長官会見要旨 (令和2年9月16日)

会見日時等

令和2年9月16日 14時00分~14時46分
於:気象庁会見室


発言要旨

   最初に4点述べさせていただきます。

   最初は台風第10号の関連でございます。
   まず、先日の台風第10号による災害によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
   台風第10号は、特別警報級の勢力で日本に接近または上陸するおそれがありましたことから、日本のはるか南海上にあった早い段階から記者会見や段階的に発表する防災気象情報、SNSなどあらゆる手段を用いて繰り返し最大級の警戒を呼びかけて参りました。
   さらに、記録的な大雨により大河川が氾濫するおそれがあったことから水管理・国土保全局と合同で会見を行うなど積極的に連携し、暴風が吹き始める前の早めの避難の呼びかけを行って参りました。また、各地の地方気象台におきましても、台風説明会の開催や、ホットラインによる自治体への直接の気象解説、気象庁防災対応支援チーム(JETT)の派遣など、自治体の防災対応の支援に努めてきたところでございます。
   こうした呼びかけについて関係省庁、都道府県や市町村、報道機関等の皆様のご協力もありまして、繰り返し広く周知していただいたことにより、九州などでは多くの方が早めの避難行動や台風への備えを行っていただいたものと認識しているところでございます。引き続き、関係機関との連携を強化し、国民の皆様の防災対応に資するような情報を発信して参りたいと考えております。

   一方で、呼びかけに関しまして、
   ①「特別警報級」という表現がわかりやすかったのかどうか
   ②「特別警報の可能性が低くなりました」との発表が、国民の皆様の警戒感の低下につながったのではないか
   といった点について課題がございましたので、赤羽大臣からも改善のご指示をいただいているところでございます。これらにつきましては当面、
   〇「特別警報級」という用語を使用する場合には内容がわかるよう言葉を補って使用する。
   〇警戒感の薄れる可能性のある言葉、例えば、「特別警報を発表する可能性は小さくなりました」などについては情報には用いない。
   といった改善を行うこととしております。
   また、九州に接近した時点で当初の予測に比べ勢力が早めに弱まるなど、予測と実況に差が生じた点につきましては、速報検証を本日報道発表させていただいたところでございます。

   気象庁としましては、引き続き、メカニズムの解明も含めしっかりと検証していくととともに、住民や自治体の皆様が防災対応を判断していく中で、私どもが伝える情報にさらなる改善点はないのか、こういった点につきまして、7月豪雨の対応と併せてしっかりと検証を行い、今後の技術向上や必要な情報改善に繋げて参りたいと考えております。
   引き続き、台風の影響を受けやすいシーズンが続きますので、台風への常日ごろからの備えをお願いしたいと思います。

   続きまして、気象庁の組織改編についてでございます。
   気象庁では、防災対応、防災支援及び生産性向上に貢献することを目的といたしまして、気象業務実施体制の強化を図ることとし、令和2年10月、「気象防災監」や「情報基盤部」の設置をはじめとする組織改編を予定しております。すでにお知らせをしておりますとおり、「国土交通省組織令の一部を改正する政令」が9月1日に閣議決定し、9月4日に公布されたところでございます。
   今年も令和2年7月豪雨をはじめ、様々な災害が相次いで発生しております。今般、「気象防災監」を設置することで、このような災害に対し、政府や関係省庁等への情報提供やハイレベルでの調整機能を一層強化し、政府全体の迅速・適確な災害対応に貢献して参りたいと考えております。
   また、情報通信をはじめとして技術の進展は日進月歩で進んでおります。気象業務を取り巻く環境は日々変化しております。「情報基盤部」を設置することで、変化の速い科学技術や社会的ニーズを的確に確認しながら、予測精度向上に向けた基盤的技術の開発や気象データの利活用促進の取組を一体的に進めることができると考えているところでございます。
   現在虎ノ門への移転準備を順次進めているところでございますが、新たな体制の下、気象庁が社会にしっかり貢献できるよう、さまざまな業務に取り組んで参りたいと考えております。

