長官会見要旨 (令和4年7月20日)

会見日時等

令和4年7月20日 14時00分~14時48分
於:気象庁会見室


発言要旨

   冒頭、私から1点述べさせていただきます。

   今後の気象に関連する注意事項についてお話しさせていただきます。今年は記録的に早い梅雨明け、その後の猛暑、そして梅雨末期のような大雨という例年とかなり異なる経過をたどっておりますが、引き続き気象庁からの最新の情報をご利用いただき、大雨災害から身を守る、熱中症に対する万全の対策を行うといったことをお願いいたします。
   7月4日から6日にかけて台風第4号と台風から変わった低気圧の影響により、また、7月中旬には低気圧や前線の影響により大雨となりました。今後についても、7月22日頃には東北地方を中心に大雨となる恐れがございます。引き続き最新の防災気象情報にご留意いただき、早め早めの対応をお願いいたします。
   昨日、3か月予報を発表いたしました。8月は1年で最も暑い時期ですが、この8月は全国的に気温が平年より高めになる見込みです。熱中症への備えを万全にしていただきたいと思います。気象庁では「熱中症警戒アラート」をはじめ、さまざまな気温に関する情報を提供しております。環境省のホームページには暑さ指数が掲載されておりますので、こういった情報を活用いただいて、皆様が置かれている状況に応じてこまめな水分補給や冷房の適切な使用など、対策を取っていただきたいと思います。
   この後は台風シーズンにも入りますので、大雨や暴風等への備えが必要になってまいります。引き続き全力で的確な防災気象情報の発表に努めてまいりますので、報道機関の皆様にもその周知等についてご協力をお願いしたいと思います。

   私からは以上です

質疑応答

Q : 先月1日から線状降水帯の予測情報の発表が始まりました。今年は梅雨が異例の経過をたどってきましたが、まず運用開始からの1ヶ月あまりを振り返ってどのようにお考えかということと、長官はかつて海洋気象部の方でエルニーニョの監視にあたられておられましたが今年の梅雨時期の経過と現在のラニーニャの関連を専門家としてどのようにお考えかについてお聞かせください。
A : 線状降水帯の予測に関する情報は、今年の6月1日から運用を始め、7月15日に初めて発表しました。九州南部、九州北部地方を対象に、線状降水帯による大雨の可能性があることを呼びかけました。また、7月18日にも呼びかけを行いました。このうち、7月18日夜から19日明け方にかけては九州北部地方に線状降水帯が発生しました。15日は線状降水帯の発生には至りませんでしたが、例えば3時間で140mmといった大雨にはなりました。線状降水帯が発生しない「空振り」と受け取られる方がいらっしゃるかもしれませんが、「空振り」かもしれないと油断するのではなく、この情報が出た時には大雨への早めの対応をお願いいたします。この他、7月5日未明に高知県で、7月18日午後には長崎県で線状降水帯が発生しましたが、これらについては事前に発生の可能性を呼びかけできませんでした。可能性をお示ししたが発生には至らなかったというケースも含め、それぞれの気象状況や発生した線状降水帯のメカニズムについて検証し、今後の予測精度の向上に努めてまいります。また一方で、この呼びかけについては、今の精度をご理解頂いた上で、他の防災気象情報と一緒にご活用いただくことが大切だと思っており、その観点でも、特に地方自治体と密に連携して取り組んでまいります。
 また、今年のラニーニャ現象についてですが、エルニーニョ/ラニーニャ現象は日本や世界の天候と深い関わり合いがあるため、気象庁ではこれらの監視や予測を行っています。ただし、日本の天候はエルニーニョ/ラニーニャ現象だけで決まるものではなく、他の要因も複雑に働いて決まっております。今年については、特に早い梅雨明けの発表に際して、ラニーニャ現象が発生している影響もあり偏西風が北に寄る状況が続くだろう判断し、梅雨明けに至りました。7月上旬までは、その偏西風が北に寄っていましたが、その後は南の方に蛇行して大雨になった所もありました。最終的にこの夏がどういう夏になるかはまだわかりませんが、ラニーニャ現象以外の様々な複雑な要因も絡んでいることが日本の季節予報を難しくしていると考えています。季節予報は様々な産業でも利活用の価値があるものだと思っており、そのような観点でも精度の向上というのが求められていると思います。そのためには、エルニーニョ/ラニーニャ現象も含め、大気と海洋を一体的に予測できる数値予報モデルの開発が非常に大事だと考えています。今年2月9日に報道発表いたしましたが、大気と海洋を結合した予測技術の開発は今後もしっかり進めていかなければいけないと考えています。
 
