長官会見要旨 (令和3年3月17日)

会見日時等

令和3年3月17日 14時00分~14時36分
於:気象庁会見室


発言要旨

   冒頭、私から3点述べさせていただきます。

   まず、危険度分布の愛称についてでございます。
   ご承知の方も多いと思いますが、危険度分布は土砂災害や洪水など大雨による災害の危険が迫っていることを地図上で確認できる情報として、気象庁ホームページ等で公開しているところです。
   気象庁では、この情報をより多くの皆様に使っていただきたいと考えており、そのためにはまずこの情報を知っていただく必要があるだろうということで、昨年の秋に愛称の公募を行ったところです。おかげさまで1,200を超える応募がございまして、その中から厳正な審査の結果として愛称を決定いたしました。その危険度分布の愛称は、「キキクル」という名前に決めたところでございます。
   この名前を考えてくださった方、また公募にご協力いただいた多くの方々、そして特別選考委員としてご協力いただいた気象予報士の天達武史さん、井田寛子さんに深くお礼を申し上げたいと思います。
   この「キキクル」は、皆様よくご存じの「アメダス」や「ひまわり」と同じように、お子さんからお年寄りまでみんなが知っていて、情報の持つ意味も知っていて、いざというときにはそれを使って命を守る行動に繋げていただくという形になるといいなと期待しているところです。
   この後、担当課から詳しいご説明をさせていただきたいと思っております。

   2点目は、アメダスの湿度観測についてでございます。
   これも先月に報道発表しているところですが、私から改めてお話をさせていただきたいと思います。
   昨年の令和2年7月豪雨では、線状降水帯により甚大な被害がもたらされましたが、線状降水帯の予測精度の向上ということが喫緊の課題となっており、気象庁では、そのために、水蒸気を正しく把握するということ、それから予測技術を高度化するということ、さらに精度に見合った的確な情報を出していくこと、この三つを中心として様々な取組をしているところでございます。
   このうちの、水蒸気を正しく把握するという取組の一つとして、アメダスに湿度計を設置してまいります。従前から全国の155か所の気象台などでは湿度の観測を行っていましたが、それに加えて、アメダス、いわゆる地域気象観測所でも湿度観測を開始するということで、今月から、順次機器更新の終わったところから観測を始めておりまして、今年度中に54か所で観測を開始して、その後も機器更新に伴って順次湿度の観測を行っていくということでございます。このようにして集められた湿度の観測データを使って線状降水帯の予測精度向上に繋げていきたいと考えているところです。

   3点目は津波フラッグについてです。
   先週報道発表させていただいておりますが、9日に、朝日国土交通大臣政務官の呼びかけで「津波フラッグ」をテーマとした意見交換会が開催されました。
   この意見交換会には、水難事故防止に取り組んでおられる「日本ライフセービング協会」や、聴覚障害者によるサーフィン競技の団体である「日本デフサーフィン連盟」からご参加いただいて、津波フラッグの普及に向けた意見交換を行ったところでございます。
   ちょうど先週は東日本大震災から10年ということで、改めて津波防災への意識が高まっている中で、このような意見交換ができたことは大変ありがたいことだと思っております。気象庁としましても、ここでいただいたご意見等も踏まえ、引き続き「津波フラッグ」の普及に努めていきたいと考えております。多くの海水浴場で使われて、皆様に知っていただいて、命を守っていただくことに使われることに繋げていきたいと思っているところです。

