長官会見要旨(令和元年10月16日)

会見日時等

令和元年10月16日 14時00分~14時46分
於:気象庁会見室


発言要旨

   最初に、私から、4つほど述べさせていただきます。

   最初は台風第19号についてでございます。
   先週末、台風第19号が大型で強い勢力を維持したまま伊豆半島に上陸し、各地に甚大な被害をもたらしました。この台風によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
   今般の台風では、東日本や北日本を中心に非常に広い範囲で記録的な大雨となりました。また、1都12県で大雨の特別警報を発表しております。
   この台風の接近・上陸に際しましては、気象庁では、上陸の3日前から記者会見を行うなど、早い段階から我々の持つ危機感を発信し、事前の対策に活かしていただけるよう努めて参りました。さらに、台風の接近にあわせ、適時に警報などの防災気象情報を発表してきたほか、記者会見等による警戒の呼びかけを重ねて行い、また、各地の地方気象台におきましても、 台風説明会の開催や、ホットラインによる自治体への直接の気象解説、また、気象庁防災対応支援チーム(JETT)の派遣など、自治体の防災対応の支援に努めてきたところでございます。
   一方で、このような甚大な被害が生じたということについては、重く受け止めている所でございます。住民や自治体の皆様が防災対応を判断していく中で、我々が伝える情報が有効であったか、こういった点につきましては、災害復旧活動が一定程度落ち着いた後の段階で、しっかりと検証を行い、今後に繋げて参りたいというように考えております。
   被災地では、いまだ雨に対して脆弱な状態が続いているところですので、引き続き警戒が必要な状況でございます。13日(日)に被災地向けに気象情報をまとめたポータルサイトを開設しております。気象庁といたしましては、引き続き被災地に寄り添った情報提供をしっかりと行って参りたいと考えております。

   続きまして、台風に関するハイレベル東京会議の開催でございます。気象庁は、台風等の解析・予測情報の提供等を行い、東アジア地域の気象業務を支える「熱帯低気圧RSMC東京センター」を運用して今年で30周年を迎えたところでございます。これを機に、東アジアの気象局長官や国内防災関係機関の皆様などをお招きしまして、10月10日から11日にかけて「台風に関するハイレベル東京会議」を開催いたしました。
   本会合では、『人を動かす気象情報』の発表とその利活用を通じ、台風に強い社会の実現を目指す「台風から命と財産を守る10年ビジョン」をとりまとめ、「東京宣言」として世界に発信したところでございます。
   気象庁は、地域防災力強化等に一層取り組み、日本の台風防災を推進するとともに、その経験、知見を東アジアや世界に共有し、新しいアプローチに必要な人材の育成を通じて、台風に強い社会の実現に貢献して参りたいと考えております。

   3つ目は、このたび新たに開設いたしました防災情報専用のツイッターのアカウントについてでございます。
   これまでは、主に広報に用いる既存の気象庁公式ツイッターにおいて、台風などの防災情報を試行的に発信して参りましたが、10月4日に気象庁防災情報ツイッターアカウントを開設いたしました。
   今般の台風19号のに際しましても発信を積極的に行ってきたところでございますが、このアカウントを通じて、気象庁の持つ危機感をより効果的に国民の皆様に発信し、避難行動等の防災行動に役立てていただきたいと考えております。今後もさらに検討を進め、より効果的な情報発信ができるよう、改善を図って参りたいと考えております。

   最後に、大雨特別警報の発表指標の改善についてでございます。
   既に先週末に報道発表いたしましたとおり、東京都の伊豆諸島北部で新しい発表指標の運用を先週11日から開始しました。
   他の地域につきましても、今後自治体をはじめ関係機関との調整を行いながら検討を進め、準備が整った地域から順次、新たな発表指標の導入を進めて参りたいと考えております。