Q : 先日の御嶽山の噴火をめぐる訴訟について、長官ご自身の受け止めをお聞かせください。
A : 2014年(平成26年)9月の御嶽山の噴火でございますが、この場で改めまして、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の方に心よりお悔やみを申し上げます。また、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。本件に対する損害賠償を求めた訴訟の判決が13日に言い渡され、原告の請求については棄却するという判決でございました。一方、その中で私たちの当日の判断過程について非常に厳しいご指摘をいただいたと考えております。この判決について、内容を精査して対応を検討してまいりたいと思います。気象庁としては、今後も関係機関と連携しながら火山活動の監視や評価の技術を向上させるとともに、噴火警報などの火山防災情報を適時的確に発表をできるように努めてまいりたいと思います。
 
Q : 訴訟自体は住民の請求が退けられる形になりましたが、当時の作業について極めて合理性に欠ける、明らかに違法であるという指摘について、現状は解消しているのか、あるいはその後の改善などによってこの部分はどのように変わるのか、それとも気象庁として逆に反論の余地があるのかをお聞かせください。
A : そのご指摘については大変厳しい指摘をいただいたと考えておりますが、内容はまだ十分に精査ができておりませんので、コメントは差し控えたいと思います。

Q : KDDIの通信障害による影響について、影響の確定値のようなものはこれからだと思いますが、この影響で正常にデータが収集できなかったことについて、KDDI側に対して何らかの請求等をお考えか聞かせてください。
A : 7月2日に発生したKDDIの通信障害により、アメダスのデータが取得できなかったことについて、現在、現地のアメダスの機器の中に保存できているデータを吸い上げているところです。また、リアルタイムのデータが地域の方々にご提供できなかった点に関して、KDDIに対して再発の防止を徹底するよう申し入れております。最終的にどの程度のデータがどうなるかについて確認作業を進めておりますので、それが終わってから検討いたします。

Q : 国土交通大臣からは損害賠償についても適切に対処という旨の発言がありましたが、こちらについてはいかがでしょうか。損害賠償の余地があるのか、損害賠償が馴染まないとすると、正常のサービスを受けられる前提で支払っている費用についてその穴埋めを求めるといったことをするのでしょうか。
A : KDDIとの契約の中で、「利用不能期間に相当する提供金額の減額を求めることができ、その金額は別途協議する」こととなっておりますので、これを踏まえてこれから適切に対処していきたいと思っておりますが、それ以外のことについては、先ほど申し上げたように、まずはどういう状況なのかを見極めるところから対処してまいります。

Q : 今回、LTE回線を使っているものについて正常にデータ収集ができなかったということで、KDDI側に非があるにせよ、必要な時にリアルタイムで情報が集められないことがあるという問題が浮き彫りになったと思います。例えば固定回線の併用といったバックアップ機能について何か改善が必要と思われる部分はないでしょうか。
A : アメダス、いわゆる地上の気象観測には、LTE回線以外の回線を使ってデータを収集している観測点があります。また、アメダスの何地点かのデータが抜けた場合には、「推計気象分布」というプロダクトがあり、これは現地のアメダスのデータと数値予報などの面的な情報を組み合わせていく技術ですが、こういったものを活用していきたいと思います。大事なことは、防災に必要な情報をしっかり出していくことだと思いますので、そういったものをしっかり活用していきたいと思います。

Q : 今の答えは、現状のものをうまく活用できればしっかり補填はできるため、次に同じようなことが起きたときに備えて何か改善をすることは現在考えていないということでしょうか。
A : 現時点で直ちにLTEのバックアップ回線を整備することは考えておりません。

Q : 御嶽山の噴火以降、気象庁では様々な火山監視体制の変更をしてきたと認識しております。今回の判決では気象庁の不備について数多く指摘されておりますが、この判決を受けて今の火山の監視体制を見直す予定があるのかをお聞かせください。
A : 御嶽山の噴火の後、気象庁では火山防災情報について様々な改善を行ってまいりました。まずは御嶽山の噴火が水蒸気噴火であったことも踏まえ、山頂付近に観測網を展開するという観測体制の強化を行ってきています。また、「噴火速報」の発表や、「火山の状況に関する解説情報」においていつもと違うことが起こっていることがわかりやすいように「臨時」と表示するなど、情報の改善も行ってきています。また、気象庁の火山の活動の評価を行うための体制の強化も行なっています。こういったことを通じて、気象庁が火山を監視、評価する能力は御嶽山の噴火前に比べて向上してきていると考えております。ご質問いただいた判決を受けてということについては、繰り返しになってしまって恐縮ですが、判決内容について精査をして考えてまいります。