   次に、気象庁ホームページへの広告の掲載についてでございます。
   昨日14時から気象庁ホームページへの広告掲載を開始いたしましたが、広告掲載基準に沿わない可能性がある広告の掲載が確認されました。このため、「気象庁ホームページのウェブ広告に関する運用掲載方針」に基づき、広告運用事業者に対して、速やかに一時停止の措置をとらせることといたしました。
   気象庁といたしましては、このような広告が掲載された経緯等について調査をした上で、今後、不適切な広告が掲載されることのないよう、必要な対策を取って参りたいと考えております。

   最後に、ただいま報道発表したところでございますが、危険度分布の愛称公募についてでございます。防災行動をとる際に、お住まいの地域の大雨による危険度を示す本情報を活用頂いているところでございますが、近年の豪雨災害を踏まえ、一層多くの方に活用して頂くため、明日17日から10月7日まで広く国民の皆様から愛称を公募したいと考えております。選考には、危険度分布ポスター作成の際にもご協力いただきました天達武史(あまたつたけし)さんと井田寛子(いだひろこ)さんにも加わっていただきます。報道機関の皆様には、是非ご協力をいただければと考えております。

   私からは以上でございます。

質疑応答

Q : 台風第10号についてですが、早め早めの呼びかけについては非常に評価する声が多く上がっている一方で、ごく一部ではありますが、事前に予想されたような特別警報級の甚大な被害をもたらすようなことではなかったというということで、ある意味大げさだったのではないかという声が一部聞こえています。このことについて、予測の限界もあるかと思いますが、率直にどのように受け止めていらっしゃいますか。
A : 実際に我々の方が予測して情報発表させていただいた程の雨ではなかったということは事実でございます。ここは技術の限界ということで、今後さらに技術開発を進めていきたいと思っております。一方で、今回はまさに特別警報級という、おそらく数十年に一度というような非常に勢力の強い台風でしたので、やはり今回のような形で呼びかけたことは決して大げさではなかったと私は思っております。同じような予想があれば、今後も同じように呼びかけをさせていただきたいと考えている次第でございます。

Q : 冒頭発言にありましたホームページへの広告の掲載について伺います。こちらの件に関してはこういった記者会見であったり、あるいは省内、庁内でも心配の声が上がる中での決行になったと思います。このような問題が起きていることについて、今どのようにお考えなのか、あるいは、今後こういった掲載を一切なくすというように舵を切るお考えはありますでしょうか。
A : こういった適切でない広告の掲載は、万全を期して排したいと何度も申し上げてきたところでございますが、今回、運用開始早々にもかかわらず、複数のそのような広告の掲載が確認され、直ちに事業者によって削除されましたが、これは我々が想定しているものとは大きく異なっているということで、直ちに停止をさせていただいたということでございます。現在、なぜこのような広告が掲載されたのかどうか、どこに問題点があったのか、こういった点を今しっかりと調査をさせていただいておりますので、調査が済み次第、再発防止、二度とこのようなことが起きないような対策をしっかり講じていきたいと考えております。

Q : 気象庁ホームページの広告の件でお伺いします。まず、そもそも気象庁として、いつこうした基準に違反するおそれのある広告が出ているということを把握されたのか、そしてその広告が具体的にどのような広告だったのかということについてご説明いただければと思います。
A : 私の認識している範囲でお答えさせていただきますが、今日出勤後、広報室から適切でない広告が掲載され、事業者によって削除されたということが複数あったという報告を受けました。それはおそらく朝9時過ぎだったかと思いますが、その時点で、これは当時我々が考えていたものとは全く違う状況が生じているということでございましたので、直ちにまず広告掲載については一時停止をし、その上で、なぜこのような広告が掲載されるに至ったのか、その経緯をしっかりと調査し、さらにその後は当然再発防止の対策を進めていくということを指示した次第でございます。

Q : 今のことに関連しまして、一部インターネット上の記事では、通販サイトといったものは掲載基準に違反するおそれがある広告なのではないかという指摘もありましたが、具体的に複数削除されたという話ですが、それはどういったジャンルの広告だったのでしょうか。
A : それは申し上げました通り、複数ございますので、今整理をさせていただいております。整理ができ次第お知らせをしますので、少しお待ちいただければと思います。