  私からは以上です。

質疑応答

Q : 冒頭のご発言でもありましたけれども、今回台風第19号にあたって、上陸の3日前から記者会見を開かれたり、情報の出し方を色々工夫された部分もあるかと思いますが、今後しっかり検証されていくということでありますが、現時点で対応が適切だったかどうかを含めて受け止めをお聞かせいただけますでしょうか。
A : 繰り返しになりますが、台風第19号の接近・上陸に際しましては、上陸の3日前から記者会見を行うことで、早い段階から我々の持つ危機感を発信し、事前の対策に生かしていただくよう努めて参りました。上陸前日の11日には、記者会見において昭和33年の狩野川台風という具体的な事例を示しまして、暴風や高波、高潮に加えて記録的な大雨による土砂災害や河川の氾濫に厳重な警戒を呼びかけたところでございます。さらに、実際の各地の大雨の状況に合わせて特別警報を順次発表し、記者会見によって警戒レベルの呼びかけを重ねて行いました。また各地の地方気象台においても、台風説明会の開催やホットラインによる自治体への直接の気象解説やJETTの派遣など、自治体の防災対応の支援に積極的にあたったところでございます。このような形で、それぞれの時点において、我々といたしましてはできる限りのことを行ってきたと今の時点では認識しております。一方で、このような甚大な被害が発生したということも事実でございますので、これも先ほど申し上げましたが、災害復旧活動が一定程度落ち着いた後に、今回の大雨の情報発信について、しっかり検証を行って、今後に繋げて参りたいと考えております。

Q : 今長官から早い段階からの会見でも危機感を発信・共有できたのではないかということですが、聞いていた我々からすると、伊豆半島に上陸した狩野川台風の事例を挙げたことで、首都圏での警戒は非常にたくさん呼びかけていたのですが、そこから先の東北、北日本への文言というのが後から振り返っても少なめだった事実があるのですが、このあたりはどうお考えでしょうか。
A : 狩野川台風のような実際の事例を例に挙げますと、効果も高いのですが、一方でそれぞれの事例によっての違いというのが意識されにくくなるという恐れがあるわけで、そこは我々も十分意識した上で、例えば11日の会見でも、西日本から東北地方にかけても広い範囲で記録的な暴風や大雨になると、常にこれは関東・伊豆だけに限ったことではないということは、かなり意識して申し上げたつもりでございます。例えば東北地方について申し上げますと、11日の全般気象情報や地方気象情報において、東北地方の雨については、12日(土)12時までで100mm、その後の24時間で300~400mmと、これは東北地方としてはなかなか普通ではないような大雨で、こういったことをしっかり情報発信させていただきました。さらに、同じ11日に開催した仙台管区気象台と東北地方整備局の共同記者会見の中で、仙台管区気象台から東北地方においても大雨の特別警報の発表の可能性がありますとはっきり申し上げておりますし、併せまして、東北地方整備局からは、具体的に河川名、川の名前を挙げて、こういった川は特に注意が必要だ、特に警戒が必要だというような事を述べさせていただいております。こういった形で、我々としましては、おっしゃられたような懸念がありましたものですから、そういうことがないように、注意が関東と伊豆だけに向かないように、もう少し広い範囲で記録的な大雨になるということを特に強調させていただいて、情報発信させていただいたというように私自身は認識しております。

Q : 今のお話ですと、気象庁本庁での会見で言い尽くせないアラート、呼びかけというのは、総合気象情報や地方気象情報など、なかなか一般の人の目に触れないところで後から追いかけたとしても、ちょっと伝えきれなかったのかなというのが今の印象ですけれども、そのあたりはやはり総合的に全部を見てほしいという意味合いなんでしょうか。
A : あくまで、気象庁本庁でやる会見は全国を見てお話させていただくので、なかなかこの地方はこう、あの地方はこうという言い方は難しいのが実情でございます。そのため、それを補うために、実際各地方においても記者会見をさせていただいて、今回は特に各地において整備局と気象台が、大雨と河川の氾濫も意識をして、共同の記者会見をさせていただいております。実際、我々としては先ほど申し上げましたとおり、関東と伊豆だけに意識が向かないように、広い範囲で記録的な大雨になる、警戒が必要だという旨を、かなり意識して発信させていただいたものですけれど、それが実際どのように受け止められたかということについては、やはりしっかり検証していきたいと思っております。

