長官会見要旨(令和2年1月15日)

会見日時等

令和2年1月15日 14時00分~14時33分
於:気象庁会見室


発言要旨

   私の方から、4点申し上げたいと思います。

   最初は、交通政策審議会気象分科会についてでございます。
   先週1月10日に第29回交通政策審議会気象分科会を開催いたしました。この分科会では、一昨年の8月に取りまとめていただきました提言「2030年の科学技術を見据えた気象業務のあり方」のフォローアップとして、技術開発や情報の利活用、防災対応・支援に係る気象庁の取組についてご紹介し、委員の皆様に大所高所から貴重なご意見をいただきました。
   今年度も台風等により甚大な被害が発生しており、気象業務が果たすべき役割が益々高まっていると考えております。技術や人材、予算といった行政のリソースが限られている中、先にまとめていただいた提言が目指す社会を実現するためには、更なる産学官連携の具体化を検討していくことが重要であると考えております。
   このため、次回、第30回以降の審議につきましては、産学官がさらに連携・協働するための仕組みの構築やそのための環境整備などについて委員の皆様からご意見をいただきたいと考えております。

   続きまして、昨日開催いたしました「防災気象情報の伝え方に関する検討会」についてでございます。
   昨日の検討会におきましては、今年度の取組状況のフォローアップを行うとともに、今年度発生いたしました一連の気象災害を受けて新たに明らかになりました課題について、今後の更なる改善に向けて委員の皆様からご意見をいただいたところでございます。
   気象庁が今年度、取り組んで参りました記者会見等での警戒の呼びかけや、危険度分布の高解像度化、危険度分布とリスク情報の重ね合わせなどの改善の取組については、一定の評価をいただいたものと考えております。
   一方で、例えば、大雨特別警報を解除した後の河川氾濫への警戒の呼びかけ方や過去の台風事例の引用など、今後に向けまして改善が必要な事項について、ご意見・ご提案をいただいたところでございます。
   気象庁といたしましては、委員の皆様からいただきましたご意見を踏まえまして、内閣府や国土交通省水管理・国土保全局等の関係機関ともしっかりと連携し、年度末までに改善策をとりまとめて参りたいと考えております。

   次に、昨日お知らせいたしました、令和元年台風第19号に関する気象データの公開についてでございます。今回公開いたしましたデータをご活用いただくことで、企業等の被害軽減に役立つ調査やサービスの開発の一助となればと考えております。
   気象庁では、気象データを活用した産業界の生産性向上に向けて様々な取組を進めているところでございますが、企業等の利益を伸ばすだけでなく、損失をいかに抑えるかということも重要な視点と認識しております。今後も被害の大きな災害が発生した際には、企業等における、このような視点での検討に資するデータ提供に取り組んで参りたいと考えております。

   最後に、気象科学館のリニューアルオープンについてでございます。
   ご案内のとおり、本庁庁舎の港区虎ノ門への移転につきましては、本庁機能の移転は来年度後半を予定しておりますが、先ほど報道発表しましたとおり、気象科学館につきましては、本庁機能の移転に先立ち令和2年4月1日に移転し、リニューアルオープンいたします。
   新しい気象科学館では、防災の入口として科学的な探究心を育んでいただける「予報官体験コンテンツ」や臨場感あふれる360度体感シアターで、「防災・減災」の情報発信を強化して参りたいと考えております
   また、同日、同じ建物内で隣接する形で「港区立みなと科学館」が新規に開設されます。みなと科学館には大型映像装置を使った体験型の展示コーナーや、プラネタリウムホールなどがあると伺っております。
   この立地を最大限活かすため、本日午前、科学館の運営協力に関する協定を港区と締結いたしました。この協定により、利用者の皆様の利便性が向上し、双方の科学館の設置目的をより効果的に果たしていく事ができると考えております。
   新しい虎ノ門の科学館では、気象科学館で防災知識を深めていただくだけでなく、みなと科学館において、プラネタリウムなどの最新の科学館のコンテンツもお楽しみいただくことができます。
   是非、多くの皆様にご来場いただければと考えております。