Q : システム上、最初からこういった不適切な広告が、掲載されてしまう可能性について認識していたのか、今想定していなかったというご発言がありましたが、そのような認識はもともとあったのか、事前に不適切な広告の掲載を防ぐということはシステム上不可能なのかどうかということについて教えていただきたいです。
A : そもそも二重三重に不適切な広告が掲載されないような措置、例えば、このジャンルのものは適切ではないからあらかじめブロックするとか、このURLはブロックするとか、こうした措置を講じた上で、最後の手段として、広告運用会社がずっとウォッチをしていて、仮に不適切な広告が掲載されるようなことがあれば直ちに削除する、といった措置を取っていました。ただ、掲載されている広告を削除することは最後の手段でございますので、これが頻繁にあるということは我々は考えていませんでしたので、今回は運用を開始してまだ24時間経たないうちに複数回あったということは、我々が想定していたものとは違うことは明らかなので、今回こういった形で広告掲載を停止させていただいたということでございます。

Q : その二重三重に不適切な広告が掲載されないように措置を取った上で、ルール作りをきっちり厳重にしていたという認識なのですが、別に広告の運用会社に取材をすると、運用型広告は、チェックする所は表面だけでチェックをして、内容に関してまで厳しくチェックするのはシステム上難しいのではないかと、出たものに対して目を凝らして見ていて、削除していくというような作業が必要だという見解があるのですが、それは同じ見解でしょうか。そうなると今後も、見て、初めて外すというような作業が続いていくという認識でしょうか。
A : 今回どこに問題があったのか、少なくとも我々が想定していたものとは違う形になっているわけで、どこかに齟齬があったことは間違いないので、そこはしっかりと突き止めていきたいと思います。これは先ほど申し上げましたとおり、最後の手段として、ずっとウォッチをし、不適切な広告があった場合に削除するということを設けますが、基本的には掲載される前にそもそも排除すべきものだと思っておりますので、今後の再発防止策にはそこを踏まえた上で、皆様にもお話させていただいて、皆様も納得されるような再発防止策をしっかりと講じていきたいと考えております。

Q : 気象庁ホームページの広告に関してですが、広告にはこういった問題がありましたが、パソコンだけではなくてスマホの方にも広告が載っていて、危険度分布のページにも広告が載っていますが、実際に操作してみますと、非表示にもできますが、それを押す前にバナーに触れると全面広告になってしまいます。避難の選択において操作することや、高齢の方が操作することがあると思いますが、命に関わるような情報のところにも、こういったものが載ってしまうということは、広告が馴染まないかもしれない分野もあるかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。
A : スマホについては、私も実際に昨日14時以降に、いつも携帯している気象庁の仕事用のスマホと個人用のスマホの二つで見てみました。個人の考え方なので、邪魔だと思うかどうかは、個人差があるのだろうと思いますが、私自身はほとんど気にならなかったという気はしています。ただ、これについては運用開始して以降、使われる皆様からしっかりご意見を伺って、これが情報を検索する上で非常に障害になっているという実態があれば、見直しをするということは考えております。私自身が見たところでは、そこまで邪魔なものであるようには思いませんでした。広告掲載以前と比べて見にくくなったとは感じませんでした。ただこれはあくまで個人的な見解でございますので、そこは皆様の意見をしっかりと聞いていきたいと思っています。

Q : 今のお答えの中にもありましたが、サイトの内容によっては表示するものと、表示しないものとで分けるような、柔軟な運用を考えていらっしゃるということですか。
A : はい。ページによっては、このページにだけは入れない方が良い、広告を入れることによって重要な情報の検索に時間が掛かるとか、もちろんそのようなことにならないように策は講じているわけですが、仮にそのようなことが起きるのであれば、柔軟に見直していきたいと思っています。

Q : 7月の会見の中で、国のホームページにふさわしくないような広告は最初から排除するルールになっているという話だったのですが、この現状ですと、最初から削除するのではなくて、載ってから対応するような状況になっていると思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。
A : そこは先ほど申し上げましたとおり、二重三重にチェックをしてそもそも不適切な広告が掲載されないように対応できると思っていたのですが、実際はそうではなかったということも、これからしっかりと調べますので、実は我々が適切ではないと思った広告もそうではなかったかもしれませんし、もう少ししっかりと整理をしてお知らせをしたいと思います。ただ仮にそのようなものが複数出ているということであれば、それは我々の今までのやり方にどこか問題があったということだろうと思いますので、そこはしっかりとブロックのやり方、そもそも掲載されないように不適切な広告はあらかじめ削除できるような方法を考えていきたいと思っています。