Q : 台風としての命名は現状されるのでしょうか。
A : まず我々が名称設定についてどのように考えているかと言いますと、顕著な被害が起きたような自然現象に対して名称を定めさせていただいておりますが、目的として2つございまして、一つは応急対応について、やはり名称があった方が混乱がなく進むという一つの観点と、もう一つは、そういった災害についての教訓を後世に伝承するという、この2つの目的で名称を定めさせていただいております。台風につきましては、基本的に台風第〇〇号という名前がもともとありますので、応急対応についてはこの名称を使っていただくということで、これまでも特に問題はございませんでした。そういうことで、ずっと台風については名称を定めないということにしていたのですが、やはり後世への伝承という観点からいくと、やはり例えば令和元年台風第19号と言えばここ数年はすぐ分かるかもしれませんが、これがまた5年、10年経っていくと、なかなかピンと来なくなるというのも事実だろうと思いますので、こういった台風についても後世への伝承という観点で名称を定めようということで、昨年から始めたところでございます。こういったことでございますので、台風については、こういった災害が起きた、現象が起きてから翌年の5月までに、名称を定めるかどうかも含めて検討をするということにしておりますので、今のところ、定めるか定めないかも含めてそこまではまだ決まっていないという状況でございます。

Q : 情報伝達の関連で、特別警報は順次、最終的に1都12県に発表されましたが、これだけ広い範囲に出て、さらに最後に特別警報が出た時点では、夜のために暗く、また一番凄まじい状況は過ぎていると思われ、さらに特別警報が出た時点では危険で避難には適さないと言われては身動きも取れないので、どうしたら良いか戸惑った人が多かったのですが、今回、特別警報を出すタイミングで工夫した点はありましたでしょうか。
A : 特別警報は、50年に一度の雨などの指標があり、それに基づいて現時点では発表することとしています。今回についても同様に、基準に基づいて発表させていただいたということでございます。なお、従来から申し上げていますが、決して特別警報の発表を待って避難をするのではなく、その前の警戒レベル4の段階で避難をしていただきたく、報道機関の方もそのとおり報道していただいたと認識しておりますが、そこは間違えてはいけない部分だと思っています。

Q : 特別警報が出た時点では手遅れだということをあまりに伝えすぎているがために、かえって出しにくくなっている部分はないのでしょうか。
A : 我々は、基準を決める際は、災害発生の可能性や、どういうタイミングで情報を発表すればより効果的か等の様々な検討を行いますが、基準が決まった段階では、基準に従って淡々と出すことが我々の役目であり、その都度いじったりするのは適切ではないと私は思っています。今回についてもしっかり基準どおりに発表させていただいたと認識しています。

Q : 今回、的確に出されたという判断でしょうか。
A : 基準どおりに適切に発表させていただいたという認識です。

Q : 台風に関する特別警報では、930hPaや伊勢湾台風級という基準や目安が示されていますが、例えば今回のように広い範囲に出る場合は、その基準には達していないものの、台風の特別警報を出しても良かったのではないかという意見もあるのですが、それについてはどうでしょうか。
A : 台風の特別警報については、特別警報の運用を始めてからいくつか事例がたまってきているところですので、いずれは基準についても見直しを図っていきたいと思っています。ただ、今回の事例で申し上げますと、台風の特別警報の基準を930hPa以下あるいは風速50m/sとしているのは、雨だけでなく、風や高波、高潮といった、台風に起因する様々な要因が非常に危険な状態になるということを踏まえての基準設定で、今回は風も強かったのですが、少なくとも最も大きな災害をもたらしたのは雨ですので、こういったものについては、むしろ台風の特別警報ではなく、今回発表したような大雨特別警報で対処する方が適切だろうと私自身は認識しています。ただそれは今回のことであり、台風の今の基準が絶対良いと申し上げているわけではありません。

Q : 基準の見直しは、どのくらい事例がたまったら行うのでしょうか。
A : 例えば5つや6つあれば良いということではないと思いますが、事例だけではなく様々な知見が揃ってきて、今の基準より良いものができそうであると分かれば、その時点で見直しをしていくことになると思います。

Q : それまでには死者がたくさん出るのではないでしょうか。
A : そういうつもりは全くありませんが、今この時点において930hPa、50m/sというもの以上の良い基準があるかというと、すぐには思いつかないのが実情かと思います。