   私からは以上でございます。

質疑応答

Q : 先ほど長官もおっしゃいましたが、昨日の「防災気象情報の伝え方に関する検討会」の中で、委員からの洪水特別警報の検討を求める意見があったと承知しております。要するに、大雨特別警報が解除された後の雨によって、下流で増水・氾濫する危険があるということを伝えて、避難させるために有効であるという考え方だと思います。一方で、洪水特別警報は中小の河川を対象に発表するのは難しいのではないのかといった反対意見もあったかと承知しております。気象庁として、今後この問題についてどのように取り組まれるか、長官の考えをお聞かせください。
A : 只今ご質問いただきましたとおり、昨日の一つの大きなテーマといたしまして、大雨特別警報が解除された後、河川氾濫への警戒をどう呼びかけていくかという問題につきまして、洪水の特別警報を作るということは一つの解決策なのだろうと思います。しかし、検討会の場でもご意見いただきましたとおり、そもそも洪水の特別警報は単に降った雨だけではなく、人為的な操作やインフラの整備状況など色々なものが絡みますので、物理的な降雨等の予測だけでは特別警報を発表あるいは解除することは難しいという事情がございますので、洪水特別警報を設けていません。そして、その事情は変わっていないというご意見をいただきました。一方で、目的として大雨特別警報解除後に河川氾濫への注意をどう呼びかけるかという視点がございましたので、例えば、効果的に行うためには、河川管理を担当します部局と気象庁とで、大雨特別警報の解除前にしっかりと河川についての警戒を呼びかけるといったやり方もあるのではないかといったご意見もありました。あるいは、今年度の出水期から運用を開始しました警戒レベルを活用して、そのような大きな枠組みの中で解決すべきではないかというご意見などがありました。いずれも、私の感想としては小手先の対応ではなく、中長期的に少し先を見据えた形、あるいは気象庁だけで解決するのではなく、もう少し大きな枠組みの中で解決すべきではないのか、というご意見だと承知しております。こういったご意見を踏まえまして、内閣府や国土交通省水管理・国土保全局といった関係部局とも十分連携し、洪水への警戒に対する効果的な呼びかけ方をどうしたら良いかということについて検討して参りたいと考えております。

Q : 「防災気象情報の伝え方に関する検討会」で今年度末までにある程度取りまとめるとお伺いしていますが、どこまでまとめるのか、何をまとめるのか、その青写真と言いますか、反対意見や色々な意見が出たものもありましたし、特に意見が出なかったものもありましたが、それはそのまま決定事項になるのか、それらについてお聞かせいただければと思います。
A : 特に、昨年の大雨・台風災害で問題になりましたいくつかの新たな課題について、我々としてもこのような方向でという形で案を出しまして、それに対してご意見をいただき、その部分について基本的にとりまとめていこうということが我々の思いだったのですが、昨日お聞きになられた方はお分かりになったと思いますが、我々の案はどうしても自分たちの目の前の短期的な解決案、それも気象庁だけで解決できるような案でした。しかし、そうではなく、もう少し中長期的に、気象庁だけではなく関係機関も巻き込んだ形の大きな枠組みでの解決を図るべきではないかというご意見が多かったと、私の感想ですが、そういった印象を持っています。そういったご意見をいただきましたので、我々の当初想定したものよりずっと大きな話題になりましたので、正直、私は年度内にどこまでとりまとめられるかということを明確に意識できていない状況でございます。ただ、本当に貴重なご意見をいただきましたので、是非こういったご意見をできるだけ活かしていくような形で、我々もその解決を図っていきたいと考えております。

Q : 暖冬で雪が全くなく、富山ですと最高気温の記録が出ていますが、今回の暖冬に関して、雑駁で恐縮ですが長官のご意見をお願いします。
A : 我々としては継続的に季節予報を発表させていただきまして、当初から暖冬傾向、また降水量も少なめという予測をしておりましたので、雪が少なくなるだろうということは、当初から想定していましたが、今年の年頭に北海道へ出張に行って参りましたが、本当に雪が少ないなというのが印象でございます。雪が少ないことについて言えば、災害という観点からすると幸いな部分もございますけれど、一方で雪を使った様々なビジネス等もありますので、そういった方には大きな影響があるのだろうと思っております。今後の見通しについて、教えていただけますか。
(地球環境・海洋部担当) 1か月予報は毎週木曜日に発表しておりますが、最新の1か月予報ですと、まだこの先1か月も降雪量は少ない見込みとなっております。一方で、平均的には少ないのですが、短期的に多く降ることがないとは必ずしも言えないので、最新の情報にはご注意いただきたいと呼びかけさせていただいております。