   私からは以上です。

質疑応答

Q : 東日本大震災から10年の節目を迎えました。気象庁として、この10年間で、特に震災に関する情報の出し方について振り返ってみて、改めてどう考えていらっしゃるか教えてください。
A : この10年、気象庁では地震や津波の情報の出し方について色々な改善を図って参りました。それに加えて、周知広報や普及啓発の取組を進めてきたところでございます。
 情報の改善の具体的なところでは、まず津波警報については、マグニチュードが8を超えるような巨大地震で、最初に地震の規模の正確な推定ができていない段階でもしっかりと警戒を呼びかける必要があるということで、その段階では予想の高さを「巨大」として津波警報を発表していくという見直しを、平成25年3月から運用開始したところです。
 もう一つ、沖合の津波観測データを使うようになったということが改善の大きなところかと思っています。これによって、津波を沖合で早期に捉えることができ、津波警報の更新が早くできるようになったことと、またこの津波観測データを使ってより正確に沿岸での津波の高さを推定できる手法を開発して、平成31年3月から、その技術を使うことによってより正確な更新ができるようになったことが大きな改善であると考えています。
 もう一つは、緊急地震速報の改善です。よくご承知の方もおられると思いますが、同時に複数の地震が発生したときに、地震の規模を過大に評価して過大な緊急地震速報を出してしまうという欠点がございましたが、これを解決する技術を開発して、そうした過大評価を減少させることができたというのがまず一点です。それから、東日本大震災では、関東地方など震源から遠いところに対して正しい緊急地震速報が発表できないということがございましたが、こちらも新たな技術を導入して、大きな揺れが実際に観測されたときに、その近隣で緊急地震速報を正しく発表することができるようになったというところでございます。
 もう一つ、長周期地震動についてです。これも東日本大震災のときに首都圏や近畿圏などで見られた現象ですが、平成25年3月から長周期地震動の観測情報の提供を始めました。また平成29年からは予測についての情報について実証実験を行って、効果や利活用の方法について検証を行っているところでございます。今月1日には実証実験の報告会が行われましたが、そういったことも踏まえて、引き続き、予測情報を出せるように準備を進めていきたいと考えているところです。

Q : 先ほど長官自ら発表されました「キキクル」という名前について、長官の受け止めを改めてお聞かせください。
A : 危機が迫っている、危険が迫っているということを端的に表す良い名前だと考えています。また、短く覚えやすいということ、これは選考過程でも評価いただいたポイントですが、私もそのように受け止めており、「アメダス」や「ひまわり」と同じように、皆様にぜひ覚えていただいて、いざというときに使っていただきたいと考えています。

Q : 気象庁ホームページがリニューアルされて半月以上になりますが、使い勝手や評判、改善についての意見が長官のお耳にも入っているのではないかと思います。そのあたりの受け止めについてお聞かせください。
 また、ホームページ上の防災情報のページ等に現在広告は入っていませんが、今後広告がまた入ることになるのか、入る方向であればどういう形になるのか、また入ることに関しての長官の考えを改めて教えてください。
A : まずホームページのリニューアルについてですが、色々なご意見をいただいております。「最初は戸惑ったけれども慣れてくると使い易い」といったご意見や「アメダスなどの表示が改善された」というご意見をいただいたとも聞いています。一方、「以前見ていたコンテンツにどうやってアクセスしたらいいのか分からない」という声や、「以前に比べて見にくくなったのではないか」という声もいただいているところです。特にこれまでと使い勝手が大きく変わったことがあって戸惑っておられる方も多いのかなと思います。
 これにつきましては、FAQ、いわゆる「よくある質問」を用意するなどして、新しいホームページの使い方に早く慣れていただけるよう、サポートをしっかりやっていきたいと考えています。また、慣れということではないご批判につきましては、しっかり勉強し、改善できる点については改善に繋げていきたいと考えているところです。
 次にホームページの広告について、考え方は従前と変わっておりません。多くの方にご覧いただいているホームページをウェブ広告の媒体として活用することで、予算の面で効率的にホームページを運用することができる、持続的・安定的な運用が、国民の皆様へのご負担をなるべくかけずにやっていくことができるというのが私どもの考えでございまして、そこは従前から変わってございません。古い方のホームページで不適切な広告が出た事案もございまして、古い方のホームページで現在のホームページへの切り替えまでの間にやらせていただいた広告掲載のやり方がありますが、その経験も踏まえて、ホームページ本来の役割を大きく損なうことのないような形で広告の掲載を続けたいと考えておりまして、詳細については現在検討しているところでございます。

Q : 「キキクル」を選んだ理由を、もう少し詳しく教えてください。
A : お二方の特別選考委員と庁内の委員で約1,200通の応募の中から選びました。その中で「キキクル」の評価が高かった点として、端的に危険が迫っていることがすぐに分かる名前であることと、文字数のことをおっしゃる方も多いと思いますが、覚えやすいということ、この2点が主な評価の理由となります。