Q : 特別警報の基準について、大河川も今回かなり決壊・氾濫しましたが、特別警報の今の基準と大河川の危険度がリンクしていないように思いますが、これについては改善の余地があるのでしょうか。
A : ご質問にあったとおり、洪水については特別警報は設けておりません。特に大河川については、降った雨が最終的に河川に集まってきて、というプロセスを含めて河川自体が危険になっているかという判断をする必要があり、これについては、指定河川洪水予報というスキームができており、水位を見ながらリアルタイムに河川の危険度を判定しながら出す情報ですので、むしろこちらを使っていただいた方が、はるかに適切に対応できるだろうという考えから設けていないもので、今回についても、大きな河川については、氾濫危険、氾濫発生という形で情報発表できていますので、こういったものを活用いただければと思います。

Q : 11日(金)午前中の会見で、特別警報発表の可能性に言及された段階で、1都12県もの広範囲に特別警報を出すことを想定していたのでしょうか。
A : 予報課長が当時どう考えていたのかは確認しておりません。

Q : 先ほどもお話のありました昭和33年の狩野川台風についてですが、昭和33年というかなり昔の気象現象について言及されると、その当時の被害状況をすぐに思い起こせる方は少ないのではないかと思いますし、昔の事例を出すことによって、なかなか身近に感じることができないのではないかと感じたのですが、そのあたりはどうでしょうか。
A : 古いから必ずしも身近に感じないということでもないのかなと思います。狩野川台風は昭和33年ですが、翌34年には伊勢湾台風がありました。伊勢湾台風は今でもかなりの方がご存じだろうと思います。そのため、必ずしも古いから知らないということではないのだろうと思います。ただ、今回の台風で伊勢湾台風を持ち出すのは適切でないと思っていますので、もちろん違いはありますが、比較的似た台風として狩野川台風を挙げ、特に狩野川台風は非常に大きな水害が発生していますので、特に雨に対して警戒を呼びかける点では効果があったのだろうと思っています。

Q : 狩野川台風という具体的な例を出すことによって、イメージしやすいというメリットがある一方で、地域も同じようなところに降ってしまうのではないかというミスリードする可能性も含んでいると思いますが、庁内でも事前に議論した上で、それでもなお出すという判断になったのか、最終的にどの段階で決めたのか、もし分かれば教えてください。
A : 11日(金)の記者会見で狩野川台風というキーワードを出させていただきましたが、今回の台風がだんだん近づいてきて定量的にどのくらいの雨が降るかが分かってきた時点で、非常に広い範囲で記録的な大雨になるであろうということが分かってきました。このことを効果的に我々の危機感として伝える必要があるということで、予報課でもずいぶん議論したと聞いておりますが、その中で、狩野川台風を出すことによって、ご指摘のあったとおり、それと同じだと受け取られて、あのとき被害がなかった地域は安全だという誤解を招くおそれがあることは十分承知の上で、我々の危機感をしっかりお伝えするために、このキーワードを出すことが適切だろうという判断で出させていただきました。先ほども申し上げましたとおり、一方でそういったリスクもあることは承知していましたので、そうならないように、それ以外の地域でも記録的な大雨になることをしっかりとお伝えしてきたつもりです。

Q : 繰り返しになりますが、最終的には長官もご了承した上での情報発表になったという理解で良いでしょうか。
A : そのとおりです。予報課から狩野川台風を持ち出して記者会見をやりたいという申し出がありましたので、その場で私から、良いですと了解させていただきました。

Q : 今回、東北地方についても、先ほど例示されたように24時間先から48時間先までの雨量で300~400mmという数字を出されていましたが、実際はやや上回り、宮城県の方では588mmを観測したり、トータルで、東北地方を含めてその精度についてはどのようにとらえていますでしょうか。
A : 細かいところを見ると我々の予想とは違う部分が出てきますが、大括りとしては、今回の記録的な大雨は予測できていただろうと私は認識しています。丸森で588mmですが、我々の予測でも東北地方ではトータルで500mmくらいになりますので、それより多かったのも事実でありますが、我々としてはある程度予測できていたと考えております。もちろん、それで良いかは別の話ですし、もっと精度を上げていくべきというのはそのとおりですが、今の我々の技術水準からいけば非常によく予測ができていたと認識しています。