Q : 線状降水帯のこれまでの運用について検証し、今後の予測精度の向上に努めていきたいという趣旨の話がありましたが、具体的に何か庁内で予定していることをお聞かせください。
A : 情報発表の判断に用いた様々な予測資料と実際にどうだったかを見比べる検証が始まっています。この予測技術の向上のために線状降水帯の予測のためのワーキンググループを立ち上げて、大学や研究機関の専門家の方々と一緒に仕事をさせていただいております。こういった方々とほぼリアルタイムで様々な情報を共有し、コメントを頂いているところです。

Q : 逐一検証を行っているということでしょうか。
A : その通りです。

Q : 直近の7月18日については九州南部、九州北部地方で予測を出して九州北部地方で実際に線状降水帯が発生しましたが、一方で「見逃し」や「空振り」もありました。このことについて現状、把握できている原因や背景をお聞かせください。
A : 現在検証しているところですので、確かなところを今申し上げる段階ではないですが、観測データも様々ありますし、様々な数値実験もこれから行い分析していきたいと思います。

Q : 御嶽山の噴火訴訟では、噴火警戒レベルの位置付けについても争点になりました。国側は規制権限を持つ市町村を支援するための情報提供にすぎないと主張していますが、判決では国民の生命や身体を災害から保護することまで目的とすると明確に示されました。これはレベルの判断を含めた防災対応について国が大きな責任を負うことを示唆しておりますが、判決を踏まえて防災対応を担う自治体との連携や支援についてどのようにお考えでしょうか。
A : 私どもの裁判における主張や判決についてはおっしゃったとおりですが、この判決文の意味するところについて、今精査をしているところでございますので、コメントは差し控えたいと思います。

Q : 15日に初めて線状降水帯の予測が出た時には、九州で予測が初めて出されたために皆が九州に警戒を向けるなかで、東北地方で大雨になりました。こういった線状降水帯ではない大雨のリスクをどう伝えるかという課題があると思いますが、長官のお考えはどうでしょうか。
A : 線状降水帯に関する情報をこれから開始するという段階で、私どもが注意せねばならないと考える点の1つが、他の地域への警戒でございました。今おっしゃったように、当時から東北地方も大雨に警戒が必要だということが分かっており、結果的に相当の大雨になって被害も出ました。例えば、取材対応や気象情報では、線状降水帯の対象となっている地域以外の警戒が薄れないように相当の注意は払ったつもりです。結果的にどうだったかは後で振り返る必要があろうかと思いますが、そういったつもりで対応しておりました。

Q : 18日は低気圧と前線による線状降水帯の予測情報が夕方に発表されましたが、九州北部地方に関しては、線状降水帯の発生の時間が翌日午前にかけてと幅があり、12時間から6時間前までだけでなく目先の現象まで含まれており、避難のリードタイムもなく情報が出ていたと思います。これは対馬の方で「顕著な大雨に関する気象情報」が発表されていたからと認識していますが、このような運用は例外的という理解でよかったでしょうか。
A : 対馬では、18日の午後に線状降水帯が発生しました。もちろんその事実は、予報官の線状降水帯の予測情報の発表の判断に取り入れられていると思います。予測情報自体は発生の12時間前ちょうどに予測を発表するということではなく、現時点の我々の予測技術のレベルとして、12時間先までが情報を出すにふさわしい可能性の高さであり、予測の限界であると思っています。また、12時間前を過ぎて予測がされた時に何もしないというわけではなく、その後確度が高まった時点で情報を発表するという判断もあるので、必ずしも今回の対応が例外というわけではありません。それから、対象とする期間が長いということについても、その時の判断として、同様の状況が次の日の午前中まで続くということであれば、その旨をお伝えする情報になりますので例外的なオペレーションというわけではないと思います。

Q : 実況で対馬に顕著な大雨に関する気象情報が出てしまったので、翌日の午前中にかけて、という幅を持たせたという理解だったのですけれども、今後、12時間から6時間前の間に限らず、目先で発生した線状降水帯も予測として情報を出していくということがあり得るということでよいでしょうか。
A : 既に発生した線状降水帯のことを、後追いで発生しますと申し上げているのではなく、予報官の判断、数値予報の比較により発表した、ということであります。