Q : 台風第10号について、冒頭のご発言の中に、特別警報を発表する可能性が低くなった場合には、ひとまず情報として用いないというお話がありましたが、これは検証作業を待たずに今台風シーズン真っ只中ですが、とりあえずこの方向でいくということでしょうか。もう一度その理由をお聞かせください。
A : 今回の場合、特別警報の発表基準に到達しないことが、朝の時点で分かったわけですが、その段階においても、我々としては最大級の警戒をしていただきたいという気持ちは全く変わりませんでした。しかしその気持ちが、特別警報発表の可能性が低くなったという言葉によって上手く伝わらない可能性があり、会見では予報課長が再三再四にわたってそのことは強調していたので、その会見を生中継でご覧になっていた方にはそれが伝わったと思うのですが、情報に書いてありましたものですから、情報の文字だけを見ると安心情報と受け取られる可能性は十分にあったと思っていますので、特に情報にそのような言葉を用いないということをまず一つ考えています。このことは、台風のシーズンが終わった段階で、いつものとおりしっかりと検証をし、また有識者に集まっていただいてご検討いただくことで、どうしたら良いかをそこでしっかりと考えますが、その結論が出るのは年明けになってしまうと思いますので、それまでの間、今年の台風シーズンにおいては、このやり方を続けようということでございます。

Q : 大臣のご指摘以外に、例えば安心情報のように受け取られる可能性について、具体的なリアクション、フィードバックはあったのでしょうか。
A : それは特にありません。ただ私自身もそこはとても心配しましたし、当庁職員も皆心配していました。それから、関係省庁でも心配する声はありましたので、そこは皆様懸念される部分なのだろうと思っています。

Q : 会見資料を当然、事前に目を通されたと思いますが、その時点からそういった懸念を持っていらっしゃったのでしょうか。
A : 正直に申し上げますと、その前日に鹿児島県に特別警報発表の可能性という発表をした時点から私は心配しておりました。実際に最大級の警戒が必要な場所は鹿児島県だけではなかったわけですが、その時点で台風要因の特別警報発表の可能性があったのは鹿児島県だったので、あのような発表をさせていただきました。「鹿児島県に特別警報発表の可能性」という報道が、他の県は大丈夫なのだと、大したことはないのだと、そういった安心情報に繋がらないかということを懸念した部分もありました。沖縄以外での台風要因の特別警報は、結果的には発表されませんでしたが、予告までいったのは今回が初めての例でございますので、色々とやってみるといくつか改善すべき点があるなということは当時から感じていました。

Q : 今後も同じような強さの台風があれば、同じような呼びかけをしていくというお話でしたので、特別警報級という表現については、これは今後も残るということでしょうか。
A : その表現も分かりにくいのではないかという指摘ももちろんございました。例えば、昨年の台風第19号、東日本台風においても、大雨の特別警報を何度か発表しましたが、それと何が違うのかという疑問を持たれた方もいらしゃると思いますし、そもそも大雨の特別警報と台風要因の特別警報があることからしっかり説明しないと正しくはご理解いただけないと思います。一方で、「特別警報級の台風」という表現、この表現は気象庁ホームページのどこにも載っていませんが、非常にめったにない大変危険な台風だということをある意味分かりやすく伝えるためには効果があったのではないかという思いもございますので、今後も使い続けますが、誤解のないようにしっかりと説明を加えていくというやり方をさせていただければと思っています。

Q : 広告についても伺いたいと思います。運用型広告だとこのような形の運用になってしまうような予測の雰囲気がありまして、想定外と言われていますが、やはり危機管理という面で事前の詰めが甘かったという認識はなかったのでしょうか。
A : その点も含めまして、今回どのような点に問題があったのかということもしっかり検証していきたいと思っています。