Q : 先ほど、この台風は伊豆や関東地方だけではなく広い範囲に呼びかけてきたという話がありましたが、福島県や宮城県など東北地方でも大きな被害が出ましたが、それはどうしてだと思われますか。
A : そこについては、今私はそれに答えられる知見を持っておりません。今申し上げられるのは、東北地方でも記録的な大雨になるということは予想してしっかりと伝えてきたと認識しているということでございます。これから様々な要因が明らかになると思います。

Q : 先月の長官会見の中で、千葉県で甚大な被害が出た台風第15号について、情報の伝わり方や伝え方がどうだったかをしっかり検証したいとありましたが、この1か月でどのような検証をされたのかということと、もし今回の台風第19号に活用された材料があれば教えてください。
A : 台風第15号につきましては、その後も、今回の台風第19号まではいきませんが、いくつか災害をもたらしそうな現象が起きまして、その対応が現地でもまだまだ大変な状況で、まだ復旧していない状況でしたので、まだ具体的な検証は行っておりません。これからさせていただきます。

Q : 長野県でも千曲川が決壊して甚大な水害がありましたが、気象庁では3日前から色々な意味で工夫して呼びかけてこられたかと思いますが、それでも逃げ切れない人たちがおり、情報発信の難しさがあると思いますが、例えば地方整備局と共同記者会見をやって水位の状況を確かめるとか色々工夫があると思いますが、何かできることがあるのか、その辺の考えがあれば教えてください。
A : 今やれることは、少なくとも今回やってきたと認識しております。次のステップ、別の手を打つという段階にいくのであれば、今回どういう形で皆様が災害に遭われたのかということを十分検証する必要があるだろうと思っています。昨年の7月豪雨で、あれだけ大きな教訓をいただきましたので、それについては、有識者を入れて十分議論させていただいて、様々な改善策として手を打つことにし、そのほとんどは既に手を打ってきているところです。そのため、これ以上何かあるのかと言われるとすぐに思いつかないのが正直なところですが、実際どういう形で災害に至ったのかを十分検証することで、またそういった改善策も出てくるのではないかと思っていますので、まずは事実関係をしっかり押さえることが必要と認識しています。

Q : これから、東北地方を含めて被災地は非常に寒くなりますが、被災された方々含め、呼びかけること、気を付けることがあれば教えてください。
A : まだまだ被災地では雨に対して脆弱な状態となっていますので、通常では被害が起きないような雨であっても、まとまって降ることによってまた新たな災害が起こり得ると思います。それについては我々もしっかり意識して呼びかけていきたいと思いますので、気象情報に注意していただいて適切な行動を取っていただければと思います。併せまして、寒くなることは今おっしゃられたとおりで、これについても被災地向けポータルサイト等の情報をしっかり見ていただいて対策をしていただければと思います。

Q : 当初の予測と、洪水が各地で起こってますが、実際に起きた現象とのギャップはあったのでしょうか。
A : もちろん細かく見ればいくらでもあると思いますが、大局としてはそこまでのギャップはなかったと私としては認識しています。そこについてもまた細かく検証して、我々のギャップが何らかの形で防災行動について仮にマイナスの要因になっているのであれば、そこをまたしっかり検証していく必要があると思います。今のところ、そこまでのギャップがあったとは認識しておりません。

Q : 洪水に関しての予測も、発生リスクを含めて同様でしょうか。
A : 洪水については事前に予測するのはなかなか難しいものですから、まずは我々として予測できるのは広い範囲での記録的な大雨であり、当然その場合は洪水リスクが高まるのは事実でございます。実際どの程度の川がどのくらいのタイミングで破堤するのかまでは予測しておりませんが、洪水災害の発生の可能性は十分に意識しておりました。

