長官会見要旨 (令和3年11月19日)

会見日時等

令和3年11月19日 14時00分~14時28分
於:気象庁会見室


発言要旨

   冒頭私から1点、雪に関する情報の改善と雪のシーズンへの備えについて述べさせていただきます。

   気象庁では、雪に関する情報の改善として、積雪の深さと降雪量の6時間先までの予報を11月10日に開始しました。これまで気象庁ホームページにおいて、「現在の雪」というコンテンツで現在までの雪の状況を分布図でお示ししてきましたが、「現在の雪」に6時間先までの予報を加えた「今後の雪」として、24時間前から6時間先までの雪の分布を一体的にご確認いただけるようになりました。
   これにより、今どこで降雪が強くなっているか、積雪が大きくなっているか、そして今後、どこで、降雪が強まる可能性があるのかを把握しやすくなります。大雪が予想されるような場合には、「今後の雪」を事前にご確認いただき、例えば、効率的な除雪計画に活用いただくことや、車の運転の際により安全なルートの選択していただくことや、場合によっては外出を控えるなどの安全確保にも役立てていただきたいと思います。
   今年の冬は、ラニーニャ現象の影響もあって、西日本を中心に寒気の影響を受けやすいため、西日本の日本海側で降雪が多くなる傾向が予想されており、大雪に対する注意が必要です。その他の地方でも、一時的に寒気の流れ込みが強まり、大雪となることが十分に考えられますので、注意が必要となります。
   今後、本格的な雪のシーズンを控え、気象台が発表する雪に関する情報に十分留意いただき、大雪や風雪への備えを万全にしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

   私からは以上です。

質疑応答

Q : 軽石の漂着について、これまでの気象庁の取り組み状況と伊豆諸島の本格的な軽石の漂着が懸念されている等の最近の動向を踏まえた注意喚起をお願いいたします。
A : 小笠原の海底火山である「福徳岡ノ場」の噴火によるものとみられる軽石が太平洋を漂流し、沖縄県や鹿児島県の港湾・海岸などへの漂流・漂着が確認されており、一部の船舶の運航への影響や漁業被害などが生じていると報じられております。
 この軽石への対応として、気象庁では、軽石の撤去や防御などの作業の対策にあたる方々への支援のため、気象庁ホームページにポータルサイト「福徳岡ノ場の軽石漂流の関連情報」を開設し、気象や海流等の情報や、軽石をとらえる可能性のある気象衛星ひまわりの画像等を広く提供しているところです。また、気象台からは沖縄県や鹿児島県の軽石対応会議に職員を派遣し情報収集を行っているほか、それぞれの県のニーズを踏まえて各地の時系列の天気予報などをまとめた気象支援資料を提供しております。引き続き、関係機関の動向とニーズを踏まえて、気象庁として何が出来るかを検討してまいりたいと考えております。
 先日、伊豆諸島で軽石と思われる漂流物が確認されたとの報告が海上保安庁からありましたが、今後も、沖縄県や鹿児島県だけでなく、黒潮の流れに乗った軽石が、本州の沖合に到達し、伊豆諸島を含む沿岸に達する可能性があります。軽石の現状の全容を把握するのは難しい状況かと思いますが、先ほど申し上げた気象庁のポータルサイトだけでなく、海上保安庁や地方自治体など関係機関も情報を公表していますので、対策に当たる方々には、こうした情報を参考にしていただきたいと思います。また、海洋研究開発機構(JAMSTEC)など予測シミュレーションの結果を公表している機関もございます。予測シミュレーションにはそれぞれの特徴や限界がありますが、公表されている注意事項などにも留意した上で、そういったものも併せて、有効にご活用いただければよいのではないかと思います。

Q : 緊急速報メールの廃止の延期を公表してから間もなく1カ月となります。自治体に向けてアンケート調査を行うとのことでしたが、作業の進捗はいかがでしょうか。
A : 緊急速報メールの件につきましては、配信終了ということを10月12日に報道発表をしましたが、それを受けて避難に必要な情報を得られなくなるのではないかといった懸念の声があることから、配信終了をいったん見送りました。気象庁としては、全国の市区町村を対象として、気象庁からの防災気象情報を受けて、地方自治体において避難指示の発令を検討・判断する仕組みの運用状況や、避難情報が適切な手段で住民に伝達される仕組みの整備・運用状況について調査・確認をすることとしており、現在、その準備を進めているところです。この調査は年内を目途に行い、その後、庁内でとりまとめ、速やかにその結果を公表する予定にしております。