Q : 検証に充てられる時間の目処はつきますか。
A : もちろん無理に時間を掛けるつもりはありませんし、なるべく早くなのですが、一方で一番重要なことは再発防止策です。こういうことが二度とあってはならないので、そこは十分に見極めて、これなら大丈夫だという再発防止策ができた段階で、再開することを私は考えております。

Q : どの程度重く受け止めてられているのかということがまだ少しピンと来ない部分がありますが、例えば、現状SNS上で今トレンドワードに掲載停止という言葉が入っています。準備はそれなりにしたと思いますが、いざスタートしてすぐにこのような事態になったということについては、どのように受け止められているのでしょうか。
A : 先ほど申し上げましたとおり、我々が当初考えていたとおりにいっていなかったということは事実でございますので、何かしらの問題があったのだろうと思っています。そこはしっかりと検証をして、どのようなことにもっと注意を払うべきだったのかといった点も含めてしっかりと検証をして、二度とこのようなことが起きないような対策に活かしていきたいと思っています。

Q : 不適切なおそれがあるという広告を実際にクリックして広告のサイトに飛んだ方がいるかどうかということは把握されているのでしょうか。
A : そのような情報は特に入ってきておりません。それについてはまだ分かりません。

Q : 不適切なおそれがある広告が掲載されていたことは事実であって、停止までの間に利用された方の中には不安に思っている方もいらっしゃると思うのですが、気象庁としてどの広告が不適切なおそれがある広告であったのか、速やかに知らせる必要があるのではないかと思うのですが、例えば今日中にでも、ジャンルだけでも報告を出されることはありますでしょうか。
A : なるべく早く、我々の方で調査が済み次第、お知らせしたいと思っています。

Q : 台風第10号の件でお伺いします。通常の気象警報でも充分警戒を要する事態だと思いますが、今回、特別警報の存在によって、気象警報への警戒感が弱まってしまうのではないかという懸念もあるという声も上がっていますが、その点はどのように考えておられますでしょうか。
A : その点は、特別警報を開始した時点から言われている話でありまして、我々としてはそうではないということを再三申し上げておりますし、今は警戒レベルという形の中に通常の気象警報も位置付けられておりますので、もちろんそのような懸念はゼロではありませんが、様々な形でそのようなことがないような方策が講じられてきているのかなと感じています。

Q : 広告収入については、今後減額されてしまうといったやり取りが事業者との間で行っているのでしょうか。
A : それはまたこれからの話で、今はなぜこのようなことが起きたのかを調査することが先決ですので、そこに集中しております。

Q : 先ほど長官は、ご自身が報告を受けたのは朝出勤した9時過ぎくらいだと思うとのことでしたが、気象庁として、不適切なおそれがある広告が掲載されたと担当部署の方が現認したのはいつでしょうか。
A : 私自身は把握していませんので、そこはしっかり精査した上でご報告させていただきますのでお待ちいただければと思います。

Q : 詳しくは調べてからというのは分かるのですが、長官は誰がいつ見つけたのか、ということは聞かないのですか。
A : まずはどう対処するかが重要ですので、いつ見つけたかということよりそちらが私は重要だと思いました。

Q : 気象庁として、何時にそれを現認したのか分からないのですか。
A : 私自身は今は承知していません。

Q : 今分かっている点だけでも簡単な事実関係を伺えませんか。
A : (予報部担当官)私の方で報告を受けたのは本日の未明、日付が変わってからです。

Q : 日付が変わってからというのは何時頃ですか。
A : (予報部担当官)0時台です。

Q : では、今朝のNHKの報道より前にご自身で気付かれたということでしょうか。
A :  (予報部担当官)報道より前に当庁として把握していました。

Q : それは、ウォッチしている方が見つけたということでしょうか。
A : (予報部担当官)実態としてそういったことがあるということだったので、すぐ受託事業者に連絡を取ったり、必要な措置をその時点で対応したりしました。

Q : では見つけたのは、ウォッチしている方でしょうか。それとも外部からの指摘で気付いたのでしょうか。
A : (広報室担当官)事実関係としては、まず広告の運用事業者側で不適切な広告が載っていないか常にウォッチしており、その中でいくつかの広告については事業者側で削除の措置を取っております。その上で、事業者側と連絡を取り合って、気象庁として事業者側からこのような措置を行った旨の報告を受けたのが、先ほど申し上げたとおり、本日未明ということになります。