Q : 通常は12時間前から6時間前に早めの避難を呼びかけるが、場合によっては目先を含めた情報の書き方もあるという理解でよいのでしょうか
A : 線状降水帯の予測情報は、基準に基づき予め発表するものであって、後追いで出すというタイプの情報ではありません。この時は、発生したことをもって発表したというわけでは無く、その後、線状降水帯が発生しやすい状況になると予想したので発表したものです。

Q : 昨日の大分県での大雨について伺います。昨日、線状降水帯が発生した大分県の山国川では午前4時に氾濫危険情報が出ました。これは大分地方気象台と山国川河川事務所が共同発表しているものですけれども、新しい制度になって初めて3時間先までの予測で氾濫開始相当水位に達するという、予測を基に発表された氾濫危険情報でした。ただ、あまりにも急激な天候の変化と水位の上昇で、氾濫警戒情報どころか氾濫注意情報も出ないまま氾濫危険情報が出たと聞いております。そのあたりの急激な変化があったことについて、情報の出し方も含めて長官の受け止めをお願いします。
A : 申し訳ありませんが、その時の発表の状況を詳しく把握しておりませんので、川の性質や雨の降り方によってそのようなことが起こったのだろうと思いますが、詳細については私からはコメントが難しいところです。大気海洋部からは何かありますか。
(大気海洋部)
 おっしゃるとおり、山国川については急激な水位上昇があって、予測で氾濫危険情報を発表するという形になりました。その当時の予測がどうだったのかについては確認が必要ですが、情報を発表する準備をしている間にも水位が急激に上がっていくという状況だったと考えられます。どういう対応が良かったのかという点に関しては国土交通省と気象庁で必ず振り返り、状況の検証を行いますので、その中で今後どういう対応をしていけばいいのかということも含めて、検討していきたいと考えています。

Q : 想像を超えるような急激な変化があって、順を追って情報が出せないということは今後も可能性があると思います。その中で国民の皆さん、住民のみなさんが、こういった情報にどう耳を傾けて注意していけば良いでしょうか。
A : 国土交通省と共同で発表している河川の洪水予報に限らず、気象庁のキキクルにおいても、雨の降り方によっては急激に危険度が悪化することがあると思います。こういったことの一つの背景として、線状降水帯があると考えています。線状降水帯では非常に激しい雨が降り続くことによって急激に危険度が悪化することがあります。それをお知らせするのが今年始めた線状降水帯の予測の情報ですので、この情報が出たときには特にキキクル、河川の状況が急激に悪化する可能性があるということをご理解いただき、いつでも避難ができるような準備を進めていただくようお願いいたします。

Q : 最後にその避難に関してですが、順を追って情報が出せないと、やはり地元の自治体にとっても避難の情報を出す判断というのが遅れる可能性がありますので、例えば気象台や河川事務所と自治体との連携をより一層強めていくべきだとお考えでしょうか。
A : おっしゃる通りだと思います。雨の降り方を私たちは監視をしていますので、急激に悪くなる可能性があるということであれば、密に連携して地域全体の防災を進めていくという形にしていきたいと思います。

Q : 御嶽山の訴訟についての受け止めに関して、長官の先ほどの答えで精査中であるということは分かりました。このことに関して、期限を切って、例えば次の長官会見では何らかのことを長官として話されるのでしょうか。何か対策チームを立ち上げてから回答するとか、期限に関してはどのように考えていますか。
A : 今の時点で特に期限を切って、いつまでに結論を出すというようなことは考えておりません。

Q : 現時点で、期限を言うことが難しいということは分かりました。長官として、何かを出すということは考えているのでしょうか。
A : それも判決文を精査した後で考えたいと思います。

Q : 我々も判決文を見たときに、裁判所もかなり踏み込んできたと思っていたところです。繰り返しになりますが、すぐに結論が出ないのは理解できますが、精査して答えを出さない、ということもあるのでしょうか。
A : 何らかの立場というのは考えたいと思いますが、判決文を精査した結果によりますので、どれくらいの期間をかけて、何をするのかしないのか、ということに関しては今のところ白紙です。
Q : そのことについてはぜひ能動的に、次の定例会見で長官から何か発言があることを期待しています。

Q : KDDIによるデータ欠損について、一部のアメダスは24時間でデータが消えてしまうといったような説明が先日ありました。現実に24時間を超えた箇所がいくつかあったはずです。データが消えたところがあったのかどうかというのは、デジタルデータなのですぐにわかりそうですが、2週間以上経ってもまだデータの集積も終わっていないということなのでしょうか。
A : 現時点ではまとまった形になっていませんが、遠からず全体像がわかると思います。