Q : 年内というのは、調査開始のことか、取りまとめのことかを教えてください。
A : 取りまとめのことです。

Q : 既にひな形のようなものはできていて、それをまもなく自治体に配布する段階なのでしょうか。
A : 案を作ってそれを精査している段階です。

Q : どういった手段でアンケートを配り、回収するのでしょうか。
A : どういった手段で配るかは詳しく把握はしておりませんが、マウスで選択するなど、あまり手数をかけずご回答いただける形でアンケートを作っており、それを集計したいと考えております。

Q : 紙や電話といった手段ではなく、メール等を使うということでしょうか。
A : 紙ではなく、メール等を使うことになると思います。

Q : 自治体がどういった方法で情報伝達を行っているのかを確認するものであり、気象庁が緊急速報メールを止めることの賛否を問うものではないとの認識でしょうか。
A : その通りです。

Q : ひな形が完成した場合、それを見せていただくことは可能でしょうか。
A : 調査に差し障りがないと判断できればお見せすることは可能と考えておりますが、それも含めて最終案を作成している段階です。

Q : 自治体以外にも国民や有識者など、対象者を広げご意見を伺うことを検討しているのでしょうか。
A : まずは、自治体の方への調査を行い、それ以上のことは、その結果を踏まえて考えたいと思っております。

Q : 自治体の調査で何か結論を出すとは限らず、さらなる調査を行う可能性もあるということでしょうか。
A : その通りです。この調査の後どうするかはまだ決まっておりません。

Q : 次のアナウンスのタイミングは、調査開始時となるのか、自治体からの回答の結果を公表する時となるのか教えていただけないでしょうか。また、その時期についても教えてください。
A : 取りまとめの結果をお知らせする予定です。時期としては、年内となるか年明けとなるかなどはまだ何とも言えません。

Q : 当初は緊急速報メールの配信を10月28日に終了する予定で、28日はシステムの更新期限であったという話でした。緊急速報メールを継続するにあたり、システムは現在どのような状況になっているか教えてください。
A : システムは同じ形で同じものを運用しております。

Q : 保守期限を過ぎてどういった運用になっているのでしょうか。
A : 保守については、そのまま延長しているわけではありませんが、システムの運用・監視はしっかり行っており、安定的な運用を確保しております。何か必要なことがあったときは業者に対応をお願いすることも含めて迅速に対応したいと考えております。

Q : 現在、緊急速報メールの見直しの結論を出せる状況にないと思うが、しばらく今の体制を続けることが可能なのでしょうか。
A : その通りです。

Q : 緊急速報メールの運用について、予算上、今年度分についてはいつまで継続可能なのでしょうか。
A : 今年度分の予算については、現在の形で運用する分には問題ありません。

Q : 軽石の漂着について、黒潮に乗った場合本州の沖合に到達する可能性があるというお話がありましたが、気象庁として何らかの予測に基づいたご発言なのか、それともJAMSTECなど他の研究機関等の予測結果を踏まえた、総合的なご発言なのか、どちらかを教えてください。
A : 先ほどの発言の「本州の沖合に到達し、伊豆諸島を含む沿岸に達する可能性」というのは、一般的な話として、黒潮の流れや、現在の軽石が確認されている地域等から判断できる範囲で判断したものです。

Q : 軽石の漂着について、先ほどの長官のご発言の中で、ニーズに合わせた時系列の予報を提供しているというお話がありましたが、詳細を教えてください。
A : 手元にサンプルが無いので詳しいお話はできませんが、いわゆる災害対応のオペレーションをしている現場に、その地域の気象の状況をお知らせしている定型資料であり、それを提供しているというものです。
 (大気海洋部)気象庁ホームページのポータルサイトから提供しています。一般的な災害でも提供しておりますが、今回は災害地域の時系列の気象情報の他、潮位の情報も欲しいとのことでしたので、そういった情報も載せています。