Q : つまり、事業者側は昨日のうちに不適切な広告を見つけて削除したということでしょうか。また、それが先ほど長官がおっしゃった複数の広告のことでしょうか。それとも今日になって新たに複数見つかったということでしょうか。
A : (予報部担当官)運用開始後、二重三重の対策を取っていますが、何かあった場合にすぐ適切な措置が取れるように受託事業者側でも問題がないか監視をしていて、何かしら不適切な広告のおそれがあれば、運用開始以降、逐次処置をしていくということでございます。

Q : では、不適切なものと言われているのは、昨日見つかった分で今のところ全てでしょうか。
A : (予報部担当官)運用を開始してから処置を取っているものということではそのような形になります。

Q : 少々お待ちいただきたいとのことでしたが、それはいつ頃まででしょうか。
A : なるべく早く、時間をかけるつもりはありません。ただ事実関係ですので、十分な情報がない時点でお知らせしますと、誤った情報をお知らせしてしまうことになりますので、我々の方でしっかり確認させていただいた上で、整理をしてお知らせさせていただきたいと思っています。

Q : 気象庁の庁内で疑問に感じている職員の方もいらっしゃると思いますが、長官は、庁内の職員の大方の理解を得られているとお感じですか。
A : 庁内で疑問に思われている方がいるとおっしゃられていますが、私自身はそのような声は聞いておりませんが。

Q : では、庁内の大方の理解を得られるとお考えでしょうか。
A : そもそも気象庁の施策を行う上で、それに関与している方々はそれに対して充分理解していただく必要がありますが、直接関与されていない方にまで十分なご理解をいただく必要があるかどうか、私には疑問に思います。

Q : 組織改編についてお伺いします。端的に今回の組織改編の一番の売りとして何が挙げられますでしょうか。
A : いつも申し上げているキーワードは「防災」と「情報」です。平成30年の交通政策審議会気象分科会の提言に基づいて、気象庁はこれから2030年を目指してどういう形で業務を行っていくかというご提言をいただきましたが、その中では、我々の情報を情報インフラと位置付けて、情報の質を上げること、またそれをしっかり利活用していただくことを大きな目標に掲げています。まず情報をしっかり作る部分とそれを活用する部分があり、情報を活用する部分は基本的には防災と社会経済活動の2つがあるだろうと思います。そして、防災の部分については、活用も含めて国がしっかりとやっていくということで、今度の新しい部で言えば大気海洋部と地震火山部がまさにそこに当たります。一方で、しっかりとした情報インフラを作るとともに、社会経済活動で活用していただくために、実際に活用するのは民間企業だと思いますが、その点をしっかり進めていくのが新しい情報基盤部ということでございます。気象防災監については、何度も申し上げますとおり、今回の台風第10号や令和2年7月豪雨でもそうですが、非常に大きな気象災害、また地震災害もそうですが、国の中でしっかりと危機管理をしていく必要があり、そのためには我々の情報を早めに正確にお伝えすることが非常に重要になりますので、そのために、気象防災監というハイレベルな者が、しっかりと色々な情報を伝えたり調整を行ったりするポストとして良いポストができたなと私自身は思っています。

Q : 情報基盤部ですが、一言で言えばどのような部署でしょうか。
A : 先ほども申し上げましたとおり、役割が二つあります。一つは、最新の情報通信技術、これはまさに日進月歩、最もスピードの速い分野でございますので、そこはしっかりと追いついていって、最新の技術を取り入れた上で、我々の情報インフラ、つまり観測や予測の情報ですが、しっかりと基礎として作っていくのが一つです。またそれを社会経済活動にしっかり活用していただく、そのために色々な働きかけをしていく部署だと考えています。

Q : 広告について2点だけ確認させてください。今回の事例を見ても、運用型広告という手法では、掲載されてから初めて、基準に満たないものはそこでしかチェックできないとものと伺っていますが、今回検証した後に、そういう状況でしかチェックできないものであれば、これは止めるという選択肢もあるのでしょうか。
A : それについては、今後の検証によりますが、当然、再発防止が第一でありますので、それにふさわしくない方法であれば、別の方法にするのもあり得ると思います。