Q : 本庁の会見では3日前には昨年の台風第21号と比べて同規模になると、前日には狩野川台風を出されて、規模感はかなり強調されていましたが、洪水に関しては各気象台の方でより細かく注意を促してきたという認識でよいでしょうか。
A : 我々が予報を出せるのは雨ですので、記録的な大雨になること、大雨になれば土砂災害あるいは洪水災害の危険度が上がりますという呼びかけをさせていただきました。それから先ほど言いましたとおり整備局と共同で記者会見をする場合は整備局側から具体的にこの川はこういう場合に洪水の危険が高まりますという話をさせていただきました。

Q : 検証の必要性についてですが、今の段階で今回の台風第19号ないしは台風第15号に関して検証をすることをお決めになられているのでしょうか。もし決めているのならばいつどのタイミングでやられる予定でしょうか。
A : 基本的に災害が起きた場合については検証することを原則としています。そういった点で台風第15号もやりますし、台風第19号もやるつもりでございます。ただいつやるかという点につきましては、まずは応急対応、災害復旧が先でございますので、そういったものが一段落し、ある程度住民の皆様あるいは自治体の方々の落ち着いてから行うこととし、必ずしも今すぐに急いでやるというものではないものと認識しております。ただ、しっかり必ずやらせていただきます。

Q : 今長官がおっしゃられた検証についてですが、いつ頃までに形にされて、こういった気象庁の検証に関してはテレビを見ている視聴者もかなり気にしていると思うのですが、どういった形で発表されるおつもりでしょうか。
A : 時期については今申し上げたとおり、ゆっくりやるつもりはありませんので、検証ができる段階になったらできる限り速やかにやりたいと思います。ただ今回の台風第19号となると非常に範囲も広いですし、関わった方も大変多いと思いますので、検証にはある程度の時間はかかるかなと思っています。最終的にはもちろん検証の結果は公表させていただきますが、その前に例えば有識者のご意見を伺うなどはオプションとしては当然あるかと思います。まだ具体的な手順は決めておりません。前に申し上げたとおり、まずは検証して事実関係を整理するというところをしっかりやりたいと思っております。

Q : 遅くとも来年の出水期までには何らかの形にというお考えでしょうか。
A : 今、スケジュールを頭の中で組んでいる訳ではないのであまりいい加減なことは言えませんが、遅くともそこまでには何らかの形にはしたいと思っています。

Q : 大雨特別警報の発表基準のことにつきまして、伊豆諸島北部から新しい基準が始まりましたが、準備が整った自治体から順次導入とのことですが、気象庁としての導入の目標時期はいつ頃でしょうか。
A : ここは難しい点がありまして、まずは伊豆諸島北部について始めさせていただいたのは、6年前に伊豆大島において土砂災害がありましたが、伊豆大島は離島という関係で、前の基準ですと特別警報の発表対象にならない、基準に達しないという事情がありましたので、ここはある意味パイロットケースみたいな形でまずは始めさせていただけたらということです。まずは伊豆諸島北部に導入した特別警報の運用の状況を見ながら、他の地域においても同じような考え方で基準を設定することが適切かどうかを見極めながらやっていきたいと思いますので、これはできたところから順次というのは実を言うと全国までいくにはかなりの時間がかかるだろうなという思いがあってこういう言い方をさせていただいております。まずは、大きな大雨災害があったものの大雨特別警報の基準に至っていないがために発表しなかった事例があった所から優先的に進めていきたいと思っております。

Q : 危険度分布も県によって5km格子なのか1km格子なのかまだまだ差があると思います。この点に関しても徐々に進めていく予定でしょうか。
A : 北海道だけは胆振東部地震の関係があったものですから5km格子ですが、後は基本的には1km格子でやっております。やり方が2種類あるものですから見え方がちょっと違うかもしれませんが、基本的に土砂災害については1km格子になったものと認識しています。

Q : 週間天気予報で19日に東北で低気圧の発達の場合によっては大雨の恐れがあるとのことですが、気象情報には出ていなくて今日の段階でははっきりしないということでしょうか。
A : まだ量的に分からないですが、それなりにまとまった雨になる可能性があります。特に被災地があります地域においてまとまった雨になりそうだということで早めにお知らせをさせていただいております。