Q : 聞きたかった趣旨としては、もちろん暖冬ではあるのですが、過去に例を見ないほど激烈な暖冬だというニュアンスでもないということでよろしいでしょうか。
A : (地球環境・海洋部担当)12月の北日本の日本海側、西日本の日本海側の降雪量は1960年代の観測開始以降から最低となっております。ただ、12月までの記録しかありませんので、現在言えるのはそこまでとなります。

Q : 先月もお聞きしましたが、その時点ではまだ概要が出る前でしたので、改めて来年度中に予定されている組織の再編についてお伺いしたいと思います。ポイントとしては、気象防災監を設置されること、それから現状ある5つの部が4つに再編されることだと思っていますが、改めて今回の再編は、政府レベルで見てもこれだけ大規模な再編をする動きはそうそう最近ないので、この再編で気象庁として何を目指すのか、長官のお口からお聞きしたいと思います。
A : 一昨年の気象分科会の提言で、技術開発をして予報・予測・観測の情報の精度を高めていくということと、それからそれを利活用していただくということが車の両輪だというご提言をいただきました。まさに、我々の情報がソフトインフラ、あるいは情報インフラだという認識の下に、インフラの質を高めるということと、インフラを活用していただくということが、我々の一番の目標だという整理かと思います。そういった中で、私としては、ざっくり申し上げれば、この提言というのは、二つのキーワードがあるだろうと思っております。一つは防災です。これはまさにそういったインフラの上で国自らが情報を発信していく、要するにアプリケーションとしての情報を発信していく、そういった役割はまさに「国がやりなさい。」、「気象庁がやりなさい。」ということで、一番ウェイトが大きいことです。もう一つは情報です。何度も言いますが情報インフラですから、やはり情報ということが一つのキーワードになるだろうと思います。その2つ視点から、一つは防災に関しては、色々な方の積み上げで行うのですが、一方でかなりハイレベルの所で意思決定をなるべく早く行って対応していくということが、特に災害発生時において非常に重要だとされております。そのような点で、そのようなハイレベルな判断や、あるいは省庁間の調整等ができるポストを専任で置くことによって、我々の対応も今以上に迅速になるだろうという観点で気象防災監を設置することといたしました。併せまして、先程も申し上げました、情報という観点ですが、情報技術、情報通信技術、ICT技術は私が言うまでもなく日進月歩でものすごいスピードで進んでいます。我々は情報を取り扱っている役所でございますので、できる限り最新の情報技術を取り入れることで、我々の情報をさらに良くするという努力は絶対必要だろうという観点で、このような情報技術をしっかり使って我々の情報の質を高めていく、そこに集中する、併せて防災以外の目的でしっかり活用していただくというような目標を持った部として情報基盤部というものを作らせていただいたというのが大きなポイントだと思っております。

Q : 先月予報部の事は聞きましたので、このまま部としては残る地震火山部の中で地震予知情報課が看板を外す方向と聞いております。多分、南海トラフの監視活動や観測、一連の業務はそのまま残ると思いますが、大震法整備以来、約40年地震予知という看板を掲げてきた組織の一部署がなくなることについて、どのようにお考えでしょうか。
A : 時代の流れだと思っております。実は私が学生の時に大震法ができまして、私の指導教官も初期の判定会のメンバーでした。当時は、東海地震という限定された地震ですが、予知は十分可能性があるということが我々の業界の中でのひとつの考え方であったと思っております。私自身もそのような考え方の下でずっと仕事をしてきました。しかし、様々な観測技術が向上し色々なことが分かってくる、あるいは色々経験を積むことによって、実用的な地震予知というのは非常に困難だという結論が出ましたので、それに合わせて我々も仕事の体制を整えていく必要があるだろうと考えており、私が地震予知情報課で勤務したことがないということとは関係なく、それ程感慨があるという訳ではありません。仕事というのは、社会情勢や技術の革新によって、どんどん変わっていく、変わらなくてはならないと私は思っておりますので、そのような意味ではむしろ遅すぎたのかもしれませんが、このような形で新しいやり方に変えていくということは非常に重要だと思っておりますので、私は良いことだという認識を持っております。

