長官会見要旨 (令和3年4月21日)

会見日時等

令和3年4月21日 14時00分~14時36分
於:気象庁会見室


発言要旨

   4月になり新年度になりましたけれども、皆さん改めてどうぞよろしくお願いいたします。
   冒頭、私から1点、先日の防災気象情報の伝え方に関する検討会についてお話をさせていただきます。

   この検討会では、昨年の7月豪雨や台風第10号において明らかになった課題への対応などを中心にご議論をいただいてきました。
   先日の第10回の検討会におきましては、特にその線状降水帯に関する情報についての議論をしていただきました。これは昨年度内に行われた第9回での議論を踏まえた形で情報の基本的な考え方などについて、こちらからお話をさせて頂いたというものでございます。
   この情報というのは、線状降水帯というのは事前の予測が難しいわけでございまして、そうした中で気象レーダーなどで線状降水帯が発生しているということを把握した場合にお伝えするものでございます。
   その情報の基本的な考え方として、大雨による災害の危険度が高まっている中で、線状降水帯によって非常に激しい雨が同じ場所で降り続いている状況を「線状降水帯」という言葉をキーワードとして使って解説をする情報です。
   それから、これまでに多くの災害を引き起こした「線状降水帯」という言葉をキーワードとすることで、多くの皆さんに危機感を高めていただくことが期待できるというものであり、こういった考え方をお示ししたというところでございます。
   このことについては、委員の皆様からのご了解をいただけたものという風に考えてございまして、今年の出水期から運用を始める予定としております。
   これに加えまして、昨年の台風第10号時の呼びかけに関する課題や防災気象情報全体の体系の問題など、これらについては、第9回までの間でおおむね議論を進めており、これらの課題について、取りまとめが行われているところでございます。
   最終的な報告書につきましては、委員の皆様方から最終的なご了解を得た上でなるべく早く公表したいと考えておりますし、この報告書に盛り込まれているさまざまな改善策などについて、国土交通省や内閣府としっかり連携すべきところを連携し、自治体や報道機関の皆様と認識の共有をしっかりやった上で改善策を進めていきたいと考えているところです。

   私からは以上です。

質疑応答

Q : 線状降水帯の情報ですが、様々な懸念が示され議論があったわけですが、議論は十分だったのか、また、情報を出す側として、どのような点に気を付ければならないと思っているのか教えてください。
A : そもそも防災気象情報の体系はシンプルな方が分かりやすくてよいという中、新たな情報が加わるということについて、本当にそれでいいのかという懸念は示されていました。
 私どもとしては、線状降水帯という言葉をキーワードとして使うことで少しでも避難に向けた警戒感・危機感を高めていただく、この情報を出すことの意義について、皆さまにご理解がいただけるまで深い議論ができたと考えています。
 情報の体系をシンプルにしていくことについては、中長期的な課題としてこれから気象庁としてもしっかり取り組んでいきたいと考えております。

Q : つまり長官としては、議論は十分行われたという認識ですか。
A : 今年行う線状降水帯に関する情報提供ということについての議論は十分だったと考えております。
 一方で、それに関連する様々な課題はこれから考える必要があるだろうと思っております。

Q : 線状降水帯に関する情報について、改めて長官から実際にこの情報が出た時に住民の方々がどう意識したらいいのかご説明いただければと思います。
A : 線状降水帯はご承知の通りで同じ場所で大雨が数時間にわたって降り続いてしまうことで災害に結びつきやすい現象です。
 この情報が発表される段階ではすでに大雨の警戒レベルでいうとレベル4に相当しており、それに沿った形で避難の情報なども出されている状況だと思っております。
この情報の役割の大きなところは線状降水帯という非常に危険な気象の状況であるということを皆さんが気づき危機感を高めていただいて、もし避難を迷っているようであれば直ちに避難ということを考えていただきたいと思いますし、初めてこの情報を見たというのであればこの情報をもって、避難の情報が出されていないかどうか、自分の周りがどうなっているのかということをすぐに確認をして、取るべき行動を取っていただきたいと考えております。

Q : すでに周辺が危険な状況になっている可能性もあるので、この情報を待って避難するということはあるべき姿ではないと思いますが、このことについてはどのようにお考えでしょうか。
A : おっしゃる通りで、この情報が出るまで何もしなくていいということはありません。
 この情報はいわゆる警戒レベルを上げたり下げたりする情報ではなくて、それを補足・解説し、より高い危機感を持っていただくための情報と捉えていただき、この情報が出るまで安全ということではありませんのでその点はご留意いただきたいと思っております。

Q : 熱中症警戒アラートは今月下旬から運用開始予定となっております。政府も目標として年間の死亡者数が1000人以下に抑えると掲げているなかで、気象庁としてどのように役割を果たしていきたいと考えられていますか。
A : 熱中症警戒アラートですが、若干経緯からご説明しますと、これは環境省と気象庁との連携でやっており、かつ有識者の方々からなる検討会のご意見を頂きながら進めている業務でございます。
 環境省が手掛けられている暑さ指数というのは、気温だけよりも熱中症との関連が非常に良く、この指数が一定の値を超えた場合に熱中症の危険性が極めて高くなり、そういったことが予測される場合に熱中症警戒アラートが発表されます。そのため、この情報をぜひ暑さへの気づきとして使っていただき、熱中症の予防をしっかり皆さまにやっていただきたいと思っております。
 昨年の夏に関東甲信地方で先行実施という形でやらせていただいて、先ほど申し上げた検討会では一定の対策につながっているという評価をいただいていることも踏まえて、今年の夏から全国でやっていこうとしております。
 熱中症警戒アラートは熱中症になる危険が非常に高いことを予測する情報ですので、不要不急の外出はできるだけ避けていただいて室温をしっかりと空調等でコントロールした状態で室内で過ごしていただきたいということと、熱中症に対してのどが渇く前にこまめに水分補給をする等の対策をされていると思いますけども、この情報が出ている時には普段よりもさらに徹底して対策を行っていただきたいと思います。
 それから熱中症になるかどうかというのは皆さまが置かれている状況によって違いますので、例えば、環境省が提供している暑さ指数の情報を見て頂いたり、暑さ指数を測定する機械を置いてあるような施設の場合はそれも見ていただき行動の目安にしていただきたいと思っております。
 線状降水帯の情報とも似てますが、この情報が出た時というのは極めて危険な状況ですが、逆にこれが出ていなければ大丈夫かというと全然そんなことはありませんので日頃から環境省のホームページや気象庁も今日の予報を出していますので、そういったものを参考にして頂いて熱中症にぜひ気をつけていただきたいと思っております。
 私どもとしてはこの新しい情報を出していくということと、それにまつわる様々な周知啓発活動をやっていくことで熱中症の予防に貢献をしていきたいとに考えています。

Q : 熱中症警戒アラートは4月からの運用ということで人によっては若干夏本番より少し前で、この時期から熱中症を気をつけないといけないのかと考えられる方もいらっしゃるかもしれないですが、暑熱順化の関係とかもあるのでこの時期から気をつけておいた方が良いものでしょうか。
A : 暑さに体が慣れてない時期に高い気温が出ることもありますので、早い段階から留意していただきたいと思います。

(以上)

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