Q : 確認ですが、これはあくまで最新の気象情報を提供しているのであって、軽石の動きの予測を自治体に提供しているということでは無いということですか。
A : その通りです。

Q : 軽石について、気象庁ホームページのポータルサイト内で軽石の衛星画像が載っていますが、沖縄・奄美のエリアしか載っていません。軽石の動きが段々と東に移り、伊豆諸島や関東での動向に人々の関心が集まっている中で、衛星画像はずっと沖縄・奄美で固定されています。最新のJAMSTECの予報等に合わせて画角を変えるなど、柔軟な対応は考えていますか。
A : 実際はもっと広い範囲で見ていますが、気象衛星ひまわり使って確認できるのは、現在サイトに掲載している範囲に存在する軽石だけです。それ以外の場所では、他の衛星等で軽石があるということが分かっている地域であっても、気象衛星ひまわりの解像度では確認が難しいというのが現状です。

Q : ポータルサイトについて、今後、リニューアルまたは新たな情報を掲載することは、考えていないのでしょうか。
A : 引き続き、ポータルサイトで何ができるかということについて考えていきたいと思っています。ニーズに合った情報としてどのようなものが出せるかを考え、大々的なことで出来そうだと言えるものはありませんが、現時点のもので更新が終わりだと決めているわけではありません。

Q : 能登半島で地震が活発化しており、今月に入ってからも、震度3程度の活動が相次いだということで、今月の地震火山概況に合わせ、今後の地震に注意という形で記事を書きました。一方、地元金沢の方では新聞等の記事を書いておらず、地方気象台では情報が出ているか探しましたが、私が見た限り、出ていませんでした。台風や、気象災害、火山噴火等は地元気象台が警戒を呼び掛けていると考えますが、地震の時は地方気象台から情報提供などは行われないものなのでしょうか。
A : 金沢地方気象台では、気象台のホームページに一連の地震についての解説資料や震度毎の表といったものを掲載しております。気象台としては、県をはじめ地元地方自治体や関係機関に対して、地震解説情報を提供したり、解説を行ったりしているところです。

Q : 地震の場合は、起きてからの呼びかけが主であり、こういった状況で活動が高まっているなど、事前の段階での共同取材やレク等はあまり行われないということでしょうか。
A : その通りです。今後この地震がどう推移していくかという見通しは言えないので、ご指摘のような呼びかけは難しいと思います。一方で、このような機会をとらえて、是非大きな地震にも備えていただきたいと思います。地方気象台がどのように発信しているのかは確認いたしますが、私からは、是非この機会をとらえて、震度5弱を観測する地震も発生していますので、今後も強い揺れに備えた対策というものを取っていただきたいと思います。

Q : 緊急速報メールの件についてお伺いします。緊急速報メールの廃止が一旦白紙になったということで、非常に大きな関心を集めているものだと思います。アンケートを開始する段階で、その内容、狙いについて報道発表を行う予定はありますか。
A : 今のところ、その予定はありません。

Q : それは、どうしてでしょうか。
A : 大事なことは、その結果を踏まえて住民の皆さんにしっかり説明を行う、というところだと思いますので、そこに力を注ぎたいと考えています。

Q : アンケートについて、どういった問いをするか、その結果をどのように分析するのかに関しては、アンケート調査を行う際に、第三者の客観的な分析が必要と考えますが、そのあたりのお考えはいかがでしょうか。
A : 第三者は難しいですが、庁内で、設問と回答の作り方について、どのような分析を行うから、どのような質問を作成するのか、ということを慎重に検討しているところです。

Q : これまでも防災気象情報の伝え方については、その都度アンケート結果を、伝え方検討会など、専門家会議の中で、きちんと分析されたうえで政策を進めてこられた経緯があると思います。その点は重視されておりますでしょうか。
A : アンケートの結果については、きちんと分析を行って、その結果に基づいて、今後の進め方を考えていくということです。

Q : その結果を、専門家や第三者に検討していただく過程を経るということは考えていないのでしょうか。
A : 分析を外部の方にお願いするということは予定しておりません。

Q : その進め方で客観的なきちんとしたデータ、自治体の現状というものが浮かび上がるというお考えでしょうか。
A : そのような調査にしていきたいと思っております。

(以上)

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