Q : 確認ですが、先ほどの「防災気象情報の伝え方に関する検討会」の話で、洪水の特別警報について質問があった際に、関係部局と連携して、もう少し中長期的に取り組んで行く必要があるのかなと受け止めていらっしゃるということでしたが、検討会自体は昨年度西日本豪雨を受けてできて、かなりスピーディに対策等を進められたと思いますが、今回については、例えば来出水期までに、具体的に、今洪水特別警報のような話が挙がりましたが、新たな情報を作るとか、そのような動きというよりは、もう少し時間をかけて省庁横断的に対策を考えていくというスケジュール感で見た方が良いという理解でよろしいでしょうか。
A : 我々が今回提案したものは近視眼的ですぐに実行できるものが多かったのですが、それを超えてもう少し中長期的、あるいは広い枠組みの中でというご意見が多かったということで、もちろんいくつか実行すべきだと思っているものの中には、すぐに取りかかるべきなものもございました。一つは、色々と反対意見もございましたが、台風等を要因とする特別警報が発表された際の大雨特別警報をどう扱うかということです。これは、現在中途半端な形になっていますので、少なくとも何かしらの対応を来出水期までに是非行いたいなと思っております。それから、委員の皆様からご意見をいただきました、リスク情報と我々の危険度分布の重ね合わせで、一部の中小河川のリスク情報で表示していないものがありミスリードしかねないという点は、早急に対応しなければいけないと思っております。こういった早急に対応しなければならない部分も当然ありますので、しっかりと来出水期までにはできる限り進めたいと思っております。一方で、我々の視点にはありませんでした、中長期的とかもう少し大きな枠組みでの解決、例えば防災教育はまさにその話で、そういうものは我々も目を開かせていただいたという思いですので、こういったものについても、少し時間はかかりますが、しっかりと取り組んで参りたいと思っております。

Q : 今の質問への回答にありました、危険度分布とハザードマップの重ね合わせについてで、一番指摘されたところはハザードマップの整理が全て終わっていないのに、ある場所では重ね合わせていて、本当はハザードマップでリスクを示さないといけないかもしれない場所がまだ整備されていない部分も混合しているのがミスリードではないのかということで、すぐに引き下げるべきだという意見が出ていましたが、この早急に対応するというのはその方向でしょうか。どういう対応をされるのでしょうか。
A : 牛山先生からご指摘がありましたとおり、ハザードマップのリスク情報がすでに公開されているにもかかわらず、重ね合わせ表示をしていない中小河川がいくつかあります。それは事情があってそのような対応となっていますが、早急に解決すべき話だと思っております。また、重ね合わせ表示をするべきリスク情報がそもそもまだないようなものについてはしっかりそのことをお知らせし、ミスリードがないようにしていくということが重要だと思っております。

Q : つまり、基本的には重ね合わせたままの方針ですが、「この県、この地域についてはハザードマップが整備されていないので、正しく表示されていません。」といった注意書きが付くということでしょうか。
A : 解決策につきましては、これから検討させていただきますが、おそらくそのような形になっていくのだろうと思っております。

Q : 「防災気象情報の伝え方に関する検討会」に関する長官のお答えの中で、小手先だけの対応ではないという発言がございましたが、それはどのような意味で、どういう議論が必要であると考えてらっしゃるか改めて教えていただけますか。
A : 一番は特別警報を解除した後の河川洪水への注意の呼びかけで、我々は「解除」という言葉がよろしくないので、「切り替え」にします、といった案が私が発言しました小手先の対応という意味です。それが有効かどうか、あまり有効ではないのではないかというご意見も多くありました。すぐにできることとしてはそういったこともありますが、委員の皆様からは「それは小手先の対応だろう。」と、「もう少し中長期的に、あるいは大きな枠組みの中で解決すべき話ではないのか」というご意見で、我々もそのとおりだと受け止めたところでございます。

Q : 昨日、委員からの意見の中で、「少しテーマが細かいのではないのか」といった意見や、「そもそもどう情報が使われているのか」といった、もう少し原点に立ち返えるような意見に聞こえましたが、今あるものがどう使われているかとか、既存のものでもっとできることはないのかといった発想の重要性についてどうお考えでしょうか。
A : それはそのとおりだと思います。しっかりとした対応をしていくためには、情報がどう使われているのか、皆様がどういう認識で使っているのかということが分からなければしっかりとした対応ができませんので、そういったことも当然視野に入れながら検討をしていく必要があるだろうと思っております。