Q : 危険度分布の愛称についてですが、担当課の方に確認させていただいたところ、今後、気象情報や警戒を呼びかける記者会見などでも、この愛称を積極的に活用していきたいということでした。一方、今年の出水期を考えると、まだ聞き慣れない愛称を使われることになるので、いち早く普及に努めていく必要があるわけですが、そのあたりのご認識と、具体的な取組として考えていることがあればご教示いただければと思います。
A : おっしゃるとおりで、ぜひこの愛称を皆様に使っていただきたいですし、多くの方が見聞きするような形に持っていきたいと思っており、気象情報や会見でもこの名前をぜひ使っていきたいと思っています。ただ一方で、危険度分布という名前で既に覚えてらっしゃる方がたくさんいらっしゃいますので、そういった方が分からなくならないように、当面は、両方併記すべきところは併記する形で運用していくのがいいのかなと思っています。
 報道の方にも、ぜひ使っていただいて、沢山の人に見聞きしていただけるような形に持っていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

Q : 「キキクル」という名前を普及していく意気込みについて、どのようにお考えでしょうか。
A : これまでも、危険度分布という比較的新しい情報について、色々な形で広報活動をしてきております。それに新たな名前がついたということで、更に強化された広報活動ができると思っていますし、そうしていきたいと考えています。

Q : 先ほどのアメダスの話にも関係しますが、線状降水帯を捉えることが湿度観測の重要な意味だということだったのですが、先日の防災気象情報の伝え方に関する検討会で、線状降水帯の情報をどのように伝えていくかという点について、位置付けが分かりにくいとか伝え方が難しいという議論がかなり出ていました。私も、こんなに細かい情報を出しているのは他国ではあまりないですし、かえって混乱するのではないかという気もするのですが、そうならないよう意義のある情報として伝えていくために、これからどのように整理していかれるつもりでしょうか。
A : 私どもが線状降水帯に関して情報を出していくことの背景として、これまで、災害が起こった後の気象庁の分析などで、大雨が線状降水帯によってもたらされたといった報告を色々なところで出させていただいています。そういうこともあって、報道の皆様方にも報道していただき、線状降水帯によって大雨がもたらされ、それが災害に結び付いたということが繰り返し国民の皆様の耳にも届いていて、その結果、線状降水帯というのは危ない現象なんだということが、一定程度、皆様にご理解いただいている状態になっていると私は思っています。そうであれば、私たちが大雨の監視をしていく中で、これは線状降水帯が発生しているようだということが分かったときに、それをお伝えすることで、その時には例えば既に警戒レベル4の避難勧告が出ていたりする状態のことが多いと思いますが、そのような時にまだ避難を躊躇していたり、まだ大丈夫なんじゃないかと思っているような方々の背中を押す効果はあると思っておりまして、そういう効果を狙ってこの情報を出していきたいと考えています。
 そういった効果が出せる情報としてどういう形が適当なのか、今は線状降水帯は形や雨量で定義をしていますが、必ずしも、いわゆる典型的な前線に伴うバックビルディングで形成される線状降水帯でないものも線状降水帯として拾ってしまうこともあるわけで、そういったものの考え方をどう整理していくのが良いのか、防災情報として活用いただくためにどう整理してどう広報していったらいいのか、そういったところについて先日の検討会ではご意見をいただいたと考えています。このあたりをしっかりと気象庁の中でも、もう一度、何を伝えたいのかという基本に立ち返って整理をして、適切な情報を作っていきたいと考えています。

Q : 伝え方検討会の中で長官ご自身が、線状降水帯と呼ぶ範囲をかなり広げて、厳密なものでなくても条件に引っ掛かるなら線状降水帯と言い切ってしまうといった大きな決断をするのかなとおっしゃっていましたが、そういう決断をされたと考えていいのでしょうか。
A : 検討会席上ではそう申し上げましたし、今も概ねそういう方向なのかなと思っています。しかし、やはり気象学的には少しメカニズムが違うものを一緒にすることで、本当に防災上のデメリットが生じないかというところは、しっかりと確認したいと思っています。