Q : もう一つ、広告を生業としている他の民間の方に話を伺うと、広告媒体として年間79億PVがあるところに広告を募り、募っておいて気象庁側でユーザに対して広告を非表示にするというボタンを設定しているのは、普通考えられないのではないか、という広告業の方の話なのですが、この点はどうクリアして、また広告を見なかったPVと区別して広告費に換算するシステムを組んでいらっしゃるのかどうかが気になるのですが、そのあたり分かるようなら教えてください。
A : 今の点は整理させてください。ボタンを付けることについては問題ないと聞いていますが、どういった理由で問題ないのか、また契約関係の話ですので、どこまでお話しできるか私も分かりませんので、整理させていただいた上でお答えさせていただきます。

Q : 何点か確認させてください。今朝の9時35分に気象庁から広告を停止するように業者に指示して、そのあと58分に停止したという風に聞いているが、そのあたりの時間の確認を伺いたいのと、実際に気象庁担当者が確認した広告はどういったものであったかについて教えてください。
A : (予報部担当官)実際に気象庁の方から広告停止の依頼をさせていただいたのは9時35分で、受託事業者の方から広告配信停止の措置が完了したという連絡を受けたのは9時58分ということで、10時前にはウェブ上で広告の配信の方は止まっております。

Q : 0時から9時の間には、特に(業者とのやりとりは)何もなかったんですか。
A : (予報部担当官)停止自体はご説明させていただいたとおりですが、運用開始から受託事業者の方では不適切な広告が配信されていないかどうかの監視を行っていて、そこで不適切なものがあれば処置をしている、あるいは、配信はされていないけれども、不適切な広告が配信されるようなサイトやドメインが事前に分かれば予防的な対応も取っていると伺っています。また、詳細については、長官からお話がありましたとおり、しっかり整理をして、皆様へご説明させていただくことを考えています。

Q : 実際に見られたのはどういったものでしょうか。
A : (予報部担当官)私の方で受託事業者と連絡を取り合って実際に確認できたものとしては、ショッピング関係の部分で掲載にふさわしくないおそれのある広告を見ております。

Q : ウェブで買い物ができるようなサイトであったと。
A : (予報部担当官)はい。ウェブで買い物ができるようなサイトと思われる広告について確認しています。

Q : ちなみにそれは運用規定のどれに引っ掛かるものであったのでしょうか。
A : (予報部担当官)今回はあくまで不適切な掲載であるおそれというところで確認していますので、そこは運用規約上、気象庁として適切ではないものについて・・・
A : そこも申し訳ありませんが、まだあくまでおそれということですので、最終的にどうかというところまで確認しているわけではありませんが、おそれがあるため削除したのは事実でございますので、そういったものがあるということ自体が問題だろうということで掲載を停止させていただいたということでございますので、そこは事実確認をしっかりさせていただいた上でお答えさせていただければと思います。

Q : 11月の気象庁の移転に際して、長年、気象庁庁舎にあった津村書店、気象庁の職員もかなりお世話になっておると思いますが、この津村書店が10月末で閉店予定という風に伺っておりますが、何か受け止めがありましたらお願いします。
A : 津村書店は、私も若い頃は随分利用させていただいていて、色々とお世話になりました。そういう意味で、長く二代にわたりやってきていただいて、今回虎ノ門へ移転するにあたって閉店されるということで大変残念なのですが、これもある意味時代の一つの流れなのかなと感じています。さみしい気持ちがあります。

Q : 新たな庁舎でまた続けられるというのは難しかったのでしょうか。
A : そこはあくまで津村書店さんのお考えでここ限りという風に伺っています。新しいところへ移っていただければそれはそれでありがたい話ではあったのかなと思いますが。

Q : 広告の件で、先ほど、直接関与していない職員まで詳しく知る必要がないとおっしゃいましたが、不適切な広告が掲載されることで気象庁が出すあらゆる防災情報の信頼性を損なうような、大きな気象庁全体の問題だという認識はありますでしょうか。
A : それはおっしゃるとおりで、早急に、疑わしい時点でも停止させていただいたということでございます。もちろん、これについての責任は私にありますので、私の判断で始めましたし、停止もさせていただいたということでございます。

(以上)

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