Q : 昨日、「防災気象情報の伝え方に関する検討会」の中で、アンケート結果が大きく2つあったと思います。一つは大雨特別警報解除後に3割くらいの方が帰宅されていたということ、もう一つは全体で約7割の方が、「狩野川台風」と形容されたことに関しては、危機感が高められたということがありました。これらについて、長官としての受け止めと、アンケート結果から課題と感じられたことがあれば教えてください。
A : これは、昨日の検討会の中でも事務局側からお話させていただきましたが、まずは大雨特別警報解除後の洪水への注意喚起の呼びかけが十分ではなかったということについてはそのとおりだと思っております。3割の方が誤解をされたということは非常に大きな問題だと思っておりますので、当然早急に何かしらの改善をしていく必要があるだろうと思っております。ただそれは、小手先の手法だけではなかなか進まないというのが検討会委員のご指摘だったと思いますので、そのような視点を踏まえながらしっかりと検討していきたいと思っております。一方で、狩野川台風につきましては、実を申し上げますと、予報課はあのように過去の名称を出すのはあまり好まないことが多かったです。それは、過去の名称を出すとどうしてもリスクがあることを百も承知だったからで、どうしても前回のときの状況にとらわれて、それとの違いが非常に意識しにくくなるので、その意味で、このような過去の事例を引用することについて、どちらかというと消極的だったのですが、今回の台風第19号につきましては、昨日の検討会でもありましたとおり、当初はどちらかというと風に対する警戒が必要と予測していて、これは台風第15号の記憶もありましたし、台風第19号自体が非常に勢力が強かったので、風に注意が行ってしまい、ようやく上陸の前日の朝になって、実は雨がとてつもなく凄いということが我々も分かりました。それからは雨に対する警戒を非常に強く呼びかける必要があるという意味で、「狩野川台風」を引用したのは一定の効果があったと私は思いますし、予報課の方から「狩野川台風」という名称を引用する提案があった時は、私もこれはと思いました。もちろん、色々メリットもあればデメリットもあることは承知していまして、できる限りデメリットを少なくする方法で我々も発表させていただいたつもりですが、やはりいくつかご指摘がありました。しかし、このような名称を引用していくこと自体は大きな武器になると思います。消極的に躊躇しないで、今回ある意味積極的に行ったことで、逆に問題点も明らかになって今後の改善に繋げることができたので、そのような点では、私は間違ってはいなかったと考えております。

Q : テレビ局の委員から、複数の台風の名前を出した方がもっと良いという意見がありましたが、どうお考えでしょうか。
A : 確かにそういう手法もあるなという思いはありました。どのように行うかは、まだ色々と手法は検討していかなくてはいけないのですが、一つの非常に有力な案だと私は認識しております。

Q : 先ほど洪水特別警報のお話もありましたが、国土交通省の方でも長官ご自身が参加されて、検討会が進んでいると思います。大きな枠組みの中で解決するべき問題だと思うというご発言でしたが、気象庁としてどのような提案をこれからしていくつもりでしょうか。
A : 一つは、河川の氾濫につきましては、何度も申し上げているとおり、気象庁だけで閉じる問題ではないということは間違いないので、少なくとも、河川を担当しています国土交通省水管理・国土保全局とはしっかりと連携を取って行っていく必要があるだろうと思っております。その一つの解決策が、昨日の検討会でご提案いただいたとおり、大雨特別警報解除前にしっかりと気象庁と河川管理者が共同で記者会見を行って、たとえ解除してもまだ危ないということを、実際の河川の状況を踏まえてお知らせし、報道発表するということは非常に有力な一つの手法だと思っております。少なくとも、気象庁の中だけではなく、そのような関係部局のご協力もいただきながら解決をしていくという性質のものだろうと認識しております。

Q : 共同記者会見についてですが、昨日の検討会の中でも、気象庁の本庁と国土交通省の本省といったレベルで共同記者会見を行うという提案もあったかと思います。このことについて、今年の出水期に向けていかがでしょうか。
A : 以前もそのような質問をいただいたかと思います。もちろんそのような手法もあるのだろうと思いますが、具体的にどのような内容で行えばいいのか、今は地方ごとに共同記者会見を行っており、その地方における河川と雨の降り方について行っていて非常に分かりやすいのですが、本庁と本省となりますと全国について言及する形になるので、一緒に行うことでどのようなメリットがあるのかということを、これからしっかり検討していく必要があるのかなと思っております。正直申し上げますと、まだ具体的にその話が進んでいるわけではありません。ただ、当然このようなメリットがあるということが分かれば、積極的にこちらからお願いして行わせていただくことになるかと思っております。

(以上)

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