Q : 今日の夕方に気象情報が出ますでしょうか。
A : (予報部担当)全般気象情報は今日の14時に量的予想ではないですけれども発表されております。それと地方気象情報に関しては関東甲信地方は昨日も出ておりますが、本日夕方も発表予定であり東北地方も発表予定です。あと北陸の新潟県が府県気象情報を発表する予定となっております。

Q : 12日の段階で現象を追いかけている中で気になった点です。国交省の河川情報のページが午前11時10分からダウンしてしまって、一般の方が触れられる情報が洪水の危険度分布だけで、それを追いかけながら色の移り変わりを見ながら危険を把握していたという現状なのですが、あの時点で国交省本省と気象庁の間で、気象庁ホームページへの誘導などのやりとりがあったのでしょうか。気象庁の危険度分布のサーバはアクセス集中に耐えられる工夫をされているものなのでしょうか。
A : (予報部担当)気象庁のサーバに関しましてはCDNというサービスを使ってまして、データをネットワーク上に分散させることで、分散された拠点に各ユーザーがアクセスするので気象庁のサーバに集中するということないので、アクセスの集中でダウンすることはありません。

Q : 絶対にないのでしょうか。
A : (予報部担当)アクセス集中によるダウンはないです。

Q : 防災情報をとる側とすれば、おそらく市町村の防災担当者は別のIDがあって情報がとれていたとは思うのですが、それに基づいて避難情報も出していたので。ただ一般の人がポータルサイトで有益な情報としてとれなかったというのは防災上大変問題なことだと思いますが、気象庁が外局で本省である国交省との間で何かやりとりはあったのでしょうか。
A : 当時、国交省では、「川の水位は、ヤフーやNHKのサイト等で確認していただきたい」旨のお知らせを行うとともに、画像情報などを削除しサイトを軽くして必要最小限の情報のみを掲載した「簡易版サイト」を閲覧できるような対応を執ったものと承知しています。なお、本件について、気象庁では国交省本省と特段の調整は行っていません。

Q : 自治体の防災支援の関係でホットラインも活用されたと冒頭ご発言があったと思うのですが、例えばどのくらいのところでといった具体的なものがあれば教えてください。
A : 310市町村に対してこちらからホットラインをかけています。

Q : この時期ラグビーのワールドカップもあって来日していた外国人も多かったと思いますが、防災気象情報の11か国語の発信を始めたということでしたが、今回の台風第19号に対しては情報発信についての評価あるいは対応について長官の方からおっしゃられることはありますか。
A : まず、来日される方の対応ということで今11か国語で防災情報を発表させていただいております。それから今回ツイッターでも英語のツイッターを発信させていただいて、我々の外国語のホームページに誘導するような形はさせていただいております。ただそれがどの程度効果があったのか我々自身も把握できておりませんのでどうやったら効果が確認できるのか、いい知恵がある訳ではないのですが、色々な情報を集めてそういった効果について計っていきたいと思います。

Q : それも検証していくのでしょうか。
A : 外国人で特に帰られた方にはインタビューできませんので、なかなか自治体や住民の方への検証みたいな形には難しいと思うのですが、何か方法があるかもしれませんので可能であればやりたいと思います。

Q : 今回の全体を通しての呼びかけについてです。伺っていると大きいところでは起きた現象とのギャップはないということだと思うのですが、一番死者が出たのが東北でして、伝えていた側としてはショックなところもありました。改めて認識を確認したいのですが、数値上は東北も含めて雨量が出ていたと思うのですが、それでももう少しそこは強調できたのかなという認識があったりするのか、そこも含めて危機感は全体としては共有できていたという認識でよろしいのかもう一度お願いします。
A : まず我々としては出来る限りのことをしたと思っています。東北についてもしっかり我々の危機感を伝えてきたと認識していますが、ただそれは我々の一方的な意識ですから、実際に住民の方が我々の情報をどう受けとめていたかというのは、やはり検証する必要があるだろうと思っています。そこで十分伝わっていなかったということが仮にあればそこはやり方を考えていく必要があると思います。我々の認識ではやれる限りのことはやってきた、それ以上のものではありません。あくまで我々の方の意識としてということで、実際住民の方がどう受けとめたかは検証する必要があると思います。

(以上)

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