Q : こちらから聞くのではなく、能動的に気象庁から発表があるのでしょうか。
A : 先日の報道発表と同じ形になるかどうかはわかりませんが、結論が出たら公表する予定です。

Q : 御嶽山の訴訟について、控訴する意向を相手側弁護団が発表していますが、仮に控訴となった場合、気象庁としてそれらに関する会見を行ったり、精査した内容について明らかにすることが難しくなるかと思いますが、どういう対応を今後行って、精査した内容を明らかにしていくのでしょうか。
A : 精査した内容によります。判決は出たものの確定はしていないという意味では係争中と申し上げることになると思いますが、こういう場で申し上げられることは限られると思いますし、精査した結果として、何をするのかしないのか、判断していくことになると思います。 


Q : 線状降水帯の予測の情報発表について、大学や研究機関とリアルタイムに情報を共有しているということですが、出水期に入り、実際に起きた大雨のイベントの検証というのはどれくらいの期間のものを検証するのでしょうか。ある期間に起きた現象を一定の期間をかけて検証をするのか、検証と予測を並行して行うのでしょうか。
A : 検証は様々な形で行います。今考えつくものでは、ある期間を通して数値予報モデルがどういうパフォーマンスだったのかという検証や、線状降水帯が発生したケースや発生しそうだったけれども発生しなかったケースについて、どのような現象が起こっていたのか奥深く掘り下げるという形の検証もあると思います。富岳を使って開発中のモデルを運用していますが、これはリアルタイムでシミュレーションをしているという特徴を活かして、予測と並行して検証を行っているものもあります。他にもいろいろなタイプの検証というのがあると思います。

Q : 検証した結果の公表について、現時点で決まっていることがあるのでしょうか。
A : 今決めているものはありませんが、ワーキンググループでは専門家の方も含めた検証が行われます。そこでは専門的な議論が行われると期待します。このほかには例えば、気象学会といった場で、研究者の方々や私たちが仮説を披露したり、意見をもらったりということが考えられますが、具体的な計画というのはありません。

Q : 線状降水帯の予測について、18日の予測については、当日の共同取材では、夕方の資料をもとに発表を検討しているとのことだったので、夕方から6時間後であるその日の夜から翌日の午前中にかけてを対象にしたものが発表されるものと思っていましたが、夕方発表された情報は「19日午前にかけて線状降水帯が発生する可能性がある」といった文言でした。このため、情報が出たその瞬間から、いつ線状降水帯が発生してもおかしくないという情報という認識をしたのですが、それで間違いないでしょうか。
A : 情報文の正確なところについて、大気海洋部はどうでしょうか。
(大気海洋部)
 18日の夕方に発表した情報では、「19日午前中にかけて線状降水帯が発生して大雨の危険度が急激に高まります」という内容で発表させていただきました。線状降水帯の半日前の予測情報を始めるときに基本的には半日前から6時間前を目安に発表するということで、今回については、19日の日付が変わる頃から19日午前中にかけてが線状降水帯が発生して大雨となりやすい時間と予測し、6時間以上先をターゲットにした情報として発表していました。一方で直前に長崎県の対馬で顕著な大雨に関する気象情報が発表されていましたので、目先に危険性がなく、その時間帯は防災対応が不要ということにならないように、19日午前にかけて、というような表現で防災気象情報を発表しました。どのような表現がいいのかということについては、今年度運用を開始したばかりですので、いろいろ反響をいただいている中で改善していきたいと考えています。

Q : 御嶽山の訴訟について、原告の請求が棄却された一方で、厳しい指摘があったと発言がありましたが、具体的に厳しい指摘とはどの部分を指すのでしょうか。
A : 気象庁による警戒レベルの据え置きが合理性に欠け、違法であるという結論について、厳しい指摘だというふうに考えています。

Q : この夏の天候について、梅雨明けとなったのに、猛暑のあと大雨になったということがおかしいのではないかという声がよく聞かれます。長官の冒頭に発言がありましたが、長官としてもおかしいと捉えているのでしょうか。今後、異常気象分析検討会などで議論される予定はあるのでしょうか。
A : 通常の梅雨から夏にかけての経緯とは大きく違うという認識ではあります。異常気象分析検討会をどうするかについては、これから庁内で検討していきたいと思います。

(以上)

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