Q : 気象庁ホームページについて、今回、防災情報提供システムと統合するような形になっていますが、それによって、自治体の防災担当者にとって重要な情報がたくさん入っているホームページになっているいう認識があります。
 その中で、先日、クラウドの電源喪失でホームページがダウンする事案がありましたが、今後、災害時には電源問題など色々な問題がある中で、先日のようなホームページダウンという障害について、何か新たに改善策は講じられているのでしょうか。
A : 2月20日午前1時前に気象庁ホームページに障害が発生して、多くの皆様にご迷惑をお掛けし大変申し訳ないと思っております。3時間余りに渡って全く見られない状態が続き、更に長い時間、元どおりの状態にならなかったということで重く受け止めているところです。この障害は、気象庁ホームページで使っているクラウドサービスの障害が直接的な原因です。こういうことが起こったときに、いち早く復帰できるようにしていくことが大事で、この時にはバックアップサイトを用意していましたが、実はそのバックアップサイトの方ではリニューアル後の新しいホームページしか提供できない状態でした。このため、その時は古い方のホームページで運用していたわけですが、新しい方のホームページをご覧いただくようにしたということでございます。ここへいくまでに、元のホームページを復活させるのが良いのか、バックアップサイトへの切り替えに踏み切るのが良いのか、こういった判断に時間がかかってしまったということがあります。ここについては、何が起こっているのかをいち早く掌握して、判断を早くして切り替えていくようなことをできるようにしているところです。それに加えまして、少しでも障害が起こった時の迅速な回復を目指してさらにできることはないかを、技術的にも担当で検討しているところです。

Q : 例えば、関東全域など広域に及ぶような電源喪失も災害時は充分考えられる中で、庁内での切り替えだけでは対応できないときに、例えばアデスは東日本と西日本にありますし、地震に関するシステムは本庁と大阪管区気象台でバックアップ体制をとりながら交互にやっていますが、そういった日本全国レベルでのバックアップ機能を持っておいた方がいいのではないかという意見もあると思うのですが、そのあたりはどうお考えでしょうか。
A : 今回使ったバックアップサイトというのは、実は大阪の方にある大阪リージョンの資源を使っていまして、そういう意味で地理的な冗長性はあるということになります。

Q : 防災気象情報の伝え方検討会に関してです。線状降水帯に関する情報については活発な議論が行われている一方で、台風の特別警報について、台風10号の際に出された課題については議論が置き去りにされている印象が拭えませんが、今年の台風シーズンまでに間に合わせるということはあるのでしょうか。
A : まず伝え方検討会で課題とされたこととして、当時「特別警報級の台風である」と言ったことがどういうことだったのかということと、もう一つは、特別警報級であると最初言っていたけれど、結果的に基準を満たさない見通しになったので、特別警報を発表しない見込みになったというお伝えの仕方をしたわけですが、それぞれについて、どういう効果があり、どういう改善策があるかという検討がなされたところです。
 特別警報級の台風という言葉については、危機感を高めるという意味では言葉として使っていって良いものですが、実際に何がどう危険なのかが分からないということですので、こういった言葉で台風についての情報をお伝えする際には、例えば「何メートルの風が吹くためこういうことが起こりうる」といったことを丁寧に説明するようにすべきだろうと考えており、これは早速始めたいと思っています。
 もう一つ、特別警報を発表する可能性が小さくなったということについても、それが安心情報にならないように、小さくなったとして、では引き続き何に警戒しなければならないのか、どういうことが起こりうるのかということをきちんとお伝えすることが主眼になっています。
 いずれにしても、特別警報について言うときには実際に何に警戒しなければいけないのかを丁寧に説明することが解決策になると思っています。

Q : その点と併せて引き続き課題として出されていたのが、台風の特別警報自体が明確に警戒レベルと紐付いていない点です。さらに、暴風特別警報などは地域ごとに基準を作った方がいいのではないか等の意見も出ていましたが、そのあたりの検討はいかがでしょうか。
A : それはすぐにできることではありませんので、中期的な課題として捉えています。特別警報と言えば警戒レベル5だということであれば、それにふさわしい基準を検討していくべきだという検討結果だと思いますので、それに沿って、気象庁でこれから検討していくということです。

