもあります。そういった意味で、この情報だけに依存して、この情報が出ないから大丈夫、出たら避難をすればいいということではなくて、大雨警報、土砂災害警戒情報、氾濫危険情報といった防災気象情報全体をお使いいただいて早めの対応をしていただきたいと思います。

(以上)

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