Q : 今年の台風シーズンに間に合わせるような検討はされないということでしょうか。
A : 今年の台風シーズンには間に合わないと思います。

Q : 線状降水帯に関する情報について再度質問したいと思います。先ほどの長官のご説明を聞いてもなお釈然としないのは、気象現象の解説を目指す情報なのか、それとも、より防災色を纏うような情報として出すのか、このあたりの位置付けがまだよく分かりません。
 先ほど、まだ避難を躊躇している方の背中を押すような効果をとおっしゃられましたが、それはまさに防災色の強い情報だと思いますが、府県気象情報の中で出すことを目指すのであれば、やはり気象情報の解説がメインであって、また一般住民が直接触れることがなかなかないようなシステムで出されるのであれば中途半端な感じがしており、伝え方検討会で異論が出たのは、そういった部分がひとつあったのかなと思います。
 一方、純然たる気象情報だとするならば、線状降水帯でないものも3割程度が線状降水帯に関する情報として伝えられてしまう可能性があることもどうかと思いますし、キーワードとして線状降水帯が危険な大雨をもたらす現象であるという認知が社会的に進んでいることを活用するのはありかもしれませんが、そこのベースがきっちりしていないままにゴールだけ決めて、今期の出水期に間に合うように出すということに非常に危うさを感じるのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
A : 主眼は、線状降水帯という言葉をキーワードに情報を伝えたいというところになります。また、解説情報として気象学的に何が起こっているのかを伝えたいのか、防災色を纏ったものなのか、そのあたりの性格付けをはっきりしないとうまくいかないだろうというご指摘でしたが、すぐにここはこう整理するというような答えは申し上げられませんが、まさにその部分についての整理をするように検討会で言われたと認識しているところです。
 いずれにしましても、せっかく既に線状降水帯が発生したようだということが分かる以上は、なるべく早く皆様にお伝えして、お役に立てるよう、今度の出水期からぜひ情報を出していきたいと思っています。
 また、これまで狭い意味で線状降水帯と言ってきたものとは異なるものが3割程度入ってくることについても、気象学的なのか防災色なのかというところでいけば、どちらであっても危険なことには変わりありませんので、みんなまとめて線状降水帯と言っていくのがよろしいのかということについて、きちんと結論を出していくことが求められていると思っています。

Q : 伝え方検討会は、前回の議論が着地しなかったためもう一度開催する方向であると聞いていますが、今月取りまとめる予定だった報告書も含めてどういったスケジュール感になるのでしょうか。
A : 今年度中は難しいと思っています。4月に入ってしまうと思いますが、なるべく早くもう一度開催した上で最終報告書を取りまとめたいと思っています。

Q : 年度をまたぐことで手続き上の齟齬などは生じないのでしょうか。
A : 実態上は特に問題ないと思いますが、もしかしたら委員の委嘱などの手続き上の問題はあるかもしれませんが、それについては後から確認してまいります。

Q : 線状降水帯の話でお尋ねします。線状降水帯という言葉をキーワードとして呼びかけたいということですが、そもそも線状降水帯という気象学上の用語自体が何を指しているのか、一般の人に、言葉は知っていても、どこまで受け入れられて理解されているとお考えでしょうか。
A : 前線上で発生するような集中豪雨があったときにこの言葉が使われているなというご認識は、多くの方が持っているのではないかと思います。一方で、それがどういう現象なのか、定義は何なのか、というところまでは考えておられない方が多いと思います。いずれにしても、集中豪雨をもたらすような危険な現象なんだということについてはかなりの認知度があるのではないかと思います。

Q : あえて防災色を意識してこの言葉を使うということであれば、従来の定義を曲げてまでこの言葉にこだわる必要はなく、別の言葉を使って呼びかけるという考え方もあると思います。例えば、俗称として集中豪雨やゲリラ豪雨など、定義がよく分からないけれどもすごいものとして一般的に使われてきた経緯の言葉もありますし、地震という言葉も、揺れなのか現象なのか、人によって受け止め方が違ったり、色々な混乱があります。そう考えると、必ずしも線状降水帯という言葉にこだわられる必要はないのかなと思いますが、線状降水帯にこだわられる理由と、半年ほど検討してきていると思いますが、まだ議論が生煮えな印象が拭えないのですが、これまで庁内でどのような考え方でどこまで検討されてきたのかも併せてお尋ねします。
A : 少なくとも今の考えとしては、線状降水帯というキーワードを使うことで一定の効果があるだろうと庁内では考えているところです。今おっしゃられたようなご意見は、検討会の委員の先生の中でも、線状降水帯というキーワードよりも、むしろ雨量や大雨であるということ等の方が大事なのではないかというご意見もありました。そういったことも踏まえて、次のもう一度行う検討会までに考え方を整理したいと思っています。

(以上)

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